上新田天神社(大阪府豊中市)参拝3 拝殿・本殿・牛・屋根・稲荷社他

[第505回] 冤罪を晴らす神さま・菅原道真・怨念を晴らすお百度参り(41)-3
  上新田天神社 参拝の3回目。 鳥居をくぐって階段を登り、拝殿の前まで来ました。↓
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  「天神社」には、菅原道真を祀る天神社と、菅原道真が怨霊となるより以前から存在した天の神を祀る天神社、もともと、菅原道真とは関係のない天の神、自然の神を祀っていたが、天神つながりで菅原道真も祀るようになった天神社とがあるようですが、上新田天神社の場合、↓
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↑ 拝殿の屋根に「梅鉢」の紋が入っていますし、
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↑  拝殿の右手に牛もいますから、菅原道真を祀る天神でしょう。 同時に、この付近が「千里中央」になるより前、「上新田(かみしんでん)」であった時代からの神社で、上新田天神社でいただいてきた由緒書きを見ると、「上新田天神社」「千里天神」と書かれるとともに、「千里の氏神」とも書かれており、「その地域の神社」という性質があったでしょう。
   由緒書きによると、≪ ・・上新田は、・・・大坂夏の陣の翌年の元和2年(1616)に武州(武蔵国)代官間宮三郎右衛門の命により開拓された幕府直轄領であった。・・・ 明治4年(1871)の廃藩置県により大阪府嶋下郡上新田村となり、昭和36年(1961)日本初の試みである千里ニュータウン造成を経て今日に至る。≫らしい。 新田開発がなされた場所に設けられた神社ですから、天候の神という意味での天神でもあったのではないでしょうか。
   由緒書きに書かれている「御神徳」も、「新規開拓、家内安全、商業繁栄、建築土木治水守護、交通安全、厄除開運、火伏せ守護、学業成就、知恵おこし」と出ており、なんや、全部ちゃうんんかい・・・・・て感じがしないでもありませんが、地名が「上新田」というように新しく田んぼを作ったという場所のようなので、「新規開拓」「建築土木治水守護」というものが特に入っている、特に「新規開拓」が最初に出ているということではないか。

   由緒書きを見ると、「御祭神 菅原道真公(天神さま)」と書かれ、「相殿神 宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)(お稲荷さま)」と書かれています。 社殿の右奥に「稲荷大明神」を祀る摂社があります。 「相殿」として稲荷も祀ったのか、摂社末社として右奥の社殿に祀ったのか。 もともとは相殿として祀っていたが、後に別の社を造ったというものか。
   天神と稲荷は仲が悪いという話もあるわけです。どう仲が悪いかというと、菅原道真というのは、最初は怨霊であったわけです。 特に、自分を大宰府に左遷した人たちに対しては怨霊として恨み晴らさでおくべきか~と祟る神だったのです。 宮中ではその祟りを防ぐために「月番」だかで神さんを指定して守りにつけたが、天神(菅原道真)が怨霊として現れた時、稲荷が防いだことから、天神と稲荷は仲が悪くなった・・・という話が、竹内秀雄『天満宮』(吉川弘文館)に出ていました。
   しかし、その一方で共通点もあるのです。 最初は、怨霊として登場した菅原道真は、冤罪を晴らす神さま、恨みを晴らす神さまでしたが、その後、地方の武士などの神様となったが、武士の神さまとして八幡神が祀られるようになったことから武士の神の位置は八幡神に奪われ、その後、商工業者の神ともなったが、これもまた、江戸時代あたりになると稲荷などにその位置を奪われ、そして、寺子屋の神さまとして神さまとしての活路を見出して、学問の神さまとなり、最近では、ちいっとも勉強せんといてからに入試にだけは合格させてください~いというあつかましいにいちゃんねえちゃんの神さま・・・になって繁盛しているのですが、商工業者の神であった時代もあったようなのです。 だから、かつて商工業者の神であった天神≒菅原道真と、もっぱら商工業者の神、商売繁盛の神の稲荷がともに祀られてもおかしくはないことになります。 又、天神は天候の神であるとともに、菅原道真は新田開発などにも取り組んだ人間であり、平安時代において、朝廷の財政を立て直そうと努力した人間でもあったわけで、そこから、新田開発・新規開拓の神ともされたようで、稲の神、農耕の神である稲荷とそこでも共通点はあるわけです。 だから、「怨霊神としての天神=菅原道真 対 防禦側の神 稲荷」という構図においては敵対関係だったようですが、新田開発・新規開拓の神、農業守護の神として、商工業者の神としては、天神≒菅原道真と稲荷は共通点があるようです。
 
