ペアガラス・二重サッシ・防音障子・強化ガラス・断熱雨戸等の長所短所、及、人のせいにするアホ営業(上)

[第331回]ペアガラス・二重サッシ・防音障子・強化ガラス・断熱雨戸・シャッター雨戸 の長所・短所。及び、自分で学習して自分で販売法を考える意志のないアホは営業やらなくてよろしい(上)
―営業と会社の話(79)-1
   最近は、新築される住宅の窓ガラスはペアガラスが普通になってきた。 それも、「寒冷地」とか「準寒冷地」とかいった地域においてではなく、東京付近から西・南でもペアガラスが普通になり、又、私が住宅建築業の業界に入った1980年代後半においては、壁の中の断熱材はグラスウール(ガラス繊維)50mmの会社が多く、(株)一条工務店もグラスウール50mmを入れていた。小堀住研(株)はロックウール(岩綿。玄武岩の人工鉱物繊維。)〔「石綿(アスベスト)」(蛇紋岩の天然鉱物繊維)とは別〕の50mmを入れていて、ロックウールはグラスウールより断熱性と耐火性に優れているというのをセールスポイントのひとつにしていた。 それが、最近は、グラスウールにせよ、ロックウールにせよ、100mmが普通になってきた。 高断熱・省エネルギー住宅というのが国の政策になったらしいが、安普請の我が家なんかは夏は暑いは冬は寒いはで、その我が家を考えるとできればもうちょっと断熱性を高めた家に住みたいものだと思うし、悪いわけではないけれども、そこまで基準を上げなければならないのだろうかという気もしないでもない。2011年3月の福島第一原発事故の後、“ 原子力ムラ ” という言葉が雑誌などによく登場するようになったが、今中哲二さんは、「学問とは、科学(サイエンス)とは」(『熊取六人衆の脱原発』2014.6.1. 七つ森書館)所収)で、≪ 「原子力ムラ」だけではなくて、道路ムラもあるでしょうし、鉄道ムラもある。そんなムラがたくさんあって、その人たちが日本の中枢を押さえて日本の金の流れを押さえている、という構造になっていると思います。≫と述べていますが、そんなところでしょう・・と見た時、もしかして、最近の高断熱・省エネルギー住宅化の傾向も、悪いというわけでもないとしても、もしかして、“ ペアガラスむら ” とか、“ 断熱材ムラ ”とかが政治家に働きかけた結果? なんてこともありえないこともないかいなあ・・・・とも思えてきたりもしますが、問題は、すべての家に高断熱・省エネルギー化をしなければならないものかどうかという点で、高断熱・省エネルギー住宅が絶対に悪いということではありません。


   1993年、在来木造の一条工務店の松戸展示場にいた時、営業本部長で松戸の営業所長を「兼任」していたA野T夫から、入社半年未満の中途入社新人のA山に、私が「『一条工務店はガラスが悪いから売れるものじゃない』と言ったために、新人が、売る自信を無くしたじゃないか」と文句を言われたことがあった。 当然のことながら、私はそのようなことをA山に言ったことは一度もない。 A山以外の人間にも言ったことはないし、そのようなことを私が言うということはありえない。 むしろ、言ってもいないことを言ったと言われたのなら、迷惑このうえない。
   営業というものは、基本的には、どうやって売るかは自分で考えるもので、自分の勤めている会社の商品のどこがいいか、どこがアピールできるかということは自分で考えるのが基本であり、私はその時点で入社2年目であったが、私が入社1年目においては、一条工務店は求人広告では「研修が充実していますから、売れなくて困ることは絶対にありません」とかなんとか書いていたくせに、研修は「充実しています」などというしろものではなかった。 私が入社1年目、あるいは、2年目においては、古くからいる人間で、入社してそれほど経っていない私に「なんだか、えらい会社に入ってしまった」という思いをさせるような言動を相当に取ってきた人がおり、A野さんもそのひとりだったくせに、1年目の人間に私が言いもしないことを言ったと言って文句を言ってくるのは理解しがたい態度だった。
  その当時、20代なかばだったA山は、新潟大卒だというわりにぽーっとした感じで賢そうでなく、そして、実際に勤めてみるとどうかというと、[第328回]《営業の大事な能力「黙っている力」(1)、及び、連れて行きたくない新人と、避けたい契約客同行の経験》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_6.html の【2】、再度【2】、再再度【1】と再再度【2】、 及び、 [第329回]《「他の営業への電話はガチャンと切れ」・「労基法は守らないのが方針」他―会社による違いと認めて良いか? 》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_7.html で述べたようなものだった。 営業本部長のA野は、先輩社員に客宅に同行させてもらって、私がそこに停めろと指示した場所にクルマを停めず、わざわざ競合メーカーの営業と鉢合わせするように運転し、客宅では先輩社員の許しも得ずにとんちんかんなことを口から出して先輩社員に迷惑をかけたアホを(客からも、こいつ、アホだと思われたのではないか)、私がこのお客様は新人を連れて行く余裕はないので他の見込客の時にしてほしいとはっきりと言っているのに無理に連れて行かせたこと、その上で実際に私がアホ新人に迷惑を蒙ったことについて、「申し訳なかった」「悪かった」のひと言も言わずに、こういう文句を言ってきたのだ。 この会社はこういうスーパー高耐久性フーリッシュが経営している会社だということか・・と考えるしかないということなのか。


