木質パネル構法と在来木造の木の使用量、筋交いは削っていいか?―教える気がなくなる新人(1)-2
[第305回]営業と会社の話(68)
[2] 一条工務店の困った嘘つきども。
【1】 構造材に使っている材木の量 について。
小堀住研に入社して1年目に契約いただいた方が、契約後に知り合いの材木屋と会って雑談をしていた時に、小堀住研で家を建てることにしたと言うと、その材木屋が「ほそ~い柱とか使ってんじゃないのお~お。 いい大工さん、紹介してあげようかあ」と言ったと言うのです。 「在来木造とは構造が違いますからね。」と私は言い、その契約者の方も、材木屋からそういうことを言われてもそれでどうしようという気持ちもありませんでした。 それにしても、こちらは、営業として契約をいただくために、礼儀作法を考え、相当の苦労・努力をしているのですが、材木屋というのは自分が売り手の立場の時に「紹介してあげようか」とか、そういう言いまわしというのは、なんだか、けっこうな御身分だなあ・・という印象を受けました。
どうも、「材木屋」とか中より下の「大工」にはこういういいかげんなことを言う人間が多いように思います。小堀住研がおこなっていた木質パネル構法というのは、枠材(ツーバイフォー材)と面材(構造用合板)を工場で接着剤で接合してパネルとし、それを建築現場で釘で接合して一体化させていくもので、ツーバイフォー工法の場合は、枠材(ツーバイフォー材)と面材(構造用合板)は建築現場で釘で接合するのに対して工場で接着剤で接合していることと、ツーバイフォー工法の場合は1階の壁を作ってから2階の床を作り、2階の床を作ってから2階の壁を作りするのですが、木質パネル構法の場合は1階と2階の間に在来木造と同じく太い梁があり、ツーバイフォー工法よりは間取りに自由性がでてきます。「柱」という名称のものとしては、コーナー部分に「接合柱」というものがあって、木質パネルが交差する部分で木質パネル同士を接合する働きをしますが、「接合柱」で上からの荷重を受けているわけではなく、上からの荷重を受けているのは木質パネルの方です。 木質パネルは枠材と面材が一体になり、さらに部屋全体が箱のよう、建物全体が箱のようになることで威力を発揮するという性質のものであり、木質パネルの枠材(ツーバイフォー材)が在来木造の柱と比べて細かったとしてもそれはあたりまえであって、木質パネルの枠材が在来木造の柱よりも細いからといって弱いわけではないし、質が悪いわけでもありません。 ところが、どうも、科学的でない、知的レベルが高くない「材木屋」とか大工としてのレベルが中より下の「大工」とかは、そのあたりをわかっていて言うのかわからないで言っているのか、どちらなのか、こういった、よくそういう馬鹿げたことを言う・・とあきれる文句を口にします。 そういう卑しい発言は、競合相手についてよりも自分自身についての評価を下げるのではないかと思うのですが、実際問題としてそういうことを口にする人はいます。
在来木造の一条工務店に入社した時、同社はまがりなりにも全国で年間1000棟を超える施工棟数を残している会社だったので、そういうアホなことを言うようなことはしないであろうと思ったのですが、同社に入社してみるとそうではなく、アホな材木屋、レベルの低い大工とかわらない知性のかけらも感じられない、自分自身を卑しめるだけでしかないことを喜々として話す営業が相当多かった。
そういう営業は、自分がそういう営業スタイル(知的レベルの低い卑しい材木屋、質の高くない「大工」の寝言スタイル)で仕事をしてきたとしても、後輩社員、新人社員にそれを教えるのはやめてもらいたいと思うのですが、教えたがるようです。 1992年に「大学」新卒入社して静岡県浜松市の営業所(展示場)でその時点で通算契約棟数2位だという浜松の営業所にいたH松さんの隣の席に座らせてもらって指導を受けたというOくんが、本人の希望で8月に東京営業所に転勤してきた。
小堀住研に入社してすぐの新卒社員研修の時、研修を担当した講師役の部長が「みんな、小堀の家はいいと思ってるか?」と質問し、あてられた者が「いいと思います」と答えると、「そうかあ。 悪いとは言わんが、しかし、よそだってけっこういいぞお」と言い、「だから、営業担当者によって契約してもらえたり契約してもらえなかったりするんだ」ということでした。 小堀住研にいた時、同社の営業が話をする際には、他の会社にはどんないいところがあるか、といったことを競合になったりした際に学び、それを他の営業にも話をして、そうやって他の会社には他でいいところがあることを学んでいったのです。 これはどの会社においても同じだろうと私は思っていたのですが、一条工務店では、愛知県名古屋市の営業所にいたK藤ローオさんという営業所長が「一条工務店の家は他の会社の家に比べてすべての面で絶対的にいい」と「研修」で言われたことがあるように、自称「一条工務店の土台を築いてきた人たち」には「構造面についてもそれ以外の面についても一条がすべてにわたって絶対的にいい」と言わないと承知しないという人が少なくなかった。例外的な存在が元・東日本ハウスの営業だったという藤沢営業所の所長のT葉さんともともと共同出資会社だった株式会社一条工務店南福島から株式会社一条工務店の所長になった福島県いわき市の所長のK野さんだった。 K野さんなどは、K藤さんなどとは違って、はっきりと、「おまえ、一条の建物はすべての面に渡って絶対的にいいから、ともかく建物を見せればそれで契約になるなんて、そんなバカなこと思ってんのか? バカか。よそにはよそでいいところがあるわ。 一条の建物は絶対的にいいからともかく建物を見せればそれで契約になる、なんてそんなこと考えていて契約になんかなるか!」とはっきりと言っていた。私もそう思う。 一条の建物にいいところはあるとしてもよそにはよそでいいところはある。 いわき市の営業所に古くからいた人たちは、浜松からの距離が遠いことともともとが共同出資会社の人であったことから、「浜松の病弊」の影響が軽く、一条工務店の営業であっても「浜松流」「遠州人スタイル」では必ずしもやっていなかった人が多かった。
「一条の建物がいいといっても、すべてできあいのものを売るわけではないので失敗もあるけれども、結果として全体としては悪くないものができます。他の会社にもいいところはあるけれども、全体としては一条の建物がいい」という言い方をする人が多かった。私もそれでいいと思うし、実際、名古屋市の営業所にいたK藤ローオさんが言った「一条工務店の建物はすべてにわたって完璧にいい」などというそこまで「完璧にいい」建物ではないはずなのです。 そんなこと言ってしまって「完璧にいい」かという眼で見られたなら、契約してもらえたとしても「ここ、完璧じゃないじゃないか。どうしてくれるんだ」ということになってしまう。 そうではなく「一条の建物がいいといっても、すべてできあいのものを売るわけではないので失敗もあるけれども、結果として全体としては悪くないものができます。他の会社にもいいところはあるけれども、全体としては一条の建物がいい」という言い方をしておけば、部分的に失敗があっても「すいません」と言えば許してもらえるし、「結果として全体として悪くないものを作る」ということならそれならできるのだから、どうして「一条の建物はすべての面にわたってどこと比べても絶対的にいい」とか「一条の建物は完璧にいい」とか言わないと気がすまないのか理解に苦しみました。 「研修」の時に、名古屋市の営業所の所長だったというK藤ローオさんが、「一条の建物はすべてにわたって完璧だ、と思えないところがあるか」と言われたので、私は、H松さんから「一条の建物は、建売屋の建物と比べていいというのではなく、住友林業とか東日本ハウスとかいった請負で建てている木造の会社の建物と比べても間違いなく一条の方が構造はいい。 俺に質問して悪いことはないが、それよりも自分自身で一条の建物と他の会社の建物の構造の現場を見に行って自分で確認するのがいい」と言ってもらい、それで自分で見に行ったところ、たしかに一条の建物は悪くはなかったのですが、施工ミスもあって問題がまったくなかったわけではなかったのです。 だから、「一条の建物は全体として他と比べて悪くない」というならそうでしょうけれども、「すべての面にわたって完璧に絶対的にいい」などというものではなかったので、それを言ったところ、K藤ローオさんは「そういうことを言うからいかんのだ。そういうことを言うから。 一条工務店の現場を見に行って、もしも、一条の建物に問題点があったなら、見なかったことにする。 それに対して、他社の建築現場を見に行って、いいところがあったら見なかったことにする。 一条工務店の建築現場に行ったら悪い所は見せないでいいところばっかり見せる。他社の建築現場に行ったらいいところは見せないで悪い所ばっかり見せる。 そうすれば、一条工務店の建物はすべてにわたって完璧にいい、ということになる。」と言ったのです。 何、言ってやがる、このバカは、とあきれました。 「一条工務店の建築現場に行ったらいいところばっかり見る。 悪い所があったら見なかったことにする。他社の建築現場に行ったら悪い所ばっかり見る。いいところがあったら、見なかったことにする。」て、そんな見方をしたならば、一条工務店の建物に限らず、どこのものでも「完璧に絶対的にすばらしい」ということになるが、それがいったい何の価値があるのだろうか。 よく、そういうことを言うものだ、とあきれたし、そういう発言は、施主がきくと、「レベルの低い営業だなあ」とあきれ、軽蔑されることになり、契約になるものまでならなくなるのではないかと思う。 実際のところ、一条工務店の「レジェンド」、自称「一条工務店の土台を築いてきた人たち」には、自分では自信を持っているらしいが、顧客からは「トップセールスだかなんだか知らないが、うちの家に関しては最低の営業で、人間のカスだあ!」と言われたりしていたケースがけっこうあった。
