「プレハブ」とは何か。建築現場の仮設小屋と「プレハブ」は一緒か?―教える気がなくなる新人(1)-4
[第307回]営業と会社の話(70)
【5】 建築現場の「スーパーハウス」がプレハブなのか?
前回までで述べた一条工務店の東京営業所に1992年に在籍したOくんの発言というより暴言、もしくは寝言については、Oくんの不勉強・不真面目に大きな原因があるのは間違いのないことで、Oくんはそのあたりを重々反省しなければならないと思うが、しかし、一条工務店の場合、新卒新人にそういう人が出てくることについては、本人だけに原因があるのではなく、会社として、あるいはある程度以上の年数在籍している遠州人に原因があるという面もある。
私が入社した1992年においては、同社がおこなっていた工場見学会を、東京営業所は新幹線で浜松の工場まで往復していた。 浜松市の国道1号のバイパスの海側にあった工場を案内した後、「天竜川南」という総合住宅展示場に一条工務店の住宅展示場が3棟立っていた所に案内した。 東京営業所として「工場見学会」を開催して案内したこともあれば、営業担当者1人で契約客の御夫婦を案内したこともある。
その際だ。 天竜川南総合住宅展示場に立っていた3つの住宅展示場のひとつに東京からお客様を連れて行った時、浜松の営業が浜松の見込客に説明をしていたのだ。 同社が得意とする「構造アプローチ」を。
どういうことを言っていたかというと、建築現場に「スーパーハウス」などという名称で設置される鉄骨製の仮設小屋がある。鉄骨軸組造で組み立てることもあれば、鉄骨ユニット造のものを設置する場合もある。 いずれにせよ、鉄骨軸組構造で組み立てるものは、積水ハウスの軽量鉄骨造、ダイワハウスの軽量鉄骨造、パナホームなどと構造の原理は同じである。 鉄骨ユニットのものは、積水ハイムの鉄骨ユニット造、トヨタホームの鉄骨ユニット造とこれも構造の原理は同じであるが、仮設小屋である。 そういうもので端っこが錆びてきたものの写真をお客様に見せて、「錆びてきていますでしょ。 こういうもののことを『プレハブ』と言うのですよ。 ぷれっはぶぅ~」と、そう言ったのです。 そう言えば、この「ぷれっはぶぅ~う!」という言い方、浜松から東京営業所に本人の希望で転勤してきたO野田くんも時々口にしていた。 程度の低い、精神面の卑しい連中だと思った。 浜松発祥の一条工務店は、浜松近辺は東京などに比べて無茶苦茶安い価格に設定してダンピング販売をおこなっていたが、そうであったとしても、浜松で相当売れていたというのは、浜松の見込客はこういう話を聞いて、そういう口をきく人間を軽蔑するのではなく、評価するのだろうか。 そうだとすると遠州人というのは、相当に文化的水準が低い人間だということになる。
競合メーカーの問題点を指摘して悪いことはないと思うが、自社の長所をアピールする方を主として、自社のことを10話した時に競合相手に対するネガティブ発言をひと言くらい言うのはいいとして、「ぷれっはぶぅ~う」とかやってみせるというのは、その姿を見ると、人間として卑しい存在に見えてくるのだが、そういうことをやっても売れるというのは、浜松地域のニーズに合った商品だからということはあるだろうし、静岡県西部と愛知県だけ、他の地域と違ってテレビ広告をドカンドカンとやっているからということもあるだろうが、なんだかなあ・・・と、その会社の従業員としてその姿を見ていや~な印象を受けた。 「遠州人」がそういう人間だということではなく「一条工務店の遠州人」がそういう人間なのだろうとは思うが、しかし、精神的に卑しい連中である。 精神的に卑しい連中であるだけでなく、まず、その「説明」は嘘だ。 よく言うと思う。
「プレハブ」とはどういうものを言うか。 一条工務店の浜松市の天竜川南総合住宅展示場にあった3つの住宅展示場、浜松営業所・信陽営業所・東陽営業所の3つの展示場のひとつにいた営業の話によると、ゼネコンの建築現場にある仮説の詰所に設置される鉄骨軸組造か鉄骨ユニット造の「スーパーハウス」のことだそうだ。それは正しいか? 嘘に決まってるじゃないか。 よく言うとあきれる。
「プレハブ」とは、語源から説明すると、英語の「プレファブリケート」( prefabricate )、 「プレファブリケーション」(prefabrication)の略です。 「プレ」(pre-)とは、≪「あらかじめ」「・・・以前の」「・・・の前部にある」の意≫(岩崎民平・小稲義男監修『新英和中辞典 第三版』1971.三版 研究社)という意味で、 「ファブリケート」(fabricate)は、≪1.〈部分品などを〉組み立てる、規格部品で作る。 2.〈伝説・うそなどを〉作り上げる、でっち上げる。 〈文書を〉偽造する。≫という意味の他動詞、 「ファブリケーション」( fabrication )は≪1.製作、構成、偽造、組み立て。 2.作りごと、うそ、偽造物[文書](forgery)≫という意味の名詞(『新英和中辞典 第三版』)。 「プレ‐」(pre-)は≪「あらかじめ」「・・・・以前の」「・・・の前部にある」の意≫の接頭辞(prefix)、 「プレファブリケート」(prefabricate)は≪〈家屋を〉組み立て式に作る≫という他動詞、 「プレファブリケーション」(prefabrication)は≪前もって作り上げること 、組み立て式住宅部分品製造、プレハブ≫という意味の名詞になり、「プレファブリケーティッド ハウス」(prefabricated house )は≪組み立て式住宅、プレハブ≫ (『新英和中辞典 第三版』研究社)という意味です。
要するに、工事現場より以前に組み立ててきた度合が大きい住宅のことを「プレファブリケーティッド ハウス」といい、それを日本語にする際に略して「プレハブ」で、工事現場以前というと、大工の下小屋で組み立てたというのも語源からいけば該当することになるでしょうけれども、一般的には工場で組み立ててきた度合が大きい住宅ということでしょう。
「工場で組み立てた度合が大きい」ということは、そのこと自体はいいということでも悪いということでもありません。 工場で組み立てた度合が大きいものでいいものができるならけっこうなことで、工事現場で作った方がいいものができるならそれはそれでいいことです。
また、「工場で組み立てた度合が大きい住宅」を「プレファブリケーティッド ハウス」(プレハブ)というのであって、そこには、鉄骨造とか鉄骨ユニット造という意味はありませんから、鉄骨系の「プレファブリケーティッド ハウス」もあれば、コンクリート系の「プレファブリケーティッド ハウス」もあり、木質系の「プレファブリケーティッド ハウス」もあるのです。 一条工務店の浜松の営業が得意になって、建築現場の鉄骨製の仮設小屋の写真を指差して「こういうもののことを『ぷれっはぶぅ~』と言うのです。 ぷれっはぶぅ~う!」とか言っていたのは間違いです。 「プレハブ」は鉄骨造とは限りません。