   その1993年当時、一条工務店の「セゾン275S1」という「一般風」の建物、「百年275S1」という「(農家風の)和風の建物」では、窓ガラスはどうしていたかというと、普通ガラス3mmが「標準仕様」で掃出し窓や中程度より大きい腰窓には三協アルミの「防音断熱雨戸」が「標準仕様」となっていたが、ペアガラスにしたいとか強化ガラスにしたいとかいうことなら、「オプション」として差額を出してもらえばそうすることもできた。
   その頃、小堀住研から名称を変えたエスバイエルでは、「ハウス55」という「高品質低価格」タイプでは、掃出し窓には強化ガラスを標準仕様で入れ、高級住宅志向の「新 桂」は、基本的にはすべてのものを一から決めていくという完全自由設計ではあるが、特に施主が希望を言わなければ掃出し窓と腰窓には強化ガラスを採用し、「ハウス55」では1階の掃出し窓・腰窓にシャッター式雨戸を「標準仕様」で入れ、「新 桂」では、特に施主が希望を言わなければ横に引く雨戸を取り付けた。 シャッター式雨戸の方が安かったらしい点と、「新 桂」は洋風もあれば和風の外観もあり、シャッター式雨戸を和風の家でつけて悪いということはないが、どちらかと言えば、シャッター式雨戸は洋風的ということがあったかもしれない。(但し、今、考えてみると、ブラウン色のサッシでシャッター式雨戸を採用したならば、シャッターの収納箱が窓の上に付き、霧除け庇に近いものになり、和風に合わないということはないようにも思える。)
   小堀住研から名称を変えたエスバイエルでは強化ガラスを採用してガラス面の安全性を「売り」のひとつにしていたが、その頃、住宅メーカーでは、強化ガラスは少数派で、ペアガラスを「標準仕様」にして「売り」にしている会社がけっこうあり、ペアガラス派の方が多数派だった。 松戸展示場などでは、積水ツーユーホームがペアガラスを「売り」にする会社として競合になることがあり、積水ツーユーホームをペアガラスがいいとそこで評価する人があった。


   強化ガラス と ペアガラス は、普通ガラス と比べてどういう長所があるのか。 強化ガラスは、
(1)安全性である。 自動車の窓は、横の面のガラスが「強化ガラス」でできていて、運転者の前のガラスは「合わせガラス」である。 一条工務店で私が担当で契約していただいた方で、道路側のある部屋だけ、防音のために、ガラスの厚さを5ミリメートルに変更した上で防音障子として家があったが、その際、一条工務店の浜松の積算部は見積書にガラスの厚みを3mmから5ミリメートルに変更することを「強化ガラス」と記載してきたが、「強化ガラス」とは通常より厚いガラスのことではない。 「なんじゃ、一条工務店の本社の積算部はこんなこともわかってないのか」と思ったが、古くからいる某さんにそれを言うと、「そんなものですよ。一条の本社の積算部なんて」ということだった。 「強化ガラス」というのは、1か所に集中して打撃を加えると割れるが全体に加わる力に対しては相当に強く、かつ、割れた場合も粒状になるので “ わんぱくざかり ” の子供が走り回ってぶつかって割ってしまったというような場合でも年寄がよろけてガラス窓に倒れ掛かったという場合でも怪我をしにくい、というものだ。 だから、小堀住研では営業は「小さいお子さんがいるご家庭などでは、走り回って窓にぶつかって割ってしまったという場合でも大怪我をしないですみ、安全です」と言い、実際、小さい子供のある親には強化ガラスは好評で、このトークは効果があった。
  自動車のガラスは横のガラスが強化ガラスで、運転席の前のガラスは「合わせガラス」らしい。なぜ、前のガラスを強化ガラスにしないのかというと、完全に割れた場合は粒状になって落ちるのだが、衝撃が加わったが割れるに至っていないという時、真っ白になって前が見えなくなるという。(「という」というのは、私自身は経験したことがないので、「という」と言うしかない。) 「合わせガラス」というのはフィルム状の膜に普通ガラスが貼ってあるらしく、割れた場合でも飛散しないので、自動車事故で正面のガラスが割れた場合でも安全性が確保され、かつ、衝撃が加わった時も「まっしろになって前が見えなくなる」ということもないらしい。 住宅でも、安全性を高めるためということで、強化ガラスではなく合わせガラスを採用する方法もある。 天窓(トップライト)では、割れにくくするために網入りガラスを採用している場合が一般的であり、ガラス部分の安全性を高める方法は強化ガラスだけではない。 鉄筋コンクリートは圧縮に強いが引張りに弱いコンクリートの中に引張りに強い鉄筋を入れて圧縮にも引張りにも強くするものだが、都合がいいことに鉄とコンクリートの温度変化による膨張伸縮の度合がほとんど同じらしいのに対し、ガラスと鋼は圧縮膨張の度合が異なるようで、網入りガラスはそれが原因で何か堅い物がぶつかったわけでもないのに割れるということもあるらしい。
   ガラスの安全性は、≪1≫割れにくさ と ≪2≫割れた時でも怪我をしにくい状態 の2つからなり、強化ガラスや合わせガラス、網入りガラスはこの2つの条件を持っているが、ガラスの厚みを通常より厚くすると、それでも割れた場合は危険ではあるが、通常のガラス〔どういうものが「通常」かという問題もあるが〕より割れにくい、≪1≫の方の条件を満たすことになるので、厚めのガラスを使用するというのも、安全対策の1つと言えるかもしれません。