それで。 4月に入社して8月なかばまで「浜松流」を教えられてきたOくんが、入社して創業の地の浜松の営業所(展示場)に5か月間いて契約ゼロの状態で、本人の希望で東京営業所に転勤してきて、「一条の建物は、エスバイエル(←小堀住研)なんかと違って、構造材に使っている木の量が多いから」と言うので、一条工務店では1年目であったが住宅建築請負業の業界では4年目の私が「それは違うよ。 エスバイエル(←小堀住研)の木質パネル構法というのは、もともと、在来木造よりも使う木の量が少なくても、在来木造に劣らない強度を発揮できるようにということで開発された構法だから、一条工務店などよりも使っている木の量が少ないからどうというものではないよ。」と教えてあげたのです。 もし、O野田くんが、「浜松流」で教えられたように、「エスバイエルなんかは一条工務店より使っている構造材の木の量が少ないから」といったことをセールストークとして見込客に話したならば、前回[第304回]《木を人工乾燥しても濡れたり湿度が上がれば一緒?なわけないでしょ―教える気がなくなる新人(1)-1 》 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_3.html で述べた、「乾燥なんてさせたって、どうせ、雨に濡れたり湿度があがればまた一緒ですよ」などとアホなことを言って墓穴を掘りオウンゴールやった中央住宅(ポラスグループ)のアホ営業と同じになる、↑の材木屋と同じく他社に筋の通らない悪口を言う卑しい人間と見られると思って親切心から教えてあげたのです。構造材として使っている材木の量が「石数(こくすう)」として他社より多いという話は、在来木造同士で言って意味のあることで、ツーバイフォー工法や木質パネル構法を相手に話しても意味のないことで、むしろ、わかっていない営業、他社に不適切な攻撃をする下品な営業と自分の評価を下げる可能性があります。
小堀住研(→エスバイエル)はもともとは在来木造の会社だったのが、1970年代なかばに木質パネル構法で建てるようになり、1990年代初めにおいては、中価格帯のものはすべて木質パネル構法で、在来木造は最低でも諸経費別で坪80万円から上の価格帯のみ建てていたという状況でした。1990年の前半、東京の中野で、建築費だけで2億の家を引き渡したことがあり、東京支店長のTが、営業社員に、ぜひ、引き渡しまでに見ておくべきだと話し、私も見に行きたかったのですが、自分の業務が多忙で行けなかったということがありました。 建築費で2億ということは、仮に延べ床面積が100坪であったとしても、坪あたりの価格は200万円ということになります。 坪あたり200万円かければ、構造材も造作材・化粧材もいいものを十分に使え、いいものができるでしょう。その頃の一条工務店の「セゾン275S1」と名付けられたものは浜松で坪48万円、東京で坪55万円だったのです。55万円に「諸経費」を坪あたり15万円プラスしたとしても、坪70万円。 普通に考えて、坪200万円の木造が、坪60万台の木造と比べて、構造材に使っている木の量が少ない、坪200万円の木造が坪60万台の木造よりもほそ~い木しか使ってない・・と思いますか? 坪200万もかければ、構造材も造作材も相当のものを使えるはずです。「本体価格」として浜松で48万、東京で55万で建てている会社が、在来木造では坪100万以上のものしか建てない会社を相手に、「構造材として使っている木の量が少ない」などと中傷を加えるというのは、実物を見せられた場合を考えれば、営業戦略としては自殺行為です。 構造材として使っている材木の量が、「石数(こくすう)」として自分のところの方が多いという話は、在来木造同士の場合に言うことで、かつ、在来木造でも同程度の価格帯か自分の所より安い価格帯の所を相手に言うことで、異なる構法や在来木造の場合は自分の所の倍以上程度の価格のみで建てている所を相手に言うことではないのです。
ところが。 O野田くんは、せっかく親切心から教えてあげた私に向かって「○○さん、そんなこと言うなら、エスバイエルに行けばいいじゃないですか。 一条工務店にいるなら、一条工務店をいいように言って、エスバイエルをけなすべきでしょう」と言ったのです。せっかく親切で教えてあげたのに。こんなアホに教えるんじゃなかったと後悔しました。 O野田くんの言う「一条の建物は、エスバイエル(←小堀住研)なんかと違って、構造材に使っている木の量が多いから」というのは、それは「けなしている」ことにはなっても「セールストーク」にはならない。 一条工務店が従業員に配布していた、一条工務店独自のセールストークマニュアルのような本に「一般の在来木造では、構造材として材木を1坪あたり2.2~2.3石(こく)使っているが、一条工務店はそれより多い2.7~2.8石使っている」という話は出ていた。( 「石(こく)」とは建築に使う材木の量のことをいう単位で、1尺×1尺×10尺=1石(こく)です。[たとえば、《有限会社田中商会 木材の単位 石(こく)》http://www.tanaka-shokai.co.jp/unit02.html ] メートル法は地球の大きさを何分の1かにした長さからきたものですが、尺貫法はインチヤード法と同じく人間の体の大きさからできたものです。人間の腕の手首から肘までの間の骨を尺骨と言い、手首から肘までの長さが基になって1尺が決まりました。それをメートル法で言えば、30センチ3ミリで、30センチ3ミリ/尺)×3尺=90センチ9ミリ が3尺で半間(はんげん)。 昔の建物は6尺ごとに柱が立っていたというところから6尺が柱と柱の間ということで1間(けん)です。)それは、実際に建築工事現場に見に行けばわかりました。 「最近の在来木造の建物は柱も梁も細いものを使っている」というお話があったのですが、一条工務店の建築現場に見に行くと、そうではなかったのです。 「百聞は一見にしかず」でたしかに一条工務店の在来木造は「最近の在来木造の建物は柱も梁も細いものを使っている」というものではなく、「最近の在来木造の建物は柱も梁も細いものを使っている」というそういうタイプの在来木造との比較であれば、一条工務店の木造は使っている木の量が多いから、それだけ信頼できる建物ですというアピールはできるのです。
しかし、ツーバイフォー工法や木質パネル構法は木を構造材とする建物ではあっても、在来木造とは構法が違うので、使っている木の量が在来木造の一条工務店の方が多かったとしても、議論の対象外なのです。 それを、わざわざ、「エスバイエルなんかは一条工務店に比べて使っている木の量が少ないですから」などと、使用している構造材の木の量が多い少ないという話を木質パネル構法やツーバイフォー工法を相手に言ったのでは、「わたしはアホです」と言っているのと同じで、アホな材木屋、レベルの低い「大工」と変わらないことになってしまい、卑しい人間だなあ、レベルの低い営業(会社)だなあという印象を与えるでしょう。 だから、私は一条工務店の方が構造材に使っている木の量が多いという話は、在来木造同士での時には言ってもいいが、木質パネル構法・ツーバイフォー工法相手に言うべきことではない、と教えてあげたのです。バカ親切に。
エスバイエル(←小堀住研)の木質パネル構法(他に木質パネル構法で住宅を作っていた会社としては、ミサワホーム、それに、北欧の輸入住宅であるスウェーデンハウスがありますが)、「木質パネル構法は、在来木造よりも使う木の量が少なくても、在来木造に劣らない強度を発揮できるようにという前提で開発された構法」というのは、私はどこで学んだかというと、小堀住研(→エスバイエル)にいた時に学んだのではなく、一条工務店に入社して学んだのです。 小堀住研にいた時、「構造材として使っている木の量」なんて、あまり考えたことはなかったのです。 一条工務店に入社して、同社が新卒入社した人間には供与、中途入社した人間には貸与して学習するように渡した日本木造住宅産業協会(http://www.mokujukyo.or.jp/ )が発行の『木造住宅営業マニュアル』という冊子に書いてあったことなのです。 それを読んで学んだのです。 私はその冊子を入社して貸与してもらったものの、1か月も経たないうちに別の中途入社の人間が入ってきたので彼にその冊子を渡し、私の手元にはなくなったのですが、Oくんは「貸与」ではなく「供与」してもらってその後も持っているはずですから、当然のことながらそれを読んで学んでいるはずなのです。 だから、「一般の在来木造では構造材として1坪あたり2.2~2.3石の材木を使っているが、一条工務店では2.7~2.8石使っている」という話とともに、「木質パネル構法は、在来木造よりも使う木の量が少なくても在来木造に劣らない強度を発揮できるようにという前提で開発された構法」であるということも学んでいるはずなのです。 「一条工務店は使っている木の量が他社よりも多い」という話は対在来木造で使えるセールストークであって、対ツーバイフォー工法、対木質パネル構法 で使えるセールストークではなく、これは、一条工務店がこれを読んで学習してくださいと新卒入社の社員には「供与」「無料配布」した冊子に書いてあることなのですが、「浜松流」を学んできたO野田くんはそれを無視するのでした。 O野田くんはそのいいかんげんな学習態度をH松さんの指導のように口にしていたが、実際に浜松の営業所で隣の席にいたH松さんがそのように教えたのかどうかはわからない。 しかし、H松さんが営業所長の役職についていた以上、隣の席に座らせた「平松所長の直弟子」がそういうでたらめを得意がって話していたという結果について責任がないとは言えない。
↑≪・・私は清原が西武に入団した当時の監督だった森に、「清原をあんな風にしたのはお前だぞ」と責めたことがある。・・≫
(野村克也『読売巨人軍 黄金時代再び』2013.6.24.宝島社新書)↑
【2】 耐力壁の配置
一条工務店の創業の頃からいる人たちには、中途入社で同業他社から来た人間というのが、たとえ、かつては同業他社にいた人間であっても、今は一条工務店の従業員だと認識できない人がいるようで、その時点では一条工務店よりも格上であった同業他社の人間が気に食わないという人が多かったようです。 そういう人から「教育」を受けてきたらしいOくんもその影響を受けてきていたようです。
Oくんは、私がエスバイエル(←小堀住研)に過去にいたということから、「エスバイエルなんかは、一条工務店と違って、耐力壁の配置はいいかげんにやっているから」と言うので、私は「それは違うよ。 エスバイエルなどの木質パネル構法はクローズド構法といって建設省に『システム認定』として届けた業者だけが建てることができる構法で、その際に、耐力壁の配置はどうするといったことも決められているから、木質パネル構法は、むしろ、在来木造よりも耐力壁の配置についてはきっちりとしているくらいだよ」と教えてあげたのです。 バカ親切を通り越してバカだったなあと今は思います。
そうすると、新卒入社1年目のOくんが、住宅建築請負業においては4年目の私に「○○さん、そんなにエスバイエルのことを言いようにいいたいなら、エスバイエルに行けばいいじゃないですか。 エスバイエルなんて、一条工務店と違って無茶苦茶に耐力壁の入れ方をしている会社ですよ。 一条の営業ならそう言うべきですよ」と言ったのです。 不勉強な新卒社員のボーズが。
