「会社使用者が退職者に離職票を渡すか渡さないかは使用者の自由」か? 【上】問題提起編

[第349回]会社(と営業)の話(81)-【上】 「問題提起編」
   会社を自己都合で退職した場合、会社都合で退職した場合、普通解雇・懲戒解雇された場合、契約期間満了だと使用者が主張して退職した場合、経緯が何であるかにかかわらず、退職した場合には、「離職票」というものが交付されます。 失業保険の給付を受けるために、この「離職票」が必要です。それまで厚生年金に加入していたものを国民年金に変えるにも離職票は必要です。
   健康保険は、(1)それまで在職中に加入していた健康保険に「任意継続」として、それまで従業員が負担していた金額とともに会社が負担していた金額も退職者が支払うことで継続して加入する方法と、(2)国民健康保険に加入する方法のどちらかを選択することができますが、国民健康保険は、会社都合退職・普通解雇の場合と自己都合退職・懲戒解雇の場合で保険料が異なります。 離職票に「離職理由」が書かれており、それを基に判断されますが、懲戒解雇の場合は、退職者からすれば不当であり認められない場合があるわけですが、離職票の退職理由は使用者が一方的に職安に申告して決められてしまい、退職者の側が異議を申し立てることはできて、最終的に決めるのは職安であって使用者ではないとなっているそうですが、実際には使用者がこうだと言えばそれで決まってしまい、ひっくり返すのは並大抵のことではないようです。
  会社によって、「退職証明書」「資格喪失証明書」といったものを会社の名前で発行する会社もあるようですが、これには「離職理由」が書かれていません。 「離職理由」は「離職票」に書かれているものでしか判断されませんから、この「退職証明書」「資格喪失証明書」で手続きをとって国民健康保険に加入する場合、保険料は高い方の保険料になります。
  年金も、それまで加入していた厚生年金から、とりあえず、国民年金に加入する手続きをとらないといけないのですが、離職の手続きを会社がとっていなければ、国民年金に入る手続きはできません。
  失業保険は、支給されるかどうかは雇用保険の加入期間によって異なりますが、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合で必要な加入期間が異なり、又、支給に必要な加入期間を満たしている場合も、会社都合退職・解雇の場合はすぐに支給されるのに対し、自己都合退職と懲戒解雇の場合は、3か月間の「待期期間」というものがあって、その間は支給されません。 その「離職理由」は「離職票」に書かれているもので判断され、その離職理由が不当である場合は職安に異議を申し立てることができるとはいえ、職安は使用者側の主張をそのまま認めてしまうようです。 失業保険の給付を受けようとすれば、「離職票」がなければならないのです。
 
  その「離職票」を、どんなに請求しても使用者が渡さない場合、どうすればよいでしょうか。 あきらめるしかない? それまで、雇用保険料を払って来たのに、使用者が離職票を渡さなければ、失業保険の給付はあきらめるしかない?  そんな馬鹿な!と思いませんか。
   失業保険の給付は、従業員が退職した会社が支払うものではなく、雇用保険から支給されるものですから、離職票を渡さないことによる会社のメリットなどなさそうに思えます。 だから、総務関係がしっかりしていない会社で、離職票の交付が滞る会社はあっても、請求すれば渡してくれるという場合もあります。又、大きくない会社で総務関係がしっかりしていない会社では社会保険労務士に業務を委託している場合もあり、その場合、社会保険労務士はその分野の専門家のはず・・ですから、スタッフが十分にいる会社に劣らない対応ができてよいはず・・です(あくまで「はず」)が、しかし、請求しても渡さない会社もあるのです。 「大手優良企業」にばっかり勤めてきたような方には、そんな馬鹿な・・と思われるかもしれません。 それはよっぽどのブラック企業ではないのか、よっぽどの不良経営者の会社ではないのか、と思われるかもしれませんが、たとえ、ブラック企業であっても、不良経営者であっても、会社の方に利益があるわけでもないものを渡さずに拒否しても、請求されてうるさいだけなら渡せばよさそうな感じがしませんか?  しかし、渡さない会社があるのです。  私は、そういう会社に2社出会いました。 1社目は、千葉市中央区鵜の森町1-3 (最寄駅はそう近くはないがJR「蘇我」か京成「大森台」)にあった新華ハウジング有限会社(建設業)〔分身として、ビルダーズジャパン株式会社(不動産業)・ジャムズグローバルスクエア株式会社(不明業)〕ですが、2013年11月に倒産しました。 2社目は、東京都中央区東日本橋3丁目(最寄駅は都営新宿線「馬喰横山」)のフリーダムアーキテクツデザイン株式会社で、これは今も存在しており、リクルートから発行されている『SUUMO注文住宅 千葉で建てる』などに広告を掲載したりしています。

