(株)一条工務店の浜松営業はどんな連中か【4/ 】集成材vsムク材。対住友林業は楽勝か難敵か
[第691回]
【C】-3
東京圏や関西圏ならば、「けっこういろんな人がいる」ということはあるが、「地方」向けの商品を都市圏で売ろうと思ってもきついところはある。価格帯については東京圏や関西圏では「広い価格帯で建てる人がいる」のに対し、「地方」にいくと、その地域で建てる人の価格帯というものがそれほど大きく差がない、少なくとも東京圏・関西圏ほどは差がない。だから、大手ハウスメーカーで相当広い価格帯で建てている会社は、その地域で建てる人が多い価格帯のものを売ればいいとしても、(株)一条工務店のようなあまり広い価格帯の商品を用意していない会社では、それが原因で売れやすい地域とそうでない地域が出てくることがある。
(株)一条工務店の遠州人は、「浜松でいいものは日本国中どこでもいいに決まってるんだ」と言うのだが、そんなことあるかい! アホか! もうひとつ、「ムクはいいに決まってるんだ」とも言うのだが、それも別に決まってない。
(株)一条工務店は、「ヤマハのドアを作っている会社」の製品だという框部分がマトアのムク材で中央部分がセン突板(つきいた)合板の「框ムク扉」を「一条オリジナル」と言って「標準仕様」にしていて、それを売りにしていたのだが、しかし、近藤路夫は「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか」と言うのだが、わかってたまるか! たとえば、東京都小金井市にある江戸東京たてもの園に前川國男自邸があるが、前川國男自邸では、玄関を入って左、リビングルームへ入る扉を回転扉で、しかも回転軸を中央ではなく片側から4分の1程度のところにずらせた扉がついている。それを意図的にフラッシュ扉にしている。「ボランティア」のおじさんが説明してくれた話によると、大きな扉なので、軸を中心に回転させるにしても、「框ムク扉」では重いので、それで軽くするために「フラッシュ扉」にしたらしい。一般的な3尺幅の片開扉だと、一般に「フラッシュ扉」と框ムク扉であれば、框ムク扉の方が高級品とされ、重厚感があり、高級感もあるが、しかし、この「重厚感」というのを「いいに決まってる」と近藤路夫は言うのだが、その認識は傲慢である。どう感じるかは人それぞれであり、感じ方を近藤路夫が強制するのはおこがましいし厚かましい。別に、「決まってる」ことはない。感じ方は人それぞれである。(株)一条工務店の問題点として、どうも、そういったワンパターン思考・単細胞思考があったと思う。福島県いわき市の営業所に赴任してすぐの頃、いわき市で私より少し長く勤務していた営業のHさんが自分が担当の入居者宅に行く時に一緒に連れていってくらたのだが、その方は(株)一条工務店の建物にも担当のHさんにも高い評価をされていたのだが、「ここは・・・」と言われたのは、階段を上がってすぐの部屋に片引き戸を設けられたのだが、夜、この引戸を開閉すると大きな音がして階下までひびくという点を言われた。そういう場合の対策だが、一般に重い引戸と軽い引戸であれば重い物の方が音も大きくなりがちである。だから、そういう場所には、框ムク扉の方がフラッシュ扉よりも一般には高級品であっても、あえて、フラッシュ戸を採用するという選択肢もあるのではないかと思った。小堀住研(株)は洋間の引戸には吊引戸、下の桟がなく上から吊っている引戸を使うことが多かったが、吊引戸の長所としてはリビングルームとダイニングルームの間に吊引戸を設けたような場合、締めれば別の部屋として使い、開ければ下の桟もなく続きの部屋になるという点があり、開閉に大きな音もしなかったが、理屈としては吊引戸が上下に桟がある引戸(普通の引戸)に比べて音がしにくいというものでもないのではないか。引戸にコマがあった方が大きな音がしにくいかしやすいか。ともかく、そういう場合に(株)一条工務店はワンパターン、猫も杓子も框ムク扉は「いいに決まってるんだ」と言い張るが、悪いとは言わんが常に「いいに決まってる」ということはないはずなのだ。階段を上がってすぐの位置などでは、軽いものの方が音も小さ目になるのではないか。そのあたりを浜松流総本舗は「ムクはなんでもいいに決まってるんだ」とかアホなことを言い張るので疲れる。
さて、集成材とムク材は、どちらがいいのか。及び、どちらが高級品なのか。高田秀三編『これだけは知っておきたい 住宅の設計と施工の知識』(鹿島出版会)によると、結論として、一般論としては価格は同じようなもの・・だそうだ。なぜ、「同じようなもの」になるかというと、一定量の丸太があって、そこからどれだけ建築用木材として使用できるかというと、集成材として使用した方が多くの建築用木材として使用できる。だから、材料費は集成材として使用する方がかからないことになる。 しかし、集成材は切って貼って集成材になるわけだが、その手間がかかるので、それで、結果として、「同じようなもの」になるらしい。
住友林業の営業というのは「いいかげんなこと言い」だと私は思っている。2001年、(株)一条工務店に住友林業(株)から転職してきた伊香という男(当時、30代)は「住友林業の営業は一条工務店の営業よりも優秀だから一条工務店の営業よりも給料が高い」などと(株)一条工務店の栃木県の営業社員60人ほどを前にしてマイクで話したが、私は住友林業の営業が優秀だなどとは少しも思っていない。人にもよるかもしれないが、むしろ、住友林業の営業というのは「程度低い」と思っている。木造住宅建築業の業界では、「集成材はムク材の1.5倍強い」という俗説がかなり広まっており、(株)一条工務店でも1992年、浜松で研修を受けてきたという新卒入社1目の小野田くんが「集成材はムク材の1.5倍強いんですよ。知ってますか」としばしば口にしていたが、その「1.5倍強い」という論拠は何なのか? というとどうもはっきりしなかった。又、古くからいる人に質問すると答えてもらえるだろうなどと思って質問すると、(株)一条工務店という会社は営業本部長の天野隆夫が「よそがいいと思うならよそに行けばいいじゃないかあ」と言い出すので質問できない。こちらは質問すると答えてもらえるだろうと思って質問しているのに、又、お客様からそういう質問をされる可能性があると考えて、お客様から質問されるよりも前にどうなのか把握しておくべきだと思うから質問しているのに、なんで、そんな話になるんだ? と思うのだが、要するに自分が知らないことを質問されるのが嫌だからそういうことを言うようだった。そういう人のことを「気さくで人間味がある」と言うらしい。「気さくで人間味がある」というのは誰が言っているのかというと御本人で、御本人以外で言っている人間は1人もいない。
我が家の補修のリフォームを今となっては10年近く前にやった際、工事中に見ていると打合せて決めた内容と違うように大工がやっていたので、大工に苦情を言ったところ、「お客さん、この木は集成材でムク材の1.5倍強いんですよ」などと言い出したので、私は木構造の建築業の会社に勤めてきた人間ですと正直に話しているのに、そんなことを言いやがってからに、この野郎! と思ったことがありました。「職人は正直だ」とか「営業は嘘つきだ」とか信じている人がいますが、職人にしろ営業にしろ、人によります。
普通に考えてみてください。4寸角の柱にしても、3寸5分角の柱にしても、それを5枚にスライスしまして、セメダインでも木工用ボンドででもアロンアルファででも、あるいはフエキ糊ででも、ご飯粒ででもツバででも再度くっつけたとします。1.5倍に強くなると思いますか?
