きょうも水が絶えない名勝 “ 馬喰大滝(ばくろおおたき) ”-馬喰町駅・馬喰横山駅、大丈夫か?

[第345回]
  実は、東京都中央区の地下に常に水が絶えず流れ続ける滝があるのをご存知でしょうか。
あるんですよ。 どこにあるかと申しますと、↓
画像

↑ 人よんで、「名勝 “ 馬喰大滝(ばくろおおたき) ”」
JR総武快速線「馬喰町駅」構内にございます。 すごいでしょ。
(「人よんで」て、誰が呼んでるかというと、私が呼んでるんだけどね・・・)








↑の地図でもわかるように、馬喰町駅というのは隅田川のすぐ西、神田川のすぐ南にあり、海にも川にも近い立地であるが、それだけではない。
画像

画像

↑ 深いのだ。相当に。 今は昔、地下鉄漫才の三球さんというおっさんが、「地下鉄の新御茶ノ水駅てあるでしょ。深いですねえ。何しろ、エスカレーターに乗って下から上まで行くと、その間に水がお茶になるって言うくらいですからね」とか何とか言っていたように思うが、東京メトロ 千代田線「新御茶ノ水」駅も深いが、JR総武線「馬喰町」駅も深いのだ。
  「マイナス27.14メートル」ということは、普通の戸建住宅なんかで、切りのいい数字で単純に1階あたり3メートルとして計算すると、地下9階てことか? そりぁ、すごいわ・・・・・て思うが、それで大丈夫ならいいのだが、大丈夫??? ↑の滝なんか流れていて・・・・・
  昔からある地下鉄と最近作られた「大深度地下」を走る地下鉄及びJRなどで地下を走る鉄道では、一般に深い所を走るやつの方が危なそうな気がしていたのだが、そうとも限らないらしい。
≪ ・・とくに地下鉄の場合、最新の強度と設備を備えた路線は一番深い地下を走っており、地表に近い路線ほど建設時期が古く、構造物が劣化していることがありうる。 ≫(楠原祐介『この地名が危ない』2011.12.20.幻冬舎新書)
  た~しかに。 東京メトロ銀座線だったか丸の内線だったか、たしか銀座線だったと思うのだが、赤坂見附あたりで、一時、照明が消える場所があった気がするのだが、あれは改善されたとかどこかで見たような気もするが、あれ、も~しも永久につかなかったらどう~しよっ・・・・・とか心配したりしたもんだ・・・・。 しない? そんな心配するの私だけ???  (さらに、JR常磐線で茨城県の荒川沖駅付近で、直流と交流が変わる所で、スーパーひたち号に乗ってると、電車の音が変わってスピードがずいぶんと落ちるところがあるんだけど、も~しも、あそこで止まっちゃったらどう~しよっ・・・・とか心配したのは私だけかい???)
銀座線なんて、電車見ただけでも古そうだし、いっそ、もう一回掘りなおして、電気も頭の上からとるようにして、西側は渋谷から京王井の頭線、東側は浅草から東武伊勢崎線と乗り入れするようにでもできないもんかとも思ったりするのだが、そうもいかないのかな・・・・。
  それで、だ。 JR総武快速線の東京から錦糸町までは、そう古くないはずなのだ。 私が小学生の頃、1960年代後半は、今、外房線・内房線と呼んでいる路線は房総東線・房総西線と言い、総武線の各停は今と同じように三鷹・中野から「黄色い電車」が走っていたが、急行は両国始発で、たまに新宿始発の電車があって、東京から錦糸町までの「大深度地下」の路線は後からできたのだ。 両国駅には、各停のホームの北側に始発用の櫛形ホームがあって、各停用の島型ホームから見て、ありぁ、なんだろう?・・・そりぁ、やっぱり、駅だろう・・・とか思ったものだった・・て、面白くないかい?
  《ウィキペディア―馬喰町駅》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%96%B0%E7%94%BA%E9%A7%85 を見ると、馬喰町駅ができたのは、1972年(昭和47年)で、最初はマイナス30.58mと言っていたのを、その後、マイナス27.14mに修正し、「国鉄で最も深い駅」だったのが、その後、もっと深いマイナス29.19mのJR京葉線「東京」駅ができ、さらにますます深い海の底のマイナス149.5mの「竜飛海底」駅ができ、そんな海の底で降りてどないすんねん・・と思っていたら、竜飛海底駅は2014年3月に廃駅になったらしいが、「最も深い駅」はJR京葉線「東京」駅になったことから、馬喰町駅は「最も深い駅」ではなくなったらしい・・・・けれども、それでも、相当深い駅であるのは間違いない。
   で、≪最新の強度と設備を備えた路線は一番深い地下を走っており、地表に近い路線ほど建設時期が古く、構造物が劣化していることがありうる≫(楠原『この地名が危ない』)という点から考えるならば、JR総武快速線の錦糸町から東京までの間は、深いけれども比較的新しいから大丈夫・・・・かいなあ・・て感じがするのだが、馬喰町駅に行ってみると、↑のように滝が流れているし、↓のように、実は線路の下を川も流れているんだわ・・・、
画像