(2)私が小堀住研を辞めた後、しばらくして、一時、住友林業が「標準仕様」で強化ガラスを採用して「売り」にしてチラシなどに文句を入れていた時期があったが、そこでは、強化ガラスは防犯に役立つとしていた。 どう役立つかというと、泥棒さんが嫌がるものは、人の目と、手間と、それに音だというのだが、普通ガラスの場合、引違窓で鍵をかけていても、その周囲にガムテープでも貼った上で、クレセントの周囲だけガラスを切れば、開けた穴から手を伸ばして鍵を開けることができるのに対し、強化ガラスはバランスでもっているものらしく、たとえ、ガムテープで切る箇所の周囲を貼っていても、1か所に穴を開けると全体がバラバラッと落ちるようで、その際に音がする。 だから、その分、普通ガラスよりも防犯上、役立つのではないか・・・と言うものだったが、しかし、強化ガラスか普通ガラスかというのは住宅屋に勤めてきた者でも見ただけではわからないし、泥棒さんがわかるかというと、「ハウス55」を知っている人なら強化ガラスだろうと思う人もいるかもしれないけれども、一般には強化ガラスか普通ガラスかというのは見てもわからない場合が多いと思うので、強化ガラスだからその家に入るのはやめようと考えるということはあまりないのではないだろうか。 かつ、「音がしそうだ」というなら泥棒さんはその家を狙うのを避けるかもしれないが、いったん、ガラスを切って、バラバラッと音がしたとしても、その程度の音が1度したというだけでは、そこで侵入をやめるかというと、どうだろうか。 だから、強化ガラスは安全性という点ではいいと思うが、防犯という点では、「どちらかと言えば」くらいかと私は思う。
   網入りガラスは防犯に良いかというと、実際には、網が入っていても、その網は切断しようと思えば切断できるらしく、その理由でそう防犯に役立つものでもないと言われるが、たとえ、そうであっても、普通ガラスより多少なりとも手間がかかるなら、その分だけでも防犯に役立つであろうし、又、たとえ、実際には網を切断することはできたとしても、印象として、泥棒さんが見た時に、避けた方が良さそうと感じるなら、その分、防犯に役立つでしょう・・・が、逆に、ここの主人は実際には簡易なペンチで切断できる網の入った網入りガラスを破れないものと思い込んでいるな・・と泥棒さんに思われてしまうようなら、逆に、防犯上、悪いことにもなってきます・・が、多くの住宅メーカーは網入りガラスは防犯上は役に立たないと言ってはいるのですが、多少なりとも普通ガラスより侵入に手間がかかる以上は、多少なりとも防犯上はプラスの要素ではないのかという気が私はします。


   ペアガラス は、(1)断熱性 と (2)防音 、それに、(3)ガラス表面の結露防止に効果があるとされています。 しかし、
(1)断熱性 については、
<1> 透明な断熱材は存在せず、ガラスというものは熱を通しやすい物質であり、そこで断熱性能をよくするというのは本来、難しく、その対策として、ひとつのサッシにガラスを2枚入れて間に空気層をはさむことで断熱性能をあげようという方法を考えた、というのがペアガラスですが、たとえ、間に空気層をはさんでも、あくまで普通ガラス(1枚のガラス)よりは断熱性能がいいということであって、やっぱり、ガラスの部分の断熱性能というのは他の部分より断熱性能は悪く、ペアガラスの断熱性能を高く評価しすぎるべきではないのではないか、という面があります。
  窓の部分にガラスでなく、アクリルとかガラス以外の透明の素材を使うということも考えられますが、ガラス以外でも透明の素材で断熱性能が良いものというのがなかなかない。
   ひとつの考え方として、雨戸の場合は透明である必要はなく、夜間についてなら、雨戸の方で断熱性能をはかるという方法もあります。 1990年前後から2000年過ぎまで一条工務店で「標準仕様」に採用していた三協アルミの「防音断熱雨戸」というのは、鋼板の中にウレタンを入れたもので、冬の夜、早めに雨戸を閉めれば寒さを防げる、夏の昼間、昼寝でもしようという場合、断熱雨戸を閉めれば暑さをかなり防げる、ということがあるようです。 鋼板1枚のぺらんぺらんの雨戸の我が家は、夏は暑いわ冬は寒いわで、たしかに、あの「防音断熱雨戸」はスグレモノだったなあと思います。2006年に三協アルミは立山アルミと合併して三協立山アルミとなったようですが、三協立山アルミのHPhttp://alumi.st-grp.co.jp/products/window/sash/index.html  を見ても、防音断熱雨戸は見当たりません。 新築される家ではペアガラスが一般的になった今日において、防音断熱雨戸は製造を中止したのでしょうか。 私は、けっこう気に入っていたので、商品として製造されなくなったのなら残念です。(リクシルでは、断熱雨戸を生産販売しているようです⇒http://www2.lixil.co.jp/rp/dfw/biz-lix/lineup/classification/products/variety/amado_hito.htm#variation) それで、防音断熱雨戸はけっこうスグレモノではあったのですが、 但し、やっぱり、雨戸を閉めたくない時間帯において、断熱性能を高めたい場合にどうするのかという問題は残ります。