   今回、その1社目の話を述べます。 新華ハウジング有限会社(千葉市。建設業。)〔中国の新華社とつながりがあるわけではなく、社長の名前から1字と社長の嫁の名前1字をくっつけて「新華」にしたということですが、中国人を相手に商売をするなら良いでしょうけれども、日本国内で日本人を相手にする商売ではプラスにならない社名で、「○○ハウジング」という名称の場合、建設業か不動産業かというと不動産業ではないかと思われることの方が多く、建設業の会社の社名としては適切と言い難い名称ですが、社長はそれを理解できません。〕は、2011年7月なかば、私に対し、懲戒解雇を通告しましたが、これは不当です。 千葉労基署に彼らが申告した内容は事実に反するもので許せません。 代表取締役 社長の長谷川新二(男。当時、40代前半)の妻(後に形式だけ離婚)(女。当時、40代、前半)の友人であるとして縁故入社した滝口 恵(女。当時、30代前半)という不良社員に私が暴力を振るったと話を作り、やはり、長谷川新二の妻の友人として縁故入社し、特に経理の職務経験があるわけでもなく、資格を持っているわけでもなく、業務につながる学校を出ているわけでもないにもかかわらず、私などの倍の給料を盗り、私が時間外労働をしても時間外手当を支払わず、自分には時間外手当を支払って来た幹部従業員の大竹加代子とが虚偽の証言をおこない、私を陥れようとしたのです。 特に、大竹は、建設業の経験がない人でしたので、住宅建設業の業界では20年選手である私はずいぶんといろいろと教えてあげたものですが、恩を仇で返されました。
   私は千葉地方裁判所に、解雇無効の訴えを起こし、千葉地裁は私の訴えをすべて認め、解雇無効の判決を出しました。 但し、裁判所に長谷川は出頭せず、民事裁判においては、反論しない者、出頭しない者は負けることになっていますから、被告が出頭せず、公示送達をおこなっても出頭しないことから「勝訴」したもので、内容についての議論はしていません。 勝訴したからには、それまでの給与は受領する権利があり、何百万円の債権があるわけですが、新華ハウジング有限会社(代表者 長谷川新二)は払わず、とうとう、2013年11月、倒産の手続きを東京地裁にておこない、裁判所と弁護士に支払う費用だけしか残っていませんでした、と身勝手な主張をして逃げました。債権者会議では長谷川は、払うべきカネを払わずにすまそうという者は「申訳ありません」の一言くらい言うものではないかと思いますが、そのようなことは一言も口にしませんでした。 この件はとうてい許しがたいことではあるのですが、それは別稿で述べるとして、今回は、離職票についての問題を述べます。

   2011年7月、新華ハウジング有限会社は、私に解雇を通告してきたのですが、私はそれは不当であり無効であることを述べた上で、事務の大竹加代子に、解雇は無効であるが、会社が解雇を主張するのであれば、離職票その他の書類は渡してもらいたいと電話にて口頭で述べました。しかし、渡さないので、再度、電話にて大竹に渡すように述べました。 大竹はそのたびに、「わかりました」と返事をしましたが、返事はしても、離職票は渡しません。 雇用関係について裁判所にて係争中であっても、もしも、勝訴の判決が出てその間の賃金を受領することができた時には返還しますという一文を入れることで失業保険を受給することはできます。 しかし、職安に離職票を提出しなければ失業保険の手続きはできないのです。  私は事務の幹部社員である大竹に複数回、求めたにもかかわらず、離職票を渡してもらえないので、内容証明郵便にて請求いたしましたが、それでも渡しません。
   渡さないだけではなく、雇用保険を抜ける手続きもとっていないようなのです。 そのため、国民年金に加入する手続きもとれませんし、健康保険も国民健康保険に加入することもできません。 年金事務所できくと、しかたがないから、会社が雇用保険を抜ける手続きをとるまでの間、医院にかかる時はそれまでの健康保険証を使ってかかってくださいと言われ、そのようにしました。 しかし、失業保険は、会社が雇用保険を抜ける手続きをとらないため、受給できるはずであるにもかかわらず、受給できずにいるのです。

