光明寺(鎌倉市) 参拝【3/11】大殿(本堂)と桜。火灯窓。善導大師とは。

[第590回] 鎌倉シリーズ(3)-3
  総門を経て山門をくぐり、右に鐘楼を見ながら直進すると、重要文化財に指定される「大殿」(本堂)にぶつかります。↓
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( 「 i 」マークが「大殿」(本堂)です。 ↑の図で左から大殿に向かって左側にあるのが開山堂。 大殿から開山堂に行く渡り廊下の↑の図で上側にあるのが記主庭園。その上にあるのが大聖閣。 大殿の後ろの道を登って行った所、大殿の背後の位置に土の面が広がっているのが見えるのは鎌倉市立第一中学校の運動場です。)
≪ 十四間四面。 当山51世詮譽白玄上人の代、元禄11年(1698年)の建立。現存する木造の古建築では鎌倉一の大堂で、本尊 阿弥陀三尊のほか諸仏を祀っています。 かつては開山上人像を安置して祖師堂と称していました。仏堂ではなく祖師堂を本堂とする伽藍形式は、知恩院をはじめとする京都の浄土宗本山の通例です。 百本柱のお堂としても有名。国指定重要文化財。・・・・≫
( 光明寺HP 「境内のご案内」http://komyoji-kamakura.or.jp/%e5%a2%83%e5%86%85%e3%81%ae%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/ )
  建立された1698年というと、17世紀の終わり、あと2年で1700年。イギリスでは「権利の章典」が制定されたのが「権利の色はく(1689)権利の章典」で1689年ですから、「権利の章典」が制定された1689年の9年後の建立。 フランス革命が「火縄く(1789)すぶるバスチーユ」で1789年ですから、フランス革命の91年前。 鐘楼と山門の建立が1847年〔マルクス・エンゲルス『共産党宣言』が発表された1848年の前年、キルケゴール『死に至る病』1849年の2年前〕ですから、大殿の建立は鐘楼・山門の建立の49年前ということになります。
  桜がきれいですが、大殿の前、左右に桜が植わっていてきれいに花が咲いても、それでも大殿はきっちりと見えます。 よく見ると、桜の背が高くなって大殿が見えなくならないように、桜の木の背を詰めてあります。そのあたりの配慮がきっちりとされているのを見るとうれしく感じますね。
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↑ 「専修念仏 根本道場」 「光明寺」と書かれています。

  光明寺参拝【1/ 】でも写真を掲載しましたが、↓のように
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↑ 「大殿」(本堂)の屋根には、菊の紋と三つ葉葵の紋が交互に入っています。
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↑ 大殿の窓ですが、火燈窓(かとうまど)になっています。
  「かとう窓」というのは「加藤さんの家の窓」のことではないのは重々わかっていますが、「火燈窓」と書いて炎のような形だから「火燈窓(かとうまど)」と言うのかと思っていたのですが、《ウィキペディア―火灯窓https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E7%81%AF%E7%AA%93 によると、≪ 上枠を火炎形(火灯曲線)または、花形(花頭曲線)に造った特殊な窓である。ほかに、華頭窓、架灯窓、瓦灯窓などと表記する。また、石山寺の「源氏の間」に見られることより通称「源氏窓」ともいう。≫と出ており、炎の形であるとともに花の形でもあるようです。 禅宗の寺によくあるように思っていたのですが、光明寺は禅宗ではなく浄土宗です。 浄土宗の寺なのに火灯窓がある・・・と思ったのですが、《ウィキペディア―火灯窓https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E7%81%AF%E7%AA%93 には、≪ 元は、中国から伝来したもので、禅宗様の窓として使われていたが、安土桃山時代頃にそのデザイン性から、禅宗以外の仏教寺院でもまた、仏教建築ではない神社や天守などの城郭建築、書院造の邸宅に使われた例もある。富士火灯や琴柱火灯、山道火灯など多様な形のものが造り出されてきている。≫と出ており、元は、禅宗様の窓だったが、後には禅宗以外でも仏教建築以外でも使われるようになったらしい。
※ 《ウィキペディア―火灯窓》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E7%81%AF%E7%AA%93