普通に考えたら、5枚にスライスして再度くっつけたとして、どんな接着剤でくっつけたにしても、5割増しの強度になんてなるとは考えにくいですよね。接着部分というのはそうでない部分と比べて弱いわけではないのです。これは、鉄骨造の溶接と似たところがあります。溶接したところというのは、そうでない部分より弱そうな感じがしますが、溶接の種類にもよりますが、一般に溶接した箇所というのはそうでない箇所よりも強度は大きくなるようにという前提で溶接するようです。小堀住研(株)〔→エスバイエル(株)・・・→(株)ヤマダエスバイエルホーム→(株)ヤマダホームズ〕で使用していた木質パネルの枠材(ツーバイフォー材)と合板の接着剤による接合については、いくつかに1つ、抜き打ち検査をおこなっていたようですが、その検査の合格の基準というのは、力を加えていって、破壊される時、接着部分ではなくそうでない部分が破壊されれば合格というものでした。接着剤による接合はけっこう強い接合力を確保できるようです・・・が、だから、何枚かにスライスしてそれを接着剤で接合すれば1.5倍に強くなるかというと、たとえ、接着剤での接合の部分が強くても、それ以外の木の部分が1.5倍に強くなるわけではありませんから、強くなるというのは理屈から考えておかしいですよね。
ところが、住宅建築業の会社においては、「集成材はムク材の1.5倍強い」という話がけっこう広まっているのです。私は、最初、(株)一条工務店で質問すると答えてもらえるだろうと思って古くからいる人に質問したのですが、営業本部長の天野隆夫からは「そんなこと言うなら、よそに行けばいいだろうがあ」とか言われるだけで誰も答えてくれなかったのです。(株)一条工務店という会社は、どうも、「質問するとよくない会社」のようです。かわりみたいに、研修の時に、静岡県中西部・愛知県の営業所長か何かになっていた人が、「集成材はムク材の1.5倍強くても、それは最初のことで、長い目で見ると、接着剤の接着力は少しずつ弱くなっていくのに対して、ムク材の場合、針葉樹は切ってから徐々に強度が増していく」という話を聞かせてくれたのですが、これは西岡常一・小原二郎『法隆寺を支えた木』(NHKブックス)などに載っている話ですが、法隆寺とか1000年を超えて使われる建物ならそういう話もわかりますが、戸建住宅で針葉樹は切られてから強度は徐々に増していく・・なんて言われてもあんまり実感がありませんし意味もありません。集成材に使われている接着剤の接着力は最初が強くてそれから少しずつ弱くなる・・としても、40年とか50年とかのうちに接着力がなくなってはがれてしまうわけでもありません。むしろ、ムク材の方が割れてしまうことがあり、我が家の補修のリフォームをやった時、大壁の壁を開けるとムクの柱が上から下まで真っ二つになっていたものがあって、うわあ・・と思ったことがありました。集成材の接着部分がはがれることよりもムク材が乾燥して2つに割れることの方が「あること」です。
長年、2つのことを疑問に思ってきたのです。「集成材はムク材の1.5倍強い」という話はけっこう広まっているのですが、建築構造について書かれた本を読んで調べてもそういう話は載っていないのです。いったい、誰が言い出したことなのか? 言い出した人にどういう論拠で「集成材はムク材の1.5倍強い」のか説明してもらえないかと思ったのですが、誰が言い出したことなのか? 結論を言うと、たぶん、「いいかげんなこと言いの住友林業の営業」だと思いますよ。
理屈はだいたいわかりました。上村武『棟梁も学ぶ木材のはなし』(丸善)に、許容応力度の数値の話が出ていました。「許容応力度」というのは、その建築用材はどのくらいの強度まで耐えられるかという数値ですが、鉄とかコンクリートだとかであれば、この強度だと数値を出しやすいのですが、木材の場合、特にムク材の場合、樹種だけでなく、乾燥の度合や心材か辺材かによっても違うし、同じ樹種でも個体によって強度は違うので、許容応力度の数値は出しにくい。そこで、ムク材の場合は、「この数値よりも弱いものは全体の5%以下」という数値をその樹種の強度にすることにしたのです。ですから、桧にしても杉にしても、実際に使用されているムク材は大部分のものはその許容応力度よりもずっと強度はあるはずなのです。それに対して、集成材は工業製品ですから、切って貼ってする時に特に問題が多い部分は使わないようにして貼ることもでき、その結果、実際の強度に比較的近い数値を許容応力度に設定することにできているようです。だから、実際の強度に近い数値を許容応力度にしている集成材の許容応力度は、実際の強度よりはるかに弱い強度を許容応力度としているムク材の許容応力度と比較すると「1.5倍ほど強い」ということはになるようです。決して、5枚にスライスしたものにご飯粒をくっつけて貼り付けると1.5倍の強度になるわけではないのです。木構造の建築業界に相当広まっている「集成材はムク材の1.5倍強い」という話はいったい誰が言い出したのか、いったい誰が広めたのか・・というと、たぶん、住友林業の営業だと思いますよ、たぶん( 一一) そういうのを「住友は絶対に嘘つかないから」とおっさんは言うのです。バッカじゃなかろかルンバ♪ て思いますね。
集成材とムク材はどちらが「自然に優しい」か? これもけっこう難しい問題ですが、いちがいに言えない、と言うしかないでしょう。同じ量の丸太からどれだけ建築用木材として使用できるかというと、集成材として使用した方が多く使えるのですから、無駄遣いではなく、その結果、「自然に優しい」ような感じがしないでもありませんが、しかし、後に廃材となった場合ですが、ムク材であれば焼却してよい場合でも、集成材は接着剤で接合されているので、小さな焼却釜では焼却禁止になっている場合があり、そういったことを考えると、必ずしも集成材の方が「自然に優しい」とは言えません。
国産材を使うのと輸入材を使うのとでは、国産材でも造林木というのは、これは基本的には畑の野菜と同様の性質のもので、使えば自然破壊になるというものではなく、むしろ、ある程度使わないと人工林が成り立たなくなり、そこがゴルフ場になったり産業廃棄物最終処分場になったりします。畑の野菜を食べる人がいてこそ農業が成り立つのと同様、人工林の木材は使う人があってこそ人工林は維持できるという面がありますが、床柱に使われるような銘木とかには天然林でしか採れないものもあり、そういうものになると、鉱物と性格は似てくるかもしれません。輸入材で問題にされるのは、国産材の造林木の場合は、植えて・育てて・伐採して・・という手間をかけて使われるのに対して、輸入材の中には天然林を伐採するだけで、植えて・育ててという手間がかからないので、その分、安いけれども、そうやって伐採された跡地ははげ山になり、台風などの際に大きな被害を受けることになる場合があると言われます。すべての輸入材がそうだというわけではありませんが、安いからということで輸入材を使用した時、片方で輸入している国の国土を破壊し、他方において、植えて・育てて・伐採してと3つの手間がかかる国産材に対して、伐採する手間だけしかかからないことから安価で手に入る輸入材を使用することで日本の林業を破壊することにつながる危険もあります。 それなら、国産材は使いまくればいいのかというと、基本的には畑の野菜と同じ性質のものとはいえ、畑の野菜よりも植えてから使える状態になるまでのスパンが長いので、計画的に使う必要があります。