   まず、関係する法律では、労働基準法でどういう規定があるかというと、
≪ 解雇あるいは退職によって労働契約は終了するが、その際、労働者から請求があったときには、7日以内に賃金を支払い、積立金・保証金・貯蓄金その他名称のいかんを問わず労働者の権利に属する金品を返還しなければならない(労基法第23条第1項)。  退職金も、協約あるいは就業規則で支給条件が明確になっているものは、賃金とみるべきであるから、やはり7日以内に支払うことを要する。 ただし年金制をとっている場合には、予め特定した支払期日が到来するまでは、退職金を払わなくとも差し支えない。
  また退職した労働者の請求があるときは、使用者は、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金または退職の事由(退職の事由が解雇の場合には、その理由)について証明書を交付しなければならない(労基法第22条1項)。 この証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない(同条3項)。 さらに使用者は、第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍・信条・社会的身分もしくは労働組合運動に関する通信をし、または使用証明書に秘密の記号を記入してはならないとされている(同条4項)。 ≫
(外尾健一『労働法入門 [第7版]』(2009.3.30.第7版  有斐閣。 207頁)
  この労働基準法第23条第1項 と、労働基準法第22条第1項に該当するのではないか、と私は考えたのです。
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労働基準法第23条
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
2  前項の賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議がない部分を、同項の期間中に支払い、または返還しなければならない。

第120条
次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一  ・・・・第23条から第27条まで、・・・の規定に違反した者。
・・・
〔 ⇒《労働基準法  (昭和二十二年四月七日法律第四十九号)》http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html 〕
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  「離職票」は、それがないと失業保険の受給ができませんから、「労働者の権利に属する金品」に該当すると思います。 「返還」するのではなく、新たに発行するものですが、法律の趣旨として、これを「類推」解釈してよいかというと、労基法には罰則規定がありますから、刑事法であると考えるならば類推解釈してよいとは言えないでしょうけれども、しかし、趣旨は同じで、7日以内くらいを目安として渡すべきものではないでしょうか。

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労働基準法第22条
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
・・・・

第120条
次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一  ・・・第22条第1項から第3項まで、・・・の規定に違反した者。
・・・・
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離職票の交付は、この労基法第22条第1項に該当すると私は考えたのです。 よく読んでください。該当しますでしょ。 「遅滞なく」というのは、1年後が「遅滞なく」になると考える人はないでしょう。 23条1項の「7日以内」を準用してよいかどうか、ここで「準用」という操作をしてよいかという問題があるとしても、「遅滞なく」という以上は「7日以内」くらいと考えるのが妥当ではないでしょうか。
   労基法22条1項及び120条、労基法23条1項及び120条に該当すると判断し、千葉労働基準監督署http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/kantoku/kantokusyo/kantokusyo01.html に行き、対処してもらいたいと私は訴えました。 しかし、労働基準監督官は、離職票の交付は労働基準法の問題ではなく雇用保険法の問題で、労基署ではなく職業安定所が対処すべきことであるから、職業安定所に言ってもらいたいと言うのです。 もしかして、これは役所が得意とする “ 必殺 たらい回しの術 ” でしょうか・・・とも思いましたが、どこが担当であれ、対処してもらえればよいのであり、労基署が職安が担当だとはっきりと言ったのですから、職安に行き、もしも、職安が自分の所は担当ではないと言った時には、労基署が職安が担当だと言いましたよと言うこともできると考えて、職安に行きました。
   会社が雇用保険について届け出るのは従業員の住所地ではなく会社の所在地の職業安定所の、千葉県では適用課、東京都では得喪課で、新華ハウジング有限会社の場合は、千葉南職業安定所で、 従業員・元従業員が失業保険の給付を受けようという場合の手続きは従業員・元従業員の住所地の職業安定所の給付課で、私の場合は船橋職業安定所でした。 それで、私の住所地の船橋職業安定所の給付課に行き、労基署から雇用保険法の問題なので職安に言ってもらってくれとと言われました、と言ったのです。 すると、職安の給付課の職員はどうしたか。 これが、今回の問題、大問題なのです。
※ 千葉南職業安定所 については、
HP http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hw/anteisyo/anteisyo15.html  
[第319回]《「労働基準法なんか守らなくていい」と職安(職業安定所)は言って良いか?職安なんて要らないのと違うか? 》 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_3.html 【2】 、
[第100回]《弁護士は会社に違法行為を指導して良いのか? 労基署・職安は会社に労基法違反を指示して良いのか?》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201206article_2.html の【3】[職業安定所(職安)(ハローワーク)] 参照。
※ 船橋職業安定所 については、
HP http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hw/anteisyo/anteisyo12.html  
[第319回]《「労働基準法なんか守らなくていい」と職安(職業安定所)は言って良いか?職安なんて要らないのと違うか? 》 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201503article_3.html 【1】1~3、
[第115回]《我が若き日の夢は如何に消えたか、及、夢を実現した弁護士・裁判官・検事がなぜ法の精神を踏みにじるか? 》 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201207article_3.html 最終部分。「職業安定所」 
参照。