私は、小学生くらいの頃、1960年代後半、建物の構法には、木造と 鉄筋コンクリート造と プレハブ の3つがあるのかと思っていて、ダイワハウスとかミサワホームとか積水ハウスとかいうのがプレハブで、「プレハブ」という構法があるのかと思っていました。 しかし、木造か鉄筋コンクリート造かという概念と「プレファブリケーティッド」された「ハウス」かどうかという概念は別の次元のものです。
現在では、木造でも基礎は鉄筋コンクリートでできていて、金物を使用していますし、鉄骨造の住宅でも内部の造作は木でおこなっている場合が多く、木造の住宅メーカーの営業には「鉄は錆びます」と言い、鉄骨造の会社の営業には「木は腐ります」と言う人がいますが、木造でも鉄やコンクリートは使っているし、鉄骨造でも基礎はコンクリートであって、鉄骨造でも木も使っているのです。
それで、「主たる構造材」が何であるかから考えて、木構造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造に3分類することができます。
「鉄筋コンクリート造」というのは、コンクリートは圧縮には強いが引張りに弱い為、引張りに強く、温度による膨張・伸縮の度合がコンクリートと近い鉄筋を中に入れて、結果として圧縮にも引張りにも強いものにしたというものです。
木構造には、軸組構法である在来木造、北米から渡来した構法である枠組み壁工法(ツーバイフォー工法)、在来木造と枠組み壁工法(ツーバイフォー工法)を参考にして開発された木質パネル構法、それに組積造があります。 「ログハウス」は丸太を積み上げる組積造のものと軸組構法のものがあり、東大寺の正倉院のようにログハウスでない組積造もあり、ログハウス イコール組積造というわけでもありません。
鉄を主たる構造材とするものには、軸組構法の鉄骨造と、鉄骨ユニット造があります。
「プレファブリケーティッド ハウス」には、木質系の「プレファブリケーティッド ハウス」と鉄骨系の「プレファブリケーティッド ハウス」とコンクリート系の「プレファブリケーティッド ハウス」があります。 だから、構法に、木造と鉄骨造とコンクリート造とプレハブ造があるのではないのです。 主たる構造材で構法を分類すると、木を主たる構造材とするもの、鉄を主たる構造材とするもの、コンクリートを主たる構造材とするものがあって、語源から考えれば、それぞれのうち、工場生産の度合が大きいものを「プレファブリケーティッド ハウス」と呼ぶのです。
しかし、です。 一条工務店の在来木造は、「プレカット」(pre cut)と言って、柱・梁その他の構造材を工場で機械で加工した上で工事現場に運んで組み立てるということをしていて、「プレカットをしているので、手加工で建てている所と違って、できばえにばらつきがありません」というのを、1990年代初めにおいては「売り」にしていましたが、その後、「プレカット」で建てる業者が多くなり、今では、ハウスメーカー・工務店・個人大工を通じて、プレカットで建てる方が普通になってきたので、「プレカットしています」というのは今では「売り」にはならなくなりました。 この「プレカット」というのは、語源から考える思考で行くならば、「プレファブリケーティッド ハウス」に該当しそうな感じがしてきます。 一条工務店では、2000年前後の頃、「プラハブ と プレカット は 言葉は似ていますが 意味はまったく違います」とカタログ・チラシに書いていましたが、嘘です。 語源から考えるならば、意味から考えるならば、「プレカット」(〔建築現場より前に〕前もって切る)は「プレファブリケート」(〔建築現場より前に〕前もって形作る)の一種です。
「プレ カット」にしても、プレカットでいいものができるならけっこうなことですが、もしも、手加工の方がいいものができるというのなら、それはそれでけっこうなことなのです。 「プレ カット」であるからいいとか悪いというものでもないのです。 但し、戸建住宅の建築業の場合、「プレカット」で建てる会社が多くなったというのは、ある程度以上の規模の会社になると、大工の手加工の技術に頼っていたのでは、できばえの悪いものができてしまう可能性がある、ということと、プレカットが普通になってくると、組み立てることはできても加工のできない「大工」、プレカットが出現する以前においては「大工」と評価されない「大工」が出てきたということがあるでしょう。
今、「プレカット」で加工して建てている在来木造のことを「プレファブリケーティッド ハウス」(プレハブ)とは一般に言っていませんが、語源から考えるならば、「プレカット」も「プレファブリケート」の一種です。
ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)を「プレファブリケーティッド ハウス」(プレハブ)とは一般に言っていませんが、ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)も、建築現場より以前にツーバイフォー材を加工し、構造用合板も規格の大きさに加工した上で工事現場に運んでいますから、語源から考えるならば、その意味で「プレファブリケーティッド ハウス」と言えなくはありません。
建築構法には、誰がその構法で建てても良い「オープン構法」と建設省(→国土交通省)に「システム認定」を申請して認定を受けた業者だけがその構法で建てることができる「クローズド構法」があり、小堀住研の木質パネル構法、ミサワホームの木質パネル構法は「クローズド構法」で、ツーバイフォー工法は日本で最初にツーバイフォー工法の住宅が建てられ始めた時点では「クローズド構法」であったようですが、その後、「オープン構法」になりました。 「プレファブリケーティッドハウス」(プレハブ)はたいてい「クローズド構法」ですが、「プレファブリケーティッド ハウス」と「クローズド構法」は言葉が意味している内容が異なります。
それで、結局のところ、どの会社がというのではなく、今は、世の中全般に、在来木造もツーバイフォー工法も、相当の程度、工事現場以前に加工をおこなって建てているのですが、「プレハブ」に分類される住宅とそうでない住宅があります。 これはどういうところから分類されているのか、というと、会社が所属する業界団体によるのではないでしょうか。
少し古い本ですが、三島俊介『住宅業界 早わかりマップ』(1995.9.10.こう書房)の巻末に、「有力住宅関連協会名簿」が掲載されています。 そこには、「社団法人 プレハブ建築協会」、「社団法人 日本ツーバイフォー建築協会」、「社団法人 日本木造住宅産業協会」の会員名簿が掲載されています。 ここには出ていませんが、ログハウスの業界団体もあったように思います。 これを見ると、積水ハウス(株)などは「プレハブ」の業界団体と「木造」の業界団体の両方に加入しているようです。