<2> ペアガラスが最も優れているというわけではなく、断熱性を重視するなら、ペアガラスより二重サッシの方が性能はいい。 二重サッシというのは、ガラス窓を2つ取り付けるわけです。 普通に考えればわかることですが、ペアガラスというのは、ひとつのサッシに2枚のガラスを入れるものですから、間にはさむ空気層の厚みには限度があります。 ガラスを2枚にして間に空気層をはさむことで断熱性能をはかろうとするのなら、二重サッシ(サッシを2つとりつける)方法の方が、間にはさむ空気層をペアガラスよりも厚くとることができるので、断熱効果も高いはずなのです。
   2000年にロシア連邦のイルクーツクに行った時、イルクーツクで泊まったアンガラホテルの窓は二重サッシになっていました。 私は夏に行ったのですが、なるほど、冬場の平均気温がマイナス15度という「冷蔵庫の上の方」、家庭用冷蔵庫の冷凍庫の方の温度くらいになる場所だけあって、二重サッシでした。 もっとも、その後、バイカル湖畔のリストビャンカ村で泊まったバイカルホテルの窓はペアガラスになっていましたが、ペアガラスはペアガラスでも、日本のハウスメーカーが「標準仕様」でつけている程度のペアガラスではなく、なるほど、これなら相当の断熱性能を発揮するだろうなあと思えるものすごいペアガラスでした。








   一般に、もしも、本当にガラス窓の部分で断熱性能を発揮させたいのなら、断熱効果だけを考えるならば、ペアガラスより二重サッシの方がいいはずなのです。但し、開け閉めを良くする場所の場合は二重サッシは開け閉めの手間も二重にかかるので適当ではないかもしれませんが。
※⇒《YouTube-The Holy Baikal - old russian song (聖なる湖 大いなるバイカル)》http://www.youtube.com/watch?v=mh89Dsm_4Dk 
《YouTube-По диким степям забайкалья Xор им. (バイカル湖のほとり)Пятницкого Pyatnitsky Choir》 https://www.youtube.com/watch?v=jB5MMfCpj88

<3>  窓ガラスの部分で断熱をはかりたい場合、ガラスの部分はペアガラスにしてある程度は断熱性能を高めることができたとして、今度は枠の部分の問題がでてきます。 1993年頃、たいていのハウスメーカーが「標準仕様」、もしくは、特に指定しなければ使用したサッシはアルミサッシでした。 アルミというのは熱を通しやすい物質で断熱性能はよくありません。 
  枠の部分でアルミよりも断熱性能がいいものとしては木製サッシがあります。 木とアルミなら木の方が熱を通しにくいというのは普通に考えればわかります。 しかし、1960年代後半まで私が住んだ家は木製のサッシでしたが、断熱性能がいいとは思えなかった。 むしろ、1960年代終わりに親が新築して住んだアルミサッシの家の方が気密性は高いと思われた。 木とアルミでは木の方が熱を通しにくいはずなのに、どうしてか。 この点について、上村武『棟梁も学ぶ木材の話』(丸善)では、あまり品質の良くない木製サッシが頭にあるのではないかといったことが述べられていますが、そういうケースもあるかもしれませんが、それだけではないと思います。 窓の断熱性・気密性という問題を考える際、ガラス面に続き、枠の部分の問題が出てきましたが、それだけではなく、ガラスをはめている枠とその外側の建物についている方の枠との間の隙間の問題があるのです。 アルミは素材の性質として、クレセントをぎゅっと閉めればぴったりとくっつきやすい性質があるため、隙間を小さくしやすい。 それがアルミサッシの長所らしく、その点では一般に木よりアルミの方が優れているらしいのです。 木とアルミなら木の方が熱を通しにくいはずなのに、アルミサッシの方が木のサッシより断熱性・気密性が高いような印象があるのはそのあたりからではないでしょうか。 窓の部分の断熱性・気密性を考える際に、ガラス部分だけでなく枠の部分も考える必要があるとともに、Fix窓(嵌め殺し窓)以外では、動く部分の枠と建物に固定された枠との間のすきまの問題もあったのです。
   それで、ペアガラスにして断熱性能を高めようとした場合、ガラスを2枚入れて間に空気層をはさむだけではなく、枠を木製のサッシにするか、さもなくば、樹脂製のサッシにするか、ということになってきます。
   しかし、問題はそこで終わりではないのです。 、樹脂とアルミ、もしくは鋼では、樹脂の方が一般に弱いのです。だから、樹脂サッシにするとアルミサッシに比べてガラス窓の枠が分厚くなってしまいます。 ガラスの部分から光が入る部分の面積が狭くなりもともと、大きい窓ならそれほど気にならないかもしれませんが、小さい窓では窓の意味があまりなくなってきてしまう、ということにもなりかねません。  又、外観のデザインも影響が出ます。窓枠が分厚くて格好の良いデザインができればいいのですが、現代風のデザインのものでは設計者が工夫すればいいでしょうけれども、「伝統的」なデザインの場合に違和感が出ないかという問題もあります。

<4>  そして、ペアガラスで間にはさむ空気層はどのくらいのものを採用するかという問題があります。 一般に間の空気層は広めのものの方が断熱性能はいいのですが、それだけサッシが分厚くなり、開け閉めの際も重くなります。 また、広めのものの方が価格も高いはずです。