   最初、船橋職安では、「まだ、雇用保険を抜けたという手続きが済んでいませんね。 雇用保険を抜ける手続きを会社がとらないと、職安は離職票を発行することができませんから、雇用保険を抜ける手続きを会社にとってもらわないと、職安は出せません」と言われたのです。
   次に、2011年11月に、なぜ、その時期になのかよくわからないのですが、新華ハウジング有限会社は私が雇用保険を抜けたという手続きをとったのです。 それも、11月に手続きをとるのなら、11月に抜けたとするべきではないのかと思うのですが、7月に雇用保険を抜けたということにしたのです。11月に。 「そんなことができるのですか」「これまで何もしてこずに、11月になって何カ月も前にさかのぼって、雇用保険を抜けていたという手続きをとるなどということができるのですか」と職安職員に言いましたが、できると言うのです。 「会社が、手続きをとらないので、健康保険も今までのものを使ってきたのですが、それはどうなるのですか」と言っても、「それは過去にさかのぼって手続きをやりなおしてもらうしかないですね」と言うのです。「私が手間をかけてやるのですか」というと、「それしかありませんね」と。
   11月になって、7月に雇用保険を抜けたという手続きを新華ハウジング有限会社がとったにもかかわらず、新華ハウジング有限会社はそれを私には何ら通知しません。 かつ、何度も電話で請求し、かつ内容証明郵便で文書でも請求したにもかかわらず、離職票を私に渡さなかった新華ハウジング有限会社は、11月になって、7月に雇用保険を抜けたという手続きをとったにもかかわらず、依然として離職票を渡さないので、私は依然として、離職票があれば受給できているはずの失業保険の受給をできずにいるのです。
   それで、船橋職業安定所給付課の職員に、「職安から、会社に離職票を渡すように言ってもらえませんか」と言いましたところ、船橋職安の職員は何と言ったと思いますか。
   船橋職安の職員は、こう言ったのです。
「 会社の使用者は、従業員が退職した場合、雇用保険を抜けたという手続きをとらないといけないという義務はあるけれども、離職票を元従業員に渡さなければならないという義務はないのです。 従業員を解雇したり退職した場合、雇用保険を抜けたという手続きをしなさいという法律はあるけれども、離職票を従業員に渡さなければならないという法律はない。 離職票を従業員に渡すか渡さないかは使用者の自由です。 渡さなくったってまったく問題はない。 」と言ったのです。
私は、「しかし、現実に、私は離職票をもらえないことから、失業保険を受給できずに困っているのです。 今まで、雇用保険料を払ってきているのに、使用者が離職票を渡さないから失業保険を受給できないというのはおかしいでしょ。 渡すようにこちらから言ってもらえませんか」と言いました。 すると、
「言えません。 使用者は従業員が退職した場合、雇用保険を抜けたという手続きをとらないといけない義務はあるけれども、離職票を渡すか渡さないかは使用者の自由ですから、それを渡しなさいというようなことを職安が言うことはできません。」と言うのです。
「それなら、どうすればいいのですか。 今まで、雇用保険料を払ってきているのに、失業保険を受給できる条件の時に受給できないというのはおかしいでしょ。」と言いました。 すると、船橋職安職員は、
「離職票をもらってくればいいだけのことです。 あなたが離職票をもらって来ないのが悪い」。 そう言ったのです。
「ですから、離職票を出してくださいと会社に請求していないわけではないのです。 私が会社に離職票を請求していないから、離職票がないのなら、会社に請求してもらわない者が悪いでしょうけれども、そうではないのです。離職票を出してくださいと言って、内容証明郵便ででも請求して、それでも出してくれないのです」と言いました。 すると、船橋職安職員は、
「内容証明郵便で請求するというようなことをするものではありません。 そうではなく、会社にお願いしないといけません。 『どうぞ、離職票を出してください。お願いします』と言ってお願いするものです」と言うのです。
「口頭でお願いもしてますよ。 口頭で何度もお願いもしたけれども、それでも渡してくれないから、だから、内容証明郵便で文書で請求したんじゃないですか。 それでも、渡してくれないから困ってるのじゃないですか」と言いましたところ、船橋職安の職員は、
「一度、お願いしてだめなら、二度でも三度でもお願いするものです。 そうやってもらってきてください」と言うのです。
「二度でも三度でもお願いしていますよ。すでに。 それでも、渡してくれないから、ここでこちらから言ってもらえませんかとこちらでお願いしているのじゃないですか」と言いましたところ、船橋職安職員は、
「こちらから言うことはできません。 離職票を使用者が従業員に渡すか渡さないかは使用者の自由ですから、渡さなくったって、まったく悪くない。 悪くないことをしている者に、職安がどうこう言うことは法律上、認められていませんから、それはやってはならないことです。」と言うのです。
どう思います。 このやりとり。 これ、「原文の通り」ですからね。