建築・インテリアで使われる木材ですが、銘木と言われる木には見た目が美しく材質感もいいけれども、「あばれ」が大きいという木があり、そういう木をテーブルなどに使用する場合には、費用の節約のためではなく、「あばれ」の少ない木の表面にその銘木を接着剤で貼り付けて使用するという方法がとられることがあり、そのやり方の方が美しいとともに使い勝手もいいようです。
構造材の場合、柱材と梁桁材でも違いがあります。柱の場合は、「芯引き」「背割れ」と言って、芯材の中央にとどくように上下に意図的に切れ目を入れることで、そこから乾燥させるという方法がとられます。そうすると、背割れの部分は広がりますが、それ以外では割れは出にくくなり、乾燥もできます。しかし、梁桁材の場合には、柱材よりも厚みがあるものが必要とされ、かつ、背割れ・芯引きというものは梁桁材には普通は入れませんので、乾燥させるのが難しい。又、ムク材の梁桁材は芯材側と辺材側では辺材側の方が収縮が大きいので、どうしてもいくらか曲がります。
その点、集成材の梁桁材は、薄く切った状態で乾燥して、十分に乾燥させてから接着剤で貼り付けるということができますから、十分に乾燥させるという点では、梁桁材についてはムク材よりも集成材の梁桁材の方が有利、割れも出にくい。又、木の目が交互になるように貼り付けますので、それぞれが反ろうとしても互いに抑制して全体としては反りにくいことになります。この反りにくいという点はムク材の梁桁材より集成材の方が有利といえば有利です。しかし、それならムク材の梁桁材はだめなのかというと、そうでもありません。もし、辺材側を下、芯材側を上にして梁桁材を施工したとしますと、辺材側の方が収縮が大きく芯材側の方が収縮が小さいので、その梁桁材は上に凸に反ろうとします。梁桁材でスパンが長い場合、中央部では引力に従い下に下がろうとする力が加わります。特に、1階の柱と柱の間に渡した梁桁材でその間で2階の柱が上に載っているというような場合、2階の柱はその梁桁材を下に押さえつけることになりますが、そういう場合に、梁桁材は辺材側を下に施工しておけば、上に凸になろうとする力が下に押さえつけようとする柱の力と打ち消し合うことになり、どちら側にも反ろうとしない集成材の梁を使うよりも上に凸にそろうとする性質のムクの梁を使う方が合理的であったりします。但し、ここで問題は、かつては柱や梁の加工は大工が下小屋でやっていたのですが、今はプレカット工場でやっており、プレカット工場に勤めている人というのは大工でもなければ建築技術者でもなく工場労働者です。そのプレカット工場によっても多少は違いがあるかもしれませんが、梁桁材を加工する場合に、どっちを上に加工するべきか、なんて知らない人の方が多いのです。新華ハウジング(有)〔千葉市。2013年倒産〕の自称「工事責任者」の植草とフリーダムアーキテクツデザイン(株)〔本社:東京都中央区〕のアフター課の山本は、「プレカット工場が構造を見ていますから」などとアホなこと言っていましたが、見るもなにも、プレカット工場に建築の構造についてわかる人なんて、普通はいません。もし、いたら、プレカット工場になんて勤めてないで他の仕事やってるでしょう。(株)一条工務店の工場部門の日本産業(株)から(株)一条工務店の建築現場に送り届けられた梁桁材には、しばしば、上下を逆に加工されたムク材の梁桁材がありましたが、「なんで、こんなの、逆向きに加工するんだ」と大工が不思議がることがありましたが、「なんで?」と言われても、そういうことを知らない人が加工しているのです。機械プレカットですと、実際に加工するのは機械ですから、「熟練の匠の技」とかは要りませんが、機械にどう加工するべきか指示するのは人間であり、どっちを上に加工するかは機械は判断してくれません。そういうプレカット工場の実状を考えると、集成材の梁にしておいた方が無難かもしれない、と思えるところもないではありませんし、(株)一条工務店の工場部門の日本産業(株)では外国人の労働者をけっこう使っていて、普通、日本人の労働者なら、何も言われなくても、真っ二つに割れている梁をそのまま出荷はしないと思いますが、ところが、外国人の労働者には、何も言われなければ、そのまま出荷する、言われない以上はそのまま出荷していいと考える人がいるようです。そういうケースを考えると、割れにくい集成材の梁の方がいいという見方も出てきます。
さて、近藤路夫は「ムクはいいに決まってるんだ」と言うのですが、すべての見込客がそう思ってくれるのなら、「構造材にはムク材を使っている(株)一条工務店」は「構造材には通し柱に集成材を使っているというのを売りにしている住友林業(株)」より有利だということになりますが、すべての見込客が「ムクはいいに決まってるんだあ」とは思っていないのです。こう言うと、またもや、近藤路夫は「そういうことを言うからいかんのだあ~あ!」と怒り出すでしょうけれども、怒るのなら私に怒らないで、「集成材の方が高くていいんでしょ。住友林業の人から教えてもらったよ」と言う来場客・見込客に怒ってもらいたいものです。こちらは、(株)一条工務店の営業という立場であれば、「集成材の方がいいんでしょ。住友の人が言ってたよ」と言う人間も、なんとか(株)一条工務店で契約してもらう方向に持っていかないといけないのです。「そういうことを言うからいかんのだあ~あ!」とそのおっさんに怒鳴りつけたら契約してもらえるのならそうしますが、それでは契約してくれないと思います。
ところで、ムク材の構造材を志向する人と集成材の構造材を志向する人というのは、なぜ、ムク材を志向するのか、なぜ、集成材を志向するのか、考えたことありますか? 近藤路夫とか「一条オリジナル営業」は、なぜ、ムク材がいいのか? というと、「ムクはいいに決まってるんだ。こんな常識もわからんのかあ」と、まるで、「私学だってことは、いいってことじゃないか。こんな常識もわからんのかあ~あ!」と叫ぶ慶應の教授みたいなことを言います。橋下徹が大阪府知事だった時、「中学生と知事との対話」だかいう企画で、「ぼくの家は貧乏で、私立の高校に行かせてもらえないのですがどうしたらいいでしょうか」と言う中学生に対して、橋下は「公立の高校に行けばいいじゃないの。どうして公立の高校に行かないの」と言ったという記事がインターネットに出ていましたが、私もそう思います。なんで私立に行きたいんだよ! と思うのですが、そのあたりは慶應の教授、特に内部進学の慶應の教授の意識とは相容れないようです。内部進学の慶應の教授からすれば、「私学だってことは、いいってことじゃないか」というのは「常識」であり、なんで、そんなおかしな認識が「常識」なんだ? なんてこと言うと、それこそ、考えられない無礼者みたいに思うようです。(株)一条工務店の遠州人のオリジナル営業が「ムクだってことは、いいってことじゃないか。こんなこともわからんのか」という発言は、まさしく、慶應の教授みたいです。慶應に行けば似合ってたのじゃないかと思います。なんで、行かないのでしょうね。