<5>  もっと、根源的なことを言いますと、さて、家の断熱性能をペアガラスとかを相当に充実させて高める必要が本当にあるのか、という問題もあることはあるのです。
   2000年前後、一条工務店の栃木県佐野市の営業所にいて、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部あたりの方と対応させていただいたのですが、その前にいた福島県浜通り地域では、東北地方以外の地域、東京から西の住人は福島県は東北であるので、浜通りも寒い地域ではないかと思っている人が多いのですが、福島県の人間は浜通り、特にいわき市・双葉郡といった浜通り中南部については「あったかい所」と言うのです。 実際、中通り・会津地方に比べれば「あったかい所」ですし、雪もほとんど降りません。 外房の続きの常陸の続きとして福島県浜通りがあるような面もあります。 しかし、福島県浜通り地域は、「あったかい所」と言っても中通りや会津より「あったかい」、青森県や岩手県よりは「あったかい」ということであって、鹿児島県とか宮崎県とか和歌山県とかより「あったかい」わけではないはずなのですが、福島県人の意識としては浜通り(特に、浜通り中南部)は「あったかい所」なのです。
   それに対して、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部の住人には「ここは寒いですから」と言う人が多いのです。 内陸部は海に近い所に比べて夏、暑く、冬、寒いという傾向はあります。 群馬県を上州といって、「上州名物、かかあ天下にからっ風」という言葉があり、「かかあ天下」の方は、かつて、養蚕などがさかんで女性が働くことが多くて女性の力が強くて「かかあ」がえらそうにしている地域・・という意味ではなく、せっせと働いてくれる女房に男性が感謝して「おらのかかあは天下一だ」「天下一のかかあだ」と言ったのが誤解されて「かかあ天下」として話が広まったとか言いますが、「からっ風」の方は、群馬県だけでなく佐野市など栃木県南西部でもけっこう強く、冬場は畑に作物を植えていない時期には土煙が相当舞い上がったりしていました。 福島県浜通りでも栃木県南西部でも、北側の窓はそれほど重視しない方が多かったのですが、栃木県南西部では福島県浜通りと違って、西側の窓はいらないという方が多く、実際に建っている家を見て回っても、福島県では西面は南面・東面ほどは重視しないとはいっても西面にも窓はあったのに対し、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部では西面には窓がまったくない家がけっこうありました。 これはいわゆる「からっ風」が西から吹くことに対してのものではないでしょうか。  それで、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部は「関東地方」なので、ある程度離れた地域の人からすると、東北地方よりは「あったかい」のではないかと考えがちですが、冬場はけっこう寒いのです・・・・が、会津とか新潟とか北海道とかみたいに寒いわけではないはず・・・・と思うのですが、それを言うと機嫌が悪くなる人が多い地域でした。 佐野市の営業所から一条工務店のフィリピンの工場に見学に行った人が、行く前にインターネットで「フィリピン」と入れて検索してみたところ、≪フィリピン人から「フィリピンは暑いか?」ときかれた時には、「暑い」と答えた方がフィリピン人は喜ぶ≫と書かれていたものがあったそうですが、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部の生まれた時からそこにいる人から、「ここは寒いですから」と言われた時には、「そうですね」「ここは寒いですものねえ」と返答した方が「喜ぶ」みたいでした。 これは実際に私が体験したことなのです。 「まあ、たしかに冬はけっこう寒い所ですけれども、そうはいっても、会津とか新潟のような寒冷地というわけでもないですから」と言うと、「あなた、よそから来た人でしょ。このあたりのこと、わかってないでしょ」とか言われるのです。 そうでもないですよ。私だって、佐野市に3年半住んだ人間ですから、「関東地方」だから「東北」より「あったかい」だろうなどと思っていたらそうでもない、ということは知っていますよ。 しかし、やっぱり、会津とか新潟とか山形とかと同じように「寒い」か、「寒冷地」かというとそうではないとも思うのです・・・が、それを言うと、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部の住人には機嫌を悪くする人がけっこう多かったのです。 だから、フィリピンに行ってフィリピン人から「フィリピンは暑いか?」ときかれた時には「暑い」と答えた方がいい、というのと同じく(その「情報」がどのくらい信用できるものかわかりませんけれども)、栃木県南西部の住人から「ここは寒いですから」と言われたら、「そうは言っても会津や新潟と同じというわけでもないですから」なんて、言わない方がいいみたい・・と理解したのです。 営業の仕事やっている以上、相手が機嫌を悪くすることを言ってもしかたがないですからね。
  その後、山梨県の上野原市に住んだのですが、山梨県上野原市(当時は上野原町)の昔からの住人に、「ここは寒いですね」と言うと、「そんなことない。 暑い」と言うひとがけっこうあったのです。 冬の寒さより夏の暑さの方が応えるという意味らしいのですが、冬になって雪が降ると、東京都の八王子・高尾付近から神奈川県の相模湖付近を経て山梨県の上野原に入ると、八王子・高尾あたりでは朝に降った雪は夕方になったら解けているのに対して、山梨県の上野原では朝に降った雪は夕方になったら凍っているのです。 やっぱり、昔の人が武蔵の国と甲斐の国と分けたようにそれだけ違いがあるんだなあと思ったものです。 そして、東京や大阪でごくたまに雪が積もって凍った時、ハンマーで叩けば割れることが多いのですが、山梨県ではハンマーで叩いたって凍った雪は割れず、ホームセンターでは東京都・千葉県では置いていないことが多い凍った雪を融かすための塩化カルシウムが山梨県では普通に売られており、「春までとけない永久凍土」と言ったりしていたのです。上野原で雪が降った時には、東京や大阪で雪が降った時の感覚でいてはだめで、さっさと雪かきをしないと凍ってしまってスコップでよけようと思っても歯が立ちません。 夜、風呂に入った後、換気のつもりで窓を開けてそのまま寝ると、朝、開けた窓が凍って動かなくなり閉めることができなくなってしまいます。 しかし、上野原市(当時は上野原町)の昔からの住人が言うには「冬は(甲府や大月あたりに比べて)寒くない」そうで、「夏の方が、暑い」らしい。 で、実際に、夏になると、たしかに、「暑い」。 たとえば、 関西あたりの人間は、山梨県というのは「冬、寒い」だろうと思っている人間が多いのではないかと思うが、それより、たしかに「夏、暑い」・・・・が、それなら、冬、寒くないのかというと、やっぱり、寒いのですけれどもね・・・。
  それで、栃木県南西部・群馬県南東部・埼玉県北東部の住人には「ここは寒いですから」と言う人が多く、山梨県の上野原あたりの古くからの住人には「寒くない。夏の方が暑い」と言う人がけっこうあったのですが、実際に栃木県南西部と山梨県東部とどっちが、冬、寒いかというと、間違いなく山梨県東部の方が寒いのですが、栃木県南西部の住人の方が「ここは寒い」という意識の人が多く、実際の気候とその地域に住んでいる人の意識は必ずしも一致していないのです。
  栃木県南西部、たしか、佐野市の東側の藤岡町の方だったと思いますが、訪問した時に、「この家は寒いから、断熱性・気密性のいい家を建てる所に頼みたいと思っている」と言われて、「たしかに寒いですけれども、会津や青森のように寒いわけではないので、青森仕様の家にまですることもないでしょうから」と言いかけて、どうも、それを言うと機嫌が悪いようなので途中で言うのをやめた、ということがありました。 実際、栃木県南西部で青森仕様とかシベリア仕様の住宅にまでしてもしかたがないのではないのかと思うのですが、どうも、栃木県南西部の住人にそれを言うと機嫌を悪くする人が多いのです。 そして、「高断熱高気密住宅」に建て替えたいと言う栃木県南西部の人のお宅に訪問すると、それまで、どういう家に住んでいるかというと、そりぁ、こんな家に住んでいたら寒いわなあ・・・て感じの家に住んでおられるケースがけっこうあったのです。だから、特に「高断熱高気密」をうたっている会社の「高断熱高気密」の住宅でなくても、その時(2000年前後)に、一般的な住宅メーカーがフツーに建てているフツーの住宅であっても、その方が住まれてきた家よりはよっぽど「高断熱高気密住宅」であり、青森仕様か北海道仕様の家にしようとしている方を見ると、はたして、そこまで必要か? それは「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」の類ではないのか?とも思ったのです。 思った以上は口に出して言ってさしあげた方が親切というものではないかとも思ったのですが、どうも、栃木県南西部の住人には、それを言うと機嫌を悪くする人が多いようでした。 栃木県南西部の住人から「ここは寒い」と言われたら、フィリピンで「フィリピンは暑いか?」ときかれた時には「暑い」と答えた方がいいらしいのと同じく、広島では広島カープをけなさない方がいいというのと同じく?、山口県人が会津に行くことがあって会津人から「どこから来られたか?」と尋ねられても絶対に「山口県から」と答えてはならない?のと同じく?(もし、「山口から」と答えるとボコボコにされる???)、「そうですよねえ。ここは寒いですからねえ」と言った方がよく、「寒いといっても、会津や新潟や青森ほど寒いわけじゃないですし、北海道仕様の家にするのもどうでしょうか」などと言って機嫌を悪くされてしまって、「そうですよねえ、ほんとにここは寒いですからねえ」と平気で言いまくって青森仕様か北海道仕様か、もしくは、スウェーデン仕様かフィンランド仕様の家を建てさせてしまう営業の方を気に入って、そっちで契約・・・・となりかねないのです。(もっとも、その地域の人のそういう意識につけこんで、青森仕様か北海道仕様、もしくは、スウェーデン仕様かフィンランド仕様の家を契約させて建てさせてしまう営業って、もしかして、それは詐欺と違うのかという気もしないではないのですが。)
   実際問題として、栃木県南西部で、「この家は寒いから、今度、建て替える家はあったかい家にしたい」と言うおっさんが住んでいる家は、どう考えても、そりぁ、この家なら寒いわて感じの家が多いので、ペアガラスなり二重サッシなりにしたければしても良いけれども、“ 普通ガラスのフツーの家 ”でもその家よりはよっぽどあったかいと思えるケースが多かった。

