内田康夫『風の盆 幻想』と巡る高山[2]高山ラーメンー高山シリーズ第5回【2/15】

[第591回] 高山シリーズ第5回(2)  内田康夫『風の盆 幻想』と巡る高山【2/15】
   内田康夫『風の盆 幻想』(2013.実業之日本社文庫)では、八尾の老舗旅館 弥寿多家の若主人 晴人が殺され、その晴人のメモに高山の「ロスト」が登場する。
≪ あまり明瞭ではないが、「高山」の文字以外にも十ばかりの文字が刻まれている。浅見はシャープペンシルを斜めに使って、メモ用紙の上を軽く擦った。白抜き文字がうっすらと浮かび上がってくる。「8/19 1時 高山 ロスト」と読めた。
  八月十九日の午後一時に「ロスト」で誰かと会う約束をした――と考えられる。それまでにも、似たような記述がいくつかあった。そういう書き方が晴人の癖なのだろう。北日本新聞の武井の場合も、同じだった。
  ただし、相手の名前が書いてないところが異なる。つまり書かなくても分かる――あるいは書き留めると具合が悪い相手だったのかもしれない。≫
≪ 「ロスト」はたぶん喫茶店の名と見当をつけて、「岐阜県高山市のロスト」の電話番号を問い合わせた。思ったとおり、ロストは高山市にある喫茶店だった。電話に出た女性に場所を訊くと、そういう問い合わせが多いのだろう、いかにも慣れた口調で「宮川沿いの本町通りです。鍛冶橋の交差点から百メートルばかり南に行ったところですから、すぐ分かります」と言った。≫
ということだが、浅見光彦と「内田康夫」は高山に行って、「ロスト」をすぐに見つけたようだが、ところが、私が行って見ても、「すぐに」どころか、どんなにしても見つからなかったのだ。

