ペアガラス・強化ガラス・断熱雨戸等の特徴、及、人のせいにするアホ営業(中)、表面結露・内部結露対策

[第332回]
《ペアガラス・二重サッシ・防音障子・強化ガラス・断熱雨戸等の長所短所、及、人のせいにするアホ営業》三部作の2回目。  営業と会社の話(79)-2

ペアガラスの効用
(3) ガラス表面の結露防止について
   空気は水分を水蒸気として含んでいますが、気温が下がれば水滴として現れます。
   たとえば、冬場、室内で石油ストーブを炊くと、気温が上昇するだけではなく、石油ストーブは水分を相当に放出するようです。 少々、水分を放出しても、室内の温度が高ければ空気中に水蒸気として含まれているのですが、どこでも均質に気温が高いわけではない時、温度が低い場所で水滴となる場合が出てきます。それが「結露」です。
   軸組構法で、グラスウール・ロックウールなど鉱物繊維系の断熱材、ポリスチレン・ウレタンなどの化学物質系の断熱材、天然素材の羊毛などの断熱材を使用して、柱と柱の間に断熱材を入れる方法をとった場合、鉄を素材とする鉄骨軸組構法であれば、鉄骨の柱の部分だけ断熱材がないことになり、冬場、室内を暖房すると、その部分が「熱橋」となって鉄骨の柱の室内側の温度が低くなり、石油ストーブなど水分を相当に放出する暖房を使用した場合、あるいは、キッチンでの調理で水分を放出した場合、その水分が部屋の内部では水蒸気として空気に含まれていても、鉄骨の柱の上にあたる部分だけ温度が低い為に、その部分のクロスの所が湿気ることがあるようです。 これが「表面結露」です。〔電磁調理器やオール電化住宅のセールストークとして、「冷房を入れた高断熱高気密住宅で、火を燃やすコンロのキッチンてどうよ? 矛盾してない?」というものがあるようですが、電磁調理器は火を燃やしませんが、火を燃やさなくても、電磁調理器の上の鍋ややかんでお湯をわかせば水蒸気も発生すれば熱も発生します。 電磁調理器なら温度上昇がないとか水蒸気の発生がないわけではありません。〕 「外断熱」は、柱の間に断熱材を入れるのではなく柱などの構造材の外側に断熱材を入れる方法で、鉄を構造材とする建物の場合、外断熱をとった場合にはこの問題は解消されることになります。 木を構造材とする建物の場合、在来木造でもツーバイフォー工法でも木質パネル構法でも、たとえ、木の構造材の部分にグラスウール・ロックウールなどの断熱材がなくても、木自体の断熱性能が鉄などよりはるかに優れているため、鉄骨造のように室内で柱の上のクロスが湿気るという問題は発生しにくく、鉄を構造材とする建物ほどは外断熱と柱の間に断熱材を入れる方法との差はありません。(シベリアのイルクーツクとバイカル湖畔のリストビャンカ村の中間に木造住宅博物館という屋外博物館があって見に行きましたが、イルクーツクのあたりで言う「木造住宅」とは、日本で言う組積造のログハウス、丸太を積み上げて作る建物でした。 太い丸太を積み上げて作る住宅では、木の丸太が断熱材の役割を果たすため、冬場の平均気温がマイナス15度になるという地域の住宅に適していたようで、木はグラスウール・ロックウールと同じ断熱性能まではないとしても、十分に断熱性能のある素材であるようです。)
   空気は暖かい所から寒い方へ流れる性質があるため、屋内が暖かく外が寒いと中から外への空気の流れができます。 水蒸気を含んだ空気が外に向かって流れた時、その水蒸気がどこで水滴になるかが問題です。完全に外で水滴になれば問題はないのですが、気温が低くなる場所で水滴になることが多く、どこで気温が低くなるかというと「断熱材の外側」で気温が低くなることが多いのです。 となると、壁体内の断熱材の外側の部分で水滴となり、断熱材が湿気た状態になってしまうことがあり、グラスウール・ロックウールなどは湿気た状態では乾燥した状態に比べて断熱性能は低下するようですし、壁体内が湿気た状態では木の構造材も腐りやすくなり、カビなどの発生も考えられます。 これが「壁体内結露」「内部結露」です。 この対策の1つは室内から壁体内への湿気の侵入を防ぐことで、断熱材のメーカーはグラスウール・ロックウールの壁用断熱材の内側に「(室内側)防湿層」を付けて断熱材を製造販売していたのですが、一条工務店の工事現場を見て回ると、どこの現場を見ても、壁用断熱材に筋交いとか幅木とか廻縁とかを突き刺して室内側防湿層を破っていたのです。 営業本部長の天野隆夫さんが私に「一条工務店の工事現場を見て、何か、ここは良くないと思うところはあったか」と言うので、この人に言えば改善してもらえるのではないかと思って、室内側防湿層がすべての工事現場で破られていることを指摘したところ、「断熱材の室内側防湿層なんて、そんなもの、破れていたっていいだろうが。何、考えてるんだ、おまえはああ!」と怒鳴りつけられたのです。 あほくさ! せっかく、ひとが会社とその建築する建物を良くしようと思って問題点を指摘したのに、怒られるのでは、もう言わんわ、二度と言うものか、あほくさい、と思ったものです。 