<6> ペアガラスは普通ガラスよりも断熱性が高いことが期待できますが、ガラスには他にもさまざまなものがあります。 小堀住研が営業社員に配布した『営業マニュアル(知識編)』(1989)には、「熱戦吸収板ガラス」〔サンブルー・サングレー・サンブロンズ(旭硝子)、ブルーベーン・グレーベーン・ブロンズベーン(日本板硝子)〕、「熱線反射ガラス」〔サンカット(旭硝子)、レフライトS・レフライトNB・レフライトSグレー、レフライトNBブロンズ(日本板硝子)〕があげられています。(『営業マニュアル(知識編)』に出ている商品名は1989年の時点でのものなので、今現在は変わっている可能性があります。)  「熱戦吸収板ガラス」は太陽光から光は部屋中に入れて熱はガラスの部分で吸収して部屋中に入れないようにするものらしく、「熱腺反射ガラス」とは太陽光からの熱を反射して部屋中に入れないようにするもののようです。
   私は一条工務店に勤めた前後において他のハウスメーカー・ゼネコン・設計事務所・リフォーム屋・不動産会社などに勤めてきましたが、F社が東京都目黒区で建てた某様邸では、南面に2階から3階にかけて大きな面積の嵌め殺し(Fix窓。開かない窓)のガラス窓を設け、2階と3階に光が十分に入って明るい部屋にして、かつ、太陽熱が入りすぎて、夏場、暑くなり過ぎないように「Low-E ガラス」を使用し、また、自分たちが外を見ることができる開放的な景観は、同時に外から部屋中が見られてしまうことにもなる為、2階から3階にかけて白色のロールスクリーンを設置して外からの視線を防ぐという処理をしていました。
  「Low-E ガラス」とは、≪Low-Eとは、「Low-emissivity」の略語です。  赤外線からの熱エネルギーを吸収し、再放射する率(Emissivity)が低い(Low)、すなわち、熱を通し難く、遮熱性・断熱性が高いことを意味します。≫≪Low-Eガラスとは 熱エネルギーの吸収・再放射率を低くするために、ガラスの表面に特殊なコーティング処理を施しています。≫(《伊藤忠ウインドウズ‐LowEとは》http://www.itcw.co.jp/tech/low-e.php )、≪太陽熱の侵入を防ぎ、涼しく快適。西日対策や紫外線による色あせ防止にも効果的。≫(《YKK AP ―Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)》 https://www.ykkap.co.jp/search/item/itempage/Cate0001/Genre0006/001.html ) というものだそうです。
※ emissive (形容詞)放出する、放射する、放出力ある、放射力ある。
emission (名詞)1.(液体・光・熱などの)放出、放射。 2.放出物、放射物。 3.(紙幣などの)発行。 4.(電子の)放出。 (電波の)発射。
(大塚高信・吉川美夫・河村重治郎 編『カレッジクラウン英和辞典』1964.3.25. 三省堂)
  窓の効用としては、<1>光を入れる、<2>太陽熱を入れる、<3>景観を確保する、<4>風通しをはかる、といったことがありますが(他に、「運気を入れる」というものもあるかもしれません)、この<1>~<4>は、ある面積の窓を設けた場合に、すべてが適量に入ってくるとは限らないので、「<1>光は十分に入れたいが、きつい直射日光ではなく多少、やわらげたい、<2>熱は少なめの方がよく、<3>自分たちが外を見る景観はある程度欲しいが外から部屋中を見られるのは防ぎたい、<4>通風・換気は他の場所からは採るがこの場所からはとらない」という条件を満たす為に、「<1>窓は南面に大きくとり、<2>Low-Eガラスを採用することで太陽熱は少なめにして、<1><3>南面に白色のロールスクリーンを配置することで外からの視線を防ぎ、入ってくる太陽光を柔らかくするという処理をした<4>嵌め殺し窓(Fix窓)〔開かない窓〕」としたわけです。 私が今まで見たものでは、都立日比谷図書館(現在は千代田区立に移管されたようですが)と大田区立入新井図書館(今は解体されてその場所にはマンションが建ち、入新井図書館は複合施設として別の場所にできたようですが)の閲覧室の窓に、靴を履いて入る部屋で和室でなくても窓の内側に障子を入れて太陽光を柔らかくする処理をしていた所がありましたが、このお宅の白色のロールスクリーンも、日比谷図書館・旧入新井図書館の閲覧室の障子と同様の効果を発揮していたと思えます。、
   熱の進入を調節するガラスはペアガラスだけではありません。