私は、1992年に(株)一条工務店に入社するまで、在来木造という構法について、そんなに悪いようには思っていなかったのですが、ところが、(株)一条工務店に入社して以来、「木造ってことはいいってことじゃないか。こんなこともわからんのか」「ムクだってことはいいってことじゃないか。こんなこともわからんのか」といった非科学的・独善的な文句を大量に聞かされて、それで、木造って、なんだか、教養水準の低いイナカモンの建てる前時代的な構法、時代遅れの建物なのじゃないか・・という印象を受けることになってしまいました。まず、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)の会社・木質パネル構法の会社・鉄骨造の会社・コンクリート造の会社がそんな言い方をするかというとしないと思うのです。それぞれの会社にそれぞれの構造アプローチがあって、これはこうこうこういう理由でこういう強度を発揮するのです・・といった理論があるはずなのです。「木造はいいんだ。当たり前のことじゃないか」とか「ムクだということはいいってことじゃないか。こんな常識もわからんのか」といった、まるで慶應の教授みたいな非科学的な発言にはうんざりさせられました。小堀住研(株)は、もともとは在来木造の会社でしたが、1970年代の途中から木質パネル構法で建てるようになり、1990年前後においては木質パネル構法の方が主になっていましたが、木質パネル構法というのは在来木造と枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の両方を参考にして作られた構法ですが、新しい構法であり、「クローズドシステム」の独自の構法であるだけに、その新しい構法で独自の構法を理解してもらうために、なぜ、この構法にしたのか、この構法はどういう原理によって力を発揮するのか、この構法が他の構法と比べて優れているのはどういう点かといった理論が、科学的・論理的に述べられ、研修でもそれを教えられたのです。ところが、(株)一条工務店は、「構造アプローチをやっているのは一条工務店だけで、他の会社は、みんな、間取りの話やデザインや値引きの話ばっかりで契約を取っている」などと嘘を新入社員に吹き込み、それでいて、自社は「木造はいいに決まってるんだ」とか「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか」とか言いまくるばかりで、在来木造同士での比較の話はあっても、他の構法と比較してどうという話はなく、集成材とムク材とは実際のところ、どっちがどうなんだ、という問題も、「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか!」と怒鳴りつけられるばっかりで、まともな説明はしてもらえない。そういう「木造の会社」の(株)一条工務店を見ていて、なんだか、木造というのは「木造はいいに決まってるんだ」とか叫ぶしか能のない劣った構法なのか? という印象を受けてきて、(株)一条工務店のおかげで、木造とムク材についての印象がずいぶんと悪くなったのでした。
さらに言いますと、1993年、福島県いわき市の営業所に赴任しますと、私が革靴を履くのに靴ベラを使って履いているのを見て、いわき市の営業が「靴ベラを使って革靴を履くなんてそんなおかしな革靴の掃き方を俺は生まれてはじめて見た。革靴というものは、イブサンローランとかそういうブランドものの革靴を買って、それで、あらかじめ、カカトを踏んでスリッパみたいに履くようにするもんだ。あらかじめ、カカトを踏んでスリッパみたいに履いておけば靴ベラなんてそんなもの要らないんだ。靴ベラを使って革靴を履くなんて、それは程度の低いプレハブの営業がやることだ。木造の会社に入ったら、カカトを踏んでスリッパのように履くという木造の革靴の履き方をしないといけない。今後はよく気をつけろ!」と言われ、さらに、「框を上がる時に、向き直って自分で自分の靴をそろえるなんて、おまえみたいなおかしなことする人間、俺は生まれて初めて見た。それは程度の低いプレハブの営業がやることだ。程度の高い木造の営業はそんなことはするもんじゃない。木造の会社では木造の框の上がり方をしないといけない。木造の会社では靴はその家の奥さんに揃えさせるのが常識だ。今後はよく気をつけろ!」と言われて、それで、もし、その話が妥当であるのなら、木造というのはなんだか程度の低い建物なんだなあ・・と思い、イブサンローランなんてブランドものの靴は履いていなかったけれども、いわき市の営業でイブサンローランの革靴をカカトを踏んではいている人がいるのを見て、小堀住研(株)ではそういうことは絶対にやってはいけないと言われ、「革靴というものは必ず靴ベラを使って履くもので、そのあたりをぴちい~っとやることでミサワあたりの程度の低い営業と差をつける」と言われたものでしたが、木造というのは、ブランドものの高い革靴を買った上でカカトを踏んでスリッパのようにスッポンすっぽんスッポンすっぽんと履く構法・・だとすると、なんか、レベルの低い、感じの悪い構法で、私が家を建てるなら、そんな変な構法ではなく、もうちょっとなんと言うのか、せめて、革靴は靴ベラを使って履く構法、框を上がる時には向きを変えて自分の脱いだ靴は自分で揃えて中に入る構法で建てたいものだ、と思うようになりました・・が、ところで、「木造」というのははそういう構法なのか? 在来木造というのは、本当にそういう構法なのか??? そこが問題なのです。
杉山英男がどこでだか書いていたのですが、北アメリカから伝わった枠組壁構法(ツーバイフォー工法)というのは、なかなか優れた構法であり、木質プレハブもまた長所のある構法ではあるのだけれども、それなら、在来木造というのは劣った構法なのか、というとそうではないはずだ、というのです。又、木質プレハブは木造を合理的にしたものだと言われるけれども、合理的にするのはいいけれども、それなら在来木造というのは非合理的なものなのか? というとそうではないのではないか。在来木造というのは大変良く考えられた構法であり、大部分の部材を大人2人で運べるようにできているし、相当合理的にできた構法のはずで、それは木質プレハブに劣らない合理的なものだ、と言うのです。そして、革靴をカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽんとスリッパみたいに履く・・などというのは杉山英男の著書にはどこにも書かれていない。框を上がる時に、自分で向き直って靴をそろえるのが木質プレハブで、靴はその家の奥さんに揃えさせるのが在来木造だなどとも、少なくとも杉山英男の著書にはどこにも書かれていない。法隆寺宮大工棟梁であった西岡常一さんの本にも、革靴はカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽん・・なんてどこにも書かれていない。そういうのは、やっぱり、「一条オリジナル」のものであって、在来木造の特徴ではないのではないか???