今から考えると、こんな不真面目なボーズに親切心から教えてあげた私は本当にお人よしだったと思います。
(1) 「耐力壁の配置」というのは、木質パネル構法の会社・ツーバイフォー工法の会社が対在来木造の時にしばしば口にするセールストークでした。 「耐力壁」というのは、在来木造の場合なら、柱は上から下への荷重、建物自体の重さ、入居者や家具の荷重、積雪の重さなどを下に伝えるのには役立ちますが、地震や台風・強風の際の横方向の力には役立ちません。 横方向の力に対抗するのが「耐力壁」で、その強度は「壁倍率」で表されます。 「耐力壁」とは、実際には、在来木造では「筋交い(すじかい)」という斜め材を入れることが多く、ツーバイフォー工法では構造用合板、もしくは、OSB(オリエンテッド ストランド ボード)といった「面材」 、木質パネル構法でも構造用合板を使います。 これは、ともかく入れればいいというものではなく「バランスよく入れる」必要があります。 しかし、在来木造の場合、もともとが大工の世界でしたし、昔から建てられてきたものなので、法律上の規制はそれほど厳密ではなかったのです。
建築の構法には「オープン構法」と「クローズド構法」があります。 「オープン構法」とは誰が建ててもいいという構法で、「クローズド構法」とは、当時の建設省、今の国土交通省に「システム認定」と言ってこのように作りますという申請を出して認定を受け、その構法はその認定を受けた業者だけが建てることができるという構法です。 1992年の時点ではエスバイエル(←小堀住研)やミサワホームが建てていた木質パネル構法は「クローズド構法」でした。 ツーバイフォー工法は日本で建てられ始めた頃は「クローズド構法」でしたが、1992年の時点では「オープン構法」になっていました。
「耐力壁」の配置については、木質パネル構法の場合は「クローズド構法」なので、その「システム認定」を受ける時点で、「耐力壁」はどのように入れるということが細かく規定されているのです。 ツーバイフォー工法は、もともとは「クロースド構法」でしたが、「オープン構法」となっても、「建設省告示」としての「ツーバイフォー工法建設基準」というものが設定され、「耐力壁」の入れ方についてもそこで規定があるため、在来木造よりも、法的な規制が厳しかったのです。 だから、どの会社の建物がどうという話ではなく、木質パネル構法・ツーバイフォー工法と在来木造との比較であれば、木質パネル構法は「クローズド構法」として建設省(現・国土交通省)から「システム認定」を受ける過程で「耐力壁」の配置について厳しく規定されており、ツーバイフォー工法は「建設省告示」によって規定されているのに対し、在来木造は建築基準法の規定があるだけで、法的な規制が木質パネル構法やツーバイフォー工法に比べて緩かったのです。
≪ ・・木質プレハブ構法は建設省認定を通じ、枠組壁構法は建設省告示を通じそれぞれ耐力壁配置が厳しく規定されているのに、在来構法の木造はこの点で野放しになっている。 ・・・≫
(杉山英男「木構造の考え方」 〔『木造の詳細1 構造編』1981.第2版 彰国社 所収〕)
しかし、法的規制が緩いからといって、緩い規定で建てたのでは、その結果として、木質パネル構法やツーバイフォー工法よりも地震や台風・強風に弱い建物になります。 「東海地震」に関心が強い浜松で発祥の一条工務店では、在来木造であるが「耐力壁」の配置はそのあたりを考えて厳しくやっています、というのが1990年代初めの一条工務店の「売り」だったのです。
ですから、一条工務店が、「耐力壁の配置をきっちりと考慮しておこなっています」というのは対在来木造の場合の「売り」で、これは木質パネル構法やツーバイフォー工法を相手にしてアピールすべき「売り」ではなかったのです。 そこを言うと、むしろ競合相手は喜ぶはずです。自分の方が有利なところをわざわざ相手方の営業が言い出してくれるのですから。
Oくんが「耐力壁をきっちりと配置しているのは一条工務店だけで、『よそ』は無茶苦茶している」と言うのは、それは、「浜松流」を教えられてきたためで、じっさいに、「よそ」という名称の架空の会社がどうかはさておき、現実に存在している一条工務店以外の住宅建築請負業の会社がどうであるか、他社の展示場に行って話を聞いたり、住宅雑誌に出ている他社の記事を見たり、他社の建築現場をのぞいたりすれば、「耐力壁をきっちりと配置しているのは一条工務店だけで、『よそ』は無茶苦茶している」というのは正しくないということがわかったはずなのですが、Oくんは「浜松流」は教えられても、そういった努力をしないからわからないようでした。そもそも、「よそ」と言う名前の会社など地球上に存在しないのですが、「浜松流」を教える人は、地球上に存在する住宅建築請負業の会社は一条工務店と「よそ」の2社だけ、みたいに教えていたようでした。
「木質パネル構法は『クローズド構法』として『システム認定』を受ける過程で「耐力壁」の配置について厳しく規定され、ツーバイフォー工法は『建設省告示』して『ツーバイフォー工法建設基準』として木質パネル構法に準ずるくらい規定されているのに対して、この部分の法的規制は在来木造が最も緩い」というのは、故・杉山英男先生の上記の本にも出ていますが、「普通の住宅雑誌」に出ていることです。Oくんはそれらも読んでいないのです。 そのくらいは読んで学習するのは住宅建築請負業の会社の新人として当たり前のことと思うのですが、そういう努力をしない人のようで、吸収するのは不正確な「浜松流」だったようです。
(2) 「エスバイエルなんかは、一条工務店と違って、耐力壁の配置はいいかげんにやっているから」というO野田くんの発言は、もうひとつ別の点で問題があります。 それは、一条工務店の耐力壁の配置が適切であるかどうかという点です。 私は、一条工務店に入社した1992年、入社して比較的浅い時期に浜松の営業所長であったH松さんが一条工務店の構造はあやしげな工務店とか建売の木造とかとの比較でではなく、住友林業とか東日本ハウスといった比較的大手で請負で建てている在来木造の会社と比較しても一条の方が優れている、「俺に質問して悪いことはないけれども、それよりも自分自身で実際にそうであるかどうか、一条の現場と他の会社の現場を見に行って自分で確認してみるのがいい」と言ってくれたので、それで、一条工務店の建築現場と他社の建築現場を見て回った。 たしかに、一条の建物はすぐれている部分はあった。しかし、問題点もあった。 そのひとつが耐力壁の配置だった。
木質パネル構法では耐力壁には構造用合板を使う。 ツーバイフォー工法では構造用合板、もしくは、OSB(オリエンテッド ストランド ボード)を使う。 いずれも「面」であって方向性はない。 在来木造では「筋交い(すじかい)」を使うことが多い。 これは「線」で「斜め材」であり、方向性がある。
在来木造でも「面」の耐力壁を使うこともあり、筋交いという斜め材ではなく、「面」を耐力壁とした木造を建てている会社もあります。(たとえば、「アイダ設計 SAFTY HOUSE」https://secure.aidagroup.co.jp/chumon/safety_house/index.php ) そうすると、「斜め材」の耐力壁と違って方向性はありませんが、ツーバイフォー工法の場合、面材の内側に結露がたまりやすいという欠点があるのに対し、「面」を耐力壁としない在来木造ではその点で有利だという部分の有利性がなくなってしまうという問題もでてきます。 そこで「面」であっても構造用合板やOSBではなく、湿気を通す面材を使用するという方法をとる会社もでてきているようです。 さらに、木を構造材とする建物の場合、筋交いという斜め材で支えるトラス構造か面を貼りつけて支える面構造は可能であっても、接合点を「剛」にすることで動かないようにするラーメン構造にすることは難しいとされてきたのですが、最近では、木造のラーメン構造といったものもでてきているようです。(たとえば、「無印良品」http://www.muji.net/ie/kouzou/ )。 耐力壁に「面」を使うとか、耐力壁で支えるのではなく、柱と梁の接合を「剛」にすることで支える木造のラーメン構造も出てきてはいるのですが、一般には、在来木造では柱・土台・梁の内側に圧縮筋交い(すじかい)[引張りの力が加わった時に働く「引張り筋交い」ではなく圧縮の力が加わった時に働く「圧縮筋交い」]が一般的で、1992年の時点での一条工務店の建物もそうでした。
「筋交い(すじかい)」という「斜め材」を耐力壁として使用する場合、構造用合板のような「面」と違って方向性がある為、ひとつの方向にどれだけの量が入っているかだけではなく、「両方の方向の筋交いがバランスよくはいっているか」という問題があるのです。 ところが、1992年の時点で、東京近郊の一条工務店の建築現場を見に行くと、片方の向きの筋交いばかり入っている工事現場を見かけたのです。 それで、営業所に戻ってから、東京営業所の主任で一級建築士だったM崎さんに「あれでいいのでしょうか」とその疑問を話し、筋交いの向きは誰が決めているのか、筋交いの向きは図面で指定していないのかと尋ねたところ、「大工が現場で決めてる」というので、「それでいいのですか」と言うと、「そんなの、筋交いの向きなんか、図面で指定する所なんかあるわけないよ。 大工が現場で適当に決めるもんだよ。 何、言ってんの」という返事だったので、一級建築士ていいかげんだな・・と思ったし、そうだとすると、一条工務店も含めて在来木造の建物は耐力壁の数については「バランスよく入っている」ことがあっても、両方の方向に効くように両方の方向の耐力壁が「バランスよく入っている」とは限らないということになるわけで、そうなると、「面」を耐力壁とする木質パネル構法やツーバイフォー工法の方が地震や台風に対しては安心できる、在来木造は地震や台風がなければいいが、地震・台風があった時には不安だ、ということになりそうだ、ということになります。
(↑ 青木博文 監修『最新建築構造入門』2004.4.15.実教出版 「第2章 木構造 5.軸組」) 上の3つが「可」、下の3つが「否」で、筋交い(すじかい)は下のような入れ方をしてはならないのですが、1992年の一条工務店の建築現場においては、さすがに下の左のような入れ方をした現場はなかったものの、下の中央のような筋交いの入れ方をしていた所が現実にあったのです。