   それで、千葉労基署に再度、労基署から言ってもらえないか言いましたが、労基署は、やはり、離職票の交付は雇用保険法の問題で、職安が担当するものなので、職安に言ってもらいたいと言うのです。 しかし、もしも、職安が対応して使用者に離職票を渡すように言ってくれるのであれば、どちらかが対処してくれればよいことですから、それでもよいでしょうけれども、船橋職安の職員が言うように、「離職票を従業員に渡すかどうかは使用者の自由で、渡しても渡さなくてもよいと法律で認められている」ので、「職安は、使用者に離職票を渡してくださいというようなことは、一切、言ってはならない」と法定されているのであれば、労働基準法第22条第1項に≪労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
≫と書かれていますから、離職票はこれに該当するのではないのでしょうか。 労基法22条1項に「使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない」と書かれており、労基法120条には、これに違反した者は「30万円以下の罰金に処する。」と書かれているはずなのです。それでも、千葉労基署は対処してくれないのです。

   再度、船橋職安に行ってなんとかならないかと言うと、「それでは、離職票の再発行という方法がありますので、『離職票を会社から受け取りましたが、私が紛失いたしました』と書いて、署名捺印してください。そうすれば、離職票の再発行の手続きをとりますから、それで、失業保険は受給できます」と船橋職安は言うのです。 しかし、私が本当に離職票をなくしたのであれば、紛失しましたから再発行してくださいと書いて署名捺印して再発行しれもらえばよいでしょうけれども、私は紛失していないのです。 私が紛失したのではなく、新華ハウジング有限会社が再三にわたって請求したにもかかわらず、渡さないのです。 それで、「私が本当に紛失したのなら、『紛失いたしましたから再発行お願いいたします』と書いて署名捺印しますけれども、私は紛失していないのに、『紛失いたしました』と書いて署名捺印するわけにはいきません」と言いました。 すると、船橋職安の職員は、「それなら、失業保険の受給はできませんね」と言ったのです。
  「今まで、雇用保険料を支払って来た者が、失業保険の受給をできる条件に該当しているのに、会社の使用者が離職票を渡さないから失業保険を受給できない、というような、こんなおかしな話はありませんでしょ。 民間の生命保険でも損害保険でも、保険料だけ払わせて、保険の支払い条件に該当しているのに保険金を支払わないなんて、そんな保険はありませんでしょ。 国がやっている雇用保険でそんなおかしな話はないでしょ」と私は言いました。 それに対し、船橋職安職員は、
「ですから、離職票をあなたが持って来れば何の問題もなく受給できるんです。 それをあなたが離職票を持ってこないからいけないんです。 それで、離職票を持ってこないけれども、失業保険を受給したいと言われるから、だから、こちらは、紛失しましたと書いて署名捺印してもらえば、紛失したということで再発行することもできますよと言ってさしあげているんですよ。 ところが、離職票も持ってこない、紛失しましたと書くのも嫌だ、となると、それでは失業保険はもらえないということです。 離職票さえ、あなたが持って来れば何の問題もないんです。離職票も持ってこない、紛失届を書くのも嫌だ、となれば、失業保険を受給できないのは当たり前です。離職票も持ってこない、紛失届を書くのも嫌だ、それで失業保険をもらいたいと言っても、もらえなくて当然です。離職票をもらってこないあなたが全面的に悪いんです」と言うのです。