在来木造ではなく枠組壁構法(ツーバイフォー工法)で建てたいという人には、そういう在来木造の非科学的・前時代的体質を嫌い、在来木造の構法そのものが嫌だというのではなく、そういう非科学的な体質・前時代的な体質を嫌って、それで、和風か洋風かといえば洋風で建てたいこともあり、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)の会社に頼むという人もいたと思います。木造の体質が嫌だが和風住宅は好きで、和風で建てたいが、木造の非科学的・前時代的体質は嫌だという人はおり、一時期、木質パネル構法の小堀住研(株)はそういう見込客に契約してもらうことがありましたが、同社はその後、2代目のバカ社長の中島が安物路線に突き進み、会社をつぶしましたので、それにより木質パネル構法でという選択肢はなくなりました。木造の非科学的・前時代的体質は嫌だが和風で建てるにはツーバイフォー工法は似合わないし、在来木造の前時代的体質は嫌だが・・・という人は、在来木造で建てていた会社でも、住友林業・三井ハウスなどや、その後、在来木造のトーヨド建設を買収して積水ハウス木造(株)にして、さらにそれを積水ハウス(株)にとりこんだ積水ハウス(株)で建てるとか、そういった大手メーカーの在来木造を選ぶ人が出ました。それらの人からすれば、「ムクの木造」と「集成材の木造」であれば、「ムクの木造」というのは、革靴をカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽん・・・という木造というイメージがあります。「木造はどういう点が他の構法と比較していいのですか」と質問すると、「木造はいいに決まってるんだ」と言われてしまう構法、「ムク材は集成材と比べて、どういう点がいいのですか」と質問すると、「ムクはいいに決まってるんだ。そんな常識がわからんのかあ!」と怒られる構法、というそういう印象があるのです。だから、そういう印象を受けた人は、在来木造と枠組壁構法(ツーバイフォー工法)・木質パネル構法であれば、枠組壁構法・木質パネル構法の方がいいし、在来木造でも「ムク材で建ててます」という「大工みたいな会社」「工務店なんて名前の会社」よりも、集成材を使っている科学的で近代的な「大手メーカー」の木造の方がいい、「ムクはいいに決まってるんだ」と言う革靴をカカト踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽんと履き、ひとの家に来ると、そこの家の嫁に靴をそろえさせる営業の木造よりもいい、という思考をするようになるのです。
そういう相手に、近藤路夫などは「木造はいいに決まってるんだ」「ムクはいいに決まってるんだ。こんな常識がわからんのか」と叫びまくれば契約してもらえるみたいに思っていたようですが、それは間違いです。木質系の住宅を志向しながらも、在来木造よりも枠組壁構法か木質パネル構法の方がいい、在来木造でも「ムク材の木造」(革靴をカカト踏んで履く木造。ひとの家に行ってそこの嫁に靴を揃えさせる木造)よりも「集成材の木造」(革靴は靴ベラを使って履く木造。框を上がると自分で自分の靴を揃える木造)の方がいい、という判断です。
その頃、(株)一条工務店が競合になった「集成材を使用している木造の会社」には2通りあった。即ち、住友林業と「住友林業でない集成材を使用する木造の会社」である。住友林業がいいという人には、住友林業教の信者みたいな人もいましたので、そういう人になると、これはもう宗教ですから、「仏敵」を「折伏」しようなんて考えても簡単ではありません。2001年に佐野展示場に入社したK保さんは政治家の秘書をしていたことがあるそうでしたが、なんでも、ある選挙区から自民党の候補者が2名以上出ていた場合、選挙終盤になって当落線上とかになると、やることはというと、同じ自民党の候補者か保守系無所属の候補者の票を奪いにいく、ということだそうで、ガチガチの共産党の支持者の票を自民党の候補者が取ろうと思っても取れるわけないので、取りに行くとすると、取れるとすると同じ自民党の候補者か保守系無所属の候補者の票であり、「仁義なき戦い」がそこでおこなわることになる・・らしい。それに対して、ある共産党の区会議員から聞いた話によると、創価学会の人というのは、選挙終盤になると、共産党の候補者の選挙事務所に聖教新聞を購読しろと押しかけるという。「仏敵(ぶってき)」を「折伏(しゃくぶく)」するつもりなのか何なのか、自民党の候補者のやることと公明党・創価学会のやることはその点で違いがあるらしい。住友林業教の信者みたいな人というのを「折伏(しゃくぶく)」しようと思っても、これは簡単ではないのです。
しかし、そういう宗教の信者ではない、「ムクの木造」か「集成材の木造」かだと「集成材の木造」の方がいいと思っている人でも、宗教の信者ではない人の場合で、なぜ、「集成材の木造」の方がいいと思うかというと、「ムクの木造」は非科学的・非論理的・前時代的であり、「革靴はカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽん・・」とか「ひとの家に行くと、おのれの靴を揃えず、ひとの嫁に揃えさせる木造」というのが嫌だという人には、そうでない態度を取ればいいのです。ムク材を使用した場合・集成材を使用した場合、それぞれの特徴について、↑で述べた程度のことでも科学的・論理的にきっちりと説明すれば、とりあえず、非科学的な木造・非論理的な木造ではなくなります。革靴は靴ベラを使って履くようにすれば「革靴はカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽんの木造」ではなくなります。
だから、近藤路夫が言った「ムクはいいに決まってるんだ」とかそういう非論理的・非科学的な態度というのは、「『住友林業教の信者』というわけではない集成材がいいと思っている人」に「ムク材の(株)一条工務店」で契約してもらう方法としては、一番だめな態度です。
もうひとつ、「一条オリジナル浜松流営業」は、「構造がすべてだ」とか言って構造アプローチばかりやりたがる人がいますが、いわき市地区の所長だったK野さんなどは、「おまえ、客宅に行って何を話してきたんだ。『ムクですよお。地震に強いですよお。白蟻に強いですよお』とそんなことばっかり話してきたのか。アホか。そんなことで、契約してもらえるわけないだろうが」とはっきりと言う人でしたが、私もそう思います。そして、(株)一条工務店の建物は、構造は万全かというと問題点はあったし、構造以外はいいところのない建物かというと、そうではなかったのです。
そして、「好みの問題」として言うと、福島県では「ムク材を構造材とする木造」と「集成材を構造材として使用する木造」では、「ムク材を構造材とする木造」を志向する人が圧倒的に多かったのですが、栃木県の佐野近辺ではそうではなく、「ムク材を構造材とする木造」か「集成材を使用する木造」かはその点ではどっちでもいい人がけっこう多かったのです。デザインの好みという点では、福島県では「重厚」なデザインと「軽快」なデザインでは「重厚」なデザインを好む方の人が多かったのに対し、栃木県の佐野近辺ではどうかというと、福島県ほど強くはないとしても、「重厚」なデザインの方をどちらかというと好む人が多かったと思うのです。だから、「ムク材を構造材とする木造」か「集成材を使用する木造」かという所で勝負しても勝負はつかないのに対し、「重厚」なデザインという方で勝負すると、そちらは一条工務店のものの方を志向する人はいたわけで、そちらで勝負した方が勝ち目があることになったのではないか。 「構造アプローチがすべてだ」なんて誰が言ったのですか? そのワンパターン・単細胞思考はやめた方がいいと思います。