   けっこう立派な拝殿です。 上新田天神社では、本殿が1993年(平成5年)に有形文化財に指定された建物だということなのですが、拝殿ではなく本殿? ・・・・と思って、右横にまわってみますと、正面から見える建物は拝殿で、右横から見ると、幣殿と本殿があり、拝殿-幣殿‐本殿 の三部構成の建物です・・・・↓
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↑ しかし、この本殿、はたして、有形文化財に指定されるような建物でしょうか?
由緒書きには、≪ 現在の本殿は貞享3年(1686)に建立された。 木造の1間社流造で正面の軒に唐破風を据え、屋根は杮葺き。 平成5年(1993)に有形文化財に指定される。≫と書かれているのですが、↑の写真に見える建物はそういうものではない。
   由緒書きには、≪ 貞享3年(1686)には小路村大工市郎兵衛が社殿拡大に伴う建立を請け負い現在地に社殿を再建。・・・・天明元年(1781)には御旅所が建立され・・・・ 。 明治38年(1905)には本殿覆屋根と拝殿を建立し、その後幾度となく本殿、覆屋根、幣殿、拝殿、石玉垣、表参道大階段、御旅所社殿、社務所、その他多くの新改築修繕や奉納寄進が創祀当初より耐えることなく氏子崇敬者によって続けられ現在に至る。≫と出ています。 有形文化財に指定されている本殿の「覆屋根」なのですね。
   側面から見える本殿が「覆屋」であることはわかりましたが、せっかくの「有形文化財」の本殿が見えないというのは残念です。 千葉県 の子守神社 では、本殿の覆屋をガラス張りにしていましたが、あの方がいいのかもしれません。〔⇒[第413回]《子守神社(こまもりじんじゃ)と摂社 天神社(千葉市花見川区) 参拝》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201605article_3.html 〕 もしくは、栃木県佐野市の佐野厄除け大師(春日岡山惣宗寺)の中の佐野東照宮は、覆屋があって、その外から見えて、どうも、違和感を覚えたのですが、建物保護の為ということで覆屋を設けないわけにいかないのであれば、いくらか違和感を覚えるところがあってもガラス張りにするなりの方法で見えた方がいいのではないかと思います。 せっかくのものが見えないというのは残念です。
   「有形文化財」とは何なのか。 「国宝」「重要文化財」は国が指定するものと思っていましたが、他にも「◇◇県して文化財」とか「☆☆市指定文化財」とかありますね。 上新田天神社本殿は、「豊中市指定有形文化財」だそうで、豊中市のホームページに掲載があるのが見つかりました。〔⇒《豊中市指定有形文化財 上新田天神社本殿》https://www.city.toyonaka.osaka.jp/jinken_gakushu/bunkazai/shitei_bunkazai/yuukei/kenzoubutsu/kentiku207.html 〕

   拝殿の屋根に何やら乗っている者がいます。↓ 何者でしょうか・・・・
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(↑ 拝殿の屋根の上、左側)
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(↑ 拝殿の屋根の上、右側)
↑  クリックすると大きくなるので、大きくしてみて下さい。
狛犬は拝殿の両手前にいます。 屋根の上にいるというのは、もしかして、シーサー? なわけないか・・・。 

   御本社の右手に摂社というのか末社というのかの社が3つ見えます。
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↑ 御神木社
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↑ 祖霊社
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↑ 「稲荷大明神」
   
   (2017.1.29.)

★ 上新田天神社 参拝4部作
次回 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201701article_18.html をご覧くださいませ。

☆冤罪を晴らす神さま・菅原道真・怨念を晴らすお百度参り
大阪府
大阪天満宮(大阪市北区)
1.https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201403article_1.html
2.https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201403article_2.html
3.https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201403article_4.html
露の天神社(お初天神)(大阪市北区)
上 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201403article_5.html
下 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201403article_6.html
綱敷天神社(大阪市北区)
1.綱敷天神とは。「北野」の由来。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201604article_6.html
2.社殿と桜。堅魚木と千木。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201604article_7.html
3.「戦災の狛犬」、筆塚。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201604article_8.html
4.白龍社、歯神社。綱敷天神社の周囲https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201604article_9.html  
綱敷天神社 御旅社(大阪市北区) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201405article_11.html
池田市天神1丁目・2丁目 http://shnkahousinght.at.webry.info/201405/article_10.html
西江寺 摂社天満大自在天神(箕面市) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201611article_5.html
上新田天神社(豊中市)
1 千里中央駅から。電柱看板の是非。卑怯者不動産屋店長。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201701article_15.html
2  鳥居から参道階段を経て拝殿へ。「他力」とは https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201701article_16.html
3 拝殿・本殿・牛・屋根・稲荷社他 〔今回〕
4 神社の社殿を背後から見下ろす下品な高層マンション https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201701article_18.html

京都府
北野天満宮(京都市上京区)
1 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201302article_2.html
2 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201302article_3.html
3  https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201302article_4.html
4  https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201302article_5.html
5  https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201302article_6.html
高台寺天満宮(京都市東山区) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201511article_7.html
曼殊院天満宮(京都市上京区) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201608article_4.html

石川県
金沢神社(金沢市) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_1.html
椿原天満宮(金沢市) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_2.html
田井菅原神社(金沢市) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_3.html

熊本県
山崎菅原神社(熊本市中央区)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201406article_6.html
船場天満宮(熊本市中央区)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201406article_7.html
手取天満宮(熊本市中央区)https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201406article_8.html


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