なぜマンションのキッチンは対面式か。「東京では最近はキッチンは対面式と決まってる」か? え?
[第325回]
【3】 「東京では、キッチンは対面式と決まってる」か? なぜ、マンションのキッチンは対面式なのか。
≪1≫
最近では、「システムキッチン」という言葉が普通に使われているが、1980年代の後半に住宅建築業の業界に勤めた時、「システムキッチン」というこの言葉はどういう意味なのだろう、単に「キッチン」と言うのとどう違うのだろうかと思った。 もともとは、「システムキッチン」というのはドイツから伝わったものでシステムキッチンという言葉は日本で作られた和製の言葉らしく、ひとつのシステムに基づいて自由に組み立てていくキッチンということで、そのシリーズで決まっているボックス・吊戸棚・天板・食洗機やオーブンなど住設機器などを組み合わせて設計してその家の独自のキッチンを作っていくというものを言い、「キッチンスペシャリスト」という民間資格はシステムキッチンの設計をおこなう人の資格です。 かつて、私が接した人材紹介会社のおっさんが「キッチンスペシャリストなんて、キッチンメーカーの販売員の資格ですよ」と言ったことがあったが違います。販売員が持っていて悪いことはありませんが、キッチンメーカーのショールームに行って、販売員の人がキッチンスペシャリストの資格を持っているかというと持っていない人が大部分です。キッチンスペシャリストは、販売員の人 全員が取得できるような簡単な試験ではありません。キッチンスペシャリストの試験を知っている人はわかっていますが、キッチン製図は一般の建築製図と異なり、1級建築士でもキッチンスペシャリストの製図試験は簡単にはできないはずです。 人材紹介会社のおっさんていいかげんだなと思います。人材紹介会社でも、良心的な人もいますが、けっこういいかげんな人もいます。
もともとは、システムキッチンというのは、そうやって各部材を組み合わせて設計して各家庭の好むキッチンを作っていくというものを言うのですが、最近、ハウスメーカーが「標準仕様」として取り付けているものは、「簡易型システムキッチン」と言って、本来のシステムキッチンのように、各部材を基に新たにキッチン設計をしてキッチンを構成することをしないで、すでに、幅は270センチとか250センチとか決まっていて、部材の構成・配置も決まっており、そこを、天板をステンレスにするか人口大理石にするか選択したり、オーブンを組み込むか否か決めたり、吊戸棚の高さを選択したりと、いくつか選択項目があって選ぶというその程度の自由度のもので、天板(カウンター)がつながっているものを言い、天板が分かれている「セクショナルキッチン」と区別しています。「簡易型システムキッチン」のことを「システムキッチン」と言っているハウスメーカーがけっこう多いことから、そういうもののことを言うのかと思い込んでいる人がいますが、本来はそうではありません。
ハウスメーカーで「簡易型システムキッチン」を「オリジナル」と称して採用している所がけっこう多いというのは、キッチン設計は一般の設計と同じではなく、建築学科を卒業して建築士の資格を持っている人でもできない人が多く、自社にキッチンスペシャリストもしくは同等の能力のある人がいなければキッチンメーカーに依頼してやらないといけないことになりますが、そういった手間をかけたくない会社では「オリジナル」と称して「簡易型システムキッチン」をとりつけさせようということになり、又、キッチン設計をする者の能力が十分でなくても、簡易型なら最高でなくてもそうおかしなものはできないというメリットもあります。
※ 「キッチンスペシャリスト」については、
《インテリア産業協会 キッチンスペシャリスト》http://www.interior.or.jp/ks/
少々、話がそれましたが、そのシステムキッチンの配置ですが、「建築もやっているが、売買の不動産業が主で、建築は建売・建築条件付き、建築条件のない土地を仲介した人に建物も建ててもらう、中古住宅を仲介した人が建替える際に建てさせてもらうといった『土地がらみ』がほとんど」だった千葉県八千代市に本社がある東海住宅(株)(http://www.10kai.co.jp/ )の千葉市花見川区のH見川店にいた時、店長になっていたO友さんというおばさんが「今はねえ、東京(圏)では、キッチンは対面式と決まってるのよ。なんで、そんなこともわからないのよお」とのたまわれたことがあったので、キッチンスペシャリスト有資格者として「わかってたまるか」と思ったことがありました。 おばさんは頭がかたい。 そして、建売屋・不動産屋の認識なんてそんなもので、建売屋・不動産屋の建物なんてその程度ということでしょう。 実際、東海住宅の建物はその程度です。
最近、システムキッチンのボックスの下の幅木の部分をスライド式で引き出せる収納にしているものがほとんどとなった、というより国産のシステムキッチンはすべてがそうなっているのではないかと思います。 かつては、床の上のボックスは、
(1)台輪(だいわ)の上にボックスを載せ、台輪の前に幅木をとりつけるもの、
(2)ボックスの下にアジャスターがついていてアジャスターで高さを調節し、前面に幅木をとりつけるもの、それに
(3)ボックスと幅木の部分が一体化したものの3種類があって、
(1)は台輪の高さを変えることで天板(カウンター)の高さを変更することができ、(2)はアジャスターによって床がいがんでいても調整することができ、ボックスの下の幅木部分が少し奥にへっこんでいるのは足のつま先がそこに入りカウンターに近づくことができることとともに、台輪・アジャスターで高さを調節し床のいがみに対応することができたのですが、この(1)(2)の方法だとその幅木部分にスライド式の収納を設けるということはできません。 2000年頃まで、一条工務店で「オリジナル」の(簡易型の)「システムキッチン」でアジャスター型を使っていたのは調整しやすいからだったはずです。 スライド式の収納を設けるには一体型にするしかない、台輪型・アジャスター型ではスライド式収納はできないのですが、一体型の欠点としては、(1)台輪の高さでカウンター(天板)の高さを調整することができないので、カウンターの高さを2種類・3種類設定したい場合はボックスも2種類・3種類のものを用意しなければならない、(2)床が厳密に水平でない場合はどうやって調整するか、という問題があるのです。 床が厳密に水平でない場合、床を作り直す? それが嫌だから一条工務店はアジャスター型のキッチンを「オリジナル」で採用していたわけです。 ずるいというのか頭がいいとほめるべきか・・。
船橋のリクシルのショールーム(http://showroom-info.lixil.co.jp/kanto/lixil_funabashi/ )に行って、おねえさんに、「床が水平でない場合、一体型のものはどうやって調整するのですか?」と質問してみたことがあるのですが、「大工さんに床を水平に作ってもらうとか・・」とか言うので、でまかせ言うな、コラ! と思ったことがありました。だいたい、建物の床がどこもが厳密に水平にできているという保障はないのです。最初は水平にできていてもそのうちいがんでくることもありますし。 リフォームなどでは、傾いている家につけてくれと言われることもあります。 2006年、千葉県のリフォーム屋 ウッディホーム(株)(http://www.woodyhome.com/ )の船橋店(http://www.woodyhome.com/store/funabashi-branch/ )にいた時、E藤という男(50代なかば。当時。)が、はっきりと傾いている家に、800万円を超すリフォームをさせて社長から「E藤くんが高額物件の契約をとった」とほめられ、「高額物件のE藤くんだ」とか言われていましたが、どう考えても解体して建替えた方がいいと思える、中程度以上の地震で倒壊の可能性が十分考えられる家に、それを言わずに800万円を超すリフォームをさせるというのは、結論として、サギ! です。 その部分においてウッディホームは詐欺師です。 これは、建て替えた場合はこのくらいの費用になり、リフォームでこれだけの金をかけるなら、建て替えた場合とそれほど変わらないと思いますよ、ときっちりと説明するべきで、それをしないで、「だまっておけばいいだろうが」と言って傾いている家を、お施主さんが「E藤さん、この家、傾いてないかしら」と言っても、「傾いてないですよ。ぜ~んぜん」としらばっくれて、肉眼で見てはっきりと傾いているのがわかる家に高額のリフォームをかけさせるE藤とウッディホームは良心的と言えません。
しかし、一通り、きっちりと説明しても、それでも、そこをリフォームしたいという方もあります。 いがんでいるのはその場所の床だけで他は使える場合もあります。 そこにキッチンをとりつけたいという場合でも、「大工さんに床を水平に作ってもらうとか・・」とリクシルのねーちゃんは言うのでしょうか? というか、リクシルの船橋ショールームはその程度の回答しかできない人しかいなかったのです。 クリナップの千葉のショールーム(http://cleanup.jp/showroom/info/kanto/chiba.shtml )で同じことを質問してみたところ、クリナップでは、そういう場合用に、間にはさむパッキンを渡しているという説明をおじさんからいただきました。 その高さを調整するパッキンをキッチンメーカーの方で用意するのか施工する建築会社・工務店の方で用意するかはさておき、一体型のボックスの場合は、そのやり方しかないでしょう。 リクシルは、ショールームのおねえちゃんに、わからない場合は、適当に思いついたことを言うのではなく、「私はわかりません」と言うように指導した方がいいと思います。