そして、もうひとつ、「『直接対決で分が悪い相手』をはずす方法」というのがあります。 2000年のことだったと思います。栃木県の営業全員を集めての集まりで、(株)一条工務店が、住宅建築業の会社のトップセールスや営業部長の話をビデオに録画したものを販売している会社があり、東日本ハウスのトップセールスだったという人の話と積水ハウス(株)の営業部長の人の話を見せてもらい、その後、所長の五十嵐さんが議長役をして何人かが発言したということがありました。
その際ですが、積水ハウス(株)の営業部長という人がビデオで、「男性と女性は引き合うところがあるので、お客様が夫婦で来場された時には、名刺は御主人ではなく奥様の方に渡す」という発言をし、え? と私は思ったのですが、ビデオ視聴の後、所長の五十嵐が、栃木県の営業で一番多く契約を取っていた西那須野営業所の阿久津さんに、「阿久津さんは、どうしてますか」と尋ねたところ、「私は名刺は御主人に渡しますね。奥さんに渡すようなことはしません」と答え、「どうして?」という問いに、「男というのはやきもち焼きなもので、たいていの男は、営業が名刺を自分にではなく奥さんに渡すと気を悪くするものですから」と答えた。私もそう思った。小堀住研(株)の新卒社員研修では「夫婦で来た相手に名刺を奥さんに渡すようなことはするなよ」と言われ、但し、奥さんも働いていて相当の年収があるというようなケースでは御主人に名刺を渡すとともに奥さんにも渡すようにするのがいい場合もある、と教えられたものですが、積水ハウス(株)の営業部長だという人の説はその点は違うように思います。
五十嵐さんは西那須野営業所の阿久津さんに「阿久津さんは、契約を取るために、こういうことを作戦として考えているというのはある?」と質問し、それに対しての阿久津さんの返答は「私は、お客さんが何社かを見た後、2社か3社に絞って検討する段階で、まず、こことの競合だと取れると思える所を残すように持って行くようにしています」と答え、五十嵐さんが「阿久津さんは、どこを残すの?」という質問に、「私は住友林業を残します。住友林業との競合ならたいてい取れますから」という答えで、五十嵐さんは「え? 住友林業を残すの?」と言い、しばらく無言だった。私も五十嵐さんと同じことを考えた。「予選」の段階で、ここが直接対決の相手になったらたいてい勝てるという所を決勝戦の相手に残し、直接対決で分が悪い相手は予選で消えてもらうようにもっていく・・というのはわかります。しかし、なんで、強敵 住友林業を残すのか? だから、五十嵐さんは「え? 住友林業を残すの?」と言ったのです。私はその意味がわかりましたが、社歴が浅い営業でわかっていない人がけっこういたのではないかと思います。
私に議長をさせてくれたらなあ、と思いましたが、させてくれないだろうなあとも思いました。五十嵐さんは、自分自身が栃木県地域・非浜松地域で営業をやってきた人なので、その経験から話せるものを持っている人です。だから、そういう人には議長をやってもらうよりも、自分自身の意見を述べてもらうようにした方が、出席者にはプラスになるだろうし、五十嵐さんも議長をやるより自分が発言する方を好むのではないかと思ったのです。そして、相当契約実績を残している人でも発言せずに黙っている人とかもおり、そういう人に話を振って発言をうながせば、そういう人の発言にはその人よりも社歴は古い人間でも得る物はあるのではないかと思うし、そういったことを考えると、五十嵐さんには議長役より自分自身で思うことを発言してもらうようにして、この人に発言させるといいと思う人に話を振るといった役は私ならできる、とも思ったのでしたが、させてくれない、させたくない会社でした。
所長の五十嵐さんが「え? 住友林業を残すの?」と言い、私も、もし、佐野展示場においてであれば、できれば予選で落ちてもらい、決勝戦の相手は別の所であった方がありがたいと思っていた強敵で直接対決の分があまり良くない住友林業を、なぜ、西那須野営業所のAさんが残すことにしていたのか、というと、それはAさんがいた西那須野営業所(展示場)というのが、栃木県では最北部にある展示場で、いわば、「ほとんど福島県」の場所にある展示場だったからです。「ほとんど福島県」の場所においては、志向も「ほとんど福島県」で、(株)一条工務店の「ムクの構造材の木造」と住友林業の「集成材を構造材に使用する木造」では「ムクの構造材の木造」を志向する人が多く、デザインも「地方」型の一条工務店の方を志向する人が多く、直接対決では有利な相手であったのです。 それに対して、栃木県でも足利・佐野・栃木・小山などの南部と宇都宮などの中央部ではそうではない。南部・中央部においては住友林業は(株)一条工務店にとって相当の難敵であり、難敵・強敵はできれば予選で降りてもらい、決勝戦では(株)一条工務店にとって住友林業よりはずっと分がいい東日本ハウスとか富士ハウス(今は倒産してなくなったが)とかが来るように持っていった方が有利であったはずでした。
私は、この原理を五十嵐さんはわかっているかもしれないが、わかっていない営業がけっこういるのではないかと思い、このまま、黙っていたのでは、全国で見ても相当多い契約棟数を残しているAさんの発言を言葉のまんま受け取って、住友林業を決勝戦の相手に残そうとして失敗する中部・南部の営業が何人か出るということはないか、と心配しましたが、所長の五十嵐さんがそれ以上、何も言わなかったので、私が口出すと、親切心から言ったことでも、またもや、営業本部長の天野隆夫から呼び出されて「余計なこと言うなあ」と怒鳴りつけられるでしょうから、だから、黙ってました・・が、Aさんが、なぜ、決勝戦の相手に住友林業を残すことにしているのか、五十嵐さんがなぜ、「え? 住友林業を残すの?」と言ったのか、その意味がわかっていない人はまちがいなく何人かいたはずで、意味を誤解して住友林業を決勝戦の相手に残して失敗しかねない人もいたと思います。しかし、不便な会社ですね。2001年、栃木県南部の「副所長」(役割は所長)になった木下が私に「あんただって、もう10年もこの会社にいるんだから、遠慮しないでもっと発言すればいいよ」と言ってくれたことがありましたが、木下は知らないようですが、このくらい発言させてもらっても悪くないだろうと思って口にして、えらい目に合わされた経験が入社以来嫌ほどあったのです。
「集成材を使用する住友林業」との競合で勝つ方法ですが、
1.「ムク材の木造」は非科学的・非論理的だからということで嫌がっている人には、そうではないことを示すために、論理的・科学的にきっちりと説明する・・というのが有効だと思われる、近藤路夫のような「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか」という態度は最悪である、とともに、
2.構造については、「ムク材の木造」と「集成材を使用する木造」について特にどちらを志向する度合が大きいということはない地域で、外観デザインなどにおいて自社のものの方を志向する人が多い地域においては、構造ばかりをアピールするのではなく、意匠の面のアピールで自社にひきつける・・という方法があり、