一条工務店でも私が在籍した終わり頃(2000年前後)においては、構造段階の工事現場を見ても、両方向の筋交いが比較的バランスよく入っている所が多く、一方の方向の筋交いばかりはいっているという工事現場は見かけなくなりましたが、1992年の時点では、筋交いの向きについては、必ずしもきっちりとしていなかったように思えます。 そういった所を現実に見ていても、一条工務店の営業の仕事についている以上、自分を雇ってくれた会社の商品を売るのが営業であって、不動産屋と違って建築屋は他社の商品を売るわけにはいきませんから、自分の勤めている会社の商品を売るしかないのですが、それならそれで、自分の会社の建物の弱点の部分を強調して話すのではなく、弱点については控えめにして、強い所・長所を主に話すしかないと思うのです。 ところが、O野田くんは、筋交いの向きが必ずしもバランスよく入っていなかったその頃の一条工務店の建物をアピールするのに、「一条工務店は耐力壁の配置をきちっとやっているけれども、エスバイエルとかのプレハブはいいかげんにしかやっていない」と嘘をついていたのです。 そういう嘘をついてくれると、競合になった時に、競合メーカーの営業は大喜びです。小堀住研に私が入社して1年目に松戸営業所の課長Uさんが担当で中央住宅(ポラスグループ)のアホ営業が「木材の乾燥なんてやったって、湿度があがったり雨に濡れたりすれば一緒ですよ」などとトンチンカンなことを言ってくれたおかげで、Uさんは大喜びで、「違いますよ。中央住宅の営業は何をバカなこと言ってんですか」ときっちりと噛んで含めるように説明して、それで、それだけが理由ではないとしても、契約につながったのであり、O野田くんみたいなことを言ってくれたなら、競合メーカーの営業はうれしいかぎりです。 なにしろ、自分の会社の商品の方が相手の商品より有利な点をわざわざ相手の営業が指摘してくれた上で、見込客に、そこを注目して競合メーカーの営業にきいてみてくれと言ってくれるのですから、これほどありがたいことはありません。 浜松の営業所の平松さんは、4月から8月まで、O野田くんにそんなことをやれと教えたのでしょうか。 もし、そんなことを教えたのなら、自分自身は通算契約棟数2位になるだけ営業活動に精を出した人だとしても、新人を教えるにおいては無茶苦茶な人だったということになるでしょう。 私がH松さんと会った時には、そんな人には見えなかったのですけれども。
それで、30過ぎてもお人よしだった私はO野田くんに「それは違うよ」と言って説明してあげて、その結果、「○○さん、そんなにエスバイエルがいいならエスバイエルに行けばいいじゃないですか。 一条の営業なら俺みたいに耐力壁は一条がきっちりと入れていて、エスバイエルとかは無茶苦茶だと言うべきでしょう」などと罵られてしまったのです。 アホに親切にすると、バカを見るということを身に染みて教えてもらいました。 ありがとう。
(3) O野田くんの発言・認識にはもうひとつ問題があります。 建物には、内部においては電気のコードを通したりする場所が必要で、外壁部分においては、ガス管やエアコンの室内機と室外機との間で空気を行き来させえる管とか、排気を屋外にする方式のストーブの排気管とか、あるいは換気扇の穴とかを開けざるを得ないのですが、構造用合板とかOSBのような「面」の耐力壁の場合、面でふさがっている以上、その「面」の一部分に穴を開けざるをえないのです。 穴を開けると、まったく空いていない場合と比べれば強度はいくらか低下することになるはずです。 小堀住研に入社した1年目、私は小堀住研の工事現場でそれを見て、ああいうのは大丈夫なのでしょうかと松戸営業所の課長のUさんに質問したのです。 Uさんは、「それは開けずにおいた方が強度は強いけれども、開けないわけにはいかないし、あの程度のものはいいんだ。」という返事をしました。 これは木質パネル構法・ツーバイフォー工法、それに、面を耐力壁とする場合の在来木造に共通している問題ですが、そういった穴をいくらか開けざるを得ないため、完成した建物は完全に穴の開いていない面材を使った場合よりはいくらか強度は弱いということが考えられます。 しかし、同時に、最初からそういった穴はいくらか開けるものという前提で考えて建てており、又、「面」の場合は一部分に穴をあけてもまったく穴があいていない場合よりはいくらか強度は弱くなるということはあっても完全に効果がなくなるということはありません。
それに対して、「筋交い」という「線」の斜め材の場合、耐力壁が入っている壁でも、電気のコードなどは筋交いをよけて通すことができるので、「面」の耐力壁の場合と違って、そのために筋交いを削らなくてもよいという点があります。 ところが、この「筋交いを避けることができる」という点がくせものなのです。 「筋交いは決して削ってはならないものだ」ということを、実際に施工する職人がすべての人間がきっちりと認識しているかどうかという問題があります。 自分がその場所につけてくれと言われた場所につけようとすると筋交いがあったという時、筋交いは削ってはならないものだからと、場所をずらすという配慮をする人ばかりでない可能性があります。 そして、電気のコードのようなものならたいてい筋交いをずらして通すことができますが、くせものは換気扇の穴です。これはけっこう大きいし、場所を動かすとしてもどこに動かすかという問題があるのです。 一条工務店の「構造アプローチブック」には換気扇の穴を開けるために筋交いを削った構造現場の写真が掲載されていて、「これは施工ミスですね。換気扇の穴を開けるために筋交いが切断されてしまっています。 この筋交いはまったく効きません。 危険ですね」と営業が話すことになっていたのですが、しかし、その話を聞くと、「よそ」という会社はそういう筋交いの入れ方をしていて一条工務店ではそういう筋交いの入れ方をしないのかと思いそうですが、私は「株式会社一条工務店」の工事現場では換気扇の穴を開けるために筋交いを切断した工事現場は見たことがありませんが、共同出資会社の「株式会社一条工務店柏」の工事現場で、まさしく、一条工務店が「こういう施工ミスがあったら困りますよね」と話している換気扇の穴のために筋交いを完全に切断している工事現場を目撃しているのです。お客様からすれば、株式会社一条工務店も株式会社一条工務店柏も、同じ「一条工務店」のブランドをかかげて住宅を建てているのであって同じ会社に見えるはずで、一条工務店は同じに見えるようにして商売やっているはずです。 そこにまさしくそれがあったのです。 「一条工務店の工事現場で問題があったら見なかったことにする」という名古屋の営業所の営業所長であったK藤ローオさんの論理もしくは非論理を適用すれば「なかった」ことになるのかもしれませんが、「なかった」ことにしたとしても、やっぱり現実にあったのです。誰が悪いのかというと難しい。「設計」の人間が図面を作成する際に換気扇がどこにくるかということを考えずに設計したという点、その後、「色合わせ」の時に「コーディネーター」が換気扇の場所を決めるのに筋交いがどこに入っているかを考えずに換気扇の位置を決めた、その位置にするしかないならプロペラファンではなくダクトで排気するタイプのものを選ぶべきであったのに配慮しなかったという点、職人が換気扇をとりつける際に取りつけろと言われた場所に筋交いが入っていたから、どうするのか確認せずに「自分の仕事」だけ断行した?、「筋交いをけずってつけていいのか? まずくないか」と確認してからつけるのが良心的な電気屋のはずだが、電気屋の仕事はできても筋交いとは何かといったことを理解していない人だったのかという点、結局、誰が絶対的に悪いのか決めかねるのですが、施主からすれば、建築会社の個々の人間に頼んだのではなくその建築会社に頼んだのであり、その建築会社の責任でしょう。
(4) 1990年代初め、一条は1階天井高を275cmとっていたが、筋交いという斜め材は幅に対して高さがあまり高いと効かない為、3尺幅の筋交いは天井高275cmもとると、構造計算をする場合は耐力壁として認められないはずです。他社から指摘されることはありませんでしたが、この弱点もあったはずです。
私は一条工務店に入社してすぐに同社の建築現場を見て回った。 その結果、「最近の木造は昔の建物と違って柱や梁に細いものを使っている」といったお話は一条工務店の建物にはあてはまらないということは「百聞は一見に如かず」でわかり、その点ではこれなら悪くないという印象は受けたが、同時に問題点もいくつも見たのです。 自分が勤める会社の商品に問題点を見たとしても、だからといって他社の商品を売るわけにもいかず、自分を雇ってくれた会社の商品を売るしかないのですが、売るためには、自分の勤める会社の弱点の部分を完璧だとか絶対にすばらしいとか強調して話したのでは、嘘つけということになってしまって売れなくなるし、他社と比較した時、その部分はその他社の方がより強いと思える部分については、あまり強調して話さないようにして、自社の強い部分を強調し、弱い部分については嘘はつかずに一通り説明するというようにするしかない。 O野田くんが、一条工務店だけが耐力壁をきっちりと入れているなどと嘘を大威張りで客に話すのは、浜松の営業所で隣の席にいた平松さんの影響であるのかないのか私はわからないが(私自身も、私が言ってもいないことを私より後から入社した人間に「○○さんから言われた」とか他の人間に話されたらしい経験が一条工務店においてある)、あんまりいいことではないと思うし、私が小堀住研に入社した1年目に松戸営業所の課長のUさんが競合した中央住宅(ポラスグループ)のアホ営業がでたらめ言って墓穴を掘ったのと同じことをO野田くんはやっていた、と評価せざるをえない。
「耐力壁の配置を基準を守ってきっちりとおこなっているか」という点では、法規制の点で、構法としては木構造では木質パネル構法がもっとも厳しく次にツーバイフォー工法で在来木造が最も甘く、1992年頃の一条工務店は、在来木造としては比較的きっちりと入れているという主張をしていたものの実際には適切と言えない入れ方の工事現場があり、換気扇の穴の所で筋交いを切断した工事現場がありしていたのです。 営業戦略として考えるなら、耐力壁の配置の話は、一条よりいいかげんな入れ方をしている在来木造の会社を相手にするべきことで(東海住宅[本社:千葉県八千代市]なんぞ、耐力壁の入れ方は無茶苦茶だ)、「システム認定」の過程で厳しく規定される「クローズド構法」で建てている会社を相手に言うことではないはずです。 自社の方が弱い点を、その点については最もきっちりとやっている所を相手に、あえて自分の方から強調して話をするというのは、営業としてアホのはずだったので、それで教えてあげたのですが、アホに親切に教える者の方こそ大アホだった。
(2014.12.28.)