キッチンの配置はどういうものがあるでしょうか。
キッチンスペシャリストハンドブック編集委員会『キッチンスペシャリストハンドブック』1991.3.第3版 日本住宅設備システム協会)を見ると、「[2]キッチンのレイアウト」の項に、「キッチンレイアウトの基本パターン」の図が図Ⅲ‐20として出ていますが、I 型・II 型・L型・U型 の4種類のそれぞれに、基本形・ペニンシュラ型・アイランド型があり、さらに、図Ⅲ‐25として、「キッチンルームの大きさとレイアウトパターン例」が、4.5畳・6畳・8畳・12畳・14畳の場合にI 型・II 型・L型・U型・アイランド型のキッチンとした場合にどうなるかといったことが出ています。 キッチンとダイニングを合わせてそれほど広いスペースがとれない場合には、U型のキッチンではカウンター部分で食事をするしかなくなります。
キッチンとダイニングを合わせてそれほど広い面積がとれない場合、ダイニングキッチン形式にすれば広くつかえるものを、キッチンとダイニングを分けることで、どちらもが狭い使いにくいものになる場合もあります。 対面式はある程度の広さがとれてこそのもので、あまり広いスペースがとれないのに無理に対面式にして使いにくいものにしてしまうこともないと思えます。
小堀住研にいた時、配布された『営業マニュアル 知識編』(1989.)では「キッチンのスタイルの種類とその特徴」として、1.I 型、 2.Ⅱ型、 3.L型、 4.U型、 5.アイランド型 をあげ、 ダイニングとキッチンのレイアウトとして、1.オープンタイプ、 2.クローズドタイプ(独立型)、 3.セミオープンタイプ、 をあげ、さらに、U型オープンタイプ、 L型クローズドタイプ、 対面式セミオープン、 U型セミオープン の図が掲載され、≪ファミリーダイニング・フォーマルダイニングという欧米式のプランが大型住宅では、考えられることがあります。≫と出ています。
『キッチン・浴室・水回り ベストプラン メーカー別・価格帯別 最新商品総カタログ』(1993.9.1. 学習研究社)にも、「満足度100%の台所づくり45ポイント」の「Part2 プラン」の「14 レイアウトの基本パターンは5つ」として、I型(直列型)・II型(並列型)・L型・U型・アイランド型の5つについて、長所と短所が述べられています。 又、「Part 1 ゾーニング」では、LDKタイプ ・ DK+Lタイプ ・ K+LDタイプ ・ K+D+Lタイプ の特徴が述べられています。 それぞれに特徴があり、すべての場合に絶対にどれがいいとは決まっていません。
女性建築技術者の会(今井淳子・大宇根成子・小渡佳代子・西條由紀子・島田真弓・野白麻里子・原田愛子・東由美子・矢賀雅子・吉田はるみ・度会有子)『いきいき さわやか ダイニング&キッチン』(1988.6.20.経済調査会)にも、さまざまな例が出ていますが、当然のことながら、「キッチンは対面式と決まっている」などというようなことはありません。
1960年代の終わり、私が小学生の時に親が小堀住研で家を新築した際、「リビングルーム」「ダイニングルーム」と図面に書かれていたので、「リビングて何やあ?」ときくと、「応接間のことや」、「ダイニングて何やあ?」ときくと「台所や」と誰かが教えてくれた記憶があるのですが、「リビングルーム」と「応接間」はまったく違うわけではないが同じではないし、「台所」は「ダイニング」より「キッチン」でしょう。 まだ、「キッチン」「ダイニング」「リビング」という外来語が人口に膾炙していない時代において、「設計の小堀、デザインの小堀」とか言っていたわりに、そのあたりをきっちりと説明せずに外来語で図面に表記していたのは今一つ親切とは言えない。 その結果、我が家は「リビング」という名の応接間ができ、「ダイニングキッチン兼茶の間」のダイニングルームができて、結果として変な間取りになった。 我が家は新築する前に住んでいた家では、玄関の脇に「応接間」があり、台所の続きに食事用テーブルのあるスペースがあって隣に茶の間があったのです。 「応接間」と「茶の間」は別で、「応接間」は来客用と父がステレオを聞く部屋でした。 施主の生活形態も聞かずに設計した当時の設計担当者・営業担当者は、そのあたりベストであったとは言い難い。
K・D・L で、この「L」(リビング)とは「応接間」なのか「茶の間」なのかによっても作り方は変わってくると思います。 茶の間的な「リビングルーム」だけれども来客を通すこともあるのか、来客を通すことは基本的にはない茶の間専業の「リビング」なのかによっても変わると思います。 来客のことなんか考えて建てる余裕はないという人もあるでしょうし、来客があっても、ダイニングに通す家もあり、ダイニングに来客を通すからこそ、キッチンとダイニングははっきりと分けたいという人もあるでしょう。
それで。 「対面式キッチン」がずいぶんと話題になってもてはやされた時期がありましたが、なぜ対面式がいいのかというと、主婦が食事の用意や食後の洗い物をやっている時に、家族がテレビを見ている時に疎外されない、食後に家族がテレビを見ていてその時に洗い物をしていても、キッチンのシンクの向こう側にダイニングとテレビがあれば一緒に見れて話題に入れるという説。 小さい子供がダイニングで遊んでいても、ダイニングキッチン形式で壁に向かってシンクやコンロがあると背中の後ろに子供がいるので子供の様子がわからないが、対面式だとシンクの向こうにダイニングがあるので、ダイニングで遊んでいる子どもの様子がわかるので安全だという説があるようです。
確かにそういうことはあるかもしれません。 もっとも、私などはテレビをそれほど見ないし、テレビを日常的に見るのが習慣となっているというのはテレビにマインドコントロールされたファシズムの社会であることを示しており、文化的に好ましい状態ではないし、家族が集まる場合でも、何を中心として集まるのかという時、テレビを中心に集まるというのは本来的ではないと思っているので、テレビを見れなくてもいいではないかとも私は思うし、テレビを見たいなら見たい者が見ればいいのであって、みんなで見るものでもないように思います。
それで、対面式だと「子供の様子がわかる」という説ですが、これはまったくあてはまらないわけではなく、そういう面もあるとは思うのです。 しかし、小さい子供がダイニングルームで遊んでいる時に、食事の用意をキッチンでやっている時、安全面から対面式が最高かというとそうとも言えないように思うのです。
なぜか。
↑ これは、女性建築技術者の会『いきいきさわやか ダイニング&キッチン』1968.6.20.経済調査会)に「3.外の気配が伝わるキッチン」として出ている図です。 キッチンがダイニングとリビングの中間付近に横つながりになっています。
さらに、↓ の2つを見比べてみていただきたいと思います。 ↓の上の方が「対面式キッチン」。 ↓の下の方がキッチンとダイニングが「横つながり」の例です。
↑ 「対面式キッチン」が絶対に悪いとは言いません。 しかし、対面式キッチンだと、キッチンで調理している時に小さい子供がダイニングルームで遊んでいる時に、壁に向かって子供に背を向けて調理するキッチンと違って子供の様子がわかるので安全だ」という説については、絶対的に肯定もできないようにも思えるのです。 ↑の下の方の「横つながり型」だと、ダイニングルームはシンクやコンロに向かった時、右横の位置で、背中の後ろではないのでまったく見えないことはありません。対面式はダイニングが正面になるのでよく見えるかもしれませんが、「危ない」と思って助けに行こうとした時、ぐるっとまわらないと行けないのに対し、 「横つながり型」だと一直線で行ける、という面もあるのです。 これは誰に聞いたかというと、一条工務店にいた時に私が営業担当で建てていただいた入居者の方で、対面式がいいかとも検討して結果として「横つながり型」で建てていただいた方の奥さまから入居後に話していただいたことです。
又、対面式キッチンは、キッチンが窓から遠い位置に来るため、天窓を取るなどした場合でなければ、窓に面したキッチンに比べてカウンター部分が暗くなりがちです。
対面式が絶対に悪いわけではありません。 しかし、絶対にいいわけでもないのです。
私の手元には、『住宅の新築プラン500選』(1992.改訂新版 講談社)・『間取り情報200』(1992.第二版 住宅金融普及協会)といった本もありますが、当然ながら「キッチンは対面式と決まってる」などということはありません。さまざまなキッチンが掲載されています。
女性建築技術者の会『いきいきさわやか ダイニング&キッチン』の「3.外の気配が伝わるキッチン」でも、≪子供たちは大きくなり自分たちの世界にはばたき、夫は仕事で遅くなりがち、専業主婦は孤独です。 特に夕方、あたりが暗くなり始め、いつ帰るかわからない家族を待ちながら夕食の仕度をしているとき、たまらなく寂しくなるというH夫人。こんなとき、少しでも外の気配が感じられたら気が紛れるのではないかと、道路の見える位置にキッチンを配置しました。 道路との境界の塀もコンクリートに穴のあいたスケスケのブロック(ホロスコーブブロック)です。 ・・・≫と出ています。 小さい子供の様子がどうという問題もあるでしょうけれども、他に家族がいない時、誰もいないダイニングに向いて調理するより、道路でも庭でも外が見えた方がいいのではないのかという面もあると思うのです。