3.多くの見込客は、何社もの展示場に入って見た後、2社か3社の中から決めようとすることが多く、強敵には、決勝戦で直接対決するのではなく、何社もの中から2社か3者に絞る段階で降りていただくように、決勝戦には直接対決で分がいい相手に残ってもらうとようにして、直接対決で分が悪い相手を決勝戦に残さないようにする・・という手法がある。(佐野市で一条は住林にそれをやられていたかもしれない。)但し、こちらが思う通りに、残ってもらいたい相手が残り、消えてもらいたい相手が予選で消えてくれるかという問題はある。
・・ということだ。そして、どこが強敵・難敵かというのはその地域によって違う。直接対決で有利な相手か不利な相手かは場所によってずいぶんと違いがある。
対住友林業で契約を奪われない方法としてもうひとつあります。私が入社して1年目の1993年、その時点ですでにベテランであったKさんが、私が担当で住友林業との競合になった見込客について、「管柱は住友林業はべいつが(ヘムファー)ですが『住友さんに、《せめて、杉にしてください》と言ってみてください。杉にした場合の見積もりを出してもらってください』とお客さんに言うといいですよ」「一条は通し柱は桧で、管柱は杉ですが、住友林業は通し柱は集成材で管柱は輸入材のべいつがですが、べいつがを杉にすると金額が相当上がりますから」と教えてくれたことがありました。先輩社員が教えてくれたことなのでそう言いました。しかし、成功しませんでした。
Kさんはそのやり方で住友林業との競合に勝って契約してもらったことがあるらしいのですが、私が同じことを言ってみたところどうなったかというと、「住友林業の人に話したのですが、『住友林業では杉は使わない』と言っていました」ということでした。(株)一条工務店の営業が、住友林業が管柱に使っているべいつがを杉に変えた場合の値段を出してくださいと言い、その差額に見込客が驚いて住友林業をやめるという作戦をとるということを、住友林業の営業は知っており、それゆえ、「住友林業では杉は使わない」と言って、杉をけなすことにより、杉に変更した場合の差額を算出させられることを防ぐとともに、杉を管柱に使用している(株)一条工務店に「杉なんか使ってる」というようにマイナスのイメージをつけるという作戦をとったのです。この「杉をけなす」という方法は、住友林業は日常的にやるようでした。「住友林業は日本の森林の何十%を保有しています」とかカタログに大きく書きながら、杉をけなして、輸入材を使う会社って、杉花粉に苦しむ者としては、その態度は理解に苦しみます(泣)。使える杉材があるのですから使うべきです。
4. 営業トークは自分で考える。一条の会社が従業員に教えるトークは一条の営業に伝わるより先に住友林業に伝わっていて、使おうと思った時には住友林業はすでに反撃トークを持っている。又、浜松工務店が教えるものは静岡県中西部・愛知県では役立っても他の地域では役立たないものが多い。自分で考えた営業トークなら競合会社の営業もそれに対する反撃も自分で考えないといけない。競合会社の営業が会社から教えられた反撃トークでは対応できない。
1993年、「研修」に講師役で来た近藤路夫は、講師役で来た以上、せめてこの1~4くらい教えてくれれば良さそうなものでしたが、自分自身がわかっていなかったし教える気もなかったのでしょう。
続く・・
(2019.4.6.)
【C】-3
東京圏や関西圏ならば、「けっこういろんな人がいる」ということはあるが、「地方」向けの商品を都市圏で売ろうと思ってもきついところはある。価格帯については東京圏や関西圏では「広い価格帯で建てる人がいる」のに対し、「地方」にいくと、その地域で建てる人の価格帯というものがそれほど大きく差がない、少なくとも東京圏・関西圏ほどは差がない。だから、大手ハウスメーカーで相当広い価格帯で建てている会社は、その地域で建てる人が多い価格帯のものを売ればいいとしても、(株)一条工務店のようなあまり広い価格帯の商品を用意していない会社では、それが原因で売れやすい地域とそうでない地域が出てくることがある。
(株)一条工務店の遠州人は、「浜松でいいものは日本国中どこでもいいに決まってるんだ」と言うのだが、そんなことあるかい! アホか! もうひとつ、「ムクはいいに決まってるんだ」とも言うのだが、それも別に決まってない。
(株)一条工務店は、「ヤマハのドアを作っている会社」の製品だという框部分がマトアのムク材で中央部分がセン突板(つきいた)合板の「框ムク扉」を「一条オリジナル」と言って「標準仕様」にしていて、それを売りにしていたのだが、しかし、近藤路夫は「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか」と言うのだが、わかってたまるか! たとえば、東京都小金井市にある江戸東京たてもの園に前川國男自邸があるが、前川國男自邸では、玄関を入って左、リビングルームへ入る扉を回転扉で、しかも回転軸を中央ではなく片側から4分の1程度のところにずらせた扉がついている。それを意図的にフラッシュ扉にしている。「ボランティア」のおじさんが説明してくれた話によると、大きな扉なので、軸を中心に回転させるにしても、「框ムク扉」では重いので、それで軽くするために「フラッシュ扉」にしたらしい。一般的な3尺幅の片開扉だと、一般に「フラッシュ扉」と框ムク扉であれば、框ムク扉の方が高級品とされ、重厚感があり、高級感もあるが、しかし、この「重厚感」というのを「いいに決まってる」と近藤路夫は言うのだが、その認識は傲慢である。どう感じるかは人それぞれであり、感じ方を近藤路夫が強制するのはおこがましいし厚かましい。別に、「決まってる」ことはない。感じ方は人それぞれである。(株)一条工務店の問題点として、どうも、そういったワンパターン思考・単細胞思考があったと思う。福島県いわき市の営業所に赴任してすぐの頃、いわき市で私より少し長く勤務していた営業のHさんが自分が担当の入居者宅に行く時に一緒に連れていってくらたのだが、その方は(株)一条工務店の建物にも担当のHさんにも高い評価をされていたのだが、「ここは・・・」と言われたのは、階段を上がってすぐの部屋に片引き戸を設けられたのだが、夜、この引戸を開閉すると大きな音がして階下までひびくという点を言われた。そういう場合の対策だが、一般に重い引戸と軽い引戸であれば重い物の方が音も大きくなりがちである。だから、そういう場所には、框ムク扉の方がフラッシュ扉よりも一般には高級品であっても、あえて、フラッシュ戸を採用するという選択肢もあるのではないかと思った。小堀住研(株)は洋間の引戸には吊引戸、下の桟がなく上から吊っている引戸を使うことが多かったが、吊引戸の長所としてはリビングルームとダイニングルームの間に吊引戸を設けたような場合、締めれば別の部屋として使い、開ければ下の桟もなく続きの部屋になるという点があり、開閉に大きな音もしなかったが、理屈としては吊引戸が上下に桟がある引戸(普通の引戸)に比べて音がしにくいというものでもないのではないか。引戸にコマがあった方が大きな音がしにくいかしやすいか。ともかく、そういう場合に(株)一条工務店はワンパターン、猫も杓子も框ムク扉は「いいに決まってるんだ」と言い張るが、悪いとは言わんが常に「いいに決まってる」ということはないはずなのだ。階段を上がってすぐの位置などでは、軽いものの方が音も小さ目になるのではないか。そのあたりを浜松流総本舗は「ムクはなんでもいいに決まってるんだ」とかアホなことを言い張るので疲れる。