業界団体が、「プレハブ」と「ツーバイフォー」と「木造」と「ログハウス」に分かれているので、プレハブの業界団体に加入している会社が建てているものを「プレハブ」と言い、「木造」の業界団体に加入しているものを「在来木造」「軸組構法の木造」と言う場合が多いようです。
但し、「プレハブ」という言葉の印象が良くないので、最近では、「プレハブ建築協会」に加入している会社でも、その建物について「プレハブ」という言い方をすることは少なくなってきているようです。 別の呼び名で「工業化住宅」という表現もありますが、それよりも、構法の分類として、積水ハウス・ダイワハウスなどの軽量鉄骨軸組構法は「鉄骨造」「鉄骨軸組構造」、積水ハイム・トヨタホームなどは「鉄骨ユニット造」、レスコハウス・大成パルコンなどのコンクリート系プレハブの場合は「鉄筋コンクリート造」、ミサワホームやエスバイエル(→ヤマダ・エスバイエルホーム)(←小堀住研)の「木質系プレハブ」の場合は「木質パネル構法」とか「木構造」といった言い方をする場合が多くなってきたように思います。 誰しも、良くない印象がついた用語を自社のものに使いたくないですからね。 又、実際問題として、在来木造の建物も工場生産の度合が相当に大きくなっている(プレハブ化が進んでいる)現在において、「プレファブリケイティッド ハウス」という表現自体、あまり意味のない言葉になってきているとも言えるでしょう。
「プレハブ」という言葉の評価が低くなった原因は、「プレハブ」という言葉が本来の意味と別の意味で、世間で使用されているということがあります。 湾岸戦争の時に、自衛隊を派遣して良いか悪いかといった問題で、自民党の国会議員が、 「多国籍軍のためのプレハブ作りくらいならいいのではないか」と発言したのを新聞・テレビで見ました。 この場合、「プレハブ」という言葉は、積水ハウス・ダイワハウスの軽量鉄骨軸組構法のことではなく、積水ハイム・トヨタホームの鉄骨ユニット造のことでもなく、ミサワホーム・エスバイエル(→ヤマダエスバイエルホーム)の木質パネル構法のことでもなく、レスコハウス・大成パルコンなどのプレキャストコンクリートによるコンクリート系プレハブのことでもなく、仮設の、一時的な、すぐに建てられる、耐久性のない建物のことを、構法が鉄骨造か木質系か、工場生産の度合が大きいか小さいかといったことにかかわらず、「プレハブ」と言っているのです。 これは、本来の語源から言えば間違った用語ですが、日本では、現実に、仮設の、一時的な、すぐに建てられる、耐久性のない建物のことを「プレハブ」と言う言葉の使用がされているのです。 東日本大震災の時に避難した方のための仮設住宅も、「プレハブ」と表現されましたが、その多くは、構造としては在来木造で、プレハブ建築協会に加入している会社が建てている軽量鉄骨軸組構法・鉄骨ユニット造・木質パネル構法・プレキャストコンクリート造ではありません。 業界団体としての「プレハブ」「ツーバイフォー」「木造」「ログハウス」のどれが東日本大震災の時の仮設住宅でニュースなどで「プレハブ」と呼んでいたものに近いかというと「木造」です。
何年か前になくなった元・東大名誉教授で明治大教授だった木構造の研究者・杉山英男先生が、在来木造・ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)・木質パネル構法の3つを、対立的にとらえるのではなく、木構造というひとつのグループとしてとらえるべきだと述べておられたが、私もそう思う。 ところが、一条工務店の創業の頃から在籍している「一条の土台を築いてきた人たち」と自称している人たち、「レジェンド」(キン肉マン、ロビンマスク、テリーマン、ブロッケンジュニア、バッファローマン、ラーメンマン、ウルフマン、ジェロニモ・・・?)は、どうも、在来木造とツーバイフォー工法、木質パネル構法を対立的に表現したがり、「ぷれっはぶぅ~う」とか言いたがったりするらしいのです。 バカじゃなかろかと思うのですが、そういう人たちなのです。
1990年代前半、一条工務店の浜松の営業が、来場客に向かって、軽量鉄骨造による建築現場の仮設小屋で端っこの方が錆びてきているものの写真を指差して、「こういうもののことを『プレハブ』と言うのです」と言っていたのが嘘であるのは明らかです。 よく言うとあきれます。 よく言わせているとあきれます。
「プレファブリケーティッド ハウス」は、主たる構造材から分類するならば、鉄骨系・木質系・コンクリート系に分かれます。 ゼネコンの工事現場にある仮設の詰所・現場事務所の建物は、その分類からいけば「鉄骨系」のもので、「プレファブリケーティッド ハウス」は鉄骨系しかないわけではなく、木質系のもの、コンクリート系のものもあるのです。この点で、まず、間違い。
それならば、鉄骨系の「プレファブリケーティッド ハウス」は工事現場の仮設詰所の建物と同じでしょうか?「工業化住宅」の中でも軽量鉄骨軸組構法のものは、もともとの発祥が、戦後、住宅が普及していない時期に開発されたもので、今後、それが続くかどうかわからないとも言われており、積水ハウスが在来木造のトーヨド建設を買収して積水ハウス木造にして、さらに、積水ハウス木造が定着するとそれを積水ハウスと合わせ、積水ハウスで軽量鉄骨造と木造の両方をやるようになったというのは、積水ハウスとして、軽量鉄骨軸組構造の建物というのが、住宅が普及してきた現在以降においては見通しは明るくないと見ているからではないか?と言われたりもしています。 「工業化住宅」においても、鉄骨系のものは幾分、そういう傾向があるかとも言われてはいるのですが、しかし、そうであっても、在来木造で建てる場合でも、その建物に長く住むという前提で建てる建物と、一時的な、仮の建物では建て方が違うし、費用のかけ方も違い、建物の作りも違うのは当然であり、軽量鉄骨軸組構法のもの、鉄骨ユニット造のものでも、工事現場の仮設小屋と住宅として建てている積水ハウス・ダイワハウスなどの軽量鉄骨軸組構法のもの、積水ハイム・トヨタホームなどの鉄骨ユニット構法のものが同じかというと、同じなわけないじゃないですか。 そうでしょ。
だいたい、建築現場の仮設小屋の写真を見せて、「『プレハブ』とはこういうもののことを言うんです。 ぷれっはぶぅ~う!」て、よく言うよなあ・・。 そういう恥ずかしい発言・態度を情けないと思わないのか。 そういう発言・態度を取ると、競合相手よりも、そういう発言をしている自分自身が恥ずかしい、自分自身が情けない、と思わないか?!?