だから、「今の家は対面式と決まってる」などということはないはずなのです。 そんなこと、不動産屋のおばさんに決めつけられる筋合いはないはずなのです。
東海住宅の店長のO友さんは「対面式キッチン」という時、II型かU型のキッチンで、シンクとコンロが1列に並んだキッチンがダイニングの方に向いていて、その背面に食器棚か、それともカウンターがある床置きボックスと吊戸棚があるものと決めつけているようですが、II型・U型のキッチンの場合、シンクとコンロが1列に並ぶとは限らないのです。シンクとコンロが逆側の配置というのもありうるわけです。 システムキッチンの面白さというのか自由なところとして、さまざまなあり方が考えられるのですが、なにゆえ、おばさんはシンクとコンロは同じ側に1列に並ぶものと決めつけているのでしょう。
私が、このあたりを理解しているのは、↑に出した『キッチンスペシャリストハンドブック』や女性建築技術者の会『いきいきさわやか ダイニング&キッチン』や『キッチン・浴室ほか水回りベストプラン』や小堀住研の『営業マニュアル知識編』などを読んで学習して考え、キッチンメーカーのショールームに足を運んで見学してきたからであるとともに、女性の家族や会社の女性の従業員に意見を聞いたり、お客様、特に入居者の奥さんに使ってみてどうだったか意見・感想を聞いてきたからです。 女性の「営業」や「設計」の人には、「女だから女の気持がわかる」と主張する人がいるのですが、このおばさんにしても、わかっているのは女である自分の気持であって、自分以外の女性がどう思うかわかってないのではないのか? と思える人がけっこういます。 東海住宅のO友さんは、「今はねえ、キッチンは対面式と決まってるのよ。どうして、そんなこともわからないのよお」とかおっしゃるのですが、なぜ、そういうことをのたまわれるかと言いますと、結論として、(1)アホだから。 そして、(2)マンション住まい だから、かもしれません。
昔から、家を自分で建てたことのある人に頼みたいというお客様はけっこうありますが、若くて、将来、自分もこんな家を建てたいなあ~あ・・と思っている人と、ある程度以上の年齢になっていて、家を取得した経験はあっても、自分が今後、家を建てることはないだろうとあきらめている人とどちらがいいかというと、それはなんとも言えないところがありますが、戸建住宅を建てる場合、戸建てとマンションの両方に住んだことがある人ならいいと思いますが、マンションにしか住んだことのない人と戸建住宅に住んできた人となら、マンション住まいしか経験のない人に戸建住宅の設計や営業をやるのは、かなり無理があるのではないのかという気もするのです。
東海住宅のO友さんが「最近は、キッチンは対面式と決まってるのよお。どうしてそんなこともわからないのよお」とのたまわれたのは、(1)アホだから、ですが、ひとつには、しょーもないところでカッコつけるからだと思うのです。 「オットが小堀住研で設計課長やってました」「オットが設計事務所やってました」と何度も何度も言うので、最初は自己紹介として言っているのだろうと思っていたのですが、あまりにも何度も何度も言うので、この人は「オットが~」と言うことで自分を評価してほしいんだな、と気づきました。 結論を言うと、「オットがヤクルトスワローズの監督やってました」とか「オットがインドネシアの大統領やってました」とかいってテレビに出るおばさんと一緒だったのです。 たしかに、野村克也さんはヤクルトスワローズの監督をやっていた9年間で、4度、セリーグで優勝し、そのうち3度、日本シリーズでも優勝しました。たいしたものです。 「長嶋のおかげで優勝できた。長嶋さまさまや。わしぁ、長島大好きや」というセリフも、いわば、モハメド=アリの毒舌のように、毒舌を吐いた上で、その相手を、FA制度で選手を引き抜かれた側のチームが引き抜いた側のチームを試合でコテンパンにやっつけるのですから、アンチ巨人にはこたえられないものでした。 しかし、「野球は弱い方が勝つからおもろいんや」と野村が発言した頃のヤクルトは弱いどころか、無茶苦茶強かったのですが、その強いヤクルトの監督をやっていたのは野村克也さんであって、その嫁はんではないのです。 インドネシアの大統領の第2だか第3だかの「夫人」だったとしてテレビに出ているおばさんも、おばさんが大統領だったわけではないのです。 同様に、「オットが小堀住研の設計課長やってました」と言われても、「ああ、そうですか」と言うしかないのです。「ああ、そうですか」と。 かつて、まだ、「高級住宅の小堀」であった頃の小堀住研で設計課長をやっていたなら、オットはそれなりの設計力の持ち主ではないのかと推測できますが、「オットが」でしょ。 ヤクルトスワローズの監督やって3度日本一になったたのは野村克也さんでしょ。嫁はんじゃないでしょ。 何度も何度も「オットが小堀住研で設計課長やってました」という文句を聞かされて、もう、嫌んなっちゃった。 うるさい。 一度、そのオットに、小堀住研で建物だけで1億超えの家建てる客に「今はねえ、キッチンは対面式と決まってるのよ。そんなこともわからないのお」と言ったかどうか、尋ねてみた方がいいと思うのです。 そんなアホなこと、言ってないと思いますよ。 オットは。 「技術の小堀、デザインの小堀、設計の小堀」と言っていた小堀住研で自社が従業員に配布していた『知識マニュアル』の記述に反するようなことを設計課長は言わないと思いますよ。
≪2≫ なぜ、マンションのキッチンは対面式になっているか。
住友不動産・大京・三菱地所レジデンスのマンションの建築工事に「施工管理」として携わりました。 「派遣の施工管理」というのは、結論として、建築現場の雑役労務者を「施工管理」だと強弁して派遣しているのであって、実質、施工管理ではありません。 施工管理の仕事をする人間が必要なら、建設会社は自社で施工管理の人間を雇えばいいのであって、それを自社で雇った人間と別に「派遣の施工管理」を雇うのはなぜかというと、やめさせたい時にいつでもやめさせることができる便利使いの雑役労務者を派遣で欲しいからで、建築現場での雑役労務者の派遣は法律で認められていないので「施工管理」だと強弁して雇っているのです。かなり、悪質です。
そういうものと知らずに、本当に施工管理だと信じて、また、最初は派遣の募集だとも思わずに応募して、「派遣の施工管理」をやり、建築現場で怪我までしました・・・が、その結果として、工事中のマンションを自分の足で歩き、自分の眼で見る機会を得ました。 その結果、思ったこととして・・・・、 「マンションなんて、よく、あんなもの住むなあ」というのが、鉄筋コンクリート造のマンションの躯体工事が終わった頃の状態を見た感想です。 コンクリートの躯体だけの状態のマンションを見ると、そう思いますよ。 本当に。
それで。 まず、戸建住宅を建てる場合の配置を、南道路の場合と西道路の場合の例を示します。↓
南北に長い敷地であれば、北に建物を寄せて南に庭を残し、特に南からの採光を確保しますが、東・西・北にも窓を取れます。東か西に道路があれば、道路の側の窓から採光を取れます。 西道路の場合、北西に建物を寄せれば、東と南に採光を取れる窓を確保できます。 北側の窓は軽視されがちですが、1日中、光の強さがそれほどかわらず、北向きの部屋は読書・学習をするには適しており、書斎などには北向きの部屋は向いています。
一般に、東西に長い長方形、もしくは、それに「張り」を加えた形にする場合が多いのですが、敷地が狭い場合など、そうできない場合もあり、我が家などもそうなってはいませんが、いずれにせよ、戸建住宅の場合は、隣家までとの距離をどれだけ確保できるかという問題はあるものの、東西南北の4面に窓を取ることができ、敷地の条件が許す限り、庭の配置で調整することで、できる限り南面を長く取ろうとします。
次に、マンションを建てる場合の配置を、これは、埼玉県川口市のK口土木建築工業(株)が建てた埼玉県蕨市での住友不動産(株)のマンションの例を示します。↓
↑ 東西に長い建物で北側に通路があって南にベランダが配置される建物が南に、南北に長い建物で東に通路があって西にベランダが配置される建物が西に、西に通路があって東にベランダが配置される建物が東に建てられています。
わかりやすい例として、この南側、東西に長い棟で、どういう間取りの部屋ができるかを考えてみましょう。↑ 建物自体は東西に長いのですが、北側に共用部分の通路が設けられ、南にベランダを取ってベランダでは隣家との間は間仕切りが設けられます。(この間仕切りは火災などで避難する時は破ることができるような作りのものです。 「本当にあった笑える話」には、この間仕切りを破って、嫁さんに包丁を持って追いかけられてきた隣の夫が逃げ込んできたという話が出ていましたが、そういう間仕切りの破り方はいいのか悪いのか・・・。たしかに、緊急時は緊急時ではあるでしょうけれども・・・・・。)↓
↑ マンションの場合、この東西に長い棟の場合で考えて、各部屋の専用スペースは、南北に長いスペースになり、かつ、東面・西面は隣家の区画があって、東に窓が採れるのはその棟の一番東の区画だけ、西に窓が採れるのはその棟の一番西の区画だけなので、中ほどの区画では 窓が採れるのは、南のベランダの側と北の通路の側だけなのです。