2つ目として、断熱材の外側に通気層を設け、空気の流れを作れば、発生した「内部結露」「壁体内結露」が解消されることになります。 小堀住研の木質パネル構法は断熱材と合板の間に「スペーサー」として、「スーパーで卵が売られている時に卵が入っている容器のような感じのもの」をはさんで通気層を設け、木質パネルの枠材にところどころに穴を開けて空気の流れを設け、これを「壁体内換気システム」と呼び、特許を取得して「売り」にしていました。 在来木造の場合は、断熱材のメーカーはグラスウールなどの壁用断熱材の両側に「耳」をつけていて、この「耳」を両側にぴんと引張って柱・間柱に取り付ければ、断熱材の外側に空気層ができるようになっていたのです・・・が、一条工務店の工事現場を見ると、たいていの工事現場でそのあたりが考えられておらず、壁用断熱材は「適当に柱・間柱の間に詰め込む」ような施工がされていて、「耳を両側にぴんと引張って柱・間柱に取り付けて断熱材の外側の空気層を確保する」という配慮はされていませんでした。 で、「会社のために」私はそれを指摘したいところだったのですが、言うと怒られますから、しかたなしに黙っていました。 ・・・でも、なんで、怒るのでしょうね。 そう思いませんか? A野T夫さんは、「ぼくは学校でてないから、気さくで人間味があるんだ」と主張し、「そう思うだろ。 思わないのか。 『思います』と言えよ。『思います』と言え!」と言い、「思います」と無理矢理言わされてしまったことがありましたが、天野さんが言うところの「気さくで人間味がある」という優秀な最終学歴中卒の人って、なんだか、ずいぶんとユニークな行動をとりますね・・・。
   それで、「表面結露」の方が発生しやすい箇所として、鉄を構造材とする建物の鉄骨の柱の上にあたるクロスなどの部分とともに、窓ガラスの表面というものがあるのです。 ガラスは熱を通しやすい物質ですから、冬場、室内で暖房器具を使用した時、窓ガラスの表面付近だけ、部屋の中央付近に比べて温度が低いという事態になりやすいのです。 窓ガラスの表面が部屋の中央部などよりもずっと温度が低いという状態になると、ガラス表面に湿気がついて曇り、さらに、水滴となってたれてきて引違いの窓ガラスのレールの部分に水がたまり、もしも、レールの部分にほこりでもあれば、ほこりが湿気た状態になり、そこに、カビがはえたり、ダニが発生したり、さらに、カビ・ダニが発生すると、それが、アレルギー・アトビーの原因になったりもします。 発生すれば拭けばよいのでしょうけれども、毎度毎度、めんどうでもありますし、拭ききれない場合もあるでしょう。
   窓ガラスの表面に発生する「表面結露」への対策ですが、ひとつには、窓ガラスの外側に断熱材に該当するものを設置して、ガラス窓を気温が低くなる境界域より内側に持ってくるという方法が考えられます。 1993年頃、一条工務店が「標準仕様」である程度以上の大きさの窓に設置していた三協アルミの「防音断熱雨戸」というのは、鋼板の内部にウレタンが入っているものだったようで、断熱性能が期待できたので、冬場、昼と夜ではより寒いのは夜ですから、早めに「防音断熱雨戸」を閉めれば、ガラス窓の外側に断熱材が配置されたようになり、効果はある程度期待できたはずです。 三協アルミの「防音断熱雨戸」でなくても、木製の雨戸の場合は、木は鉄やアルミと違って断熱性能が期待できますから、木製の雨戸がついている家では、冬場、早めに雨戸を閉めれば、ガラス面の「表面結露」対策として役立つはずです・・・が、私が小学生の途中まで1960年代後半、1970年の大阪万博の少し前まで住んだ家は、木製のサッシと木製の雨戸がついていましたが、それでも表面結露はしていたように思います。 三協アルミの「防音断熱雨戸」にしても、昔ながらの木製雨戸にしても、防音障子と反対に隙間がありますから、「防音断熱雨戸」や木製雨戸の部分では断熱性能は発揮できても、ない場合よりは良いとしても、完全にガラス面の表面結露を防止するところまではいかないのではないでしょうか。
   もうひとつの対策が、ガラスの部分での断熱性を高めるという方法で、ペアガラスにする方法がそれです。 但し、これも、普通ガラスの場合よりは表面結露が発生しにくいということで、絶対に発生しないということではありません。 又、断熱性・気密性のところで、枠の部分の問題を述べましたが、結露の問題も同様で、アルミの枠の場合、ガラスをペアガラスにしても、アルミの枠の部分で表面結露が発生する可能性があります。 となると、木製か樹脂製の枠にして・・ということになってきます。
   それぞれ、なかなかの機能のあるものはあるのですが、もうひとつ、大きな問題として、より高い機能のあるものは、たいてい、その分だけ金額も高いわけで、「低価格で」という性質が失われることになります。
   ガラス窓の表面結露の防止としては、断熱性の問題のところで、二重サッシの方がペアガラスより優れていることを述べたように、表面結露の防止としても二重サッシの方が優れていることになるでしょう。


