ツーバイフォー工法の構造現場と考察(3)~千葉市・星久喜モデルハウス【2】
〔第13回〕 第7回で述べた新華ハウジング有限会社が千葉市中央区星久喜町にてツーバイフォー工法にて建築中のモデルハウスについて、再度、述べます。
↑ 千葉市中央区星久喜町 新華ハウジング有限会社 星久喜モデルハウス (2010.2.26.)
《1》 ツーバイフォー工法の面材(構造用合板、構造用パネル)と在来木造の筋交い(すじかい)の比較
↑ 新華ハウジング有限会社 星久喜モデルハウス 1階内部より
地震・台風などにより横方向の力が加わった時、在来木造(筋交い式の戦後型在来木造)では、筋交い(すじかい)という斜め材により持ちこたえますが、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)では、貼り付けられた構造用合板・構造用パネルという面材が、「細かい筋交い(すじかい)が無数にある」ような働きをして横方向の力に対抗することになります。この工事現場では、構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード Oriented Strand Board、OSB、配向性ストランドボード)を使用しています。
筋交い(すじかい)であれば、線なので、エアコンのダクトであったり、配管を通そうとすると、筋交いを避けて通せば良いことになりますが、ツーバイフォー工法や木質パネル構法(木質プレハブ)の構造用合板・構造用パネルの場合は、面なので、避けて通すというわけにはいきません。 その為、この写真の中央部の上の方のように、構造用パネル(構造用合板)に穴をあけることになります。 構造用合板・構造用パネルは「壁倍率」がいくつだと言っていても、穴をあけるとその部分で弱くなるのではないのか、という不安を持ってしまうかもしれません。 穴が開いている場合とあいてない場合を比較するならば、あいていない場合に比べてあいている場合の方が、いくらかは弱くなるというのは確かでしょう。 但し、これは、ツーバイフォー工法や木質パネル構法においては、こういった穴をあけるなと言うわけにはいかないもので、最初から想定された上でのことで、施工ミスというわけではありません。 施工ミスというわけではないけれども、在来木造の筋交いであれば、エアコンのダクトとか電気であれ何であれ配線を通す為なら、筋交いを避けて通せば良いのに対して、ツーバイフォー構法・木質パネル構法では、構造用パネル・構造用合板を避けて通すということはできない、という点で、在来木造の筋交いの方が、この点では良いように見えます。
一方で、在来木造の筋交い(すじかい)には問題がないのかというと、そうとも言えません。「筋交い(すじかい)は絶対にけづったり切断したりしてはいけない」もので、部分的に筋交いをけづると、地震などの際に、そのけづった部分で筋交いが折れる危険が出てきます。 ところが、です。 様々な建築現場をのぞきますと、けづったり切断してはならない筋交いをけづったり切断したりしている工事現場を見ることが、実際にあるのです。
なぜ、そういう事態が発生するか、というと、筋交いを入れるのは大工であり、その後の配線・配管の工事をするのは、別の職人で、それぞれの仕事についてはわかっていても、木構造について十分にわかっていない人がおこなっているという可能性もないとはいえないからということもありえます。 それだけではありません。 よく見かけたのが、キッチンの換気扇です。 プロペラ型の換気扇で、電気工事者が換気扇の大きさの穴をあけようとすると、そこに筋交いが入っていた、という時、「筋交いは絶対にけづったり切断してはならない」と言われても、電気工事担当としては、一方で、そこに換気扇を取りつけろ、と言われ、一方で、「筋交いは絶対にけづったり切断してはいけない」と言われて、いったい、どうしろって言うのよ?!? ということになるのです。 誰が悪いかというと、やっぱり、筋交いと換気扇の穴とを両方同じ場所に設けるような図面を作った「設計」担当ではないかと思うのですが、大学の建築学科を卒業したというだけで「建築家」になったようなつもりの「設計」担当には、そんなこと考えてもいないという人が多いように思いますね。 構造用パネル・構造用合板の場合は、部分的に穴をあけても、筋交いのように強度がまったくなくなるということはないので、その点では、ツーバーフォー工法・木質パネル構法の構造用合板・構造用パネルの方が問題は少ないと言えるでしょう。