「ぷれっはぶぅ~~う」とかやってみせる「一条オリジナル」「浜松流」の態度、見ていて、ものすごく卑しい人間に見えて情けないのだけれども、やっている人間はそれが営業として効果があるかマイナスになるかにかかわらず、やっていて楽しいらしい。 なんだかなあ・・・・。
新聞記者やテレビのアナウンサーも表現を気をつけた方がいいと思います。 「プレハブ」というのは、本来、仮設建物の意味ではないのです。 「プレファブリケイティッド ハウス」とは「工場生産の度合が大きい住宅」という意味であって、 「プレファブリケーティッド」という言葉に、「仮設の」とか「一時的な」とか「脆弱な」とか「安価な」とか「耐久性のない」とかいった意味はありません。
最近のヤフーニュースの記事でも、《【千葉魂】 光り輝きだした西野の夢物語 冷蔵庫に貼って読み返した記事 ちばとぴ by 千葉日報 2014年12月31日(水)15時12分配信 》http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141231-00010001-chibatopi-base に
≪もう一つ、がくぜんとさせられたことがあった。2軍球場のロッカー。支配下選手はそれぞれに個別のロッカーが割り当てられ、スペースがあった。育成選手は個別ロッカーではなく、全員で一つのスペースが与えられただけ。「まるでプレハブ小屋だった。そこに10人近くで共有していた」と振り返る。≫と出ていたりするが、この「まるでプレハブ小屋だった」と千葉ロッテマリーンズの西野選手が口にしている「プレハブ」は「プレファブリケイティッド ハウス」のことではなく、「粗末な」「仮設の」「安価な」「耐久性のない」「一時的な」といった意味で使用しており、積水ハウス・ダイワハウス・パナホームなどの鉄骨系プレハブ、積水ハイム・トヨタホームの鉄骨ユニット造、ミサワホーム・ヤマダエスバイエルホームの木質系プレハブ、レスコハウス・大成パルコンなどのコンクリート系プレハブのことを言っているのではなく、構法がどういうものかなどは考えずに口にしています。本来の「プレファブリケイティッド ハウス」の語源から考えた意味とは異なる意味で「プレハブ」という略語を使っています。
浜松から本人の希望で東京営業所に転勤してきたO野田くんが、一条工務店の浜松の営業所の精神的に卑しい営業と似たことをしばしば口にするのは、ああいう卑しい人間の悪影響を受けたものだったのかとわかりました。 一条工務店は、静岡県西部と愛知県に他よりもずっと安い価格を設定してダンピング販売をおこない、静岡県西部と愛知県だけにドカンドカンとテレビ広告を行うなど、差別的な扱いをしてその地域で売ってきたため、自分自身の努力をしないでも売れてしまう人がその地域にはいたようで、そういう人が、「自分が売った」「自分は売れる」と認識してしまって、そういう卑しい売り方をその他の地域の人間に、「営業のやり方を教えてやる」とか傲慢なことを言って「教える」ことがあったようです。 O野田くんもその影響を受けたようで、同時期に入社した東京営業所の人間に向かって、入社して5か月、契約ゼロのO野田くんが「営業のやり方を教えてやる」とか口にして、言われた人間が気分を害しているのを目撃したことがあります。 浜松の営業所にいた、営業本部長のA野T夫さんの「竹馬の友」で小学校の同級生だったというH松さんは、その時点で通算契約棟数2位だったようですが、自分自身が契約を取ることには努力をしたとしても、隣の席に座った新卒入社の新人に、「通算契約棟数2位の人間の隣の席に座っていたとしても、通算契約棟数2位の人間と通算契約棟数2位の人間の隣の席に座っている人間とは別だ」という基本の基本を教える、ということができていなかったようです。 私がH松さんから「構造アプローチ」の話を聞かせてもらった時には、変な人だという印象は受けなかったし、まともな話だったと思うのですが、そのまともな話のできる人が、「ぷれっはぶぅ~う」とかそういうアホなこと言うの、やめろ、と新人にそのくらい言えなかったのか、という気がします。
今は昔、テレビのコマーシャルで、明石家さんま が巨人から阪神に移籍した年の投手・小林 繁の投げ方を真似してみせるということをやっていました。 投げ方の物真似はできたとしても、小林と同じ球を投げることはできなかったでしょう。 『タッチ』という双子の兄弟の漫画がかつてありました。和也は努力家で高校の野球部のエース、達也はなまけもの。 和也が交通事故だかで死んでしまった時、野球部の監督は、試合の時、相手チームにベンチに和也がいると思わせたいからと見た目がそっくりの達也に和也のユニフォームを着てベンチに座らせるが、9回の裏、ピンチになった時、達也はすくっと立ち上がり、マウンドに向かうので、周囲は、もしかして、達也はどうしようもないなまけもののように見えていて、実は和也と同等の投球ができるのか? という気持ちになりますが、マウンドでふりかぶると和也とそっくりのフォームですが、投げようとした瞬間、その場でひっくり返って尻もちをついて笑いものになる・・・という話があったと思います。 通算契約棟数2位の人の隣の席に座って、一生懸命、2位の人の物真似をしたとしても、物真似はしょせん物真似であって、自分自身で、「なぜ、売れないのか」「なぜ、売れるのか」「どうしたら売れるのか」と考えてやった者と同じことができるわけではない、ということをOくんは教えてくれた、ということでしょう。 Oくんは「一条工務店のタッチ」だったようです。 一条工務店でその当時、通算契約棟数1位だったK藤さんが、中途入社して1年ほどの人の研修の講師役に来て、「一通り、売ったら、そこから先は、どんなに実績のある営業とも横の関係で、そこから先は自分で考えてやるしかないですね」というようなことを話したと、その研修に参加した人から聞いたが、私もそう思う。 営業というものは、基本的には自分で考えてやるしかないし、自分で考えてやるしかないという認識の者が、ある程度以上実績を残している人のやっていることを見て観察してそれを取り入れるなら取り入れることができるであろうけれども、実績ゼロの人間が物真似やっても、しょせん、明石家さんま のピッチング でしかないということでしょう。
Oくんは、客と話していても、時々、「ふふん」と鼻をならして相手をバカにするようなしぐさをすることがあり、どうも、当人は、H松さんが、こちらは「客の機嫌をとる営業」ではないと示すために、そういうことを客と話す時にやってみせていると思って真似ているらしく、東京営業所にいたH部が、「H松所長くらいの年齢の人ならそれもいいかもしれないけれども、20代前半のO野田くんなら、それはよくないかもしれない」と言っていたのだが、私はH松さんの「構造アプローチ」を見せてもらったことがあるが、H松さんはそんなことはやっていなかった。 それはO野田くんのオリジナルだろう。 自分自身で「なぜ売れないのか」「なぜ売れるのか」「どうしたら売れるのか」と考えるという経験のない人間に、「通算棟数2位の人間の隣の席に座らせれば通算契約棟数2位」と同じだけの能力がつくだろう、などとアホなことを考えてすると、そうなってしまうのかもしれない。
(2014.12.28.)
次回、[第308回]https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_7.html、は、「営業本部長直伝」の「デマカセ構造アプローチ」他。
☆ 教える気がなくなる新人
(1)-1 木を人工乾燥しても濡れたり湿度が上がれば一緒?なわけないでしょ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_3.html
(1)-2 木質パネル構法と在来木造の木の使用量、筋交いは削っていいか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_4.html
(1)-3 他社について嘘を教える研修、学ばない者が「知らない」のは本人が悪い https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_5.html
(1)-4 今回。
(1)-5 コンパネや集成材はぬるま湯につけると接着剤がはがれるか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_7.html
(2) 現実の見込客を見ずに、「研修」で教えられたものを信奉する営業の愚かさ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_1.html
【5】 建築現場の「スーパーハウス」がプレハブなのか?