    さて、1993年に一条工務店の松戸展示場に入社した、新潟大卒だというニコチン中毒のA山なる男が、「一条工務店は、窓ガラスが良くないから売れない」と主張し、さらに、あろうことか、私がそう教えたから売れないと主張したというのです。 アホか!?! 
    まず、住宅の販売の場合、スーパー・百貨店・コンビニなどで、陳列されているできあいの商品をそのまま販売するのとは性質が異なり、そのお施主様の要望に合った物を作っていくのです。 個人大工や多くの設計事務所の場合、「標準仕様」などというものはありません。 たいていの設計事務所では、顧客の希望に合わせて、一から決めていくというのが普通で、「自由設計」「注文住宅」というのは本来はそういうものを言うはずです。 小堀住研の木質パネル構法の「新 桂」は「オリジナルプラン」「オリジナルデザイン」「オリジナルワン」と言ったりしていたように、そのタイプで、1990年頃まで東京都などでは建てていた在来木造の建物もそうでした。 小堀住研では「ハウス55」という通産省・建設省の「ハウス55 プロジェクト」で入選した「高品質低価格」タイプの「企画住宅」も建てていましたが、これは、「このような住まい方はどうでしょうかと企画された」プランがいくつかあって、プラン集の中から要望に近いものを選び、それに部分的に改変を加えていくというもので、設計の手間が省力化できることからその分、「低価格化」がはかられていました。 これは、ある程度の改変はできるけれども、プラン集の中から選ぶというもので、このような住まい方はどうでしょうかという企画であるという「企画住宅」であるとともに、ある程度、規格化されたものを使うという意味での「規格住宅」という性質もあったわけです。 「ハウス55」の場合、使うものは「標準」として決められているものと、「オーダーエントリー」として差額を出してグレードアップするものが決められており、そこから選んでいくというシステムで、こういうシステムの商品は他の会社にもあったはずです。 「ハウス55」は、当時、そのタイプの商品の中ではけっこう人気があって、プラン集にあるプランの数が多いというのが長所のひとつでしたが、それでも、要望にぴったりにはならないケースはあり、そこで、ハウス55で用意された「標準仕様」「オーダーエントリー」の物を使用しながら、間取りは自由に作っていくという「ハウス55のシステムを使いながらフリー」ということでの「システムフリー」と小堀住研では呼んだシステムの「ハウス55 システムフリー」もありました。 多くの住宅建築会社で「自由設計」とか「注文住宅」とか言っているものには、この小堀住研の用語で言う「自由設計」⇔「システムフリー」⇔「企画住宅」「規格住宅」 という分類で言えば、「システムフリー」にあたるようなもの、「システムフリー」に近いものを「自由設計」とか「注文住宅」とか言っている場合があり、一条工務店が1990年代に建てていた「セゾン」「百年」と名前をつけたものも、間取りについてはプラン集から選んでいくというものではないけれども、そこで使用する物については、「標準仕様」として決められているものがあって、あらかじめ「オプション」としてカタログなどに掲載されているものがあり、そこからできるだけ選んでもらおうというシステムの商品で、そのあたりを考えると、「注文住宅」とか「自由設計」とか言っていたものの、小堀住研の用語で言えば、「システムフリー」に近いものでした。 但し、「ハウス55」の場合は、「ハウス55」で決められた物の中から選んでもらうという条件で「低価格」を実現しているというだけあって、「オーダーエントリー」として決められているもの以外で、これをやりたいといった希望があっても、建築技術上はできるものでも、「ハウス55」の規定上、できないというケースがあったのに対し、一条工務店の「セゾン」「百年」というのは、あらかじめ、決められた「標準仕様」「オプション」というものがあってそこから選んでもらおうという商品であっても、お施主様がそこに用意されたもの以外のものを取り付けたいという希望なら、カタログに掲載されている「オプション」でないものは付けてはいけないといった規定は別になかったのです。