   ≪ 「・・・事件との関係があるのかどうかはともかくとして、メモが引き抜かれている点から見て、見過ごすわけにはいかないでしょう。とにかく、調べてみる価値はあります」
「じゃあ、高山へ行くの?」
「ええ、そのつもりです」
「そうか、高山とくれば飛騨牛と高山ラーメンだな・・・・僕も行きたいが・・・・」
  事件のことより、食い意地が先行するのがいかにも内田らしくておかしい。今回もそれが決め手になったようだ。内田はワープロの画面としばらくにらめっこをしていたが、決然と「よし、行こう」と宣言した。・・・≫
ということで、浅見光彦と「内田康夫」が高山に行くことになる。
   そして、
≪ 鍛冶橋交差点の角にラーメン屋があった。古色蒼然とした、いかにもそれらしい造作だ。大きな看板に「高山ラーメン」と、しゃれた崩し字で大書してある。
「旨そうな店だな」
  内田が足を停めた。本来の目的(?)であるラーメンを忘れてはいなかった。それに、腹がへっているのは浅見も同様だ。
「これだけの店構えをするからには、味に自信があるにちがいない」
「どうですかね、建物や造作だけじゃ、分かりませんよ」
「そんなことはない。店主のラーメンにかける姿勢は、まず外観に表れるのさ」
「僕は反対ですね。こけ威しということもあります。・・・・・」 ≫
≪ 「まあ、いいから、この店に入ろう、メニューに『飛騨牛らーめん』とあるのも、期待できそうじゃないか」
  内田はさっさとドアを開けた。・・・・≫が、
≪ そして結果は――浅見の予想は的中した。ラーメンの丼が運ばれてくると、内田はいきなり、七、八枚入っている飛騨牛の肉なるものを口に入れた。ものを食う時の彼の顔は、いつも至福に輝いて見えるのだが、次の瞬間「うっ」と言ったきり口の動きが停まった。その次に動いた時は「固い」と呻いた。
「浅見ちゃん、食って見ろよ」
 丼を押しつけた。
 歯の丈夫なことでは人後に落ちない浅見だが、この飛騨牛の肉片には、文字どおり歯が立たなかった。
「まあ、いいか・・・・」
 内田は悲しそうに、肉以外のラーメンの本体に箸を突っ込んだ。浅見は慰めの言葉もなく、内田に倣って麺を口に運んだ。
「まずい・・・・・」
 内田が呟き、浅見も異論はなかった。妙に黒ずんで魚臭いスープが絡んだ麺の、歯ごたえのなさは、肉の固さと対照的だった。
 さすが悪食の内田も箸をおいた。千二百円の投資の対象物をしばし眺めてから、未練を断ち切るように席を立った・・・・・≫
というのだが、私は、これまで、高山で何軒かのラーメン屋で食べたが、けっこうおいしかった。「鍛冶橋交差点のカド」のラーメン屋というと↓か?
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 ↑ 「中華そば 鍛冶橋」 。
   この店は、私は2年前に入って食べたことがある。 けっこうおいしいと思ったのだが。 このブログでも、[第360回]《飛騨国分寺と三重塔、「和風ドーマー」、ホテルの二重サッシ、飛騨牛中華そば―高山シリーズ第3回(9)》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_10.html で外観写真入りで述べている。 「内田康夫」が「まずい・・・」「固い」と言い、浅見も異論はなかったという店は、他の店なのか? それとも、内田康夫『風の盆 幻想』が最初に幻冬舎から刊行されたのは2005年、私が「中華そば 鍛冶橋」で食べておいしいと思ったのは2015年、内田康夫の批判を受けて10年の間に味の改良がなされたのだろうか・・・・?
   他の店かもしれないので、今回は、鍛冶橋付近で他のラーメン店に入って食べてみた。↓
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↑ 「じゃぱにーずれすとらん てなが あしなが」。 「ミニ飛騨牛丼+ラーメン」セット、980円。 悪くないと思ったが・・・、内田康夫はどの店に入ったのだろう・・・・。 もっとも、味覚はひとそれぞれ違うわけで、どちらが正しい間違っているというものでもないし、私の場合、「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません、勝つまでは。とってちってたあ~あ!!!」と毎日毎日言われてきた世代(といっても、言われてきたのは私だけであって、たぶん、同級生でもよその家庭では言われていないと思うが)であったので、食べ物についてまずいだのなんだの言おうものなら、「甘ったれるな!」「欲しがりません、勝つまでは。撃ちてしやまん。一億火の玉。親に孝行しよう。戸締り用心、火の用心。マッチ一本火事の元。とってちってたあ~あ!」と言われるに決まっているので、「まずい」だの「固い」だのなんて、言えるものではなく、何でも食べてきた世代なので、私と他の人とは違うかもしれないが。

    『風の盆 幻想』で、「鍛冶橋交差点のカド」のラーメン店を出た後、「内田康夫」と浅見光彦は別の店に入る。
≪ さっきの店とは対照的に、開店して間もないような、明るい感じの店に入った。行列もなく、店内もガラガラで、初めから期待感も湧いてこない。内田も同じ気持ちなのか、用心して、肉のないふつうの「高山ラーメン」を頼んでいる。
  今回はまずまずであった。どこといって変哲もない、といってしまえばそれまでだが、それが高山ラーメンの特徴なのか、海産物系の強いダシさえ厭わなければ、それなりに合格だろう。期待感のなさも、いいほうに働いたのかもしれない。 ≫
と書かれているが、その場所がどこかは書かれていないので探索のしようがない。 ここしばらく、7年間に6回、高山に行ったのだが、「飛騨牛」というのがブランドであり、それゆえ、いくらか高いのだが、「いくらか高い」ところから、ものすごくおいしいと期待した時にどうかはさておき、私はこれまで高山で入った食べ物屋は悪くないと思った店が多かった。 心臓が悪くて糖尿で痔疾でアルツハイマーのケがあるらしいおっさんが「固い」とか「まずい」とか言ったとしても、あんまり、気にしないで、自分の舌で味わって自分で判断した方がいいのかもしれない・・・・。