前回までで述べた一条工務店の東京営業所に1992年に在籍したOくんの発言というより暴言、もしくは寝言については、Oくんの不勉強・不真面目に大きな原因があるのは間違いのないことで、Oくんはそのあたりを重々反省しなければならないと思うが、しかし、一条工務店の場合、新卒新人にそういう人が出てくることについては、本人だけに原因があるのではなく、会社として、あるいはある程度以上の年数在籍している遠州人に原因があるという面もある。
私が入社した1992年においては、同社がおこなっていた工場見学会を、東京営業所は新幹線で浜松の工場まで往復していた。 浜松市の国道1号のバイパスの海側にあった工場を案内した後、「天竜川南」という総合住宅展示場に一条工務店の住宅展示場が3棟立っていた所に案内した。 東京営業所として「工場見学会」を開催して案内したこともあれば、営業担当者1人で契約客の御夫婦を案内したこともある。
その際だ。 天竜川南総合住宅展示場に立っていた3つの住宅展示場のひとつに東京からお客様を連れて行った時、浜松の営業が浜松の見込客に説明をしていたのだ。 同社が得意とする「構造アプローチ」を。
どういうことを言っていたかというと、建築現場に「スーパーハウス」などという名称で設置される鉄骨製の仮設小屋がある。鉄骨軸組造で組み立てることもあれば、鉄骨ユニット造のものを設置する場合もある。 いずれにせよ、鉄骨軸組構造で組み立てるものは、積水ハウスの軽量鉄骨造、ダイワハウスの軽量鉄骨造、パナホームなどと構造の原理は同じである。 鉄骨ユニットのものは、積水ハイムの鉄骨ユニット造、トヨタホームの鉄骨ユニット造とこれも構造の原理は同じであるが、仮設小屋である。 そういうもので端っこが錆びてきたものの写真をお客様に見せて、「錆びてきていますでしょ。 こういうもののことを『プレハブ』と言うのですよ。 ぷれっはぶぅ~」と、そう言ったのです。 そう言えば、この「ぷれっはぶぅ~う!」という言い方、浜松から東京営業所に本人の希望で転勤してきたO野田くんも時々口にしていた。 程度の低い、精神面の卑しい連中だと思った。 浜松発祥の一条工務店は、浜松近辺は東京などに比べて無茶苦茶安い価格に設定してダンピング販売をおこなっていたが、そうであったとしても、浜松で相当売れていたというのは、浜松の見込客はこういう話を聞いて、そういう口をきく人間を軽蔑するのではなく、評価するのだろうか。 そうだとすると遠州人というのは、相当に文化的水準が低い人間だということになる。
競合メーカーの問題点を指摘して悪いことはないと思うが、自社の長所をアピールする方を主として、自社のことを10話した時に競合相手に対するネガティブ発言をひと言くらい言うのはいいとして、「ぷれっはぶぅ~う」とかやってみせるというのは、その姿を見ると、人間として卑しい存在に見えてくるのだが、そういうことをやっても売れるというのは、浜松地域のニーズに合った商品だからということはあるだろうし、静岡県西部と愛知県だけ、他の地域と違ってテレビ広告をドカンドカンとやっているからということもあるだろうが、なんだかなあ・・・と、その会社の従業員としてその姿を見ていや~な印象を受けた。 「遠州人」がそういう人間だということではなく「一条工務店の遠州人」がそういう人間なのだろうとは思うが、しかし、精神的に卑しい連中である。 精神的に卑しい連中であるだけでなく、まず、その「説明」は嘘だ。 よく言うと思う。
「プレハブ」とはどういうものを言うか。 一条工務店の浜松市の天竜川南総合住宅展示場にあった3つの住宅展示場、浜松営業所・信陽営業所・東陽営業所の3つの展示場のひとつにいた営業の話によると、ゼネコンの建築現場にある仮説の詰所に設置される鉄骨軸組造か鉄骨ユニット造の「スーパーハウス」のことだそうだ。それは正しいか? 嘘に決まってるじゃないか。 よく言うとあきれる。
「プレハブ」とは、語源から説明すると、英語の「プレファブリケート」( prefabricate )、 「プレファブリケーション」(prefabrication)の略です。 「プレ」(pre-)とは、≪「あらかじめ」「・・・以前の」「・・・の前部にある」の意≫(岩崎民平・小稲義男監修『新英和中辞典 第三版』1971.三版 研究社)という意味で、 「ファブリケート」(fabricate)は、≪1.〈部分品などを〉組み立てる、規格部品で作る。 2.〈伝説・うそなどを〉作り上げる、でっち上げる。 〈文書を〉偽造する。≫という意味の他動詞、 「ファブリケーション」( fabrication )は≪1.製作、構成、偽造、組み立て。 2.作りごと、うそ、偽造物[文書](forgery)≫という意味の名詞(『新英和中辞典 第三版』)。 「プレ‐」(pre-)は≪「あらかじめ」「・・・・以前の」「・・・の前部にある」の意≫の接頭辞(prefix)、 「プレファブリケート」(prefabricate)は≪〈家屋を〉組み立て式に作る≫という他動詞、 「プレファブリケーション」(prefabrication)は≪前もって作り上げること 、組み立て式住宅部分品製造、プレハブ≫という意味の名詞になり、「プレファブリケーティッド ハウス」(prefabricated house )は≪組み立て式住宅、プレハブ≫ (『新英和中辞典 第三版』研究社)という意味です。
要するに、工事現場より以前に組み立ててきた度合が大きい住宅のことを「プレファブリケーティッド ハウス」といい、それを日本語にする際に略して「プレハブ」で、工事現場以前というと、大工の下小屋で組み立てたというのも語源からいけば該当することになるでしょうけれども、一般的には工場で組み立ててきた度合が大きい住宅ということでしょう。
「工場で組み立てた度合が大きい」ということは、そのこと自体はいいということでも悪いということでもありません。 工場で組み立てた度合が大きいものでいいものができるならけっこうなことで、工事現場で作った方がいいものができるならそれはそれでいいことです。
また、「工場で組み立てた度合が大きい住宅」を「プレファブリケーティッド ハウス」(プレハブ)というのであって、そこには、鉄骨造とか鉄骨ユニット造という意味はありませんから、鉄骨系の「プレファブリケーティッド ハウス」もあれば、コンクリート系の「プレファブリケーティッド ハウス」もあり、木質系の「プレファブリケーティッド ハウス」もあるのです。 一条工務店の浜松の営業が得意になって、建築現場の鉄骨製の仮設小屋の写真を指差して「こういうもののことを『ぷれっはぶぅ~』と言うのです。 ぷれっはぶぅ~う!」とか言っていたのは間違いです。 「プレハブ」は鉄骨造とは限りません。