そうなると、↑の図のように、南の掃出し窓の採れる側に2部屋、北の通路に面して腰窓を取れる部分に2部屋、間の窓のない部分の片側に浴室・洗面脱衣室とトイレを持ってくるしか、間取りの取りようがないのです。 ↑のような間取りの取り方か、そうでなければ、左右(東西)が反転したものかいずれかしかないと思います。 建築基準法の居室の採光面積の規定もありますが、法律上の採光面積を満たすことができなければ、「納戸」ということにして部屋を作るという方法もあるのですが、法律がどうかよりも、実際に住む場合、居室の場合は、やはり、窓が1面には欲しいはずなのです。 そうなると、中央部の窓のない部分の片側に風呂・浴室・トイレを持っていくとして、LDKを南のベランダ側の掃出し窓のあるスペースの片側に持っていき、後の3部屋は、南の掃出し窓のあるもう片側と、北の通路に面した腰窓のあるスペースに2部屋。 これしか、やりようがないと思うのです。 そうなると、南のベランダに続く掃出し窓の採れる片側にLDKを取るとした時、「リビングダイニング」(LD)は中ほどではなく窓に近い側に取りたいはずです。 とすれば、キッチンは中ほどの比較的暗いエリアに回ってくるのです。 それなら、せめて、南の窓の側、リビングダイニングの側を向いて作業をするようにしたい・・・・となると、結果として、「対面式キッチン」になるのです。 窓のある部分に個室を3部屋とって、残る1部屋の部分にLDKを持ってきた上で、窓に近い場所にLDを配置すれば、K(キッチン)は窓から遠い部分になり、対面式にするしかないわけです。 対面式がいいとか悪いとかいう問題ではないのです。
東西に長く、北側に東西の通路があって北から入り、南にベランダがある部屋の場合で述べましたが、南北に長い棟で、東に通路・西にベランダ、西に通路・東にベランダという場合は、南にベランダのある部屋よりさらに間取りは取りにくく、人工照明とエアコンに頼る生活になると思いますが、キッチンが中ほどに来て対面式にせざるをえないという点は同様のはずです。
戸建住宅とマンションでは、この点で違いがあるのです。戸建住宅の場合は、キッチンは対面式にすることもできるけれども、そうでないキッチンにすることもできる。 又、戸建住宅では、敷地と建物の配置、LDKの広さによって、対面式にした方が間取りを取りやすい場合もあれば、対面式キッチンでない方が間取りを取りやすい場合もある。それに対し、マンションでは、専有面積が相当に広い億ションでは事情も違うかもしれませんが、一般的なマンションでは、↑に述べた事情から、キッチンは対面式にせざるをえないのです。
それで。 そういうマンションのキッチンを見慣れた「不動産屋のおばはん」には、「最近はキッチンは対面式と決まってるのよお。なんで、そんなこともわからないのよお」と言いだす人も出てくるようです。 自分がそういうキッチンしか見てないのでしょう。 自分が精神的に貧困なのでしょう。
東海住宅(株)の設計のSは、千葉県佐倉市上志津で、東西に長い約40坪の整形の土地に家を建てるのに、わざわざ、玄関はいったらまずキッチン。 キッチン通ってダイニング。 その向こうにリビングと和室、というアホちゃうか!?!という設計をしていましたし、他でも、八千代市で、玄関はいってキッチンの横を通ってダイニング、ダイニングを通ってリビングという、もうちょっとやりようがあるだろうがという間取りの家を設計しており、こんな男、「設計」と言えるかと思いましたが、もしかすると、東海住宅の設計のシンもマンション住まいの人間で、「キッチンの横を通ってリビングに行くというのが普通」という感覚を身に着けてしまっていたのかもしれません。 マンションの場合は、マンションの性質上、やむをえず、そうなっているのであって、戸建住宅ではそんなの普通じゃないのです。 それがわからない人がいたとしても、一般の人でわからない人がいるのは仕方がないとして、戸建住宅の設計や営業の仕事をしている人間がわからないというのは困りものですが、現実にわかっていない人がいるようです。 自分がマンション住まいだから戸建住宅のことがわからないという人は、あえて、戸建住宅の仕事をしなくてもいいのではないのかとも思いますが。
そういえば、東海住宅(株)のO友さんは、「東京都や千葉県では最近はキッチンは対面式と決まってるのよ。」という主張とともに、「千葉県で家を建てる人は40坪以下の土地と決まってるのよ。50坪以上の土地に家を建てる人なんて千葉県ではあるわけないのよ。どうしてこんなことがわからないのよお」とも口にしたことがありましたが、私は小堀住研でも一条工務店でもそれぞれで東京都・千葉県で家を何軒か建てていただきましたが、いずれも50坪以上の敷地で建てる方ばかりでした。 所属会社の違いという問題もあるとしても、「40坪以下の土地でしか建てる人がない」のはO友さんが担当の場合の話で、40坪超の土地で建てる人がO友さんを担当で契約しないのは、O友さんが避けられているのです。広い土地で大きな家を建てる人が東海住宅の建物では嫌だというのであれば、東海住宅は不動産屋ですから土地だけ仲介することもできるのです。 「精神面が貧困なやつは、高額物件、大きな物件の契約は取れない」と小堀住研の最初の研修の時に言われたのですが、これはあると思います。 O友さんは自分がそれにあてはまっていると認めるのは嫌でしょうけれども、認めたくなければ認めなくてもいいけれども、事実がそうなっています。
東海住宅(株)で、当時、建設部担当の取締役で後に社長になった人相と目つきの悪いO澤は(HPによると、さらに、現在では別の人間が社長になったらしいが)、「うちだって、カネさえかければ、小堀住研や一条工務店に劣らないものを作ることはできるんだ」と言っていましたが、この文句は、千葉市中央区鵜の森町の新華ハウジング(有)[建設業]・ビルダーズジャパン(株)[不動産業]の社長の長○川S二も口にしたことがあり、安物屋の社長がよく口にする文句ですが、↑のように「東京ではキッチンは対面式と決まってる」とかアホなことをふんぞり返って言っている「不動産屋のおばはん」が営業やって、それと同程度の「玄関はいったらまずキッチン、キッチン通ってダイニング、ダイニング通ってリビングに和室」という変な間取り作ってる男が設計やってる会社でそういう担当者に「同等のもの」ができるかというと、できないと思いますよ。 カネかけても、それを作る能力のある人間がいないとできないと思いますよ。桂離宮はカネかけたから桂離宮ができたのではないのです。 小堀住研(株)の後継会社のヤマダエスバイエルホーム(株)もヤマダ電機の1階にヤマダエスバイエルホームの広告で、「小堀の家」として、昔、小堀住研(株)が「高級住宅の小堀」であった頃の住宅展示場の写真を載せていますが、たとえ、カネかけても、今のエスバイエルホームにそういう建物を作る力はないと思いますよ。
最近、I H調理器が流行してきたところに、福島第一原発の事故で、かつて、阪神淡路大震災の時には、都市ガスより電気の方が復旧が早かったとか言われたりしたのが、福島第一原発事故の後では、むしろ、ガス・電気に分けておけば、どちらか片方でも使えたものを、「オール電化」にすると電気が使えなくなるとすべてが使えなくなる事態にもなり、電磁波の危険性とともに、I H調理器についても見直されてきましたが、 「オール電化」とI H調理器というのも、もしかすると、マンション、あるいは高層ビルの場合、電線の方がガス配管よりも配線がしやすいということでもあるのではないか、そのあたりから、広めようとする人たちが出てきたということはないか? という気もしているのです。
マンション住まいの人には、戸建住宅の特徴がわからない場合があるらしい、というのは、キッチンの配置だけではありません。 他にもありますが、今回はここまでにして、別稿で述べます。
千葉市中央区鵜の森町 の新華ハウジング(有)[建設業]・ビルダーズジャパン(株)[不動産業]で、2010年から2013年、「工事責任者」を自称しながら工事に責任ある態度を取らないU草A二(30代なかば。当時)が「ぼく、営業やったことないですけど、営業できますもん」と勝手なことを大声で何度も叫んでいたのだが、ここで述べたようなことは、私は何十年と住宅屋に勤めて、一方で書物で学び、各メーカーのショールームに行って学ぶとともに、実際にお施主様と接してお施主様から意見・感想を聞いて学んできたものです。住宅屋の営業はコンサルタントでありカウンセラーだと思いますが、こういった経験から身に着けたもの無しで、いったいどうやって、「営業できる」のか。 まったくつくづく、このブタ、相当長生きするだろうなあ・・という気がします。 一回、スピニングトウホールド でもかけてやった方が本人の為かとも思うのですが、これだけ無神経な人間は、その程度ではわかるようにならないでしょうね・・・・。
※「スピニング トウ ホールド」は⇒
《YouTube―【プロレス】1981 12 13 ドリー・ファンクJr&テリー・ファンク vs ブルーザー・ブロディ&ジミー・スヌーカー》https://www.youtube.com/watch?v=-saz_KcfWoM
↑「スピニング トウ ホールド」は中ほどで、ドリー=ファンク=ジュニア と テリー=ファンクによるものが、後半4分の3あたりにドリー=ファンク=ジュニアによるものが見られます。
《YouTube―スピニングトーホールド※技あり MonkeyFlipLIVE》https://www.youtube.com/watch?v=U0FQz7yqLKE
(2015.4.10.)