又、窓下の部分の面材ですが、「壁倍率」の中に参入することはできませんが、ツーバイフォー構法・木質パネル構法の面材は、窓下の部分に貼りつけたものも、ない場合と比較して、ある程度、構造上の力にはなるはずです。 在来木造の筋交いの場合は、柱・梁の交点と柱・土台の交点を結ぶように斜めに入れないといけないもので、柱の中ほどに筋交いを取りつけると、地震などで横方向の力が加わった時、筋交いと柱の接合が弱ければ、その筋交いは柱にそってすべることとなり、接合が強ければ、その筋交いは柱をへし折るようになります。ですから、筋交いの場合は、窓の下の部分に入れても効果はなく、むしろ、入れない方が良いのです。それに対して、ツーバイフォー工法・木質パネル構法の面材の場合は、窓下のものも、ない場合よりは効果があるのです。
それで、いったい、どちらが良いのか、といっても、こういったことを認識した上で、きっちりと施工されたものであれば、どちらの構法であれ、十分、強いものはでき、施工の悪いものは、どちらの構法であれ、強度は期待できないことになります・・・と言ったのでは、答えたことにならないと思われるかもしれませんが、しかし、実際に、絶対にどちらが良いということが言えるわけでもないのです。在来木造のハウスメーカー、ツーバイフォー工法のハウスメーカーの若い営業のオニーチャンで、自分のところのものの方が絶対に良いというように言う人というのもいるようですが、そういう人というのは、会社から渡された「セールストークマニュアル」でもそのまま覚えて話しているのではないのかと思います。
《2》 構造用パネル(OSB, オリエンティッド ストランド ボード、配向性ストランドボード)について。
↑ 面材として使われている構造用パネル(OSB, オリエンティッド ストランド ボード、配向性ストランドボード)
構造用合板の場合、20年少々前は、ラワン合板の方が主であったように思うのですが、今日では、北米からの針葉樹合板の方が主になってきています。 針葉樹合板が、名前の通り、針葉樹を使用しているのに対して、構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード、OSB)の場合、広葉樹を使用しているようです。 一見、「木屑を、いいかげんに寄せ集めてくっつけただけ」みたいに見えるのですが、針葉樹の構造用合板が、奇数枚の単板(ベニア)を木の目が交互になるように貼りあわせたように、構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード、OSB)も、ある向きになるように貼られたものを何層か交互になるように貼りつけられているらしいのです。 そう言われて、良く見ると、この写真で見られるものなどは、上下方向になっていますね。 いったい、どうやって、こういう向きに作られるのだろうと思うのですが、異なる向きになった層を交互に重ねて作られているらしいのです。
《3》 2階床を支える横架材 と 天井を支える横架材
「ツーバイフォー工法の場合、在来木造と違って、2階の床と1階の天井をツーバイテン材(2×10材)の両側に太鼓のように貼りつけるので、2階で飛び跳ねたような場合、太鼓をたたくようになって、在来木造よりも、1階に、音が響きやすい」と言われてきました。 そして、日本に導入された頃のツーバイフォー工法の建物は、確かに、2階の床と1階の天井をツーバイテン材(2×10材)の両側に太鼓のように貼りつけられていて、2階で飛び跳ねると、太鼓をたたくような状態になったのです。 しかし、この写真を良く見ていただきたいのですが、そういった問題を克服しようと、努力がなされ、この写真のこの建物では、2階の床を支える横架材と1階の天井を支える材とが別になっているのです。 2階の床を支える材の下の部分は1階の天井を支える材の下の部分より少し上で止まっており、1階の天井を支える材は2階の床との間があいています。 2階の床を支える方が1階の天井を支えるよりも強度が必要なので、2階の床を支える材の方が1階の天井を支える材よりも厚みのあるものが使われています。 このあたりの施工は、ツーバイフォー工法であれば、どの会社であれ、すべて同じというわけではなく、その会社により異なりますが、ツーバイフォー工法であるから2階の床と1階の天井が太鼓になっているとは限りません。 又、在来木造であっても、1階の天井高を高くとろうとして、1階の天井を梁桁材に直接貼りつけて、太鼓の構造になっている建物を施工しているところもあります。