それに、架線が張られている天井のあたりなんて、↓
画像

↑ だし、
ホームの壁なんか見ても、↓
画像

↑ だし(写真はクリックすると大きくなるので、どうぞ大きくして見てください)・・・こういうの見ると、大丈夫かあ~あ・・・??? て思ってしまったりもするわけだ。
  建築屋の仕事やってると、電車乗る時も、なんか、こういうのが気になってしまって、それがいいのか悪いのか。 知らなければ何とも思わずに乗ってるところかもしれないが。 まあ、そのあたりは、馬喰町駅につながっている都営新宿線馬喰横山駅の近くに本社を置いている某設計事務所設計の構造なんてちっとも考えていない無茶苦茶な間取りの家でもお施主さんは、「いい家つくってもらった」「素敵なデザインの家を作ってもらった」とか言って喜んでいたりするので、それに近いかな・・・・。 日本の諺では「知らぬがホトケ」と言いますわな。
  いいのかなあ~~・・・・と思っても、その会社に在籍している限りは、たとえ人を馬鹿にするようなちびいっとでもそこから給料もらっておれば、いけまへんでえ、この家はあ~あ・・と言うわけにもいかんわなあ・・・と思ったりもするが、しかし、いいとは言えんぞ、と思うと、なんか、いいと思えないものを黙っているというのは、積極的に騙しているヤツと一緒ではないとしても、実質的に悪事に加担しているようなもので、心が責められるのであるが・・・・、地下の工事やってる人にもけっこうそういうこと思っている人いたりして・・・・・・・・?  ・・・・・?

   それで。 JR総武快速線の「馬喰町」駅は、都営新宿線の「馬喰横山」駅と地下通路でつながっていて、「馬喰横山」駅は都営浅草線の「東日本橋」駅と地下通路でつながっていて、この3つの駅が三角形のようになっている。(上の方の地図を参照してください。)
   JR「馬喰町」駅が↑みたいな感じということは「馬喰横山」駅・「東日本橋」駅も同じようなものかというと、都営新宿線の「馬喰横山」駅は↓みたいなもんで、
画像

↑ JR「馬喰町」駅と違って、けっこうきれいなんだわ。 もっとも、今は昔、在来木造の一条工務店に在籍した時、転勤で栃木県佐野市の営業所に行って、佐野市内で借りたアパートだが、入居する時、外壁の塗装をやっていたので、塗装の時期かと思っていたのだが、3年半後に出るときにもまた、外壁の塗装をやっていたので、こりぁ、防水とかの理由でではなく、外壁の塗装だけひんぱんにやっておけば、「なんか、新しそう」に見えて、実際は、ぼろアパートなのに、「新しそう」「きれいそう」に見えて、借り手がつくとでも思ってやってんじゃないのか・・て思ったものだが、「新しそう」「きれいそう」に見せるために、塗装ば~っかり、ひんぱんにやっている・・というケースも世の中にはないことないのだが・・・、とにもかくにも、都営新宿線「馬喰横山」駅はJR総武快速線「馬喰町」駅に比べるとけっこうきれい。
  《ウィキペディア―馬喰横山駅》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%96%B0%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E9%A7%85 を見ると、馬喰横山駅は1978年開業らしく、JR「馬喰町」駅よりは新しいのだが、それにしても、馬喰町駅と比べるとずいぶんときれい。 「きれい」というのは、この場合、デザインがいい悪いの問題ではなく、浸水による影響が馬喰町駅に比べて馬喰横山駅はあまり見られない、ということです。