   だから、窓について、「普通ガラスの3mmにアルミサッシ、それに三協アルミの『防音断熱雨戸』」というのが「標準仕様」であったとしても、もしも、それよりも断熱性を高めたいとか防音性を高めたいということで、ペアガラスにしたいというお施主様があれば、差額を出してもらってペアガラスにすることはシステムとして可能であったし、技術的にも、もとより、「標準仕様」でも東京以西とか福島県浜通りでは「普通ガラス3mmと防音断熱雨戸」が「標準仕様」でしたが、福島県でも中通り・会津地方では、ペアガラスが「標準仕様」でしたから、関東以西や浜通りでペアガラスにしたいという方があればペアガラスにすることは、特別、難しいことでもなかったはずなのです。 私が担当で契約いただいた、東京都町田市のM様は、道路側の部屋の窓を防音の為にペアガラスにしたいと希望され、仕様打ち合わせの際に、工事担当のMさんが、防音の為なら防音障子の方がいいと提案して、「5mmの厚みに変更した普通ガラス と 防音障子」にして施工しました。  一条工務店の「標準仕様」は、その頃、浴室の窓も浴室への出入口のドアも普通ガラス3mmでしたので、私の姉夫婦の家においては、浴室の窓だけ、差額を出してもらって、強化ガラスに変更して建ててもらいました。 私が担当で契約いただいた千葉県市原市のY様は、リビングルームにステンドグラスをつけたいという希望でしたので、その費用をプラスしていただいて、1か所、ステンドグラスを取り付けました。 このように、防音が目的なら、ペアガラスなり防音障子なりに変更することもできれば、安全性が目的なら強化ガラスに変更して建てることもでき、装飾の上でステンドグラスを取り付けることだってできたのです。 「3mmの普通ガラスと防音断熱雨戸」が「標準仕様」であるとしても、それは、あくまでも、見積を作成する上で、坪いくら×坪数 として計算していく際のものであって、その 坪いくら に含まれていないものは、差額を出してもらえば取り付ける、差額を出してもらえばグレードアップできるというものであって、何が何でも「標準仕様」のものでないと建てないとかいうものではないのです。 もしも、一条工務店の「標準仕様」の窓が「3mmの普通ガラス と 防音断熱雨戸」というのが嫌で、ペアガラスにしたという方があれば、ペアガラスにすればいいことで、強化ガラスにしたいというのなら、強化ガラスにすればいいのです。 標準仕様に何が含まれて何が含まれないかという決め方という点では、東京都では、たいていのハウスメーカーは、その当時、インタホンは標準で、真壁和室は1部屋が標準、2部屋目からオプションという決め方であったのに対し、一条工務店は、チャイムが「標準」でインタホンはオプション、真壁和室は2間続きが「標準」と決められていたあたり、そのあたりを、何の工夫も配慮もなくそのまま話すと、「イナカの会社ねえ~え」とか「やっぱり、浜松ねえ~え」という印象を与え、そう言われてしまうおそれがあり、話し方に工夫が要りましたが、それも、何が何でも、東京でも2間続きの和室を作れという話ではないし、差額は必要になるとしても、チャイムをインタホンに変えることもできれば、外の様子がわかるカメラ付きインタホンに変更することもできたのであり、私が担当したお宅でもカメラ付きインタホンに変更した家がありました。
〔  一条工務店の「西東京工場」がある山梨県上野原市の上野原美術館では、≪英国リバプールの教会から引取ったという聖人のステンドグラスが西日に映える。≫(《じゃらんnet-上野原美術館》http://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000165502/ 〕