もっとも、このように、2階の床を支える材と1階の天井を支える材とを分けたとしても、2階で飛び跳ねた時に、まったく、1階に響かないというわけではありません。 逆に、太鼓形式の施工であっても、住めないというわけではありません。 音が響くという問題について、コツコツと、先のとがったものでつついたような音と、飛び跳ねた時のようなドーンという音の2種類の音が考えられるのですが、コツコツという音の方は、防音材を使用するなどして、相当防ぐことができるようなのですが、飛び跳ねたようなドーンという音については、太鼓の構造の場合とそうでない場合では、太鼓でない場合の方が響かないとしても、まったく響かないようには、なかなかできないようなのです。では、どうすればよいかというと、体育館ではないので、2階で飛び跳ねなければ良い、ということになります。 まったく、ひびかなければ、体調を悪くして2階で倒れても、1階にいる人が気づくことができなくなります。 2階の人間が倒れたような場合は、1階に少しは響いても、悪くはないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
この写真のように、1階の天井を2階の床を支える材とは離した施工のことを「吊り天井施工」と言ったりもするようですが、 もっとも、私などは、「吊り天井」と言われると、白土三平(しらと さんぺい)の漫画、あるいは、横山光輝(よこやま みつてる)の時代漫画を思い出します。 殿様に城に呼ばれて行くと、「おう、よく来た」と座敷に通されたのは良いけれども、その天井が、「吊り天井」で、吊っている綱を切るとともに、ドサァーッと天井が落ちて、下にいた人間が踏みつぶされて死ぬ、というもので、「おのれ、吊り天井とは、はかりおったか~あ・・・・。」とか言いながら死んでいく、という場面・・・・。 建築屋に勤めるまでは、そういう罠があったのか・・・みたいに思っていたのです。しかし、建築屋に勤めてみますと、丸太梁、あるいは、そこまでいかなくても、角材の米松(べいまつ)の梁でも落ちてきたのなら、大怪我をして大変ですが、天井板の1枚や2枚、落ちてきても、別にそれほどたいしたことないような気がしてくるのですが、どうでしょう。
※ 白土 三平 については、
「ウィキペディア――白土 三平」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%9C%9F%E4%B8%89%E5%B9%B3
横山 光輝 については、
「ウィキペディア――横山 光輝」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%85%89%E8%BC%9D
他参照。
《4》 釘の分類について。
↑ 青い色の釘。 新華ハウジング・千葉市中央区 星久喜モデルハウス。
↑ 赤い色の釘。 新華ハウジング・千葉市中央区 星久喜モデルハウス。
ツーバイフォー工法の場合、使用する釘は、在来木造とは違って、使い場所によって釘に色分けがされています。 もっとも、在来木造では、釘は、そのへんにあるものを適当にでまかせで使ってよい、というわけではありません。 在来木造でも、どこでどういう釘を使用するかというのは決まっており、そのへんにあるものをでまかせで適当に使っている・・・というような施工をしているような業者が、もしも、あったならば、それは、在来木造としても、良い施工の業者ではないことになりますが、釘を色分けして使用しているという点では、ツーバイフォー工法の方が、その点では、より徹底していると言えるでしょう。
《おまけ》 新華ハウジング有限会社が工事をおこなっている千葉市中央区星久喜町の星久喜モデルハウスに最寄のバス停の名前は、「三叉路(さんさろ)」と言います。 シンプルな名前が、私は好きです。


星久喜モデルハウスの近く、徒歩2分くらいのところに、千葉市立星久喜中学校 と 都市緑化植物園 があります。 次回、この2つについて、少々、述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
≪ 〔第7回〕ツーバイフォー構法の構造現場と考察(1)~千葉市・星久喜モデルハウス(1) ≫ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201102article_4.html も、ぜひ、御覧くださいませ。
ツーバイフォー工法と在来木造構法の構造現場についてのレポートと考察は、今後も続けます。どうぞ、ご期待ください。
↑ 千葉市中央区星久喜町 新華ハウジング有限会社 星久喜モデルハウス (2010.2.26.)