次回、[第306回]で、他社について嘘を教える研修、学ばない者が「知らない」のは本人が悪い https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_5.html
☆ 教える気がなくなる新人
(1)-1 木を人工乾燥しても濡れたり湿度が上がれば一緒?なわけないでしょ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_3.html
(1)-2 今回。
(1)-3 次回。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_5.html
(1)-4 「プレハブ」とは何か。建築現場の仮設小屋と「プレハブ」は一緒か? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_6.html
(1)-5 コンパネや集成材はぬるま湯につけると接着剤がはがれるか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_7.html
(2) 現実の見込客を見ずに、「研修」で教えられたものを信奉する営業の愚かさ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_1.html
[2] 一条工務店の困った嘘つきども。
【1】 構造材に使っている材木の量 について。
小堀住研に入社して1年目に契約いただいた方が、契約後に知り合いの材木屋と会って雑談をしていた時に、小堀住研で家を建てることにしたと言うと、その材木屋が「ほそ~い柱とか使ってんじゃないのお~お。 いい大工さん、紹介してあげようかあ」と言ったと言うのです。 「在来木造とは構造が違いますからね。」と私は言い、その契約者の方も、材木屋からそういうことを言われてもそれでどうしようという気持ちもありませんでした。 それにしても、こちらは、営業として契約をいただくために、礼儀作法を考え、相当の苦労・努力をしているのですが、材木屋というのは自分が売り手の立場の時に「紹介してあげようか」とか、そういう言いまわしというのは、なんだか、けっこうな御身分だなあ・・という印象を受けました。
どうも、「材木屋」とか中より下の「大工」にはこういういいかげんなことを言う人間が多いように思います。小堀住研がおこなっていた木質パネル構法というのは、枠材(ツーバイフォー材)と面材(構造用合板)を工場で接着剤で接合してパネルとし、それを建築現場で釘で接合して一体化させていくもので、ツーバイフォー工法の場合は、枠材(ツーバイフォー材)と面材(構造用合板)は建築現場で釘で接合するのに対して工場で接着剤で接合していることと、ツーバイフォー工法の場合は1階の壁を作ってから2階の床を作り、2階の床を作ってから2階の壁を作りするのですが、木質パネル構法の場合は1階と2階の間に在来木造と同じく太い梁があり、ツーバイフォー工法よりは間取りに自由性がでてきます。「柱」という名称のものとしては、コーナー部分に「接合柱」というものがあって、木質パネルが交差する部分で木質パネル同士を接合する働きをしますが、「接合柱」で上からの荷重を受けているわけではなく、上からの荷重を受けているのは木質パネルの方です。 木質パネルは枠材と面材が一体になり、さらに部屋全体が箱のよう、建物全体が箱のようになることで威力を発揮するという性質のものであり、木質パネルの枠材(ツーバイフォー材)が在来木造の柱と比べて細かったとしてもそれはあたりまえであって、木質パネルの枠材が在来木造の柱よりも細いからといって弱いわけではないし、質が悪いわけでもありません。 ところが、どうも、科学的でない、知的レベルが高くない「材木屋」とか大工としてのレベルが中より下の「大工」とかは、そのあたりをわかっていて言うのかわからないで言っているのか、どちらなのか、こういった、よくそういう馬鹿げたことを言う・・とあきれる文句を口にします。 そういう卑しい発言は、競合相手についてよりも自分自身についての評価を下げるのではないかと思うのですが、実際問題としてそういうことを口にする人はいます。
在来木造の一条工務店に入社した時、同社はまがりなりにも全国で年間1000棟を超える施工棟数を残している会社だったので、そういうアホなことを言うようなことはしないであろうと思ったのですが、同社に入社してみるとそうではなく、アホな材木屋、レベルの低い大工とかわらない知性のかけらも感じられない、自分自身を卑しめるだけでしかないことを喜々として話す営業が相当多かった。
そういう営業は、自分がそういう営業スタイル(知的レベルの低い卑しい材木屋、質の高くない「大工」の寝言スタイル)で仕事をしてきたとしても、後輩社員、新人社員にそれを教えるのはやめてもらいたいと思うのですが、教えたがるようです。 1992年に「大学」新卒入社して静岡県浜松市の営業所(展示場)でその時点で通算契約棟数2位だという浜松の営業所にいたH松さんの隣の席に座らせてもらって指導を受けたというOくんが、本人の希望で8月に東京営業所に転勤してきた。
小堀住研に入社してすぐの新卒社員研修の時、研修を担当した講師役の部長が「みんな、小堀の家はいいと思ってるか?」と質問し、あてられた者が「いいと思います」と答えると、「そうかあ。 悪いとは言わんが、しかし、よそだってけっこういいぞお」と言い、「だから、営業担当者によって契約してもらえたり契約してもらえなかったりするんだ」ということでした。 小堀住研にいた時、同社の営業が話をする際には、他の会社にはどんないいところがあるか、といったことを競合になったりした際に学び、それを他の営業にも話をして、そうやって他の会社には他でいいところがあることを学んでいったのです。 これはどの会社においても同じだろうと私は思っていたのですが、一条工務店では、愛知県名古屋市の営業所にいたK藤ローオさんという営業所長が「一条工務店の家は他の会社の家に比べてすべての面で絶対的にいい」と「研修」で言われたことがあるように、自称「一条工務店の土台を築いてきた人たち」には「構造面についてもそれ以外の面についても一条がすべてにわたって絶対的にいい」と言わないと承知しないという人が少なくなかった。例外的な存在が元・東日本ハウスの営業だったという藤沢営業所の所長のT葉さんともともと共同出資会社だった株式会社一条工務店南福島から株式会社一条工務店の所長になった福島県いわき市の所長のK野さんだった。 K野さんなどは、K藤さんなどとは違って、はっきりと、「おまえ、一条の建物はすべての面に渡って絶対的にいいから、ともかく建物を見せればそれで契約になるなんて、そんなバカなこと思ってんのか? バカか。よそにはよそでいいところがあるわ。 一条の建物は絶対的にいいからともかく建物を見せればそれで契約になる、なんてそんなこと考えていて契約になんかなるか!」とはっきりと言っていた。私もそう思う。 一条の建物にいいところはあるとしてもよそにはよそでいいところはある。 いわき市の営業所に古くからいた人たちは、浜松からの距離が遠いことともともとが共同出資会社の人であったことから、「浜松の病弊」の影響が軽く、一条工務店の営業であっても「浜松流」「遠州人スタイル」では必ずしもやっていなかった人が多かった。
「一条の建物がいいといっても、すべてできあいのものを売るわけではないので失敗もあるけれども、結果として全体としては悪くないものができます。他の会社にもいいところはあるけれども、全体としては一条の建物がいい」という言い方をする人が多かった。私もそれでいいと思うし、実際、名古屋市の営業所にいたK藤ローオさんが言った「一条工務店の建物はすべてにわたって完璧にいい」などというそこまで「完璧にいい」建物ではないはずなのです。 そんなこと言ってしまって「完璧にいい」かという眼で見られたなら、契約してもらえたとしても「ここ、完璧じゃないじゃないか。どうしてくれるんだ」ということになってしまう。 そうではなく「一条の建物がいいといっても、すべてできあいのものを売るわけではないので失敗もあるけれども、結果として全体としては悪くないものができます。他の会社にもいいところはあるけれども、全体としては一条の建物がいい」という言い方をしておけば、部分的に失敗があっても「すいません」と言えば許してもらえるし、「結果として全体として悪くないものを作る」ということならそれならできるのだから、どうして「一条の建物はすべての面にわたってどこと比べても絶対的にいい」とか「一条の建物は完璧にいい」とか言わないと気がすまないのか理解に苦しみました。 「研修」の時に、名古屋市の営業所の所長だったというK藤ローオさんが、「一条の建物はすべてにわたって完璧だ、と思えないところがあるか」と言われたので、私は、H松さんから「一条の建物は、建売屋の建物と比べていいというのではなく、住友林業とか東日本ハウスとかいった請負で建てている木造の会社の建物と比べても間違いなく一条の方が構造はいい。 俺に質問して悪いことはないが、それよりも自分自身で一条の建物と他の会社の建物の構造の現場を見に行って自分で確認するのがいい」と言ってもらい、それで自分で見に行ったところ、たしかに一条の建物は悪くはなかったのですが、施工ミスもあって問題がまったくなかったわけではなかったのです。 だから、「一条の建物は全体として他と比べて悪くない」というならそうでしょうけれども、「すべての面にわたって完璧に絶対的にいい」などというものではなかったので、それを言ったところ、K藤ローオさんは「そういうことを言うからいかんのだ。そういうことを言うから。 一条工務店の現場を見に行って、もしも、一条の建物に問題点があったなら、見なかったことにする。 それに対して、他社の建築現場を見に行って、いいところがあったら見なかったことにする。 一条工務店の建築現場に行ったら悪い所は見せないでいいところばっかり見せる。他社の建築現場に行ったらいいところは見せないで悪い所ばっかり見せる。 そうすれば、一条工務店の建物はすべてにわたって完璧にいい、ということになる。」と言ったのです。 何、言ってやがる、このバカは、とあきれました。 「一条工務店の建築現場に行ったらいいところばっかり見る。 悪い所があったら見なかったことにする。他社の建築現場に行ったら悪い所ばっかり見る。いいところがあったら、見なかったことにする。」て、そんな見方をしたならば、一条工務店の建物に限らず、どこのものでも「完璧に絶対的にすばらしい」ということになるが、それがいったい何の価値があるのだろうか。 よく、そういうことを言うものだ、とあきれたし、そういう発言は、施主がきくと、「レベルの低い営業だなあ」とあきれ、軽蔑されることになり、契約になるものまでならなくなるのではないかと思う。 実際のところ、一条工務店の「レジェンド」、自称「一条工務店の土台を築いてきた人たち」には、自分では自信を持っているらしいが、顧客からは「トップセールスだかなんだか知らないが、うちの家に関しては最低の営業で、人間のカスだあ!」と言われたりしていたケースがけっこうあった。
それで。 4月に入社して8月なかばまで「浜松流」を教えられてきたOくんが、入社して創業の地の浜松の営業所(展示場)に5か月間いて契約ゼロの状態で、本人の希望で東京営業所に転勤してきて、「一条の建物は、エスバイエル(←小堀住研)なんかと違って、構造材に使っている木の量が多いから」と言うので、一条工務店では1年目であったが住宅建築請負業の業界では4年目の私が「それは違うよ。 エスバイエル(←小堀住研)の木質パネル構法というのは、もともと、在来木造よりも使う木の量が少なくても、在来木造に劣らない強度を発揮できるようにということで開発された構法だから、一条工務店などよりも使っている木の量が少ないからどうというものではないよ。」と教えてあげたのです。 もし、O野田くんが、「浜松流」で教えられたように、「エスバイエルなんかは一条工務店より使っている構造材の木の量が少ないから」といったことをセールストークとして見込客に話したならば、前回[第304回]《木を人工乾燥しても濡れたり湿度が上がれば一緒?なわけないでしょ―教える気がなくなる新人(1)-1 》 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_3.html で述べた、「乾燥なんてさせたって、どうせ、雨に濡れたり湿度があがればまた一緒ですよ」などとアホなことを言って墓穴を掘りオウンゴールやった中央住宅(ポラスグループ)のアホ営業と同じになる、↑の材木屋と同じく他社に筋の通らない悪口を言う卑しい人間と見られると思って親切心から教えてあげたのです。構造材として使っている材木の量が「石数(こくすう)」として他社より多いという話は、在来木造同士で言って意味のあることで、ツーバイフォー工法や木質パネル構法を相手に話しても意味のないことで、むしろ、わかっていない営業、他社に不適切な攻撃をする下品な営業と自分の評価を下げる可能性があります。