    小説中の「内田康夫」が「まずい・・・」「固い」と感じたというのですが、まず、若い者なら少々固いものでも「いい噛み心地」と感じるものを、年配の人だと「固い」と感じ、それゆえ「まずい」と思う場合もあるでしょう。 もうひとつ、≪飛騨牛とは岐阜県内で14カ月以上肥育された黒毛和種のうち、日本食肉格付協会が実施する枝肉格付で、肉質等級5等級、4等級、3等級の格付けがなされたもの、この等級以外は岐阜県産和牛と呼ばれる。霜降りが多く、淡いピンク色をしているのが特徴で、筋肉繊維が細いために肉質が非常に軟らかい。そのルーツは、昭和56年(1981)に岐阜県が購入した1頭の但馬牛。 安福号と名付けられたこの牛は、肉質のよい子孫が出来やすい遺伝子を持っていたのだ。凍結保存された安福号の精子は、現在も品質のよい飛騨牛を生み出すために使用されている。≫(小野田哲郎 編集『楽楽 飛騨高山 白川郷・上高地』2014.5.1.JTBパブリッシング)というブランド食材で、どちらかと言えば高級食材のようですが、東京あたりにある特別にエライ人だけが入ることを許されている私なんかが入ろうとしようものならつまみだされるような高級料亭・高級レストランとかいうのと違って、高山を訪れる人というのは「普通の人」ですから、あまりにも高い金額を料理に設定すると客がつかなくなってしまうため、「普通の人」が食べようと思う程度の食事・払おうという気持ちになる程度の値段にせざるをえないのです。 飛騨牛というブランド食材を使っておきながら、高山では、「飛騨牛ラーメン」とか「飛騨牛カレーライス」とか「飛騨牛 肉まん」とか、そういった庶民の料理の店が多いというのは、そういう事情からではないかと思うのです。高山で売られている地元産のものは決して高くないのですが、「飛騨牛 肉まん」は肉まんにしては高い。これは、肉まんという庶民の食べ物にすることで高級食材の飛騨牛を使ってでも「普通の人」に食べてもらおうという工夫ではないかと思うのですが、高級料理なら高級食材を使って比較的高い値段でもやむをえないと思うところを、肉まんという庶民の食べ物に高級食材を使ったことから、肉まんにしては高いという印象を受ける値段になってしまったのではないかと思います。 ラーメンの場合、「飛騨牛ラーメン」というのもありますが、「飛騨牛 牛スジラーメン」というのが鍛冶橋付近のラーメン店のメニューにありました。牛スジは、牛肉でも比較的安いことから、価格を高く設定できないものに使っているのではないかと思いますが、『美味しんぼ』に話がありましたが、牛スジは、値段は安いが「食えたもんじゃない」と思う人もいるけれども、料理のしかたを工夫すれば十分おいしい料理にできるというのですが、小説中の「内田康夫」が食べた店がどこかはわかりませんが、その店では、そのあたりで、飛騨牛とはいえ牛スジを使用して、その料理のしかたが十分に適切でなかったために、「固い」というものになってしまった、「固い」という印象を受けたために「まずい・・」と思われてしまうに至った・・・ということならあり得るように思うのです・・・がどうでしょうか。