<7>   F社の建物には魅力的なところもありますが、最近の好みなのか、屋根はガルバリウム鋼板を使った陸屋根か片流れで軒・庇はほとんどないという家が多く、そのあたりについては、私は、もう少し、軒と庇の効用を考えてみてはどうなのだろうか・・といったことを考えます。 太陽光の光と熱の部屋中への進入量の調節には、日本では、古来、軒と庇というものが役立ってきたのであり、一般に「建築家の家」と称する戸建住宅には軒と庇のない直方体の家を良く見ますが、私は、もう少し、軒と庇の効用も考えた方が良いのではないかと思います。
   また、「<1>光は十分に入れたいが、<2>熱は少なめの方がよく、<3>自分たちが外を見る景観はある程度欲しいが外から部屋中を見られるのは防ぎたい」という条件を満たす為に、「<1>窓は南面に大きくとり、<2>Low-Eガラスを採用することで太陽熱は少なめにして、<3>南面に白色のロールスクリーンを配置することで外からの視線を防ぐ」というのは理にかなっているのではあるのですが、昔は、「Low-E ガラス」なんてなかったし、エアコンもなかったけれども、それでも、日本人は日本に住んで生活してきたわけで、軒と庇で調節した上、普通ガラスに網戸・カーテンくらいはいいとしても、あまりにも高度に「近代的」「科学的」「技術的」なものを適用した住宅というのは、はたして、そこまでした住宅でないと住めないような弱体化した人間に日本人はなってしまったのだろうかと不安を感じ、その理屈に沿った住宅が悪いというわけではないのですが、百パーセント肯定していいのだろうかという気持ちになってみたりもします。