〔↑ 上野原の名物・酒饅頭はなかなかおいしい♪ ↑]
   まったく、つくづく、「一条は、窓ガラスが悪いから売れない」とは、よくも言ったものです。 あきれたことを言うものです。 そういうことを言うアホ新人がいたならば、そうじゃないでしょ、と教え諭すのが営業本部長ではないのか、と思うのですが、そのアホ新人に、さらに、私から言われたなどと寝言まで言わせて、「A山くんが、おまえから、一条はガラスが良くないから売れないと教えられたと言っていたぞ。反省しろ」とか私に文句を言って来たのであり、「反省しろ」などと言われても、言ってもいないことを「反省」のしようがないし、そもそも、もしも、営業本部長のA野さんに言うのではなく、私に言ってくれたなら、「そうじゃないでしょ」と言って、説明してあげることができたはずなのです。

   まず、事実として、私は「一条工務店は、窓のガラスが悪いから売れない」などとA山に教えたなどという事実はないし、他の人間にもそのようなことを言ったことは松戸展示場においても他の展示場においても公式にも私的にも一度もないのです。
   多少なりとも近いことを松戸展示場の事務所で口にしたのは、私ではなく、私より3か月ほど後で東京展示場に入社して私と一緒に松戸展示場に移ったG藤ですが、G藤だって、だから「売れない」などとは言っていないのです。 G藤が言ったのは、松戸展示場に来場されてG藤が接客した方から、積水ツーユーホームの展示場でペアガラスを使用していて、それで、積水ツーユーホームがいいと思ったと言われた、という話で、そう言われた、で、どう対応しようかという話であって、だから売れないなどとはG藤も一言も言っていないし、また、その話もA山に話したものではありません。
   その頃、ペアガラスを「売り」にしていたハウスメーカーは何社かあって、積水ツーユーホームもその1社でした。 一条工務店では、「3mmの普通ガラス と 防音断熱雨戸」が「標準仕様」であっても、差額を出してもらえばペアガラスにもできる・・・といっても、最初からペアガラスを「売り」にしていて、展示場の建物にもペアガラスを入れている所と、そうでない所とでは、見込客の印象は同じではないので、それ以外の部分で一条工務店が気に入って契約しましょうとなった方で、この点だけ他のハウスメーカーが展示場でやっていたことでいいと思うものがあったのでやってほしいという場合は良いのですが、一条工務店が「標準仕様」にしていないもので、他のハウスメーカーが「標準仕様」にするだけでなく展示場にもとりつけて「売り」にしているというものを気に入ったというケースにおいては、「うちでも、それはできます」と言うだけではひっくり返せません。 そこで、どうしようか、ということをG藤は話していたのです。