私は、小学生くらいの頃、1960年代後半、建物の構法には、木造と 鉄筋コンクリート造と プレハブ の3つがあるのかと思っていて、ダイワハウスとかミサワホームとか積水ハウスとかいうのがプレハブで、「プレハブ」という構法があるのかと思っていました。 しかし、木造か鉄筋コンクリート造かという概念と「プレファブリケーティッド」された「ハウス」かどうかという概念は別の次元のものです。
現在では、木造でも基礎は鉄筋コンクリートでできていて、金物を使用していますし、鉄骨造の住宅でも内部の造作は木でおこなっている場合が多く、木造の住宅メーカーの営業には「鉄は錆びます」と言い、鉄骨造の会社の営業には「木は腐ります」と言う人がいますが、木造でも鉄やコンクリートは使っているし、鉄骨造でも基礎はコンクリートであって、鉄骨造でも木も使っているのです。
それで、「主たる構造材」が何であるかから考えて、木構造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造に3分類することができます。
「鉄筋コンクリート造」というのは、コンクリートは圧縮には強いが引張りに弱い為、引張りに強く、温度による膨張・伸縮の度合がコンクリートと近い鉄筋を中に入れて、結果として圧縮にも引張りにも強いものにしたというものです。
木構造には、軸組構法である在来木造、北米から渡来した構法である枠組み壁工法(ツーバイフォー工法)、在来木造と枠組み壁工法(ツーバイフォー工法)を参考にして開発された木質パネル構法、それに組積造があります。 「ログハウス」は丸太を積み上げる組積造のものと軸組構法のものがあり、東大寺の正倉院のようにログハウスでない組積造もあり、ログハウス イコール組積造というわけでもありません。
鉄を主たる構造材とするものには、軸組構法の鉄骨造と、鉄骨ユニット造があります。
「プレファブリケーティッド ハウス」には、木質系の「プレファブリケーティッド ハウス」と鉄骨系の「プレファブリケーティッド ハウス」とコンクリート系の「プレファブリケーティッド ハウス」があります。 だから、構法に、木造と鉄骨造とコンクリート造とプレハブ造があるのではないのです。 主たる構造材で構法を分類すると、木を主たる構造材とするもの、鉄を主たる構造材とするもの、コンクリートを主たる構造材とするものがあって、語源から考えれば、それぞれのうち、工場生産の度合が大きいものを「プレファブリケーティッド ハウス」と呼ぶのです。
しかし、です。 一条工務店の在来木造は、「プレカット」(pre cut)と言って、柱・梁その他の構造材を工場で機械で加工した上で工事現場に運んで組み立てるということをしていて、「プレカットをしているので、手加工で建てている所と違って、できばえにばらつきがありません」というのを、1990年代初めにおいては「売り」にしていましたが、その後、「プレカット」で建てる業者が多くなり、今では、ハウスメーカー・工務店・個人大工を通じて、プレカットで建てる方が普通になってきたので、「プレカットしています」というのは今では「売り」にはならなくなりました。 この「プレカット」というのは、語源から考える思考で行くならば、「プレファブリケーティッド ハウス」に該当しそうな感じがしてきます。 一条工務店では、2000年前後の頃、「プラハブ と プレカット は 言葉は似ていますが 意味はまったく違います」とカタログ・チラシに書いていましたが、嘘です。 語源から考えるならば、意味から考えるならば、「プレカット」(〔建築現場より前に〕前もって切る)は「プレファブリケート」(〔建築現場より前に〕前もって形作る)の一種です。
「プレ カット」にしても、プレカットでいいものができるならけっこうなことですが、もしも、手加工の方がいいものができるというのなら、それはそれでけっこうなことなのです。 「プレ カット」であるからいいとか悪いというものでもないのです。 但し、戸建住宅の建築業の場合、「プレカット」で建てる会社が多くなったというのは、ある程度以上の規模の会社になると、大工の手加工の技術に頼っていたのでは、できばえの悪いものができてしまう可能性がある、ということと、プレカットが普通になってくると、組み立てることはできても加工のできない「大工」、プレカットが出現する以前においては「大工」と評価されない「大工」が出てきたということがあるでしょう。
今、「プレカット」で加工して建てている在来木造のことを「プレファブリケーティッド ハウス」(プレハブ)とは一般に言っていませんが、語源から考えるならば、「プレカット」も「プレファブリケート」の一種です。
ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)を「プレファブリケーティッド ハウス」(プレハブ)とは一般に言っていませんが、ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)も、建築現場より以前にツーバイフォー材を加工し、構造用合板も規格の大きさに加工した上で工事現場に運んでいますから、語源から考えるならば、その意味で「プレファブリケーティッド ハウス」と言えなくはありません。
建築構法には、誰がその構法で建てても良い「オープン構法」と建設省(→国土交通省)に「システム認定」を申請して認定を受けた業者だけがその構法で建てることができる「クローズド構法」があり、小堀住研の木質パネル構法、ミサワホームの木質パネル構法は「クローズド構法」で、ツーバイフォー工法は日本で最初にツーバイフォー工法の住宅が建てられ始めた時点では「クローズド構法」であったようですが、その後、「オープン構法」になりました。 「プレファブリケーティッドハウス」(プレハブ)はたいてい「クローズド構法」ですが、「プレファブリケーティッド ハウス」と「クローズド構法」は言葉が意味している内容が異なります。
それで、結局のところ、どの会社がというのではなく、今は、世の中全般に、在来木造もツーバイフォー工法も、相当の程度、工事現場以前に加工をおこなって建てているのですが、「プレハブ」に分類される住宅とそうでない住宅があります。 これはどういうところから分類されているのか、というと、会社が所属する業界団体によるのではないでしょうか。
少し古い本ですが、三島俊介『住宅業界 早わかりマップ』(1995.9.10.こう書房)の巻末に、「有力住宅関連協会名簿」が掲載されています。 そこには、「社団法人 プレハブ建築協会」、「社団法人 日本ツーバイフォー建築協会」、「社団法人 日本木造住宅産業協会」の会員名簿が掲載されています。 ここには出ていませんが、ログハウスの業界団体もあったように思います。 これを見ると、積水ハウス(株)などは「プレハブ」の業界団体と「木造」の業界団体の両方に加入しているようです。