小堀住研(→エスバイエル)はもともとは在来木造の会社だったのが、1970年代なかばに木質パネル構法で建てるようになり、1990年代初めにおいては、中価格帯のものはすべて木質パネル構法で、在来木造は最低でも諸経費別で坪80万円から上の価格帯のみ建てていたという状況でした。1990年の前半、東京の中野で、建築費だけで2億の家を引き渡したことがあり、東京支店長のTが、営業社員に、ぜひ、引き渡しまでに見ておくべきだと話し、私も見に行きたかったのですが、自分の業務が多忙で行けなかったということがありました。 建築費で2億ということは、仮に延べ床面積が100坪であったとしても、坪あたりの価格は200万円ということになります。 坪あたり200万円かければ、構造材も造作材・化粧材もいいものを十分に使え、いいものができるでしょう。その頃の一条工務店の「セゾン275S1」と名付けられたものは浜松で坪48万円、東京で坪55万円だったのです。55万円に「諸経費」を坪あたり15万円プラスしたとしても、坪70万円。 普通に考えて、坪200万円の木造が、坪60万台の木造と比べて、構造材に使っている木の量が少ない、坪200万円の木造が坪60万台の木造よりもほそ~い木しか使ってない・・と思いますか? 坪200万もかければ、構造材も造作材も相当のものを使えるはずです。「本体価格」として浜松で48万、東京で55万で建てている会社が、在来木造では坪100万以上のものしか建てない会社を相手に、「構造材として使っている木の量が少ない」などと中傷を加えるというのは、実物を見せられた場合を考えれば、営業戦略としては自殺行為です。 構造材として使っている材木の量が、「石数(こくすう)」として自分のところの方が多いという話は、在来木造同士の場合に言うことで、かつ、在来木造でも同程度の価格帯か自分の所より安い価格帯の所を相手に言うことで、異なる構法や在来木造の場合は自分の所の倍以上程度の価格のみで建てている所を相手に言うことではないのです。
ところが。 O野田くんは、せっかく親切心から教えてあげた私に向かって「○○さん、そんなこと言うなら、エスバイエルに行けばいいじゃないですか。 一条工務店にいるなら、一条工務店をいいように言って、エスバイエルをけなすべきでしょう」と言ったのです。せっかく親切で教えてあげたのに。こんなアホに教えるんじゃなかったと後悔しました。 O野田くんの言う「一条の建物は、エスバイエル(←小堀住研)なんかと違って、構造材に使っている木の量が多いから」というのは、それは「けなしている」ことにはなっても「セールストーク」にはならない。 一条工務店が従業員に配布していた、一条工務店独自のセールストークマニュアルのような本に「一般の在来木造では、構造材として材木を1坪あたり2.2~2.3石(こく)使っているが、一条工務店はそれより多い2.7~2.8石使っている」という話は出ていた。( 「石(こく)」とは建築に使う材木の量のことをいう単位で、1尺×1尺×10尺=1石(こく)です。[たとえば、《有限会社田中商会 木材の単位 石(こく)》http://www.tanaka-shokai.co.jp/unit02.html ] メートル法は地球の大きさを何分の1かにした長さからきたものですが、尺貫法はインチヤード法と同じく人間の体の大きさからできたものです。人間の腕の手首から肘までの間の骨を尺骨と言い、手首から肘までの長さが基になって1尺が決まりました。それをメートル法で言えば、30センチ3ミリで、30センチ3ミリ/尺)×3尺=90センチ9ミリ が3尺で半間(はんげん)。 昔の建物は6尺ごとに柱が立っていたというところから6尺が柱と柱の間ということで1間(けん)です。)それは、実際に建築工事現場に見に行けばわかりました。 「最近の在来木造の建物は柱も梁も細いものを使っている」というお話があったのですが、一条工務店の建築現場に見に行くと、そうではなかったのです。 「百聞は一見にしかず」でたしかに一条工務店の在来木造は「最近の在来木造の建物は柱も梁も細いものを使っている」というものではなく、「最近の在来木造の建物は柱も梁も細いものを使っている」というそういうタイプの在来木造との比較であれば、一条工務店の木造は使っている木の量が多いから、それだけ信頼できる建物ですというアピールはできるのです。
しかし、ツーバイフォー工法や木質パネル構法は木を構造材とする建物ではあっても、在来木造とは構法が違うので、使っている木の量が在来木造の一条工務店の方が多かったとしても、議論の対象外なのです。 それを、わざわざ、「エスバイエルなんかは一条工務店に比べて使っている木の量が少ないですから」などと、使用している構造材の木の量が多い少ないという話を木質パネル構法やツーバイフォー工法を相手に言ったのでは、「わたしはアホです」と言っているのと同じで、アホな材木屋、レベルの低い「大工」と変わらないことになってしまい、卑しい人間だなあ、レベルの低い営業(会社)だなあという印象を与えるでしょう。 だから、私は一条工務店の方が構造材に使っている木の量が多いという話は、在来木造同士での時には言ってもいいが、木質パネル構法・ツーバイフォー工法相手に言うべきことではない、と教えてあげたのです。バカ親切に。
エスバイエル(←小堀住研)の木質パネル構法(他に木質パネル構法で住宅を作っていた会社としては、ミサワホーム、それに、北欧の輸入住宅であるスウェーデンハウスがありますが)、「木質パネル構法は、在来木造よりも使う木の量が少なくても、在来木造に劣らない強度を発揮できるようにという前提で開発された構法」というのは、私はどこで学んだかというと、小堀住研(→エスバイエル)にいた時に学んだのではなく、一条工務店に入社して学んだのです。 小堀住研にいた時、「構造材として使っている木の量」なんて、あまり考えたことはなかったのです。 一条工務店に入社して、同社が新卒入社した人間には供与、中途入社した人間には貸与して学習するように渡した日本木造住宅産業協会(http://www.mokujukyo.or.jp/ )が発行の『木造住宅営業マニュアル』という冊子に書いてあったことなのです。 それを読んで学んだのです。 私はその冊子を入社して貸与してもらったものの、1か月も経たないうちに別の中途入社の人間が入ってきたので彼にその冊子を渡し、私の手元にはなくなったのですが、Oくんは「貸与」ではなく「供与」してもらってその後も持っているはずですから、当然のことながらそれを読んで学んでいるはずなのです。 だから、「一般の在来木造では構造材として1坪あたり2.2~2.3石の材木を使っているが、一条工務店では2.7~2.8石使っている」という話とともに、「木質パネル構法は、在来木造よりも使う木の量が少なくても在来木造に劣らない強度を発揮できるようにという前提で開発された構法」であるということも学んでいるはずなのです。 「一条工務店は使っている木の量が他社よりも多い」という話は対在来木造で使えるセールストークであって、対ツーバイフォー工法、対木質パネル構法 で使えるセールストークではなく、これは、一条工務店がこれを読んで学習してくださいと新卒入社の社員には「供与」「無料配布」した冊子に書いてあることなのですが、「浜松流」を学んできたO野田くんはそれを無視するのでした。 O野田くんはそのいいかんげんな学習態度をH松さんの指導のように口にしていたが、実際に浜松の営業所で隣の席にいたH松さんがそのように教えたのかどうかはわからない。 しかし、H松さんが営業所長の役職についていた以上、隣の席に座らせた「平松所長の直弟子」がそういうでたらめを得意がって話していたという結果について責任がないとは言えない。
↑≪・・私は清原が西武に入団した当時の監督だった森に、「清原をあんな風にしたのはお前だぞ」と責めたことがある。・・≫
(野村克也『読売巨人軍 黄金時代再び』2013.6.24.宝島社新書)↑
【2】 耐力壁の配置
一条工務店の創業の頃からいる人たちには、中途入社で同業他社から来た人間というのが、たとえ、かつては同業他社にいた人間であっても、今は一条工務店の従業員だと認識できない人がいるようで、その時点では一条工務店よりも格上であった同業他社の人間が気に食わないという人が多かったようです。 そういう人から「教育」を受けてきたらしいOくんもその影響を受けてきていたようです。
Oくんは、私がエスバイエル(←小堀住研)に過去にいたということから、「エスバイエルなんかは、一条工務店と違って、耐力壁の配置はいいかげんにやっているから」と言うので、私は「それは違うよ。 エスバイエルなどの木質パネル構法はクローズド構法といって建設省に『システム認定』として届けた業者だけが建てることができる構法で、その際に、耐力壁の配置はどうするといったことも決められているから、木質パネル構法は、むしろ、在来木造よりも耐力壁の配置についてはきっちりとしているくらいだよ」と教えてあげたのです。 バカ親切を通り越してバカだったなあと今は思います。
そうすると、新卒入社1年目のOくんが、住宅建築請負業においては4年目の私に「○○さん、そんなにエスバイエルのことを言いようにいいたいなら、エスバイエルに行けばいいじゃないですか。 エスバイエルなんて、一条工務店と違って無茶苦茶に耐力壁の入れ方をしている会社ですよ。 一条の営業ならそう言うべきですよ」と言ったのです。 不勉強な新卒社員のボーズが。
今から考えると、こんな不真面目なボーズに親切心から教えてあげた私は本当にお人よしだったと思います。
(1) 「耐力壁の配置」というのは、木質パネル構法の会社・ツーバイフォー工法の会社が対在来木造の時にしばしば口にするセールストークでした。 「耐力壁」というのは、在来木造の場合なら、柱は上から下への荷重、建物自体の重さ、入居者や家具の荷重、積雪の重さなどを下に伝えるのには役立ちますが、地震や台風・強風の際の横方向の力には役立ちません。 横方向の力に対抗するのが「耐力壁」で、その強度は「壁倍率」で表されます。 「耐力壁」とは、実際には、在来木造では「筋交い(すじかい)」という斜め材を入れることが多く、ツーバイフォー工法では構造用合板、もしくは、OSB(オリエンテッド ストランド ボード)といった「面材」 、木質パネル構法でも構造用合板を使います。 これは、ともかく入れればいいというものではなく「バランスよく入れる」必要があります。 しかし、在来木造の場合、もともとが大工の世界でしたし、昔から建てられてきたものなので、法律上の規制はそれほど厳密ではなかったのです。
建築の構法には「オープン構法」と「クローズド構法」があります。 「オープン構法」とは誰が建ててもいいという構法で、「クローズド構法」とは、当時の建設省、今の国土交通省に「システム認定」と言ってこのように作りますという申請を出して認定を受け、その構法はその認定を受けた業者だけが建てることができるという構法です。 1992年の時点ではエスバイエル(←小堀住研)やミサワホームが建てていた木質パネル構法は「クローズド構法」でした。 ツーバイフォー工法は日本で建てられ始めた頃は「クローズド構法」でしたが、1992年の時点では「オープン構法」になっていました。
「耐力壁」の配置については、木質パネル構法の場合は「クローズド構法」なので、その「システム認定」を受ける時点で、「耐力壁」はどのように入れるということが細かく規定されているのです。 ツーバイフォー工法は、もともとは「クロースド構法」でしたが、「オープン構法」となっても、「建設省告示」としての「ツーバイフォー工法建設基準」というものが設定され、「耐力壁」の入れ方についてもそこで規定があるため、在来木造よりも、法的な規制が厳しかったのです。 だから、どの会社の建物がどうという話ではなく、木質パネル構法・ツーバイフォー工法と在来木造との比較であれば、木質パネル構法は「クローズド構法」として建設省(現・国土交通省)から「システム認定」を受ける過程で「耐力壁」の配置について厳しく規定されており、ツーバイフォー工法は「建設省告示」によって規定されているのに対し、在来木造は建築基準法の規定があるだけで、法的な規制が木質パネル構法やツーバイフォー工法に比べて緩かったのです。