   「ニーズ(Needs)」「ウォンツ(Wants)」という考え方があります。 「○○学」の問題かというと、「商業学」とか「マーケティング論」の問題ということになるでしょうか。 「ウォンツ」とは顧客が求めているもの、そのもののことで、「ニーズ」とは顧客が欲している心理的根源にあるようなもののことです。 たとえば、高級腕時計を買おうとしている人がいたとすると、その人が求めている物の「ウォンツ」は高級腕時計ですが、「ニーズ」として考えると、もとめている物は、時計なのか宝飾品なのか? ということになってきます。 正確な時刻というものがニーズとして求めているものならば、時計でなくても携帯電話でもパソコンでもテレビの時刻表示でも電話の時報でも良いことになり、高級宝飾品を求めているのなら、時計でなくても指輪でもネックレスでもブレスレットでも良いことになります。 高級住宅を建てたいという見込客は、住宅をその人は欲しているとウォンツで考えるならば、住宅メーカーがすべて競合ということになりますが、「高級品」を求めているのなら低価格の住宅は競合ではなく、高級外車などが競合になってきたりします。 案外、宗教団体にとって風俗営業は競合かもしれません。 「心のやすらぎ」を求めて宗教団体に行く人と風俗営業に行く人は、「ニーズ」から考えた時、共通しているものがあるかもしれません。
   さて。 「(積水ツーユーホームの展示場にあった)ペアガラスがいいと思った」人が求めている物は「ウォンツ」から考えるとペアガラスかもしれませんが、「ニーズ」としては何でしょうか。 断熱なのか、防音なのか。 断熱でも、今の家が夏、暑く、冬、寒いからなのか、太陽光が当たりすぎるからなのか。 そのあたりを考えて、その方が求めているものの「ニーズ」から考えていけば、案外、ペアガラスよりもっと適したものがあるかもしれません。 そのあたりを、心を開いて話してもらえるように努力していけば、たとえ、ペアガラスを「標準仕様」としていない会社の担当者でも、むしろ、こちらの人の方が親身に話を聞いてくれて、適切な対応をしてくれるようだ、と評価してもらえるようになる可能性はありえます。

   その頃の一条工務店の建物の場合、「標準仕様」で入れていた「防音断熱雨戸」というのは、これは、けっこうスグレモノであり、これの説明もきっちりとするべきだと思うのです。(一条がその頃、使っていた三協アルミの断熱雨戸は、今、立山三協アルミのHPを見ても見つかりませんが、リクシルでは断熱雨戸を生産しているようで、HPにも出ています。⇒http://www2.lixil.co.jp/rp/dfw/biz-lix/lineup/classification/products/variety/amado_hito.htm ) その頃の一条工務店の「一条の土台を築いてきた人たちと自称している人たち」には、一条の売りは構造だけだと主張して、骨組み以外のものをアピールしてはけしからんように言う人がありましたが、骨組み以外に良い所のない建物ではないので、骨組み以外でも長所はアピールするべきだと思うのです。 1990年前後、壁の中の断熱材はグラスウール50mmという会社が多く、一条工務店もそれで、小堀住研はロックウール50mmを入れていて、ロックウールはグラスウールより断熱性能が良く耐火性能も良いとアピールしており(実際、他の条件が同じならロックウールの方がグラスウールより断熱性能は良く、耐火性能もいいようです)、他に、グラスウール100mm入れていますと断熱性能が優れていることを「売り」にしているメーカーもありました。最近では鉱物繊維系断熱材の場合、100mmが普通になってきましたが、ペアガラスというのは、断熱性能も表面結露防止対策としても、あくまで、普通ガラスよりは良いというもので、そのペアガラスにもよりますが、一般に、50mmのグラスウールが入った壁より断熱性能は悪いのです。 (最近は、その頃、一般的であったペアガラスよりも2枚のガラスの間の空気層が厚く、枠も樹脂サッシのものが多くなってきたので、その頃、一般的であった空気層が薄くアルミサッシのペアガラスより断熱性能も表面結露防止効果も良くなってきているでしょうけれども。)
〔2000年に、ロシア連邦のイルクーツクに行った時、行ったのは8月でしたが、街中に、窓の小さい日本のパチンコ屋の景品交換所みたいな建物のアイスクリーム屋が何軒もありました。なぜ、パチンコ屋の景品交換所みたいな建物なのかというと、夏は日本よりちょっぴり涼しい快適な場所ですが、冬場は平均気温がマイナス15度になる所なので、それで、二重サッシかペアガラスが常識の場所であっても、それでも、窓は小さくした建物だったようです。やっぱり、窓の部分は壁の部分に比べて断熱性能は悪いのです。