☆ 「戸建住宅の敷地内での家の配置と間取りの取り方」及び「マンション住民の人間にわかりにくい戸建住宅の特徴」シリーズは4部作。
1.北道路で南玄関の家。都市型間取りと地方型間取り。家は南に向けて建てるべきか境界線に平行に建てるべきか https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_6.html
2.今回。 《なぜマンションのキッチンは対面式か。「最近はキッチンは対面式と決まってる」か?》
3.軒と雨戸の効用。軒の出は配置図の基礎。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_4.html
4.マンション住人による奇妙な戸建間取り。戸建の会社の社長は戸建に住むべきではないか。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_5.html
【3】 「東京では、キッチンは対面式と決まってる」か? なぜ、マンションのキッチンは対面式なのか。
≪1≫
最近では、「システムキッチン」という言葉が普通に使われているが、1980年代の後半に住宅建築業の業界に勤めた時、「システムキッチン」というこの言葉はどういう意味なのだろう、単に「キッチン」と言うのとどう違うのだろうかと思った。 もともとは、「システムキッチン」というのはドイツから伝わったものでシステムキッチンという言葉は日本で作られた和製の言葉らしく、ひとつのシステムに基づいて自由に組み立てていくキッチンということで、そのシリーズで決まっているボックス・吊戸棚・天板・食洗機やオーブンなど住設機器などを組み合わせて設計してその家の独自のキッチンを作っていくというものを言い、「キッチンスペシャリスト」という民間資格はシステムキッチンの設計をおこなう人の資格です。 かつて、私が接した人材紹介会社のおっさんが「キッチンスペシャリストなんて、キッチンメーカーの販売員の資格ですよ」と言ったことがあったが違います。販売員が持っていて悪いことはありませんが、キッチンメーカーのショールームに行って、販売員の人がキッチンスペシャリストの資格を持っているかというと持っていない人が大部分です。キッチンスペシャリストは、販売員の人 全員が取得できるような簡単な試験ではありません。キッチンスペシャリストの試験を知っている人はわかっていますが、キッチン製図は一般の建築製図と異なり、1級建築士でもキッチンスペシャリストの製図試験は簡単にはできないはずです。 人材紹介会社のおっさんていいかげんだなと思います。人材紹介会社でも、良心的な人もいますが、けっこういいかげんな人もいます。
もともとは、システムキッチンというのは、そうやって各部材を組み合わせて設計して各家庭の好むキッチンを作っていくというものを言うのですが、最近、ハウスメーカーが「標準仕様」として取り付けているものは、「簡易型システムキッチン」と言って、本来のシステムキッチンのように、各部材を基に新たにキッチン設計をしてキッチンを構成することをしないで、すでに、幅は270センチとか250センチとか決まっていて、部材の構成・配置も決まっており、そこを、天板をステンレスにするか人口大理石にするか選択したり、オーブンを組み込むか否か決めたり、吊戸棚の高さを選択したりと、いくつか選択項目があって選ぶというその程度の自由度のもので、天板(カウンター)がつながっているものを言い、天板が分かれている「セクショナルキッチン」と区別しています。「簡易型システムキッチン」のことを「システムキッチン」と言っているハウスメーカーがけっこう多いことから、そういうもののことを言うのかと思い込んでいる人がいますが、本来はそうではありません。
ハウスメーカーで「簡易型システムキッチン」を「オリジナル」と称して採用している所がけっこう多いというのは、キッチン設計は一般の設計と同じではなく、建築学科を卒業して建築士の資格を持っている人でもできない人が多く、自社にキッチンスペシャリストもしくは同等の能力のある人がいなければキッチンメーカーに依頼してやらないといけないことになりますが、そういった手間をかけたくない会社では「オリジナル」と称して「簡易型システムキッチン」をとりつけさせようということになり、又、キッチン設計をする者の能力が十分でなくても、簡易型なら最高でなくてもそうおかしなものはできないというメリットもあります。
※ 「キッチンスペシャリスト」については、
《インテリア産業協会 キッチンスペシャリスト》http://www.interior.or.jp/ks/
少々、話がそれましたが、そのシステムキッチンの配置ですが、「建築もやっているが、売買の不動産業が主で、建築は建売・建築条件付き、建築条件のない土地を仲介した人に建物も建ててもらう、中古住宅を仲介した人が建替える際に建てさせてもらうといった『土地がらみ』がほとんど」だった千葉県八千代市に本社がある東海住宅(株)(http://www.10kai.co.jp/ )の千葉市花見川区のH見川店にいた時、店長になっていたO友さんというおばさんが「今はねえ、東京(圏)では、キッチンは対面式と決まってるのよ。なんで、そんなこともわからないのよお」とのたまわれたことがあったので、キッチンスペシャリスト有資格者として「わかってたまるか」と思ったことがありました。 おばさんは頭がかたい。 そして、建売屋・不動産屋の認識なんてそんなもので、建売屋・不動産屋の建物なんてその程度ということでしょう。 実際、東海住宅の建物はその程度です。
最近、システムキッチンのボックスの下の幅木の部分をスライド式で引き出せる収納にしているものがほとんどとなった、というより国産のシステムキッチンはすべてがそうなっているのではないかと思います。 かつては、床の上のボックスは、
(1)台輪(だいわ)の上にボックスを載せ、台輪の前に幅木をとりつけるもの、
(2)ボックスの下にアジャスターがついていてアジャスターで高さを調節し、前面に幅木をとりつけるもの、それに
(3)ボックスと幅木の部分が一体化したものの3種類があって、
(1)は台輪の高さを変えることで天板(カウンター)の高さを変更することができ、(2)はアジャスターによって床がいがんでいても調整することができ、ボックスの下の幅木部分が少し奥にへっこんでいるのは足のつま先がそこに入りカウンターに近づくことができることとともに、台輪・アジャスターで高さを調節し床のいがみに対応することができたのですが、この(1)(2)の方法だとその幅木部分にスライド式の収納を設けるということはできません。 2000年頃まで、一条工務店で「オリジナル」の(簡易型の)「システムキッチン」でアジャスター型を使っていたのは調整しやすいからだったはずです。 スライド式の収納を設けるには一体型にするしかない、台輪型・アジャスター型ではスライド式収納はできないのですが、一体型の欠点としては、(1)台輪の高さでカウンター(天板)の高さを調整することができないので、カウンターの高さを2種類・3種類設定したい場合はボックスも2種類・3種類のものを用意しなければならない、(2)床が厳密に水平でない場合はどうやって調整するか、という問題があるのです。 床が厳密に水平でない場合、床を作り直す? それが嫌だから一条工務店はアジャスター型のキッチンを「オリジナル」で採用していたわけです。 ずるいというのか頭がいいとほめるべきか・・。
船橋のリクシルのショールーム(http://showroom-info.lixil.co.jp/kanto/lixil_funabashi/ )に行って、おねえさんに、「床が水平でない場合、一体型のものはどうやって調整するのですか?」と質問してみたことがあるのですが、「大工さんに床を水平に作ってもらうとか・・」とか言うので、でまかせ言うな、コラ! と思ったことがありました。だいたい、建物の床がどこもが厳密に水平にできているという保障はないのです。最初は水平にできていてもそのうちいがんでくることもありますし。 リフォームなどでは、傾いている家につけてくれと言われることもあります。 2006年、千葉県のリフォーム屋 ウッディホーム(株)(http://www.woodyhome.com/ )の船橋店(http://www.woodyhome.com/store/funabashi-branch/ )にいた時、E藤という男(50代なかば。当時。)が、はっきりと傾いている家に、800万円を超すリフォームをさせて社長から「E藤くんが高額物件の契約をとった」とほめられ、「高額物件のE藤くんだ」とか言われていましたが、どう考えても解体して建替えた方がいいと思える、中程度以上の地震で倒壊の可能性が十分考えられる家に、それを言わずに800万円を超すリフォームをさせるというのは、結論として、サギ! です。 その部分においてウッディホームは詐欺師です。 これは、建て替えた場合はこのくらいの費用になり、リフォームでこれだけの金をかけるなら、建て替えた場合とそれほど変わらないと思いますよ、ときっちりと説明するべきで、それをしないで、「だまっておけばいいだろうが」と言って傾いている家を、お施主さんが「E藤さん、この家、傾いてないかしら」と言っても、「傾いてないですよ。ぜ~んぜん」としらばっくれて、肉眼で見てはっきりと傾いているのがわかる家に高額のリフォームをかけさせるE藤とウッディホームは良心的と言えません。