「ですから、いくら言っても会社が渡してくれないんですよ。 私が渡してくださいと請求していないのではないのですよ」と言いましたが、船橋職安職員は、
「ですから、離職票を従業員に渡すか渡さないかは使用者の自由です。 この人には離職票を渡すがこの人には渡さない、というのも、それも自由で、使用者の権利です。 使用者の権利として法律で認められているんです。 ですから、離職票を欲しかったら、会社の経営者に、『どうか、離職票を渡していただけませんか』とお願いしてもらうものなんです。 それをもらうことができないあなたが百パーセント悪いんです。悪いのは離職票をもらえないあなたです。 それをこちらは、離職票をもらうことができなくても失業保険をもらいたいというなら、紛失したということにして届けを出すということもできますよと言ってあげているんです。 それすらも嫌だというのだから、もらえるわけないじゃないですか。もらえなくって当然です。」と言ったのです。これ、「原文の通り」ですからね。
   私は、「それなら、今後、私は雇用保険料は一切、支払わなくてすむようにしてください。 保険金を受け取れないような保険の保険料を払う必要はありませんでしょ。 民間の保険でも損害保険でも生命保険でも保険料だけ払わされて保険金を払ってもらえないというような、そんなおかしな保険に保険料を払う人間はいませんでしょ。 私は、今後、雇用保険料は払いたくないので、払わなくてよいようにしてください」と言いました。 すると、船橋職安職員は、
「それは、みんなが困った時に生活できるようにとできた、みんなのためを考えて作られた国の制度ですから払っていただかないといけません」と言うので、
「私が実際に困っている時に払ってもらえずにいるじゃないですか。 払ってもらえていますか。 困った時のためにできている制度なら、私が、今、どうして受給できないんですか」と言いましたところ、
「それは、離職票をもらってこないからいけないんです。離職票さえもらってくれば、失業保険は受給できているんです」と言うので、
「だから、何度も言っているように、私が請求していないのではないのです。会社が離職票を請求しても渡さないのです。 従業員が失業保険の受給をできるようにするかできないようにするか使用者に選択の自由があるなどという、そんなおかしな保険には私は加入したくない、そんなおかしな保険には保険料は支払いたくないと私は言ってるんです」と言いましたが、船橋職安は、
「それは、みんなが困った時のためにできている国の制度で、保険料を支払うのは国民の義務です」と言うのです。
「その義務として、雇用保険料を払って来た私がどうして失業保険を受給できないのですか。義務を果たしたのに受給できないのはおかしいでしょ」と言いましたが、
「だから、何度も言っているように、あなたが離職票をもらってこないからいけないんです。 すべて悪いのはあなたなんです。 離職票ももらってこない、紛失届も書くのは嫌だというあなたがすべて悪いんです。悪いのはすべてあなたなんです。 離職票をもらってこずに失業保険をもらおうというのが、そもそも間違っているんです。離職票をもらえない者が失業保険をもらえないのは当然なんです。 雇用保険料は払ってもらわないといけません。離職票をもらえなければ、失業保険はもらえません。当たり前です。」と言ったのです。船橋職安の給付課の職員は。 しつこいようですが、「原文の通り」ですから、これ。