《1》 ツーバイフォー工法の面材(構造用合板、構造用パネル)と在来木造の筋交い(すじかい)の比較
↑ 新華ハウジング有限会社 星久喜モデルハウス 1階内部より
地震・台風などにより横方向の力が加わった時、在来木造(筋交い式の戦後型在来木造)では、筋交い(すじかい)という斜め材により持ちこたえますが、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)では、貼り付けられた構造用合板・構造用パネルという面材が、「細かい筋交い(すじかい)が無数にある」ような働きをして横方向の力に対抗することになります。この工事現場では、構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード Oriented Strand Board、OSB、配向性ストランドボード)を使用しています。
筋交い(すじかい)であれば、線なので、エアコンのダクトであったり、配管を通そうとすると、筋交いを避けて通せば良いことになりますが、ツーバイフォー工法や木質パネル構法(木質プレハブ)の構造用合板・構造用パネルの場合は、面なので、避けて通すというわけにはいきません。 その為、この写真の中央部の上の方のように、構造用パネル(構造用合板)に穴をあけることになります。 構造用合板・構造用パネルは「壁倍率」がいくつだと言っていても、穴をあけるとその部分で弱くなるのではないのか、という不安を持ってしまうかもしれません。 穴が開いている場合とあいてない場合を比較するならば、あいていない場合に比べてあいている場合の方が、いくらかは弱くなるというのは確かでしょう。 但し、これは、ツーバイフォー工法や木質パネル構法においては、こういった穴をあけるなと言うわけにはいかないもので、最初から想定された上でのことで、施工ミスというわけではありません。 施工ミスというわけではないけれども、在来木造の筋交いであれば、エアコンのダクトとか電気であれ何であれ配線を通す為なら、筋交いを避けて通せば良いのに対して、ツーバイフォー構法・木質パネル構法では、構造用パネル・構造用合板を避けて通すということはできない、という点で、在来木造の筋交いの方が、この点では良いように見えます。
一方で、在来木造の筋交い(すじかい)には問題がないのかというと、そうとも言えません。「筋交い(すじかい)は絶対にけづったり切断したりしてはいけない」もので、部分的に筋交いをけづると、地震などの際に、そのけづった部分で筋交いが折れる危険が出てきます。 ところが、です。 様々な建築現場をのぞきますと、けづったり切断してはならない筋交いをけづったり切断したりしている工事現場を見ることが、実際にあるのです。
なぜ、そういう事態が発生するか、というと、筋交いを入れるのは大工であり、その後の配線・配管の工事をするのは、別の職人で、それぞれの仕事についてはわかっていても、木構造について十分にわかっていない人がおこなっているという可能性もないとはいえないからということもありえます。 それだけではありません。 よく見かけたのが、キッチンの換気扇です。 プロペラ型の換気扇で、電気工事者が換気扇の大きさの穴をあけようとすると、そこに筋交いが入っていた、という時、「筋交いは絶対にけづったり切断してはならない」と言われても、電気工事担当としては、一方で、そこに換気扇を取りつけろ、と言われ、一方で、「筋交いは絶対にけづったり切断してはいけない」と言われて、いったい、どうしろって言うのよ?!? ということになるのです。 誰が悪いかというと、やっぱり、筋交いと換気扇の穴とを両方同じ場所に設けるような図面を作った「設計」担当ではないかと思うのですが、大学の建築学科を卒業したというだけで「建築家」になったようなつもりの「設計」担当には、そんなこと考えてもいないという人が多いように思いますね。 構造用パネル・構造用合板の場合は、部分的に穴をあけても、筋交いのように強度がまったくなくなるということはないので、その点では、ツーバーフォー工法・木質パネル構法の構造用合板・構造用パネルの方が問題は少ないと言えるでしょう。