≪ ・・木質プレハブ構法は建設省認定を通じ、枠組壁構法は建設省告示を通じそれぞれ耐力壁配置が厳しく規定されているのに、在来構法の木造はこの点で野放しになっている。 ・・・≫
(杉山英男「木構造の考え方」 〔『木造の詳細1 構造編』1981.第2版 彰国社 所収〕)
しかし、法的規制が緩いからといって、緩い規定で建てたのでは、その結果として、木質パネル構法やツーバイフォー工法よりも地震や台風・強風に弱い建物になります。 「東海地震」に関心が強い浜松で発祥の一条工務店では、在来木造であるが「耐力壁」の配置はそのあたりを考えて厳しくやっています、というのが1990年代初めの一条工務店の「売り」だったのです。
ですから、一条工務店が、「耐力壁の配置をきっちりと考慮しておこなっています」というのは対在来木造の場合の「売り」で、これは木質パネル構法やツーバイフォー工法を相手にしてアピールすべき「売り」ではなかったのです。 そこを言うと、むしろ競合相手は喜ぶはずです。自分の方が有利なところをわざわざ相手方の営業が言い出してくれるのですから。
Oくんが「耐力壁をきっちりと配置しているのは一条工務店だけで、『よそ』は無茶苦茶している」と言うのは、それは、「浜松流」を教えられてきたためで、じっさいに、「よそ」という名称の架空の会社がどうかはさておき、現実に存在している一条工務店以外の住宅建築請負業の会社がどうであるか、他社の展示場に行って話を聞いたり、住宅雑誌に出ている他社の記事を見たり、他社の建築現場をのぞいたりすれば、「耐力壁をきっちりと配置しているのは一条工務店だけで、『よそ』は無茶苦茶している」というのは正しくないということがわかったはずなのですが、Oくんは「浜松流」は教えられても、そういった努力をしないからわからないようでした。そもそも、「よそ」と言う名前の会社など地球上に存在しないのですが、「浜松流」を教える人は、地球上に存在する住宅建築請負業の会社は一条工務店と「よそ」の2社だけ、みたいに教えていたようでした。
「木質パネル構法は『クローズド構法』として『システム認定』を受ける過程で「耐力壁」の配置について厳しく規定され、ツーバイフォー工法は『建設省告示』して『ツーバイフォー工法建設基準』として木質パネル構法に準ずるくらい規定されているのに対して、この部分の法的規制は在来木造が最も緩い」というのは、故・杉山英男先生の上記の本にも出ていますが、「普通の住宅雑誌」に出ていることです。Oくんはそれらも読んでいないのです。 そのくらいは読んで学習するのは住宅建築請負業の会社の新人として当たり前のことと思うのですが、そういう努力をしない人のようで、吸収するのは不正確な「浜松流」だったようです。
(2) 「エスバイエルなんかは、一条工務店と違って、耐力壁の配置はいいかげんにやっているから」というO野田くんの発言は、もうひとつ別の点で問題があります。 それは、一条工務店の耐力壁の配置が適切であるかどうかという点です。 私は、一条工務店に入社した1992年、入社して比較的浅い時期に浜松の営業所長であったH松さんが一条工務店の構造はあやしげな工務店とか建売の木造とかとの比較でではなく、住友林業とか東日本ハウスといった比較的大手で請負で建てている在来木造の会社と比較しても一条の方が優れている、「俺に質問して悪いことはないけれども、それよりも自分自身で実際にそうであるかどうか、一条の現場と他の会社の現場を見に行って自分で確認してみるのがいい」と言ってくれたので、それで、一条工務店の建築現場と他社の建築現場を見て回った。 たしかに、一条の建物はすぐれている部分はあった。しかし、問題点もあった。 そのひとつが耐力壁の配置だった。
木質パネル構法では耐力壁には構造用合板を使う。 ツーバイフォー工法では構造用合板、もしくは、OSB(オリエンテッド ストランド ボード)を使う。 いずれも「面」であって方向性はない。 在来木造では「筋交い(すじかい)」を使うことが多い。 これは「線」で「斜め材」であり、方向性がある。
在来木造でも「面」の耐力壁を使うこともあり、筋交いという斜め材ではなく、「面」を耐力壁とした木造を建てている会社もあります。(たとえば、「アイダ設計 SAFTY HOUSE」https://secure.aidagroup.co.jp/chumon/safety_house/index.php ) そうすると、「斜め材」の耐力壁と違って方向性はありませんが、ツーバイフォー工法の場合、面材の内側に結露がたまりやすいという欠点があるのに対し、「面」を耐力壁としない在来木造ではその点で有利だという部分の有利性がなくなってしまうという問題もでてきます。 そこで「面」であっても構造用合板やOSBではなく、湿気を通す面材を使用するという方法をとる会社もでてきているようです。 さらに、木を構造材とする建物の場合、筋交いという斜め材で支えるトラス構造か面を貼りつけて支える面構造は可能であっても、接合点を「剛」にすることで動かないようにするラーメン構造にすることは難しいとされてきたのですが、最近では、木造のラーメン構造といったものもでてきているようです。(たとえば、「無印良品」http://www.muji.net/ie/kouzou/ )。 耐力壁に「面」を使うとか、耐力壁で支えるのではなく、柱と梁の接合を「剛」にすることで支える木造のラーメン構造も出てきてはいるのですが、一般には、在来木造では柱・土台・梁の内側に圧縮筋交い(すじかい)[引張りの力が加わった時に働く「引張り筋交い」ではなく圧縮の力が加わった時に働く「圧縮筋交い」]が一般的で、1992年の時点での一条工務店の建物もそうでした。
「筋交い(すじかい)」という「斜め材」を耐力壁として使用する場合、構造用合板のような「面」と違って方向性がある為、ひとつの方向にどれだけの量が入っているかだけではなく、「両方の方向の筋交いがバランスよくはいっているか」という問題があるのです。 ところが、1992年の時点で、東京近郊の一条工務店の建築現場を見に行くと、片方の向きの筋交いばかり入っている工事現場を見かけたのです。 それで、営業所に戻ってから、東京営業所の主任で一級建築士だったM崎さんに「あれでいいのでしょうか」とその疑問を話し、筋交いの向きは誰が決めているのか、筋交いの向きは図面で指定していないのかと尋ねたところ、「大工が現場で決めてる」というので、「それでいいのですか」と言うと、「そんなの、筋交いの向きなんか、図面で指定する所なんかあるわけないよ。 大工が現場で適当に決めるもんだよ。 何、言ってんの」という返事だったので、一級建築士ていいかげんだな・・と思ったし、そうだとすると、一条工務店も含めて在来木造の建物は耐力壁の数については「バランスよく入っている」ことがあっても、両方の方向に効くように両方の方向の耐力壁が「バランスよく入っている」とは限らないということになるわけで、そうなると、「面」を耐力壁とする木質パネル構法やツーバイフォー工法の方が地震や台風に対しては安心できる、在来木造は地震や台風がなければいいが、地震・台風があった時には不安だ、ということになりそうだ、ということになります。
(↑ 青木博文 監修『最新建築構造入門』2004.4.15.実教出版 「第2章 木構造 5.軸組」) 上の3つが「可」、下の3つが「否」で、筋交い(すじかい)は下のような入れ方をしてはならないのですが、1992年の一条工務店の建築現場においては、さすがに下の左のような入れ方をした現場はなかったものの、下の中央のような筋交いの入れ方をしていた所が現実にあったのです。
一条工務店でも私が在籍した終わり頃(2000年前後)においては、構造段階の工事現場を見ても、両方向の筋交いが比較的バランスよく入っている所が多く、一方の方向の筋交いばかりはいっているという工事現場は見かけなくなりましたが、1992年の時点では、筋交いの向きについては、必ずしもきっちりとしていなかったように思えます。 そういった所を現実に見ていても、一条工務店の営業の仕事についている以上、自分を雇ってくれた会社の商品を売るのが営業であって、不動産屋と違って建築屋は他社の商品を売るわけにはいきませんから、自分の勤めている会社の商品を売るしかないのですが、それならそれで、自分の会社の建物の弱点の部分を強調して話すのではなく、弱点については控えめにして、強い所・長所を主に話すしかないと思うのです。 ところが、O野田くんは、筋交いの向きが必ずしもバランスよく入っていなかったその頃の一条工務店の建物をアピールするのに、「一条工務店は耐力壁の配置をきちっとやっているけれども、エスバイエルとかのプレハブはいいかげんにしかやっていない」と嘘をついていたのです。 そういう嘘をついてくれると、競合になった時に、競合メーカーの営業は大喜びです。小堀住研に私が入社して1年目に松戸営業所の課長Uさんが担当で中央住宅(ポラスグループ)のアホ営業が「木材の乾燥なんてやったって、湿度があがったり雨に濡れたりすれば一緒ですよ」などとトンチンカンなことを言ってくれたおかげで、Uさんは大喜びで、「違いますよ。中央住宅の営業は何をバカなこと言ってんですか」ときっちりと噛んで含めるように説明して、それで、それだけが理由ではないとしても、契約につながったのであり、O野田くんみたいなことを言ってくれたなら、競合メーカーの営業はうれしいかぎりです。 なにしろ、自分の会社の商品の方が相手の商品より有利な点をわざわざ相手の営業が指摘してくれた上で、見込客に、そこを注目して競合メーカーの営業にきいてみてくれと言ってくれるのですから、これほどありがたいことはありません。 浜松の営業所の平松さんは、4月から8月まで、O野田くんにそんなことをやれと教えたのでしょうか。 もし、そんなことを教えたのなら、自分自身は通算契約棟数2位になるだけ営業活動に精を出した人だとしても、新人を教えるにおいては無茶苦茶な人だったということになるでしょう。 私がH松さんと会った時には、そんな人には見えなかったのですけれども。
それで、30過ぎてもお人よしだった私はO野田くんに「それは違うよ」と言って説明してあげて、その結果、「○○さん、そんなにエスバイエルがいいならエスバイエルに行けばいいじゃないですか。 一条の営業なら俺みたいに耐力壁は一条がきっちりと入れていて、エスバイエルとかは無茶苦茶だと言うべきでしょう」などと罵られてしまったのです。 アホに親切にすると、バカを見るということを身に染みて教えてもらいました。 ありがとう。
(3) O野田くんの発言・認識にはもうひとつ問題があります。 建物には、内部においては電気のコードを通したりする場所が必要で、外壁部分においては、ガス管やエアコンの室内機と室外機との間で空気を行き来させえる管とか、排気を屋外にする方式のストーブの排気管とか、あるいは換気扇の穴とかを開けざるを得ないのですが、構造用合板とかOSBのような「面」の耐力壁の場合、面でふさがっている以上、その「面」の一部分に穴を開けざるをえないのです。 穴を開けると、まったく空いていない場合と比べれば強度はいくらか低下することになるはずです。 小堀住研に入社した1年目、私は小堀住研の工事現場でそれを見て、ああいうのは大丈夫なのでしょうかと松戸営業所の課長のUさんに質問したのです。 Uさんは、「それは開けずにおいた方が強度は強いけれども、開けないわけにはいかないし、あの程度のものはいいんだ。」という返事をしました。 これは木質パネル構法・ツーバイフォー工法、それに、面を耐力壁とする場合の在来木造に共通している問題ですが、そういった穴をいくらか開けざるを得ないため、完成した建物は完全に穴の開いていない面材を使った場合よりはいくらか強度は弱いということが考えられます。 しかし、同時に、最初からそういった穴はいくらか開けるものという前提で考えて建てており、又、「面」の場合は一部分に穴をあけてもまったく穴があいていない場合よりはいくらか強度は弱くなるということはあっても完全に効果がなくなるということはありません。