※「バイカル湖のほとり」https://www.youtube.com/watch?v=jB5MMfCpj88
  「聖なる湖 大いなるバイカル」https://www.youtube.com/watch?v=mh89Dsm_4Dk  〕
( ペアガラスというのは、ガラスが2枚あって間に空気層があるというものですから、普通に考えて、断熱材の入っていない壁より断熱効果は低いはずなのです。 住宅の壁の部分は、屋外側には窯業系のサイディングだったりモルタル塗りだったりで、その内側に「防水透湿シート」とかいうのがあって、室内側には石膏ボードか合板が貼ってあってその室内側にビニルクロスとか紙クロスとかが貼ってあったり、あるいは木の化粧板が使われていたり、室内側にタイルが貼られたり、石膏ボードに京壁とか、そういう屋外側の壁と室内側の壁の間に空気層があって、さらにその部分にグラスウール・ロックウールなどの鉱物繊維系の断熱材、ウレタン・ポリスチレンなどの化学物質系の断熱材、天然ウールなどの天然素材系の断熱材といった「断熱材」が入っているわけです。もし、壁の中に断熱材が入っていなかったとしても、一方が窯業系サイディング(もしくは、モルタル)(もしくは中にウレタンが入ったガルバリウム鋼板製の金属系サイディング)で他方が石膏ボード(もしくは合板)で間に空気層が入った壁と、一方がガラスで他方もガラスで間に空気層というペアガラスは、どちがら断熱効果があるか?  考えてみてください。)
  だから、窓の部分は、ガラスで断熱をはかるのではなく、(夜間限定ですが)ガラスの外側に断熱材の入った雨戸を入れる(雨戸として断熱材を配置する)ことで断熱をはかるというのは、十分、説得力のある話だったはずで、ペアガラス信仰にとらわれた人に、ペアガラスは絶対的なものではないのだとわからせてあげることができていい話を聞かせてもらったと思ってもらえたなら、最終的にどういうものを建てるにしても、この人と一緒に家を建てた方がいい家ができるのではないかと思ってもらえる可能性もあったのではないかと思います。 但し、ペアガラスがいいと思って口にした見込客に、うかつな言い方で防音断熱雨戸の方を言うと、ペアガラスをやりたくないのだろうペアガラスはできないのだろうと思われてしまう危険もあるので、言い方に配慮する必要はあります。

   それで。 その1993年頃、松戸展示場に来場される方で、積水ツーユーホームの展示場に行って、ペアガラスがいいと思ったという方は他にもあったようで、その頃、積水ツーユーホームのペアガラスがいいというアピールはけっこう効いていたのですが、その業界で営業をやっている以上、「だから売れない」などと言うわけにはいかないわけですよ。 「だから、どうしようか」であって、G藤も、「だから、どうしようか」ということを口にしていたのであって、「だから、売れない」などとは一言も言っていなかったのです。 かつ、「だから、どうしようか」という話も、A山には一言も言っていないのです。 それを、特にこそこそ話していたわけでもないのでその話が耳に聞こえたのか聞き耳を立てたのか聞こえたからといって、「だから、売れない」などと言いだし、さらに、それを私のせいにして営業本部長に言いに行くようなアホは、よく、そんなアホを雇ったな、という気持ちすらします。

⇒次回、(下)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201505article_4.html で、ガラスの厚さ などについて述べます。

☆  今回は、前回、[第331回](上)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201505article_2.html  の続きで、
次回、[第333回](下)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201505article_4.html に続く三部作です。 ブログの字数制限からやむなく分けただけもので、特に、分ける理由があったわけでも、分ける箇所に理由があったわけでもありません。 合わせて見ていただくよう、お願いいたします。
     (2015.5.19.)

建物の断熱と結露防止の知識 (これだけは知っておきたい)
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≪ ・・電力を頂点にして、霞が関の役人、永田町の議員さん、これらを私は“ 鉄の三角形 ”と言っています。ここで利権とお金が飛び交って、その下にぶらさがっているのが学者さんであり、マスコミであり、地方自治体です。これらが複雑に絡み合って、全体が利権団体になっています。
   原子力ムラだけではなくて、道路ムラもあるでしょうし、鉄道ムラもある。そんなムラがたくさんあって、その人たちが日本の中枢を押さえて日本の金の流れを押さえている、という構造になっていると思います。≫
(今中 哲二「学問とは、科学(サイエンス)とは」 〔『熊取六人衆の脱原発』2014.6.1. 七つ森書館↑ 所収 〕)
   ほかにも、「◇◇ムラ」というのが、いくつもありそうですね・・・・。 

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