又、窓下の部分の面材ですが、「壁倍率」の中に参入することはできませんが、ツーバイフォー構法・木質パネル構法の面材は、窓下の部分に貼りつけたものも、ない場合と比較して、ある程度、構造上の力にはなるはずです。 在来木造の筋交いの場合は、柱・梁の交点と柱・土台の交点を結ぶように斜めに入れないといけないもので、柱の中ほどに筋交いを取りつけると、地震などで横方向の力が加わった時、筋交いと柱の接合が弱ければ、その筋交いは柱にそってすべることとなり、接合が強ければ、その筋交いは柱をへし折るようになります。ですから、筋交いの場合は、窓の下の部分に入れても効果はなく、むしろ、入れない方が良いのです。それに対して、ツーバイフォー工法・木質パネル構法の面材の場合は、窓下のものも、ない場合よりは効果があるのです。
それで、いったい、どちらが良いのか、といっても、こういったことを認識した上で、きっちりと施工されたものであれば、どちらの構法であれ、十分、強いものはでき、施工の悪いものは、どちらの構法であれ、強度は期待できないことになります・・・と言ったのでは、答えたことにならないと思われるかもしれませんが、しかし、実際に、絶対にどちらが良いということが言えるわけでもないのです。在来木造のハウスメーカー、ツーバイフォー工法のハウスメーカーの若い営業のオニーチャンで、自分のところのものの方が絶対に良いというように言う人というのもいるようですが、そういう人というのは、会社から渡された「セールストークマニュアル」でもそのまま覚えて話しているのではないのかと思います。
《2》 構造用パネル(OSB, オリエンティッド ストランド ボード、配向性ストランドボード)について。
↑ 面材として使われている構造用パネル(OSB, オリエンティッド ストランド ボード、配向性ストランドボード)
構造用合板の場合、20年少々前は、ラワン合板の方が主であったように思うのですが、今日では、北米からの針葉樹合板の方が主になってきています。 針葉樹合板が、名前の通り、針葉樹を使用しているのに対して、構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード、OSB)の場合、広葉樹を使用しているようです。 一見、「木屑を、いいかげんに寄せ集めてくっつけただけ」みたいに見えるのですが、針葉樹の構造用合板が、奇数枚の単板(ベニア)を木の目が交互になるように貼りあわせたように、構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード、OSB)も、ある向きになるように貼られたものを何層か交互になるように貼りつけられているらしいのです。 そう言われて、良く見ると、この写真で見られるものなどは、上下方向になっていますね。 いったい、どうやって、こういう向きに作られるのだろうと思うのですが、異なる向きになった層を交互に重ねて作られているらしいのです。
《3》 2階床を支える横架材 と 天井を支える横架材
「ツーバイフォー工法の場合、在来木造と違って、2階の床と1階の天井をツーバイテン材(2×10材)の両側に太鼓のように貼りつけるので、2階で飛び跳ねたような場合、太鼓をたたくようになって、在来木造よりも、1階に、音が響きやすい」と言われてきました。 そして、日本に導入された頃のツーバイフォー工法の建物は、確かに、2階の床と1階の天井をツーバイテン材(2×10材)の両側に太鼓のように貼りつけられていて、2階で飛び跳ねると、太鼓をたたくような状態になったのです。 しかし、この写真を良く見ていただきたいのですが、そういった問題を克服しようと、努力がなされ、この写真のこの建物では、2階の床を支える横架材と1階の天井を支える材とが別になっているのです。 2階の床を支える材の下の部分は1階の天井を支える材の下の部分より少し上で止まっており、1階の天井を支える材は2階の床との間があいています。 2階の床を支える方が1階の天井を支えるよりも強度が必要なので、2階の床を支える材の方が1階の天井を支える材よりも厚みのあるものが使われています。 このあたりの施工は、ツーバイフォー工法であれば、どの会社であれ、すべて同じというわけではなく、その会社により異なりますが、ツーバイフォー工法であるから2階の床と1階の天井が太鼓になっているとは限りません。 又、在来木造であっても、1階の天井高を高くとろうとして、1階の天井を梁桁材に直接貼りつけて、太鼓の構造になっている建物を施工しているところもあります。