それに対して、「筋交い」という「線」の斜め材の場合、耐力壁が入っている壁でも、電気のコードなどは筋交いをよけて通すことができるので、「面」の耐力壁の場合と違って、そのために筋交いを削らなくてもよいという点があります。 ところが、この「筋交いを避けることができる」という点がくせものなのです。 「筋交いは決して削ってはならないものだ」ということを、実際に施工する職人がすべての人間がきっちりと認識しているかどうかという問題があります。 自分がその場所につけてくれと言われた場所につけようとすると筋交いがあったという時、筋交いは削ってはならないものだからと、場所をずらすという配慮をする人ばかりでない可能性があります。 そして、電気のコードのようなものならたいてい筋交いをずらして通すことができますが、くせものは換気扇の穴です。これはけっこう大きいし、場所を動かすとしてもどこに動かすかという問題があるのです。 一条工務店の「構造アプローチブック」には換気扇の穴を開けるために筋交いを削った構造現場の写真が掲載されていて、「これは施工ミスですね。換気扇の穴を開けるために筋交いが切断されてしまっています。 この筋交いはまったく効きません。 危険ですね」と営業が話すことになっていたのですが、しかし、その話を聞くと、「よそ」という会社はそういう筋交いの入れ方をしていて一条工務店ではそういう筋交いの入れ方をしないのかと思いそうですが、私は「株式会社一条工務店」の工事現場では換気扇の穴を開けるために筋交いを切断した工事現場は見たことがありませんが、共同出資会社の「株式会社一条工務店柏」の工事現場で、まさしく、一条工務店が「こういう施工ミスがあったら困りますよね」と話している換気扇の穴のために筋交いを完全に切断している工事現場を目撃しているのです。お客様からすれば、株式会社一条工務店も株式会社一条工務店柏も、同じ「一条工務店」のブランドをかかげて住宅を建てているのであって同じ会社に見えるはずで、一条工務店は同じに見えるようにして商売やっているはずです。 そこにまさしくそれがあったのです。 「一条工務店の工事現場で問題があったら見なかったことにする」という名古屋の営業所の営業所長であったK藤ローオさんの論理もしくは非論理を適用すれば「なかった」ことになるのかもしれませんが、「なかった」ことにしたとしても、やっぱり現実にあったのです。誰が悪いのかというと難しい。「設計」の人間が図面を作成する際に換気扇がどこにくるかということを考えずに設計したという点、その後、「色合わせ」の時に「コーディネーター」が換気扇の場所を決めるのに筋交いがどこに入っているかを考えずに換気扇の位置を決めた、その位置にするしかないならプロペラファンではなくダクトで排気するタイプのものを選ぶべきであったのに配慮しなかったという点、職人が換気扇をとりつける際に取りつけろと言われた場所に筋交いが入っていたから、どうするのか確認せずに「自分の仕事」だけ断行した?、「筋交いをけずってつけていいのか? まずくないか」と確認してからつけるのが良心的な電気屋のはずだが、電気屋の仕事はできても筋交いとは何かといったことを理解していない人だったのかという点、結局、誰が絶対的に悪いのか決めかねるのですが、施主からすれば、建築会社の個々の人間に頼んだのではなくその建築会社に頼んだのであり、その建築会社の責任でしょう。
(4) 1990年代初め、一条は1階天井高を275cmとっていたが、筋交いという斜め材は幅に対して高さがあまり高いと効かない為、3尺幅の筋交いは天井高275cmもとると、構造計算をする場合は耐力壁として認められないはずです。他社から指摘されることはありませんでしたが、この弱点もあったはずです。
私は一条工務店に入社してすぐに同社の建築現場を見て回った。 その結果、「最近の木造は昔の建物と違って柱や梁に細いものを使っている」といったお話は一条工務店の建物にはあてはまらないということは「百聞は一見に如かず」でわかり、その点ではこれなら悪くないという印象は受けたが、同時に問題点もいくつも見たのです。 自分が勤める会社の商品に問題点を見たとしても、だからといって他社の商品を売るわけにもいかず、自分を雇ってくれた会社の商品を売るしかないのですが、売るためには、自分の勤める会社の弱点の部分を完璧だとか絶対にすばらしいとか強調して話したのでは、嘘つけということになってしまって売れなくなるし、他社と比較した時、その部分はその他社の方がより強いと思える部分については、あまり強調して話さないようにして、自社の強い部分を強調し、弱い部分については嘘はつかずに一通り説明するというようにするしかない。 O野田くんが、一条工務店だけが耐力壁をきっちりと入れているなどと嘘を大威張りで客に話すのは、浜松の営業所で隣の席にいた平松さんの影響であるのかないのか私はわからないが(私自身も、私が言ってもいないことを私より後から入社した人間に「○○さんから言われた」とか他の人間に話されたらしい経験が一条工務店においてある)、あんまりいいことではないと思うし、私が小堀住研に入社した1年目に松戸営業所の課長のUさんが競合した中央住宅(ポラスグループ)のアホ営業がでたらめ言って墓穴を掘ったのと同じことをO野田くんはやっていた、と評価せざるをえない。
「耐力壁の配置を基準を守ってきっちりとおこなっているか」という点では、法規制の点で、構法としては木構造では木質パネル構法がもっとも厳しく次にツーバイフォー工法で在来木造が最も甘く、1992年頃の一条工務店は、在来木造としては比較的きっちりと入れているという主張をしていたものの実際には適切と言えない入れ方の工事現場があり、換気扇の穴の所で筋交いを切断した工事現場がありしていたのです。 営業戦略として考えるなら、耐力壁の配置の話は、一条よりいいかげんな入れ方をしている在来木造の会社を相手にするべきことで(東海住宅[本社:千葉県八千代市]なんぞ、耐力壁の入れ方は無茶苦茶だ)、「システム認定」の過程で厳しく規定される「クローズド構法」で建てている会社を相手に言うことではないはずです。 自社の方が弱い点を、その点については最もきっちりとやっている所を相手に、あえて自分の方から強調して話をするというのは、営業としてアホのはずだったので、それで教えてあげたのですが、アホに親切に教える者の方こそ大アホだった。
(2014.12.28.)
次回、[第306回]で、他社について嘘を教える研修、学ばない者が「知らない」のは本人が悪い https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_5.html
☆ 教える気がなくなる新人
(1)-1 木を人工乾燥しても濡れたり湿度が上がれば一緒?なわけないでしょ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_3.html
(1)-2 今回。
(1)-3 次回。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_5.html
(1)-4 「プレハブ」とは何か。建築現場の仮設小屋と「プレハブ」は一緒か? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_6.html
(1)-5 コンパネや集成材はぬるま湯につけると接着剤がはがれるか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_7.html
(2) 現実の見込客を見ずに、「研修」で教えられたものを信奉する営業の愚かさ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_1.html
この記事へのコメント
株式会社アーネストワン、つまり飯田グループの建物は嫌われています。
口コミや評判も調べれば分かりますが不評ですしアフターフォローもありません。
不動産屋から話を聞けば分かりますが株式会社アーネストワンが建てたと分かると嫌う人も多いです。
株式会社アーネストワンの工事は工期を短縮する為なのか乱暴ですし雑ですし違法工事が多いです。
実際に、建て終わると見えないからって、あちこち傷らだけです。
しかも自分の会社から出して来た「工事内容」を守る事がありません。
・許可証が要らないと
●関東第1ブロック ブロック長 藤﨑亘 TEL:080-6502-3426 E-MAIL:w-fujisaki20100@arnest1.co.jpと
●本店 工事1課 戸建事業部 課長 小松﨑正人 E-MAIL:komatsuzaki10100@arnest1.co.jp
は言って許可証も取らないで違法工事します。
・住民全員の承諾書がないと工事車両を入れられず1人でも反対されたら工事が出来ない。
・住民全員の承諾書を取り付けた後に許可証も取得しないと工事出来ないが守る事はない。
・許可証を取得したとしても許可条件を守らない株式会社アーネストワンには意味がありません。
許可条件を守らない実態を証拠写真から官公庁は把握して次の更新からは
住民全員の承諾書を書面で貰わない限り許可証を出さないと改めて約束してくれる。
約束してくれても株式会社アーネストワンは口だけなので善処しない。
違法に駐車して工事を続ける為、抜け道で通行量も多くて危険なのに交通妨害を生じさせている。
・許可条件は9時から17時なので工事も許可条件に合わせるべきだが守られる事はありません。
まだ薄暗い朝の6時から大型トラックを入れてガタガタと作業する。
・道路にはこの工事業者が使用したビスが散乱して住民の車のタイヤをパンクさせる。
・職人が材料を投げたり、乱暴な掃除をしたり、資材を養生なしで切断したりして粉塵を舞わせて住民の車や家屋を汚す。
・住民達の共有財産を乱暴な工事で傷付けておいて直さない。
・建物自体、傷付いたり割れている所があるが目隠して仕上がると見えない所は誤魔化します。
・職人が違法に他人の土地に侵入して作業している。
・職人が作業の際に音楽を大音量で掛けて作業していて、近隣住民は頭痛が生じている。
・近隣には小さい子供さんもいるし、通学路でもあり小中学生、通勤時間帯は避ける話を株式会社アーネストワンがしていたが守られる事はありません。
・宅配がないと生活が出来ない人もいるが株式会社アーネストワンの工事車両の違法駐車の為に宅配業者が入って来れない。
・毎日、通院中で手術後でもあり、振動や騒音が痛みとして増してしまう人もいる。
・家族を偶然にも工事前後で亡くしてしまったばかりで悲痛な心境の人がいる。
・音に敏感で耐えられないけどその所に居ないと生活が出来ない障害を持っている人がいる。
等々の状況にも関わらず株式会社アーネストワンは何等、配慮せず住民の平穏な生活を脅かす。
●本社 三多摩ブロック 生産事業統括部 工事長 田嶋康二 TEL:080-6551-7765 E-MAIL:k-tajima03400@arnest1.co.jp E-MAIL:taji-ko.3ezweb.ne.jp
は、逆ギレして全く反省もせず管理もせず口だけは「きちんと管理します」と言いつつも目茶苦茶な違法工事が続けられます。
電話しましょうかと
●本店 工事課 生産事業統括部 部長 古谷規剛 TEL:080-6667-9342 E-MAIL:n-furuya67500@arnest1.co.jp E-MAIL:furu-nori.3@ezweb.ne.jp
は、言うだけで、株式会社アーネストワンは善処しないから電話をもらった所で話しにならない。
名前だけの現場監督で管理しないから上記の問題が生じているが
●本店 工事課 生産事業統括部 副所長 山田真紀 TEL:080-5908-3867 E-MAIL:m-yamada49110@arnest1.co.jp E-MAIL:yama-maki.3@ezweb.ne.jp
は、法律も建築のイロハも分からないから、何が問題なのかも考えず対応が後手後手で先に進まない。
傷害事件を
●本店 工事課 生産事業統括部 今井千秋 TEL:080-9345-5185 E-MAIL:c-imai@arnest1.co.jp E-MAIL:ima-chia.3@ezweb.ne.jp
は、起こして且つ反省もせず謝罪もせず対応が不誠実でなので事件化されている。
株式会社アーネストワンは毎日、警察沙汰を起こしており110番通報もされていて実際に警察対応が頻繁に行われています。