   労働法については、けっこう書店でも本は出ていますし、図書館にもあります。 我が家の本棚にも、
外尾健一『労働法入門』(有斐閣双書)・
片岡昇『労働法(1)』『同 (2)』(有斐閣双書)・
『労働法を学ぶ』(有斐閣ブックス)・
松岡一郎『口語六法全書 労働法』(自由国民社)・
石井照久『労働法』(弘文堂)・
阿久沢亀夫『図解 労働法』(立花書房)他、何冊かあります。  大学でも「労働法」という講義を履修しました。その時のテキストが阿久沢亀夫『図解 労働法』(立花書房)です。 しかし、それに対し、雇用保険法は、労働法に比べて、一般の人間にはなじみがない。 我が家の本棚にある本で雇用保険法に関係があるものとしては、昔、人事総務関係の職種に勤務することを考え、社会保険労務士の資格を取得しようかと考えて購入した『詳解 社会保険労務士のための社会保険労務士 労基法・労働保険編』(週刊住宅新報社)という本があるくらい。これだってそんなに詳しく載っているわけではありません。慶應大の商学部にも「労働法」という講義はあって受講しましたが、「雇用保険法」という講義はありませんでした。 ですから、労基署で担当者が変なことを言った場合、労基法の何条にこう書かれているはずですが・・・といった話をすることもできますが、雇用保険法に何がどう書かれているかは、私はよく知らなかったし、知らない人の方が多いと思います。 日本の法律でも、日本国憲法なら、中学校の「公民」や高校の「政治経済」の教科書の巻末にも条文が掲載されていて読みましたが、雇用保険法なんて法律の条文をよく知っている人なんて、社会保険労務士か職安の職員でもなければあまりないと思います。
   上記の船橋職安の職員の発言は、雇用保険法のどの条文を基に言っていたか。 それは、雇用保険法第7条と第83条でしょう。
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雇用保険法
(被保険者に関する届出)
第7条  事業主(徴収法第八条第一項 又は第二項 の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該労働者を雇用する下請負人。以下同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する労働者に関し、当該事業主の行う適用事業(同条第一項 又は第二項 の規定により数次の請負によつて行われる事業が一の事業とみなされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該請負に係るそれぞれの事業。以下同じ。)に係る被保険者となつたこと、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことその他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。当該事業主から徴収法第三十三条第一項 の委託を受けて同項 に規定する労働保険事務の一部として前段の届出に関する事務を処理する同条第三項 に規定する労働保険事務組合(以下「労働保険事務組合」という。)についても、同様とする。

第8章 罰則
第83条  事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一  第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合

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⇒《雇用保険法 (昭和四十九年十二月二十八日法律第百十六号)》http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49HO116.html
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この、雇用保険法第7条を見ると、事業主は、従業員が雇用保険の被保険者になった時、被保険者でなくなった時には、それを厚生労働大臣に届け出なければならないことになっており、第83条で、その届け出をしなかった場合は、6か月以下の懲役か30万円以下の罰金に処せられることになっています。 新華ハウジング有限会社の社長の 長谷川 新二 は、7月半ばに解雇したと主張しながら、11月まで届けなかったのですから、これに該当するはずですが、労働基準法とともに、雇用保険法も「使用者に甘い」もので、「罰則規定があっても、おまけでついているだけみたいなもの」(某「総合労働相談員」の言葉。労基署にいる「総合労働相談員」がそういうことを言ってよいのかとも思いますが、ね。)で、使用者は処罰されないみたいです。おかしいですよね。
   それで、この雇用保険法第7条と第83条を見ると、使用者は従業員が雇用保険の被保険者になった時と被保険者でなくなった時には届けなければならないとは書かれていますが、離職票を従業員に渡さなければならないとは書かれていないのです。
   だから、この2つの条文だけ見れば、上の船橋職安の職員のような発想も出てくるのでしょう。
   しかし、ここで、再度、考えてみてください。 だから、上の船橋職安の職員の発言て、正しいと思いますか?  雇用保険料を払っていても、離職票を使用者が(元)従業員に渡さなければ、失業保険は受給できないのは当然だと思いますか?   民間の生命保険・損害保険で、保険料を支払って来た者が保険が支払われる項目に該当した時に、保険料を払ってもらえないのであれば、 そんな保険、誰が入りますか? 保険会社、焼き討ちにされませんか?(最近の建物は耐火性能が高くなってきたから、なかなか焼き討ちはできないでしょうけれども)。 保険料はください、保険金は払いません・・て、「ふざけんな」「殺されんぞ」と思いませんか?
   離職票を(元)従業員に渡すか渡さないかは使用者の自由で、渡しても渡さなくてもよいとすれば、不良経営者から「離職票をもらえなければ、失業保険は受けられないぞお~お。 どうじゃ、欲しいか? どうじゃ。 欲しかったら、3べんまわって『ワン』と言え!」とか言われれば、3べんまわって『ワ~ン』と吠えなければならないのでしょうか。 不当解雇をおこなった不良経営者に対し、(元)従業員は失業保険を受給するために離職票を渡してもらいたければ、「三跪九叩頭の礼(さんき きゅうこうとう の れい)」をおこなわなければならないのでしょうか。 どう考えてもおかしいと思いませんか?
※「三跪九叩頭の礼(さんき きゅうこうとう の れい)」・・・・(清〔しん〕の)乾隆帝は、英・清間の貿易関係を改善するために訪れた(1793)使節マカートニ―(1737-1806)に対して、ひざまずいて頭を床に3度つけることを3回くりかえすという藩属国の礼を強要したが、マカートニ―は拒絶したといわれる。
(護 雅夫『よくわかる世界史』1973.初版。 1975.初版第6刷。旺文社)