しかし、一通り、きっちりと説明しても、それでも、そこをリフォームしたいという方もあります。 いがんでいるのはその場所の床だけで他は使える場合もあります。 そこにキッチンをとりつけたいという場合でも、「大工さんに床を水平に作ってもらうとか・・」とリクシルのねーちゃんは言うのでしょうか? というか、リクシルの船橋ショールームはその程度の回答しかできない人しかいなかったのです。 クリナップの千葉のショールーム(http://cleanup.jp/showroom/info/kanto/chiba.shtml )で同じことを質問してみたところ、クリナップでは、そういう場合用に、間にはさむパッキンを渡しているという説明をおじさんからいただきました。 その高さを調整するパッキンをキッチンメーカーの方で用意するのか施工する建築会社・工務店の方で用意するかはさておき、一体型のボックスの場合は、そのやり方しかないでしょう。 リクシルは、ショールームのおねえちゃんに、わからない場合は、適当に思いついたことを言うのではなく、「私はわかりません」と言うように指導した方がいいと思います。
キッチンの配置はどういうものがあるでしょうか。
キッチンスペシャリストハンドブック編集委員会『キッチンスペシャリストハンドブック』1991.3.第3版 日本住宅設備システム協会)を見ると、「[2]キッチンのレイアウト」の項に、「キッチンレイアウトの基本パターン」の図が図Ⅲ‐20として出ていますが、I 型・II 型・L型・U型 の4種類のそれぞれに、基本形・ペニンシュラ型・アイランド型があり、さらに、図Ⅲ‐25として、「キッチンルームの大きさとレイアウトパターン例」が、4.5畳・6畳・8畳・12畳・14畳の場合にI 型・II 型・L型・U型・アイランド型のキッチンとした場合にどうなるかといったことが出ています。 キッチンとダイニングを合わせてそれほど広いスペースがとれない場合には、U型のキッチンではカウンター部分で食事をするしかなくなります。
キッチンとダイニングを合わせてそれほど広い面積がとれない場合、ダイニングキッチン形式にすれば広くつかえるものを、キッチンとダイニングを分けることで、どちらもが狭い使いにくいものになる場合もあります。 対面式はある程度の広さがとれてこそのもので、あまり広いスペースがとれないのに無理に対面式にして使いにくいものにしてしまうこともないと思えます。
小堀住研にいた時、配布された『営業マニュアル 知識編』(1989.)では「キッチンのスタイルの種類とその特徴」として、1.I 型、 2.Ⅱ型、 3.L型、 4.U型、 5.アイランド型 をあげ、 ダイニングとキッチンのレイアウトとして、1.オープンタイプ、 2.クローズドタイプ(独立型)、 3.セミオープンタイプ、 をあげ、さらに、U型オープンタイプ、 L型クローズドタイプ、 対面式セミオープン、 U型セミオープン の図が掲載され、≪ファミリーダイニング・フォーマルダイニングという欧米式のプランが大型住宅では、考えられることがあります。≫と出ています。
『キッチン・浴室・水回り ベストプラン メーカー別・価格帯別 最新商品総カタログ』(1993.9.1. 学習研究社)にも、「満足度100%の台所づくり45ポイント」の「Part2 プラン」の「14 レイアウトの基本パターンは5つ」として、I型(直列型)・II型(並列型)・L型・U型・アイランド型の5つについて、長所と短所が述べられています。 又、「Part 1 ゾーニング」では、LDKタイプ ・ DK+Lタイプ ・ K+LDタイプ ・ K+D+Lタイプ の特徴が述べられています。 それぞれに特徴があり、すべての場合に絶対にどれがいいとは決まっていません。
女性建築技術者の会(今井淳子・大宇根成子・小渡佳代子・西條由紀子・島田真弓・野白麻里子・原田愛子・東由美子・矢賀雅子・吉田はるみ・度会有子)『いきいき さわやか ダイニング&キッチン』(1988.6.20.経済調査会)にも、さまざまな例が出ていますが、当然のことながら、「キッチンは対面式と決まっている」などというようなことはありません。
1960年代の終わり、私が小学生の時に親が小堀住研で家を新築した際、「リビングルーム」「ダイニングルーム」と図面に書かれていたので、「リビングて何やあ?」ときくと、「応接間のことや」、「ダイニングて何やあ?」ときくと「台所や」と誰かが教えてくれた記憶があるのですが、「リビングルーム」と「応接間」はまったく違うわけではないが同じではないし、「台所」は「ダイニング」より「キッチン」でしょう。 まだ、「キッチン」「ダイニング」「リビング」という外来語が人口に膾炙していない時代において、「設計の小堀、デザインの小堀」とか言っていたわりに、そのあたりをきっちりと説明せずに外来語で図面に表記していたのは今一つ親切とは言えない。 その結果、我が家は「リビング」という名の応接間ができ、「ダイニングキッチン兼茶の間」のダイニングルームができて、結果として変な間取りになった。 我が家は新築する前に住んでいた家では、玄関の脇に「応接間」があり、台所の続きに食事用テーブルのあるスペースがあって隣に茶の間があったのです。 「応接間」と「茶の間」は別で、「応接間」は来客用と父がステレオを聞く部屋でした。 施主の生活形態も聞かずに設計した当時の設計担当者・営業担当者は、そのあたりベストであったとは言い難い。
K・D・L で、この「L」(リビング)とは「応接間」なのか「茶の間」なのかによっても作り方は変わってくると思います。 茶の間的な「リビングルーム」だけれども来客を通すこともあるのか、来客を通すことは基本的にはない茶の間専業の「リビング」なのかによっても変わると思います。 来客のことなんか考えて建てる余裕はないという人もあるでしょうし、来客があっても、ダイニングに通す家もあり、ダイニングに来客を通すからこそ、キッチンとダイニングははっきりと分けたいという人もあるでしょう。
それで。 「対面式キッチン」がずいぶんと話題になってもてはやされた時期がありましたが、なぜ対面式がいいのかというと、主婦が食事の用意や食後の洗い物をやっている時に、家族がテレビを見ている時に疎外されない、食後に家族がテレビを見ていてその時に洗い物をしていても、キッチンのシンクの向こう側にダイニングとテレビがあれば一緒に見れて話題に入れるという説。 小さい子供がダイニングで遊んでいても、ダイニングキッチン形式で壁に向かってシンクやコンロがあると背中の後ろに子供がいるので子供の様子がわからないが、対面式だとシンクの向こうにダイニングがあるので、ダイニングで遊んでいる子どもの様子がわかるので安全だという説があるようです。
確かにそういうことはあるかもしれません。 もっとも、私などはテレビをそれほど見ないし、テレビを日常的に見るのが習慣となっているというのはテレビにマインドコントロールされたファシズムの社会であることを示しており、文化的に好ましい状態ではないし、家族が集まる場合でも、何を中心として集まるのかという時、テレビを中心に集まるというのは本来的ではないと思っているので、テレビを見れなくてもいいではないかとも私は思うし、テレビを見たいなら見たい者が見ればいいのであって、みんなで見るものでもないように思います。
それで、対面式だと「子供の様子がわかる」という説ですが、これはまったくあてはまらないわけではなく、そういう面もあるとは思うのです。 しかし、小さい子供がダイニングルームで遊んでいる時に、食事の用意をキッチンでやっている時、安全面から対面式が最高かというとそうとも言えないように思うのです。
なぜか。
↑ これは、女性建築技術者の会『いきいきさわやか ダイニング&キッチン』1968.6.20.経済調査会)に「3.外の気配が伝わるキッチン」として出ている図です。 キッチンがダイニングとリビングの中間付近に横つながりになっています。
さらに、↓ の2つを見比べてみていただきたいと思います。 ↓の上の方が「対面式キッチン」。 ↓の下の方がキッチンとダイニングが「横つながり」の例です。
↑ 「対面式キッチン」が絶対に悪いとは言いません。 しかし、対面式キッチンだと、キッチンで調理している時に小さい子供がダイニングルームで遊んでいる時に、壁に向かって子供に背を向けて調理するキッチンと違って子供の様子がわかるので安全だ」という説については、絶対的に肯定もできないようにも思えるのです。 ↑の下の方の「横つながり型」だと、ダイニングルームはシンクやコンロに向かった時、右横の位置で、背中の後ろではないのでまったく見えないことはありません。対面式はダイニングが正面になるのでよく見えるかもしれませんが、「危ない」と思って助けに行こうとした時、ぐるっとまわらないと行けないのに対し、 「横つながり型」だと一直線で行ける、という面もあるのです。 これは誰に聞いたかというと、一条工務店にいた時に私が営業担当で建てていただいた入居者の方で、対面式がいいかとも検討して結果として「横つながり型」で建てていただいた方の奥さまから入居後に話していただいたことです。
又、対面式キッチンは、キッチンが窓から遠い位置に来るため、天窓を取るなどした場合でなければ、窓に面したキッチンに比べてカウンター部分が暗くなりがちです。
対面式が絶対に悪いわけではありません。 しかし、絶対にいいわけでもないのです。
私の手元には、『住宅の新築プラン500選』(1992.改訂新版 講談社)・『間取り情報200』(1992.第二版 住宅金融普及協会)といった本もありますが、当然ながら「キッチンは対面式と決まってる」などということはありません。さまざまなキッチンが掲載されています。
女性建築技術者の会『いきいきさわやか ダイニング&キッチン』の「3.外の気配が伝わるキッチン」でも、≪子供たちは大きくなり自分たちの世界にはばたき、夫は仕事で遅くなりがち、専業主婦は孤独です。 特に夕方、あたりが暗くなり始め、いつ帰るかわからない家族を待ちながら夕食の仕度をしているとき、たまらなく寂しくなるというH夫人。こんなとき、少しでも外の気配が感じられたら気が紛れるのではないかと、道路の見える位置にキッチンを配置しました。 道路との境界の塀もコンクリートに穴のあいたスケスケのブロック(ホロスコーブブロック)です。 ・・・≫と出ています。 小さい子供の様子がどうという問題もあるでしょうけれども、他に家族がいない時、誰もいないダイニングに向いて調理するより、道路でも庭でも外が見えた方がいいのではないのかという面もあると思うのです。