    今回は、1日目の夕食に、『風の盆 幻想』で「内田康夫」が「まずい」「固い」と言った「鍛冶橋交差点のカド」の付近の店でラーメンを食べるため、そちらに行ったのだが、高山駅から向かう途中、高山本線の東側を高山本線と並行して走る道と国分寺通りが交わる所を東に入ってすぐ南側の「焼きそば ちとせ」の前を通った時、ここの焼きそばを食べたくなった。↓
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(↑ 「焼きそば ちとせ」 )
1日目の夜は「てなが あしなが」でラーメンを食べたが、2日目の昼、当初の予定では、午前中に飛騨高山美術館に行って、飛騨高山美術館の館内にある「ザ・マッキントッシュティールーム」というのがあって、「ランチセット」1000円と、『楽楽 飛騨高山 白川郷・上高地』(2014.5.JTBパブリッシング)に出ていたので、そこで食べたいと思っていたのだが、飛騨高山美術館で結婚式があげられていたらしく、そのため、「ザ・マッキントッシュティールーム」では喫茶のみだということだったので、2日目の昼、「ちとせ」で肉焼きそばセットを食べた。高いわけでもないのだが、「やみつきになる味」というのか、前を通ると引っ張り込まれそうな焼きそばである。 この店はラーメンもやっているのだが、焼きそばの方のイメージが強い。ラーメンを注文する余地を残して店に入っても、焼きそばのにおいがしてくると、どうも、焼きそばの方を注文することになる。
    私は、どの店の縁者ではないし、どの店からも1円ももらってないし、私がおいしいと思ったとしても、「食通」でも何でもないので、他の人が食べるとそう思わないかもしれない。 そのあたりに責任は持てないが、「ちとせ」の焼きそばはどうも「やみつきになる」味である。

   次回、「K病院」https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201710article_7.html

   (2017.10.29.)

☆☆☆☆☆高山シリーズ第5回
1.内田康夫『風の盆 幻想』と巡る高山(1)喫茶店「ロスト」を探す https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201710article_5.html
2. 同 (2)高山ラーメン 〔今回〕
3. 同 (3)「K病院」https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201710article_7.html
4. 同 (4)高山市役所 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201710article_8.html
5.旧 野首(のくび)家住宅 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201710article_9.html
6.旧 新宮村 郷倉 ほか https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201710article_10.html
7.山岳資料館(旧 高山測候所)、飛騨民俗村とは https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_1.html
8.飛騨合掌苑 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_2.html
9.「飛騨民俗村 文学散歩道」https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_3.html
10.飛騨高山美術館 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_4.html
11.名古屋から高山へ「ワイドビュー飛騨」https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_5.html
12.高山駅から飛騨民俗村へ[上]https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_6.html
13. 同 [下]https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_7.html
14.新上野橋から三福寺橋、山小屋て、なぜ洋風なの? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_8.html
15.「旧 吉城郡細江村の民家」(熱田神宮内) https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201711article_9.html

☆☆☆☆高山シリーズ第4回
1.日の出天満神社 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_13.html
2.大八賀神社 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_14.html
3.東山遊歩道(1)高山別院照蓮寺から東山白山神社へ 〔今回〕
4. 〃 (2)東山白山神社・大雄寺 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_16.html
5. 〃 (3)雲龍寺・久昌寺・栄鏡院 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_17.html
6. 〃 (4)洞雲院・素玄寺 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_18.html
7. 〃 (5)東山神明神社 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_19.html
8. 〃 (6)天照寺・法華寺 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_20.html
9. 〃 (7)善応寺1.本堂 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_21.html
10.〃 (8)善応寺2.地蔵堂 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_22.html
11.〃 (9)宗猷寺 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_23.html
12.〃(10)町年寄川上家別邸跡 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_24.html
13.煥章館と煥章館2階から見た東山 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_25.html
14.十六銀行 高山支店、早朝は無人の安川交番 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_26.html
15.新装「高山駅」 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_27.html
16.片流れ屋根のモデルハウス https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201611article_4.html

☆☆☆高山シリーズ第3回
1.藤井美術民芸館  https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_1.html
2.高山陣屋[1]床の間、釘隠し・・ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_2.html
3.高山陣屋[2]白洲、土縁庇・・ https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_3.html
4.高山市政記念館 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_4.html
〔番外 宮川にかかる欄干に加圧注入木材使用の橋と 防腐防蟻剤について。 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_5.html 〕
5.桜山八幡宮 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_6.html
6.桜山八幡宮 摂社 天神社 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_7.html
7.山桜神社、古い町並美術館、手長足長 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_8.html
8.宮川交番、高山警察署、高山市役所 他 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_9.html
9.飛騨国分寺、「和風ドーマー」、二重サッシ他 〔今回〕
10.新宿‐高山のバスの予約をインターネットで「後部」を希望すると。「労災」のおかげで歩行困難にされた話  https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201510article_11.html