   ここで、決して忘れてはならないことがあります。
≪  弁護士との信頼関係をつちかうために一番必要なことは、その事件をめぐって徹底的に議論し、問題点とその解決のしかたについて、共通の認識をもつことです。 弁護士は専門家ですから、彼の意見は十分尊重する必要はありますが、疑問を残したままうのみにしてはいけません。 なぜなら法律は常識の上に成り立つもので、常識的に疑問に思うところは法律的にも疑念のある場合が少なくないからです。  ≫
(川島 一郎編『民事訴訟の進め方―ビジネスマンの訴訟入門』所収。 
森 美樹(もり よしき)「2章 弁護士の頼み方」 1990.4.10.有斐閣ビジネス)

   もともと、2回に分けて公開するつもりはなかったのですが、ブログの字数制限があり、けっこう長くなってしまいましたので、この後、
〔A〕 2011年、新華ハウジング有限会社が私に離職票の交付を拒否したケースについて、この後、私がどうしてどうなったか、について。
〔B〕 日本の現在の法律において、船橋職安の職員が述べた、「使用者は、従業員を解雇したり退職したりした場合、雇用保険を抜ける手続きをとらないといけないとは法律で決められているが、離職票を渡すか渡さないかは使用者の自由」という見解は正しいかどうか。
この2点について述べます。
いわば、今回が「問題提起編」で次回が「解答編」のようなものです。 そうするつもりで作成し始めたわけではありませんが、結果としてそうなりました。
『金田一少年の事件簿』とかなんかそういうので、「問題提起編」と「解答編」に分けて2冊になった本があったような気がしますが、今回の「問題提起編」を読んでくださった方、「解答編」もぜひ、ご覧になってください。又、できれば、「解答編」を見る前に、上の船橋職安の発言について、ご自身でどう思うか考えてみてください。 又、もしも、上に述べた私の立場に自分が立ったなら、自分ならどうするか、ぜひ、一度、考えてみてください。 その上で、「解答編」をぜひご覧ください。 私がとった行動が模範解答というわけではありませんが、同じような立場に立たされた方には参考になるかと思います。
   ぜひ、次回、[第350回]《「離職票を交付するか否かは使用者の自由」か【下】解答編。及、法廷に遅刻する弁護士て何に忙しいの? 》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201509article_5.html  も、ご覧くださいませ。
   (2015.9.29.)

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≪ 自分の権利があからさまに軽視され蹂躙されるならばその権利の目的物が侵されるにとどまらず自己の人格までもが脅かされるということがわからない者、そうした状況において自己を主張し、正当な権利を主張する衝動に駆られない者は、助けてやろうとしてもどうにもならない。・・・・
・・・ こうした連中にふさわしい唯一の言葉は、この本の刊行後知ることができたカントの一句である。すなわち、「みずから虫けらになる者は、あとで踏みつけられても文句は言えない」 (『徳論の形而上学的基礎づけ』第二版、クロイツナハ、1800年。133頁)。・・・・≫
(イェーリング『権利のための闘争』「序文」村上淳一訳 岩波文庫↑) 

この記事へのコメント

ume
2016年06月02日 08:29
私も船橋で同じような事言われました。
『雇用保険支払っても離職票がない人には給付しません』
『離職票を会社に請求して送られて来ないかった人は今まで居ません』
『離職票が送られて来るまで会社に電話しつづけてください』
と言ってハローワークの人間は何もしようとしないのです。

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