   都営新宿線「馬喰横山」駅の開業が1978年12月で、2015年現在で36年の経過。 JR総武快速線「馬喰町」駅は1972年7月開業で43年の経過。 それほど大きく違うわけではないにしては、見た目がけっこう違うのは、わずかでも「馬喰横山」駅の方が川から遠いからか? その程度でここまで違いが出るか? その点よりも、むしろ、↓ に原因がありそう。
画像

↑ JR総武快速線「馬喰町」駅から都営新宿線「馬喰横山」駅への乗り換え口。 左奥の方を見てください。 JR「馬喰町」駅から都営「馬喰横山」駅に行くのにエスカレーターで登るのです。 都営新宿線「馬喰横山」駅の方がJR総武快速線「馬喰町」駅より浅い位置にあるようです。
   なるほど、地下を走る電車といっても、それぞれ、深度は違うわけで、地下で立体交差していて、都営新宿線の方がJR総武快速線よりも走っている位置が浅いようなのだ。
   こういうのを見ると、深い位置を走っている地下鉄道と浅い位置を走っている地下鉄道では、浅い位置のものの方が、一般には古いものが多く、深い位置を走っているものの方が、技術も最新の技術で作られていて、経年劣化も比較的少ない・・・という可能性が考えられるものの、一方で、やっぱり、相当に深い位置を走っている地下鉄道は、たとえ、比較的新しいものであっても、問題点はある、特に地下水の影響を防げていない可能性が考えられるのではないだろうか。

   楠原祐介『この地名が危ない』(2011.12.20.幻冬舎新書)には、
≪ 今回の大地震(2011年3月の東日本大震災)を目の当たりにして、仙台の地下鉄が浸水しなくてよかった、と胸を撫で下したのは私だけであるまい。 津波にせよ洪水にせよ、地下街や地下鉄が大量の水に襲われたら、とんでもない被害が起きる。 すでにマスコミでは何度もその危険性が指摘されているが、防水板が用意されている程度で、抜本的な対策が講じられていたという話は聞かない。

  防水板だけでは、なぜ不十分なのか。 地震と津波が相次いで発生した場合、防水壁・防水板などの設備は、地震の破壊力によって壊され、機能が十分発揮できないことが想定される。 とくに地下鉄の場合、最新の強度と設備を備えた路線は一番深い地下を走っており、地表に近い路線ほど建設時期が古く、構造物の強度が劣化していることがありうる。
  その劣化した上部の路線が地震と津波に襲われた場合、地表を覆った津波は一挙に深い路線にまで流れ込む。列車の乗客も、ホームにいた客も、どこへも逃れる術はない。 ≫ と述べられている。
  その≪防水板が用意されている程度で≫という「防水板」てどんな感じで置かれているかというと、↓みたいな・・・・
画像

画像

(↑ 写真はクリックすると大きくなるので大きくして見てください。)
↑ 都営新宿線「馬喰横山」駅・都営浅草線「東日本橋」駅への入口。 上の写真では屋内に、下の方の写真では入口の脇の屋外に「止水板格納箱」が置かれているようだが。
これで大丈夫か・・・・というと、どうも、頼りないような気がしないでもないが・・・・・。