業界団体が、「プレハブ」と「ツーバイフォー」と「木造」と「ログハウス」に分かれているので、プレハブの業界団体に加入している会社が建てているものを「プレハブ」と言い、「木造」の業界団体に加入しているものを「在来木造」「軸組構法の木造」と言う場合が多いようです。
但し、「プレハブ」という言葉の印象が良くないので、最近では、「プレハブ建築協会」に加入している会社でも、その建物について「プレハブ」という言い方をすることは少なくなってきているようです。 別の呼び名で「工業化住宅」という表現もありますが、それよりも、構法の分類として、積水ハウス・ダイワハウスなどの軽量鉄骨軸組構法は「鉄骨造」「鉄骨軸組構造」、積水ハイム・トヨタホームなどは「鉄骨ユニット造」、レスコハウス・大成パルコンなどのコンクリート系プレハブの場合は「鉄筋コンクリート造」、ミサワホームやエスバイエル(→ヤマダ・エスバイエルホーム)(←小堀住研)の「木質系プレハブ」の場合は「木質パネル構法」とか「木構造」といった言い方をする場合が多くなってきたように思います。 誰しも、良くない印象がついた用語を自社のものに使いたくないですからね。 又、実際問題として、在来木造の建物も工場生産の度合が相当に大きくなっている(プレハブ化が進んでいる)現在において、「プレファブリケイティッド ハウス」という表現自体、あまり意味のない言葉になってきているとも言えるでしょう。
「プレハブ」という言葉の評価が低くなった原因は、「プレハブ」という言葉が本来の意味と別の意味で、世間で使用されているということがあります。 湾岸戦争の時に、自衛隊を派遣して良いか悪いかといった問題で、自民党の国会議員が、 「多国籍軍のためのプレハブ作りくらいならいいのではないか」と発言したのを新聞・テレビで見ました。 この場合、「プレハブ」という言葉は、積水ハウス・ダイワハウスの軽量鉄骨軸組構法のことではなく、積水ハイム・トヨタホームの鉄骨ユニット造のことでもなく、ミサワホーム・エスバイエル(→ヤマダエスバイエルホーム)の木質パネル構法のことでもなく、レスコハウス・大成パルコンなどのプレキャストコンクリートによるコンクリート系プレハブのことでもなく、仮設の、一時的な、すぐに建てられる、耐久性のない建物のことを、構法が鉄骨造か木質系か、工場生産の度合が大きいか小さいかといったことにかかわらず、「プレハブ」と言っているのです。 これは、本来の語源から言えば間違った用語ですが、日本では、現実に、仮設の、一時的な、すぐに建てられる、耐久性のない建物のことを「プレハブ」と言う言葉の使用がされているのです。 東日本大震災の時に避難した方のための仮設住宅も、「プレハブ」と表現されましたが、その多くは、構造としては在来木造で、プレハブ建築協会に加入している会社が建てている軽量鉄骨軸組構法・鉄骨ユニット造・木質パネル構法・プレキャストコンクリート造ではありません。 業界団体としての「プレハブ」「ツーバイフォー」「木造」「ログハウス」のどれが東日本大震災の時の仮設住宅でニュースなどで「プレハブ」と呼んでいたものに近いかというと「木造」です。
何年か前になくなった元・東大名誉教授で明治大教授だった木構造の研究者・杉山英男先生が、在来木造・ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)・木質パネル構法の3つを、対立的にとらえるのではなく、木構造というひとつのグループとしてとらえるべきだと述べておられたが、私もそう思う。 ところが、一条工務店の創業の頃から在籍している「一条の土台を築いてきた人たち」と自称している人たち、「レジェンド」(キン肉マン、ロビンマスク、テリーマン、ブロッケンジュニア、バッファローマン、ラーメンマン、ウルフマン、ジェロニモ・・・?)は、どうも、在来木造とツーバイフォー工法、木質パネル構法を対立的に表現したがり、「ぷれっはぶぅ~う」とか言いたがったりするらしいのです。 バカじゃなかろかと思うのですが、そういう人たちなのです。
1990年代前半、一条工務店の浜松の営業が、来場客に向かって、軽量鉄骨造による建築現場の仮設小屋で端っこの方が錆びてきているものの写真を指差して、「こういうもののことを『プレハブ』と言うのです」と言っていたのが嘘であるのは明らかです。 よく言うとあきれます。 よく言わせているとあきれます。
「プレファブリケーティッド ハウス」は、主たる構造材から分類するならば、鉄骨系・木質系・コンクリート系に分かれます。 ゼネコンの工事現場にある仮設の詰所・現場事務所の建物は、その分類からいけば「鉄骨系」のもので、「プレファブリケーティッド ハウス」は鉄骨系しかないわけではなく、木質系のもの、コンクリート系のものもあるのです。この点で、まず、間違い。
それならば、鉄骨系の「プレファブリケーティッド ハウス」は工事現場の仮設詰所の建物と同じでしょうか?「工業化住宅」の中でも軽量鉄骨軸組構法のものは、もともとの発祥が、戦後、住宅が普及していない時期に開発されたもので、今後、それが続くかどうかわからないとも言われており、積水ハウスが在来木造のトーヨド建設を買収して積水ハウス木造にして、さらに、積水ハウス木造が定着するとそれを積水ハウスと合わせ、積水ハウスで軽量鉄骨造と木造の両方をやるようになったというのは、積水ハウスとして、軽量鉄骨軸組構造の建物というのが、住宅が普及してきた現在以降においては見通しは明るくないと見ているからではないか?と言われたりもしています。 「工業化住宅」においても、鉄骨系のものは幾分、そういう傾向があるかとも言われてはいるのですが、しかし、そうであっても、在来木造で建てる場合でも、その建物に長く住むという前提で建てる建物と、一時的な、仮の建物では建て方が違うし、費用のかけ方も違い、建物の作りも違うのは当然であり、軽量鉄骨軸組構法のもの、鉄骨ユニット造のものでも、工事現場の仮設小屋と住宅として建てている積水ハウス・ダイワハウスなどの軽量鉄骨軸組構法のもの、積水ハイム・トヨタホームなどの鉄骨ユニット構法のものが同じかというと、同じなわけないじゃないですか。 そうでしょ。
だいたい、建築現場の仮設小屋の写真を見せて、「『プレハブ』とはこういうもののことを言うんです。 ぷれっはぶぅ~う!」て、よく言うよなあ・・。 そういう恥ずかしい発言・態度を情けないと思わないのか。 そういう発言・態度を取ると、競合相手よりも、そういう発言をしている自分自身が恥ずかしい、自分自身が情けない、と思わないか?!?