だから、「今の家は対面式と決まってる」などということはないはずなのです。 そんなこと、不動産屋のおばさんに決めつけられる筋合いはないはずなのです。
東海住宅の店長のO友さんは「対面式キッチン」という時、II型かU型のキッチンで、シンクとコンロが1列に並んだキッチンがダイニングの方に向いていて、その背面に食器棚か、それともカウンターがある床置きボックスと吊戸棚があるものと決めつけているようですが、II型・U型のキッチンの場合、シンクとコンロが1列に並ぶとは限らないのです。シンクとコンロが逆側の配置というのもありうるわけです。 システムキッチンの面白さというのか自由なところとして、さまざまなあり方が考えられるのですが、なにゆえ、おばさんはシンクとコンロは同じ側に1列に並ぶものと決めつけているのでしょう。
私が、このあたりを理解しているのは、↑に出した『キッチンスペシャリストハンドブック』や女性建築技術者の会『いきいきさわやか ダイニング&キッチン』や『キッチン・浴室ほか水回りベストプラン』や小堀住研の『営業マニュアル知識編』などを読んで学習して考え、キッチンメーカーのショールームに足を運んで見学してきたからであるとともに、女性の家族や会社の女性の従業員に意見を聞いたり、お客様、特に入居者の奥さんに使ってみてどうだったか意見・感想を聞いてきたからです。 女性の「営業」や「設計」の人には、「女だから女の気持がわかる」と主張する人がいるのですが、このおばさんにしても、わかっているのは女である自分の気持であって、自分以外の女性がどう思うかわかってないのではないのか? と思える人がけっこういます。 東海住宅のO友さんは、「今はねえ、キッチンは対面式と決まってるのよ。どうして、そんなこともわからないのよお」とかおっしゃるのですが、なぜ、そういうことをのたまわれるかと言いますと、結論として、(1)アホだから。 そして、(2)マンション住まい だから、かもしれません。
昔から、家を自分で建てたことのある人に頼みたいというお客様はけっこうありますが、若くて、将来、自分もこんな家を建てたいなあ~あ・・と思っている人と、ある程度以上の年齢になっていて、家を取得した経験はあっても、自分が今後、家を建てることはないだろうとあきらめている人とどちらがいいかというと、それはなんとも言えないところがありますが、戸建住宅を建てる場合、戸建てとマンションの両方に住んだことがある人ならいいと思いますが、マンションにしか住んだことのない人と戸建住宅に住んできた人となら、マンション住まいしか経験のない人に戸建住宅の設計や営業をやるのは、かなり無理があるのではないのかという気もするのです。
東海住宅のO友さんが「最近は、キッチンは対面式と決まってるのよお。どうしてそんなこともわからないのよお」とのたまわれたのは、(1)アホだから、ですが、ひとつには、しょーもないところでカッコつけるからだと思うのです。 「オットが小堀住研で設計課長やってました」「オットが設計事務所やってました」と何度も何度も言うので、最初は自己紹介として言っているのだろうと思っていたのですが、あまりにも何度も何度も言うので、この人は「オットが~」と言うことで自分を評価してほしいんだな、と気づきました。 結論を言うと、「オットがヤクルトスワローズの監督やってました」とか「オットがインドネシアの大統領やってました」とかいってテレビに出るおばさんと一緒だったのです。 たしかに、野村克也さんはヤクルトスワローズの監督をやっていた9年間で、4度、セリーグで優勝し、そのうち3度、日本シリーズでも優勝しました。たいしたものです。 「長嶋のおかげで優勝できた。長嶋さまさまや。わしぁ、長島大好きや」というセリフも、いわば、モハメド=アリの毒舌のように、毒舌を吐いた上で、その相手を、FA制度で選手を引き抜かれた側のチームが引き抜いた側のチームを試合でコテンパンにやっつけるのですから、アンチ巨人にはこたえられないものでした。 しかし、「野球は弱い方が勝つからおもろいんや」と野村が発言した頃のヤクルトは弱いどころか、無茶苦茶強かったのですが、その強いヤクルトの監督をやっていたのは野村克也さんであって、その嫁はんではないのです。 インドネシアの大統領の第2だか第3だかの「夫人」だったとしてテレビに出ているおばさんも、おばさんが大統領だったわけではないのです。 同様に、「オットが小堀住研の設計課長やってました」と言われても、「ああ、そうですか」と言うしかないのです。「ああ、そうですか」と。 かつて、まだ、「高級住宅の小堀」であった頃の小堀住研で設計課長をやっていたなら、オットはそれなりの設計力の持ち主ではないのかと推測できますが、「オットが」でしょ。 ヤクルトスワローズの監督やって3度日本一になったたのは野村克也さんでしょ。嫁はんじゃないでしょ。 何度も何度も「オットが小堀住研で設計課長やってました」という文句を聞かされて、もう、嫌んなっちゃった。 うるさい。 一度、そのオットに、小堀住研で建物だけで1億超えの家建てる客に「今はねえ、キッチンは対面式と決まってるのよ。そんなこともわからないのお」と言ったかどうか、尋ねてみた方がいいと思うのです。 そんなアホなこと、言ってないと思いますよ。 オットは。 「技術の小堀、デザインの小堀、設計の小堀」と言っていた小堀住研で自社が従業員に配布していた『知識マニュアル』の記述に反するようなことを設計課長は言わないと思いますよ。
≪2≫ なぜ、マンションのキッチンは対面式になっているか。
住友不動産・大京・三菱地所レジデンスのマンションの建築工事に「施工管理」として携わりました。 「派遣の施工管理」というのは、結論として、建築現場の雑役労務者を「施工管理」だと強弁して派遣しているのであって、実質、施工管理ではありません。 施工管理の仕事をする人間が必要なら、建設会社は自社で施工管理の人間を雇えばいいのであって、それを自社で雇った人間と別に「派遣の施工管理」を雇うのはなぜかというと、やめさせたい時にいつでもやめさせることができる便利使いの雑役労務者を派遣で欲しいからで、建築現場での雑役労務者の派遣は法律で認められていないので「施工管理」だと強弁して雇っているのです。かなり、悪質です。
そういうものと知らずに、本当に施工管理だと信じて、また、最初は派遣の募集だとも思わずに応募して、「派遣の施工管理」をやり、建築現場で怪我までしました・・・が、その結果として、工事中のマンションを自分の足で歩き、自分の眼で見る機会を得ました。 その結果、思ったこととして・・・・、 「マンションなんて、よく、あんなもの住むなあ」というのが、鉄筋コンクリート造のマンションの躯体工事が終わった頃の状態を見た感想です。 コンクリートの躯体だけの状態のマンションを見ると、そう思いますよ。 本当に。
それで。 まず、戸建住宅を建てる場合の配置を、南道路の場合と西道路の場合の例を示します。↓
南北に長い敷地であれば、北に建物を寄せて南に庭を残し、特に南からの採光を確保しますが、東・西・北にも窓を取れます。東か西に道路があれば、道路の側の窓から採光を取れます。 西道路の場合、北西に建物を寄せれば、東と南に採光を取れる窓を確保できます。 北側の窓は軽視されがちですが、1日中、光の強さがそれほどかわらず、北向きの部屋は読書・学習をするには適しており、書斎などには北向きの部屋は向いています。
一般に、東西に長い長方形、もしくは、それに「張り」を加えた形にする場合が多いのですが、敷地が狭い場合など、そうできない場合もあり、我が家などもそうなってはいませんが、いずれにせよ、戸建住宅の場合は、隣家までとの距離をどれだけ確保できるかという問題はあるものの、東西南北の4面に窓を取ることができ、敷地の条件が許す限り、庭の配置で調整することで、できる限り南面を長く取ろうとします。
次に、マンションを建てる場合の配置を、これは、埼玉県川口市のK口土木建築工業(株)が建てた埼玉県蕨市での住友不動産(株)のマンションの例を示します。↓
↑ 東西に長い建物で北側に通路があって南にベランダが配置される建物が南に、南北に長い建物で東に通路があって西にベランダが配置される建物が西に、西に通路があって東にベランダが配置される建物が東に建てられています。
わかりやすい例として、この南側、東西に長い棟で、どういう間取りの部屋ができるかを考えてみましょう。↑ 建物自体は東西に長いのですが、北側に共用部分の通路が設けられ、南にベランダを取ってベランダでは隣家との間は間仕切りが設けられます。(この間仕切りは火災などで避難する時は破ることができるような作りのものです。 「本当にあった笑える話」には、この間仕切りを破って、嫁さんに包丁を持って追いかけられてきた隣の夫が逃げ込んできたという話が出ていましたが、そういう間仕切りの破り方はいいのか悪いのか・・・。たしかに、緊急時は緊急時ではあるでしょうけれども・・・・・。)↓
↑ マンションの場合、この東西に長い棟の場合で考えて、各部屋の専用スペースは、南北に長いスペースになり、かつ、東面・西面は隣家の区画があって、東に窓が採れるのはその棟の一番東の区画だけ、西に窓が採れるのはその棟の一番西の区画だけなので、中ほどの区画では 窓が採れるのは、南のベランダの側と北の通路の側だけなのです。