   お寺のお堂というものは、神聖な方位である北を背にして南を向いていて、人が神聖な方位である北に向かって参拝するか、もしくは、お堂が西を背にして東を向いていて、人が西方極楽浄土に向かって手を合わせるか、どちらかであるものだ・・・と言う人があるのですが、光明寺の場合は、大殿は東の天照山を背にして西を向いており、人は東を向いて手を合わせるようになります。 それは方位としておかしいと言う人があるかもしれませんが、そんなこと言うたって、ここは東が山、西が海という地形なんだから、どうしようもないやんけ・・・・てとこです。 これがいかんちゅうなら、どないせえちゅうねん・・・て。 開山堂と大聖閣は南を向いており、人が北を向いて拝むようになっていますが。

  大殿の前を右(南)に行き、お地蔵さんと戦没者日の前を通り過ぎて、材木座幼稚園の前を左に曲がり、山道を登ると、大殿の南面↓
を見ることができます。
 
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  さらに上ると、大殿の北面↓を見ることもできます・・・が、
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↑ 逆光なので、少々写りは良くありません。

   大殿の左手前、大殿から開山堂への渡り廊下の前に立っていらっしゃるのが、こちら・・・↓
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↑ はて、岐阜県高山市の浄土宗の大雄寺では「若き日の法然上人」の像が立っていましたが〔⇒[第450回]《東山白山神社・大雄寺(だいおうじ)・秋葉神社(高山市)参拝-東山遊歩道を歩く(2) 》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201610article_16.html 〕、こちらは法然上人ではなさそうですが、どなたでしょうか・・・?
   光明寺での説明書きによると、「善導大師」の像だそうで、善導大師とは誰なんだ・・・なんて言うと不謹慎かもしれませんが、実際問題として浄土宗のお坊さんでもない者としては、法然とか親鸞とか言われるとわかりますし、熊谷直実も名前くらいは知っていますが、善導さんと言われても、お坊さんなんだな・・・くらいしかわかりません。 どういうお方かというと、
≪  中国 唐時代に活躍された浄土教の高僧で、宗祖法然上人はこの善導大師の教えに導かれて浄土宗を開かれました。
   浄土宗では大師を高祖と崇拝しています。
   当寺の御開山 良忠上人も厚く大師を敬い鎌倉時代から深く心の結びつきを持たれていました。
   良忠上人はこの地に光明寺を開かれて善導像を作り、大師を顕彰されました。
   この銅像は寛文(1663年)当時第41代玄譽上人の建立です。 ≫
と現地の説明書きには書かれています。
   整理すると、
善導・・・・高祖
法然・・・・宗祖
良忠・・・・三祖。 開山。
で、浄土宗の宗祖の法然のお師匠さん・・・てことでしょうか。

  (2018.4.10.)
☆ 桜の開花状況の参考のために申しますと、↑の写真撮影日は、2018年の3月30日です。写真では花がきれいで葉は見えませんが、近づいてよく見ると、少し、葉が見えてきています。

   次回、
4.「大聖閣」と「記主庭園」。景観に隠す建築と新たに創造する建築 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_4.html


☆ 鎌倉シリーズ(3) 光明寺(鎌倉市)参拝
1.光明寺は、浄土宗の鎮西派と西山派のうち、鎮西派。 菊と三つ葉葵の両方の紋が入った「総門」 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_1.html
2.「山門」と桜。「羅漢」とは。 鐘楼。https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_2.html
3.「大殿」(本堂)と桜。火灯窓。善導大師とは 〔今回〕
4.「大聖閣」と「記主庭園」。景観に隠す建築と新たに創造する建築 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_4.html
5.「開山堂」。「網引地蔵」。地蔵とは。「戦没者碑」 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_5.html
6.天照山の展望台から見た山門・大殿と海、「廟所」、背後から見た大殿と大聖閣 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_6.html
7.「鎌倉アカデミア」碑。 「『教育』する側」の論理・「される側」の論理 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_7.html
8.2階追焚有浴室と耐力壁配置。自分の都合に合わせ構造基準を変える会社+光明寺前の海 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_8.html
9.コンパネはぬるま湯ではがれる? 釘と接着剤による接合の違い。建築専門学校は役立つか https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_9.html
10.「集成材はムク材の1.5倍強い」て誰が言った? https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_10.html 
11.九品寺・日本基督教団鎌倉教会・「共産党建築」・「警察建築」・交番研究 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201804article_11.html

鎌倉シリーズ
(1) 荏柄天神社 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201401article_7.html
(2) 山崎天神 https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/201504article_2.html 


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