「ぷれっはぶぅ~~う」とかやってみせる「一条オリジナル」「浜松流」の態度、見ていて、ものすごく卑しい人間に見えて情けないのだけれども、やっている人間はそれが営業として効果があるかマイナスになるかにかかわらず、やっていて楽しいらしい。 なんだかなあ・・・・。
新聞記者やテレビのアナウンサーも表現を気をつけた方がいいと思います。 「プレハブ」というのは、本来、仮設建物の意味ではないのです。 「プレファブリケイティッド ハウス」とは「工場生産の度合が大きい住宅」という意味であって、 「プレファブリケーティッド」という言葉に、「仮設の」とか「一時的な」とか「脆弱な」とか「安価な」とか「耐久性のない」とかいった意味はありません。
最近のヤフーニュースの記事でも、《【千葉魂】 光り輝きだした西野の夢物語 冷蔵庫に貼って読み返した記事 ちばとぴ by 千葉日報 2014年12月31日(水)15時12分配信 》http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141231-00010001-chibatopi-base に
≪もう一つ、がくぜんとさせられたことがあった。2軍球場のロッカー。支配下選手はそれぞれに個別のロッカーが割り当てられ、スペースがあった。育成選手は個別ロッカーではなく、全員で一つのスペースが与えられただけ。「まるでプレハブ小屋だった。そこに10人近くで共有していた」と振り返る。≫と出ていたりするが、この「まるでプレハブ小屋だった」と千葉ロッテマリーンズの西野選手が口にしている「プレハブ」は「プレファブリケイティッド ハウス」のことではなく、「粗末な」「仮設の」「安価な」「耐久性のない」「一時的な」といった意味で使用しており、積水ハウス・ダイワハウス・パナホームなどの鉄骨系プレハブ、積水ハイム・トヨタホームの鉄骨ユニット造、ミサワホーム・ヤマダエスバイエルホームの木質系プレハブ、レスコハウス・大成パルコンなどのコンクリート系プレハブのことを言っているのではなく、構法がどういうものかなどは考えずに口にしています。本来の「プレファブリケイティッド ハウス」の語源から考えた意味とは異なる意味で「プレハブ」という略語を使っています。
浜松から本人の希望で東京営業所に転勤してきたO野田くんが、一条工務店の浜松の営業所の精神的に卑しい営業と似たことをしばしば口にするのは、ああいう卑しい人間の悪影響を受けたものだったのかとわかりました。 一条工務店は、静岡県西部と愛知県に他よりもずっと安い価格を設定してダンピング販売をおこない、静岡県西部と愛知県だけにドカンドカンとテレビ広告を行うなど、差別的な扱いをしてその地域で売ってきたため、自分自身の努力をしないでも売れてしまう人がその地域にはいたようで、そういう人が、「自分が売った」「自分は売れる」と認識してしまって、そういう卑しい売り方をその他の地域の人間に、「営業のやり方を教えてやる」とか傲慢なことを言って「教える」ことがあったようです。 O野田くんもその影響を受けたようで、同時期に入社した東京営業所の人間に向かって、入社して5か月、契約ゼロのO野田くんが「営業のやり方を教えてやる」とか口にして、言われた人間が気分を害しているのを目撃したことがあります。 浜松の営業所にいた、営業本部長のA野T夫さんの「竹馬の友」で小学校の同級生だったというH松さんは、その時点で通算契約棟数2位だったようですが、自分自身が契約を取ることには努力をしたとしても、隣の席に座った新卒入社の新人に、「通算契約棟数2位の人間の隣の席に座っていたとしても、通算契約棟数2位の人間と通算契約棟数2位の人間の隣の席に座っている人間とは別だ」という基本の基本を教える、ということができていなかったようです。 私がH松さんから「構造アプローチ」の話を聞かせてもらった時には、変な人だという印象は受けなかったし、まともな話だったと思うのですが、そのまともな話のできる人が、「ぷれっはぶぅ~う」とかそういうアホなこと言うの、やめろ、と新人にそのくらい言えなかったのか、という気がします。
今は昔、テレビのコマーシャルで、明石家さんま が巨人から阪神に移籍した年の投手・小林 繁の投げ方を真似してみせるということをやっていました。 投げ方の物真似はできたとしても、小林と同じ球を投げることはできなかったでしょう。 『タッチ』という双子の兄弟の漫画がかつてありました。和也は努力家で高校の野球部のエース、達也はなまけもの。 和也が交通事故だかで死んでしまった時、野球部の監督は、試合の時、相手チームにベンチに和也がいると思わせたいからと見た目がそっくりの達也に和也のユニフォームを着てベンチに座らせるが、9回の裏、ピンチになった時、達也はすくっと立ち上がり、マウンドに向かうので、周囲は、もしかして、達也はどうしようもないなまけもののように見えていて、実は和也と同等の投球ができるのか? という気持ちになりますが、マウンドでふりかぶると和也とそっくりのフォームですが、投げようとした瞬間、その場でひっくり返って尻もちをついて笑いものになる・・・という話があったと思います。 通算契約棟数2位の人の隣の席に座って、一生懸命、2位の人の物真似をしたとしても、物真似はしょせん物真似であって、自分自身で、「なぜ、売れないのか」「なぜ、売れるのか」「どうしたら売れるのか」と考えてやった者と同じことができるわけではない、ということをOくんは教えてくれた、ということでしょう。 Oくんは「一条工務店のタッチ」だったようです。 一条工務店でその当時、通算契約棟数1位だったK藤さんが、中途入社して1年ほどの人の研修の講師役に来て、「一通り、売ったら、そこから先は、どんなに実績のある営業とも横の関係で、そこから先は自分で考えてやるしかないですね」というようなことを話したと、その研修に参加した人から聞いたが、私もそう思う。 営業というものは、基本的には自分で考えてやるしかないし、自分で考えてやるしかないという認識の者が、ある程度以上実績を残している人のやっていることを見て観察してそれを取り入れるなら取り入れることができるであろうけれども、実績ゼロの人間が物真似やっても、しょせん、明石家さんま のピッチング でしかないということでしょう。
Oくんは、客と話していても、時々、「ふふん」と鼻をならして相手をバカにするようなしぐさをすることがあり、どうも、当人は、H松さんが、こちらは「客の機嫌をとる営業」ではないと示すために、そういうことを客と話す時にやってみせていると思って真似ているらしく、東京営業所にいたH部が、「H松所長くらいの年齢の人ならそれもいいかもしれないけれども、20代前半のO野田くんなら、それはよくないかもしれない」と言っていたのだが、私はH松さんの「構造アプローチ」を見せてもらったことがあるが、H松さんはそんなことはやっていなかった。 それはO野田くんのオリジナルだろう。 自分自身で「なぜ売れないのか」「なぜ売れるのか」「どうしたら売れるのか」と考えるという経験のない人間に、「通算棟数2位の人間の隣の席に座らせれば通算契約棟数2位」と同じだけの能力がつくだろう、などとアホなことを考えてすると、そうなってしまうのかもしれない。
(2014.12.28.)
次回、[第308回]https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_7.html、は、「営業本部長直伝」の「デマカセ構造アプローチ」他。
☆ 教える気がなくなる新人
(1)-1 木を人工乾燥しても濡れたり湿度が上がれば一緒?なわけないでしょ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_3.html
(1)-2 木質パネル構法と在来木造の木の使用量、筋交いは削っていいか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_4.html
(1)-3 他社について嘘を教える研修、学ばない者が「知らない」のは本人が悪い https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_5.html
(1)-4 今回。
(1)-5 コンパネや集成材はぬるま湯につけると接着剤がはがれるか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201412article_7.html
(2) 現実の見込客を見ずに、「研修」で教えられたものを信奉する営業の愚かさ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_1.html
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