(2)防音・遮音について
<1>  防音・遮音についても、断熱性・気密性の問題と同じく、ペアガラスよりも、二重サッシの方が効果は高いと思えます。 但し、やはり、二重サッシは2つのサッシがあるわけですから、開け閉めをよくする場所では不便ではあります。

<2>  そして、やはり、断熱性・気密性の問題と同じく、ガラスの部分だけでなく、隙間の問題もあります。 一条工務店で入社1年目に契約いただき、東京都町田市で建てていただいたU様の建築地は、静かな住宅地でしたが、少し道路がカーブしているところで、通行するクルマが警笛を鳴らして通ることがあるということで、ペアガラスにして防音をはかりたいと希望されました。 私は担当者として何度か建築地に行きましたが、それほどうるさいというほどではないように思ったのですが、人が2人以上いて感じ方が違った場合、どちらの感じ方が正しいとか間違っているとかいうことはありません。 お施主様の家である以上、お施主様がうるさいと思われるのであれば、そうなのでしょう。 それで、クルマが通り、クラクションを鳴らすことがある側の部屋の窓に防音をはかりたいと考えられ、ペアガラスにするといいと思われたようですが、仕様打ち合わせの際に、工事担当のMさんが、クルマの音を防ぐということなら、ペアガラスよりも防音障子の方がいいと思うと提案し、結果として、ガラスを一条工務店が「標準仕様」で使っている3mmの普通ガラスから5mmの厚みに変更した上で防音障子を採用しました。
   「防音障子(ぼうおんしょうじ)」とは、「障子」という名称でも木の枠があって障子紙が貼られているもののことではありません。 アルミサッシですが、通常のサッシよりもクレセントを閉めた際に強く両側に押し付けられて隙間が小さくなり、隙間からの音の侵入を防ぐことができる、というものです。
   その入居者の方が「ガラスの厚みを3mmから5mmに変更した上で防音障子」とされて、ペアガラスにされた場合と比べて良かったかどうかというと、少なくとも悪かったとは言われていませんが、両方の部屋を作って比較されたわけではなく、また、私自身も普通ガラスの部屋、ぺガラスの部屋、防音障子の部屋と3つの部屋に住んでみた体験があるわけでもないので、断定できかねるところはありますが、防音・遮音という目的であれば、ペアガラスしか方法がないわけではなく、防音障子、あるいは、「『通常』よりガラスを厚いものに変更した上で防音障子」というものも選択肢としてあるのです。
   ペアガラスは普通ガラスより防音性能は良いとしても、「防音サッシ」は防音自体を目的に開発されたものですから、防音が目的なら、ペアガラスで考えるよりも「防音サッシ」を検討した方が良いのではないのか、とも思えます。

<3> 1993年頃、一条工務店で「標準仕様」で入れていた三協アルミの「防音断熱雨戸」というものも、防音に役立ちます。 但し、雨戸なので、閉めると外は見えませんし光は入らなくなり、暗くなります。 防音断熱雨戸は、夜間と、それから、消防・警察など24時間勤務して、24時間休みといった仕事をしていて、昼寝をする方にとっては役立つと思えます。 昼間は、ひとが少々うるさくしても、自分も音を発生させて生活しているのでお互いさまというところがあります。 昼寝をしたい職業の方などは、他の人間が活動して音を発生する時間帯に寝なければならないという事情があるので、そういう方には防音断熱雨戸は光を防ぐとともに防音にも役立つのでいいでしょう。
   前の道をクルマがけっこう通るという場所に住まれている方の場合、昼間は継続的にクルマが通るので、音はするけれども、それほど気にならないのに対し、夜はたまに通るので、むしろ、夜、通るクルマの方が音は気になると言われる方があります。 そういう方に、防音断熱雨戸は役立ったはずですが、但し、「防音障子」が隙間をなくして音の侵入を防ぐものであったのに対し、防音断熱雨戸は引いて開け閉めする雨戸なので隙間はありました。 三協アルミの防音断熱雨戸は、台風などの時にも、我が家のぺらんぺらんの鋼製雨戸などは風でがたんがたんして、別に飛ばされるわけではないけれども不安を感じるのに対し、がっしりして安心感があり、入居者からも好評でしたが、立山アルミと合併して三協立山アルミとなったらしい同社のホームページを、今、見ても、防音断熱雨戸は見当たらず、ペアガラス、特に、樹脂サッシの上で相当に厚い空気層をとったペアガラスが「国家的政策」?で普及した現在では、商品として生産されなくなってしまったのでしょうか。 けっこう気に入っていた者としては、残念です。

⇒ (3)ガラスの表面結露防止について を、
(中)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201505article_3.html で述べます。 ぜひご覧くださいませ。

☆ 今回は、
[第332回]中 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201505article_3.html
[第333回]下 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201505article_4.html
と合わせての三部作です。 合わせてご覧いただくよう、お願いいたします。
  (2015.5.19.) 

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