   ところで。 1993年か1994年のこと。 一条工務店の福島県いわき市の営業所にいた時、隣の席にいたおっさんS(当時、40代)が、「おら、仙台行ってきたんだどお。 おめえ、仙台はすんげえどお~お。 ち~かてつがあるんだどお~。 おめえ、地下鉄見たことねえだろ。おら、仙台で地下鉄乗ってきたんだどお~お。 どうだ、おめえ、地下鉄、見たことねえだろ、地下鉄」と言うので、「ありますよ」と言うと、「え? おめえ、地下鉄、見たことあんのか? おめえ、地下鉄見たのか?」と言い、「乗ったことはねえだろ」と言うので、「ありますよ」と言うと、「あんのか。 いったい、どこで乗ったんだ?」と言うので、「東京でも大阪でも名古屋でも横浜でも乗りましたよ」というと、「へ。 そうか。 おめえも、なかなかたいしたもんだなあ~あ」と感心された、ということがありました。 で、Sさんが外に出た後、その場にいたM(男。当時、20代後半)が、「さっきのこのオヤジの話、聞いてて、もう、嫌なっちゃった。 な~にが『地下鉄、見たことねえだろ』だ。 この田舎もんが。 もう、いやなっちゃった、このオヤジ」と言ったのだ。
  大阪で生まれて、東京の大学に行った人間にとっては、地下鉄なんてものは珍しくもなんともないものなのだが、福島県人にとっては「おら、仙台行って、ち~かてつ 乗ってきたんだどお~お」というのがどうも自慢になるらしい・・・・と言うと、いわき人から、「バカ言うな。このオヤジと一緒にするな。このオヤジは特別だ。いくらなんでも」と言われるかと思うが・・・。
  それで。 昨年(2014年)、熊本に行くと、熊本では今も路面電車が走っていて、路面電車がけっこう交通手段として使えたのだ。 東京や大阪では、今さら、地下鉄なしの状態に戻すというのは簡単ではないと思うが、仙台にいつ地下鉄ができたかよく覚えていないのだが、路面電車が今も交通手段として活用できている熊本と、地下鉄が走っている仙台と、どっちが都会か、どちらが文化的か。 街全体としてはどちらが上とか下とか言えるものではないのだが、路面電車が今も交通手段として活用されているという点においては、熊本はその点で都会、その点で文化的と評価することができるのではないかと思う。 地下鉄なんてものは、そこに作るしかどうしようもない場合に作るものであって、地上に走らせることができてそれで街が成り立つのならば、地上に交通手段があった方が文化的であると考えるべきだと思う。 仙台は何十年も前に一度だけ行ったことがあり、その時、ホテルのフロントの人の言葉はわかったが、ホテルの掃除のおじさんが、こちらが尋ねてもいないのに、街の説明を親切にしてくれてうれしかったのだが、せっかくなのだが、残念ながら、何を言っているのかさっぱりわからなかった。 今はその頃に比べると、それが良いか悪いかわからないが、東京や大阪と言葉の違いが少なくなってきていて「普通の人」の「普通の言葉」が他から行った人間に通じやすくなっているのではないかと思うが、一度、行っただけでも、また行きたいという印象を受けた街だった・・・・が、地下鉄があって絶対に悪いとまでは言わないが、地下鉄があるという理由で「仙台はすんげえどお~お」と評価するべきものではないと思う。 それ、乗ったからと言って、別にエライものでもないと思うし・・・・・
    (2015.8.14.) 

[追記] JR横須賀線の地下で、地下水の排水設備に支障が出たためにレールが冠水したという記事がヤフーニュースに出ていた。
-・-・-・-・-・-
<JR横須賀線>線路冠水、復旧に12時間 排水トラブル
毎日新聞 12月6日(日)21時42分配信  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151206-00000039-mai-soci
6日未明、東京都千代田区のJR横須賀線の地下トンネルで、地下水をくみ上げる排水設備にトラブルがあり、レールが冠水した。JR東日本は復旧作業のため同線東京-品川間の運転を始発から12時間半にわたって見合わせ、午後5時半に再開した。排水設備に土砂が詰まったことが原因だという。
冠水が起きたのは横須賀線の東京-新橋間で、地下トンネルの区間のなかでもとくに深くなっている地点。付近では約70メートルにわたって地下水があふれ、一部でレールが冠水した。
・・・・
-・-・-・-・-
やっぱり、大変なんだな・・・・。(2015.12.7.)

ー・-・-・-・-
総武線(快速) 馬喰町駅で線路冠水 運転再開
レスキューナウニュース 2月8日(月)19時20分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000004-rescuenow-soci
  馬喰町駅で発生した線路冠水の影響で、総武線(快速)は運転を見合わせていましたが、19:15頃、運転を再開しました。なお、各線のダイヤが乱れています。
■ダイヤ乱れ
・総武線(快速)
・横須賀線
・総武本線
・成田線(佐倉~成田空港、成田~銚子)
・内房線
・外房線
ー・-・-・-・-
↑ 大丈夫か? と思ったが、大丈夫でもないみたいだな・・・。(2016.2.8.)


この地名が危ない (幻冬舎新書)
幻冬舎
楠原 佑介

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by この地名が危ない (幻冬舎新書) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



地名に隠された「東京津波」 (講談社+α新書)
講談社
谷川 彰英

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 地名に隠された「東京津波」 (講談社+α新書) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




この記事へのコメント

この記事へのトラックバック