そうなると、↑の図のように、南の掃出し窓の採れる側に2部屋、北の通路に面して腰窓を取れる部分に2部屋、間の窓のない部分の片側に浴室・洗面脱衣室とトイレを持ってくるしか、間取りの取りようがないのです。 ↑のような間取りの取り方か、そうでなければ、左右(東西)が反転したものかいずれかしかないと思います。 建築基準法の居室の採光面積の規定もありますが、法律上の採光面積を満たすことができなければ、「納戸」ということにして部屋を作るという方法もあるのですが、法律がどうかよりも、実際に住む場合、居室の場合は、やはり、窓が1面には欲しいはずなのです。 そうなると、中央部の窓のない部分の片側に風呂・浴室・トイレを持っていくとして、LDKを南のベランダ側の掃出し窓のあるスペースの片側に持っていき、後の3部屋は、南の掃出し窓のあるもう片側と、北の通路に面した腰窓のあるスペースに2部屋。 これしか、やりようがないと思うのです。 そうなると、南のベランダに続く掃出し窓の採れる片側にLDKを取るとした時、「リビングダイニング」(LD)は中ほどではなく窓に近い側に取りたいはずです。 とすれば、キッチンは中ほどの比較的暗いエリアに回ってくるのです。 それなら、せめて、南の窓の側、リビングダイニングの側を向いて作業をするようにしたい・・・・となると、結果として、「対面式キッチン」になるのです。 窓のある部分に個室を3部屋とって、残る1部屋の部分にLDKを持ってきた上で、窓に近い場所にLDを配置すれば、K(キッチン)は窓から遠い部分になり、対面式にするしかないわけです。 対面式がいいとか悪いとかいう問題ではないのです。
東西に長く、北側に東西の通路があって北から入り、南にベランダがある部屋の場合で述べましたが、南北に長い棟で、東に通路・西にベランダ、西に通路・東にベランダという場合は、南にベランダのある部屋よりさらに間取りは取りにくく、人工照明とエアコンに頼る生活になると思いますが、キッチンが中ほどに来て対面式にせざるをえないという点は同様のはずです。
戸建住宅とマンションでは、この点で違いがあるのです。戸建住宅の場合は、キッチンは対面式にすることもできるけれども、そうでないキッチンにすることもできる。 又、戸建住宅では、敷地と建物の配置、LDKの広さによって、対面式にした方が間取りを取りやすい場合もあれば、対面式キッチンでない方が間取りを取りやすい場合もある。それに対し、マンションでは、専有面積が相当に広い億ションでは事情も違うかもしれませんが、一般的なマンションでは、↑に述べた事情から、キッチンは対面式にせざるをえないのです。
それで。 そういうマンションのキッチンを見慣れた「不動産屋のおばはん」には、「最近はキッチンは対面式と決まってるのよお。なんで、そんなこともわからないのよお」と言いだす人も出てくるようです。 自分がそういうキッチンしか見てないのでしょう。 自分が精神的に貧困なのでしょう。
東海住宅(株)の設計のSは、千葉県佐倉市上志津で、東西に長い約40坪の整形の土地に家を建てるのに、わざわざ、玄関はいったらまずキッチン。 キッチン通ってダイニング。 その向こうにリビングと和室、というアホちゃうか!?!という設計をしていましたし、他でも、八千代市で、玄関はいってキッチンの横を通ってダイニング、ダイニングを通ってリビングという、もうちょっとやりようがあるだろうがという間取りの家を設計しており、こんな男、「設計」と言えるかと思いましたが、もしかすると、東海住宅の設計のシンもマンション住まいの人間で、「キッチンの横を通ってリビングに行くというのが普通」という感覚を身に着けてしまっていたのかもしれません。 マンションの場合は、マンションの性質上、やむをえず、そうなっているのであって、戸建住宅ではそんなの普通じゃないのです。 それがわからない人がいたとしても、一般の人でわからない人がいるのは仕方がないとして、戸建住宅の設計や営業の仕事をしている人間がわからないというのは困りものですが、現実にわかっていない人がいるようです。 自分がマンション住まいだから戸建住宅のことがわからないという人は、あえて、戸建住宅の仕事をしなくてもいいのではないのかとも思いますが。
そういえば、東海住宅(株)のO友さんは、「東京都や千葉県では最近はキッチンは対面式と決まってるのよ。」という主張とともに、「千葉県で家を建てる人は40坪以下の土地と決まってるのよ。50坪以上の土地に家を建てる人なんて千葉県ではあるわけないのよ。どうしてこんなことがわからないのよお」とも口にしたことがありましたが、私は小堀住研でも一条工務店でもそれぞれで東京都・千葉県で家を何軒か建てていただきましたが、いずれも50坪以上の敷地で建てる方ばかりでした。 所属会社の違いという問題もあるとしても、「40坪以下の土地でしか建てる人がない」のはO友さんが担当の場合の話で、40坪超の土地で建てる人がO友さんを担当で契約しないのは、O友さんが避けられているのです。広い土地で大きな家を建てる人が東海住宅の建物では嫌だというのであれば、東海住宅は不動産屋ですから土地だけ仲介することもできるのです。 「精神面が貧困なやつは、高額物件、大きな物件の契約は取れない」と小堀住研の最初の研修の時に言われたのですが、これはあると思います。 O友さんは自分がそれにあてはまっていると認めるのは嫌でしょうけれども、認めたくなければ認めなくてもいいけれども、事実がそうなっています。
東海住宅(株)で、当時、建設部担当の取締役で後に社長になった人相と目つきの悪いO澤は(HPによると、さらに、現在では別の人間が社長になったらしいが)、「うちだって、カネさえかければ、小堀住研や一条工務店に劣らないものを作ることはできるんだ」と言っていましたが、この文句は、千葉市中央区鵜の森町の新華ハウジング(有)[建設業]・ビルダーズジャパン(株)[不動産業]の社長の長○川S二も口にしたことがあり、安物屋の社長がよく口にする文句ですが、↑のように「東京ではキッチンは対面式と決まってる」とかアホなことをふんぞり返って言っている「不動産屋のおばはん」が営業やって、それと同程度の「玄関はいったらまずキッチン、キッチン通ってダイニング、ダイニング通ってリビングに和室」という変な間取り作ってる男が設計やってる会社でそういう担当者に「同等のもの」ができるかというと、できないと思いますよ。 カネかけても、それを作る能力のある人間がいないとできないと思いますよ。桂離宮はカネかけたから桂離宮ができたのではないのです。 小堀住研(株)の後継会社のヤマダエスバイエルホーム(株)もヤマダ電機の1階にヤマダエスバイエルホームの広告で、「小堀の家」として、昔、小堀住研(株)が「高級住宅の小堀」であった頃の住宅展示場の写真を載せていますが、たとえ、カネかけても、今のエスバイエルホームにそういう建物を作る力はないと思いますよ。
最近、I H調理器が流行してきたところに、福島第一原発の事故で、かつて、阪神淡路大震災の時には、都市ガスより電気の方が復旧が早かったとか言われたりしたのが、福島第一原発事故の後では、むしろ、ガス・電気に分けておけば、どちらか片方でも使えたものを、「オール電化」にすると電気が使えなくなるとすべてが使えなくなる事態にもなり、電磁波の危険性とともに、I H調理器についても見直されてきましたが、 「オール電化」とI H調理器というのも、もしかすると、マンション、あるいは高層ビルの場合、電線の方がガス配管よりも配線がしやすいということでもあるのではないか、そのあたりから、広めようとする人たちが出てきたということはないか? という気もしているのです。
マンション住まいの人には、戸建住宅の特徴がわからない場合があるらしい、というのは、キッチンの配置だけではありません。 他にもありますが、今回はここまでにして、別稿で述べます。
千葉市中央区鵜の森町 の新華ハウジング(有)[建設業]・ビルダーズジャパン(株)[不動産業]で、2010年から2013年、「工事責任者」を自称しながら工事に責任ある態度を取らないU草A二(30代なかば。当時)が「ぼく、営業やったことないですけど、営業できますもん」と勝手なことを大声で何度も叫んでいたのだが、ここで述べたようなことは、私は何十年と住宅屋に勤めて、一方で書物で学び、各メーカーのショールームに行って学ぶとともに、実際にお施主様と接してお施主様から意見・感想を聞いて学んできたものです。住宅屋の営業はコンサルタントでありカウンセラーだと思いますが、こういった経験から身に着けたもの無しで、いったいどうやって、「営業できる」のか。 まったくつくづく、このブタ、相当長生きするだろうなあ・・という気がします。 一回、スピニングトウホールド でもかけてやった方が本人の為かとも思うのですが、これだけ無神経な人間は、その程度ではわかるようにならないでしょうね・・・・。
※「スピニング トウ ホールド」は⇒
《YouTube―【プロレス】1981 12 13 ドリー・ファンクJr&テリー・ファンク vs ブルーザー・ブロディ&ジミー・スヌーカー》https://www.youtube.com/watch?v=-saz_KcfWoM
↑「スピニング トウ ホールド」は中ほどで、ドリー=ファンク=ジュニア と テリー=ファンクによるものが、後半4分の3あたりにドリー=ファンク=ジュニアによるものが見られます。
《YouTube―スピニングトーホールド※技あり MonkeyFlipLIVE》https://www.youtube.com/watch?v=U0FQz7yqLKE
(2015.4.10.)
☆ 「戸建住宅の敷地内での家の配置と間取りの取り方」及び「マンション住民の人間にわかりにくい戸建住宅の特徴」シリーズは4部作。
1.北道路で南玄関の家。都市型間取りと地方型間取り。家は南に向けて建てるべきか境界線に平行に建てるべきか https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_6.html
2.今回。 《なぜマンションのキッチンは対面式か。「最近はキッチンは対面式と決まってる」か?》
3.軒と雨戸の効用。軒の出は配置図の基礎。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_4.html
4.マンション住人による奇妙な戸建間取り。戸建の会社の社長は戸建に住むべきではないか。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_5.html
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