もっとも、このように、2階の床を支える材と1階の天井を支える材とを分けたとしても、2階で飛び跳ねた時に、まったく、1階に響かないというわけではありません。 逆に、太鼓形式の施工であっても、住めないというわけではありません。 音が響くという問題について、コツコツと、先のとがったものでつついたような音と、飛び跳ねた時のようなドーンという音の2種類の音が考えられるのですが、コツコツという音の方は、防音材を使用するなどして、相当防ぐことができるようなのですが、飛び跳ねたようなドーンという音については、太鼓の構造の場合とそうでない場合では、太鼓でない場合の方が響かないとしても、まったく響かないようには、なかなかできないようなのです。では、どうすればよいかというと、体育館ではないので、2階で飛び跳ねなければ良い、ということになります。 まったく、ひびかなければ、体調を悪くして2階で倒れても、1階にいる人が気づくことができなくなります。 2階の人間が倒れたような場合は、1階に少しは響いても、悪くはないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
この写真のように、1階の天井を2階の床を支える材とは離した施工のことを「吊り天井施工」と言ったりもするようですが、 もっとも、私などは、「吊り天井」と言われると、白土三平(しらと さんぺい)の漫画、あるいは、横山光輝(よこやま みつてる)の時代漫画を思い出します。 殿様に城に呼ばれて行くと、「おう、よく来た」と座敷に通されたのは良いけれども、その天井が、「吊り天井」で、吊っている綱を切るとともに、ドサァーッと天井が落ちて、下にいた人間が踏みつぶされて死ぬ、というもので、「おのれ、吊り天井とは、はかりおったか~あ・・・・。」とか言いながら死んでいく、という場面・・・・。 建築屋に勤めるまでは、そういう罠があったのか・・・みたいに思っていたのです。しかし、建築屋に勤めてみますと、丸太梁、あるいは、そこまでいかなくても、角材の米松(べいまつ)の梁でも落ちてきたのなら、大怪我をして大変ですが、天井板の1枚や2枚、落ちてきても、別にそれほどたいしたことないような気がしてくるのですが、どうでしょう。
※ 白土 三平 については、
「ウィキペディア――白土 三平」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%9C%9F%E4%B8%89%E5%B9%B3
横山 光輝 については、
「ウィキペディア――横山 光輝」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%85%89%E8%BC%9D
他参照。
《4》 釘の分類について。
↑ 青い色の釘。 新華ハウジング・千葉市中央区 星久喜モデルハウス。
↑ 赤い色の釘。 新華ハウジング・千葉市中央区 星久喜モデルハウス。
ツーバイフォー工法の場合、使用する釘は、在来木造とは違って、使い場所によって釘に色分けがされています。 もっとも、在来木造では、釘は、そのへんにあるものを適当にでまかせで使ってよい、というわけではありません。 在来木造でも、どこでどういう釘を使用するかというのは決まっており、そのへんにあるものをでまかせで適当に使っている・・・というような施工をしているような業者が、もしも、あったならば、それは、在来木造としても、良い施工の業者ではないことになりますが、釘を色分けして使用しているという点では、ツーバイフォー工法の方が、その点では、より徹底していると言えるでしょう。
《おまけ》 新華ハウジング有限会社が工事をおこなっている千葉市中央区星久喜町の星久喜モデルハウスに最寄のバス停の名前は、「三叉路(さんさろ)」と言います。 シンプルな名前が、私は好きです。



星久喜モデルハウスの近く、徒歩2分くらいのところに、千葉市立星久喜中学校 と 都市緑化植物園 があります。 次回、この2つについて、少々、述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
≪ 〔第7回〕ツーバイフォー構法の構造現場と考察(1)~千葉市・星久喜モデルハウス(1) ≫ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201102article_4.html も、ぜひ、御覧くださいませ。
ツーバイフォー工法と在来木造構法の構造現場についてのレポートと考察は、今後も続けます。どうぞ、ご期待ください。
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