☆☆ 高山シリーズ第2回は、
(1)国府町村山天神参拝1上枝駅から宮川沿い。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_2.html
(2)同2 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_3.html
(3)同3浸透桝で雨水処理 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_4.html
(4)あじめ峡、あじか、廣瀬神社、国府小学校https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_5.html
(5)国府大仏、阿多由太神社https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_6.html
(6)飛騨国府駅周辺。「耳付片流れ屋根」https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_7.html
(7)松本家住宅・ヒラノグラーノhttps://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_8.html
(8)松本家住宅・宮地家住宅https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_9.html
(9)宮地家住宅・平田記念館https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_10.html
(10)飛騨民族考古館1 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_11.html
(11)同2 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_12.html
(12)同3 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_13.html
(13)同4 喫茶ばれん、質屋の入口から逃げる裁判官 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_14.html
(14)飛騨高山まちの博物館https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_15.html 
(15)東西反転プランでは玄関だけ移動するのかhttps://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_16.html
〔(16)~(20)の前提、権威主義的パーソナリティーの「デザイナー」が「建築家」の名前で敬意を表した慶應日吉(新)図書館について https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_17.html 〕
(16)高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使用するか? 1 JR日光駅はライトの設計でなければ価値はないか? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_18.html
(17)同2 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_19.html
(18)同3 マーケティング的発想のない店 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_20.html
(19)同4 店のコンセプトが理解できない建設部長 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_21.html
(20)同5 「酒が飲めない人にも飲める酒」を勧められない「日本酒ソムリエ」 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_22.html
(21)飛騨総社 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201409article_23.html

☆ 高山シリーズ第1回 は、
上 [第202回]飛騨天満宮、松本家住宅他https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201309article_7.html
中 [第203回]「天神」考察。居酒屋はいいかげんhttps://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201309article_8.html
下 [第204回]高山市の白山神社。高山市役所https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201309article_9.html

熊野古道殺人事件 (角川文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング)
内田 康夫

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≪ 「・・・・そうだ、その前に聞いておきたいのだが、岳野氏の事件について、さっきのテレビニュースでは、自殺か病死か調べ中――みたいなことを言っていた。警察はどう判断したんだい?」
「最初は病死と断定したようです。しかし、僕が指摘して、毒物の有無を再検査させたら、胃の中からアルカロイド系の毒物が検出されたのだそうです。しかし、第三者によって毒物が投与された形跡もなければ、カプセルによって服用させた痕跡もないので、結局、自殺だろうということで落ち着いたみたいですよ」
「ふーん、そうか、自殺ねえ・・・・」
「ええ、警察の目は節穴ですからね
「ん? それはどういう意味だ?」
「決まっているじゃありませんか。あの事件はれっきとした殺人事件ですよ。犯人は渡海船の中に缶コーヒーを置いて・・・・」
「・・・・・」
内田は驚きの表情を見せ、口を開きかけたが、反論も質問もしなかった。 ・・・・≫
(内田康夫『熊野古道殺人事件』(2010.角川文庫↑ ) 

小樽殺人事件―浅見光彦×日本列島縦断シリーズ (光文社文庫)
光文社
2012-08-08
内田 康夫

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≪ 「ばかみたい。あの黒い蝶々はどうしたんだって、同じことを何度も何度も繰り返して訊くだけなのよ。あの警部、勝子さんの事件も担当しているんでしょう? だけど、あれじゃ、犯人は捕まりそうもないわね。私のことなんかいくら調べたって、何にもならないのに。まったく、頭にきちゃうんだから」 ≫
(内田康夫『小樽殺人事件』2012.光文社文庫↑ )

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