さて、集成材とムク材は、どちらがいいのか。及び、どちらが高級品なのか。高田秀三編『これだけは知っておきたい 住宅の設計と施工の知識』(鹿島出版会)によると、結論として、一般論としては価格は同じようなもの・・だそうだ。なぜ、「同じようなもの」になるかというと、一定量の丸太があって、そこからどれだけ建築用木材として使用できるかというと、集成材として使用した方が多くの建築用木材として使用できる。だから、材料費は集成材として使用する方がかからないことになる。 しかし、集成材は切って貼って集成材になるわけだが、その手間がかかるので、それで、結果として、「同じようなもの」になるらしい。
住友林業の営業というのは「いいかげんなこと言い」だと私は思っている。2001年、(株)一条工務店に住友林業(株)から転職してきた伊香という男(当時、30代)は「住友林業の営業は一条工務店の営業よりも優秀だから一条工務店の営業よりも給料が高い」などと(株)一条工務店の栃木県の営業社員60人ほどを前にしてマイクで話したが、私は住友林業の営業が優秀だなどとは少しも思っていない。人にもよるかもしれないが、むしろ、住友林業の営業というのは「程度低い」と思っている。木造住宅建築業の業界では、「集成材はムク材の1.5倍強い」という俗説がかなり広まっており、(株)一条工務店でも1992年、浜松で研修を受けてきたという新卒入社1目の小野田くんが「集成材はムク材の1.5倍強いんですよ。知ってますか」としばしば口にしていたが、その「1.5倍強い」という論拠は何なのか? というとどうもはっきりしなかった。又、古くからいる人に質問すると答えてもらえるだろうなどと思って質問すると、(株)一条工務店という会社は営業本部長の天野隆夫が「よそがいいと思うならよそに行けばいいじゃないかあ」と言い出すので質問できない。こちらは質問すると答えてもらえるだろうと思って質問しているのに、又、お客様からそういう質問をされる可能性があると考えて、お客様から質問されるよりも前にどうなのか把握しておくべきだと思うから質問しているのに、なんで、そんな話になるんだ? と思うのだが、要するに自分が知らないことを質問されるのが嫌だからそういうことを言うようだった。そういう人のことを「気さくで人間味がある」と言うらしい。「気さくで人間味がある」というのは誰が言っているのかというと御本人で、御本人以外で言っている人間は1人もいない。
我が家の補修のリフォームを今となっては10年近く前にやった際、工事中に見ていると打合せて決めた内容と違うように大工がやっていたので、大工に苦情を言ったところ、「お客さん、この木は集成材でムク材の1.5倍強いんですよ」などと言い出したので、私は木構造の建築業の会社に勤めてきた人間ですと正直に話しているのに、そんなことを言いやがってからに、この野郎! と思ったことがありました。「職人は正直だ」とか「営業は嘘つきだ」とか信じている人がいますが、職人にしろ営業にしろ、人によります。
普通に考えてみてください。4寸角の柱にしても、3寸5分角の柱にしても、それを5枚にスライスしまして、セメダインでも木工用ボンドででもアロンアルファででも、あるいはフエキ糊ででも、ご飯粒ででもツバででも再度くっつけたとします。1.5倍に強くなると思いますか?
普通に考えたら、5枚にスライスして再度くっつけたとして、どんな接着剤でくっつけたにしても、5割増しの強度になんてなるとは考えにくいですよね。接着部分というのはそうでない部分と比べて弱いわけではないのです。これは、鉄骨造の溶接と似たところがあります。溶接したところというのは、そうでない部分より弱そうな感じがしますが、溶接の種類にもよりますが、一般に溶接した箇所というのはそうでない箇所よりも強度は大きくなるようにという前提で溶接するようです。小堀住研(株)〔→エスバイエル(株)・・・→(株)ヤマダエスバイエルホーム→(株)ヤマダホームズ〕で使用していた木質パネルの枠材(ツーバイフォー材)と合板の接着剤による接合については、いくつかに1つ、抜き打ち検査をおこなっていたようですが、その検査の合格の基準というのは、力を加えていって、破壊される時、接着部分ではなくそうでない部分が破壊されれば合格というものでした。接着剤による接合はけっこう強い接合力を確保できるようです・・・が、だから、何枚かにスライスしてそれを接着剤で接合すれば1.5倍に強くなるかというと、たとえ、接着剤での接合の部分が強くても、それ以外の木の部分が1.5倍に強くなるわけではありませんから、強くなるというのは理屈から考えておかしいですよね。
ところが、住宅建築業の会社においては、「集成材はムク材の1.5倍強い」という話がけっこう広まっているのです。私は、最初、(株)一条工務店で質問すると答えてもらえるだろうと思って古くからいる人に質問したのですが、営業本部長の天野隆夫からは「そんなこと言うなら、よそに行けばいいだろうがあ」とか言われるだけで誰も答えてくれなかったのです。(株)一条工務店という会社は、どうも、「質問するとよくない会社」のようです。かわりみたいに、研修の時に、静岡県中西部・愛知県の営業所長か何かになっていた人が、「集成材はムク材の1.5倍強くても、それは最初のことで、長い目で見ると、接着剤の接着力は少しずつ弱くなっていくのに対して、ムク材の場合、針葉樹は切ってから徐々に強度が増していく」という話を聞かせてくれたのですが、これは西岡常一・小原二郎『法隆寺を支えた木』(NHKブックス)などに載っている話ですが、法隆寺とか1000年を超えて使われる建物ならそういう話もわかりますが、戸建住宅で針葉樹は切られてから強度は徐々に増していく・・なんて言われてもあんまり実感がありませんし意味もありません。集成材に使われている接着剤の接着力は最初が強くてそれから少しずつ弱くなる・・としても、40年とか50年とかのうちに接着力がなくなってはがれてしまうわけでもありません。むしろ、ムク材の方が割れてしまうことがあり、我が家の補修のリフォームをやった時、大壁の壁を開けるとムクの柱が上から下まで真っ二つになっていたものがあって、うわあ・・と思ったことがありました。集成材の接着部分がはがれることよりもムク材が乾燥して2つに割れることの方が「あること」です。
長年、2つのことを疑問に思ってきたのです。「集成材はムク材の1.5倍強い」という話はけっこう広まっているのですが、建築構造について書かれた本を読んで調べてもそういう話は載っていないのです。いったい、誰が言い出したことなのか? 言い出した人にどういう論拠で「集成材はムク材の1.5倍強い」のか説明してもらえないかと思ったのですが、誰が言い出したことなのか? 結論を言うと、たぶん、「いいかげんなこと言いの住友林業の営業」だと思いますよ。
理屈はだいたいわかりました。上村武『棟梁も学ぶ木材のはなし』(丸善)に、許容応力度の数値の話が出ていました。「許容応力度」というのは、その建築用材はどのくらいの強度まで耐えられるかという数値ですが、鉄とかコンクリートだとかであれば、この強度だと数値を出しやすいのですが、木材の場合、特にムク材の場合、樹種だけでなく、乾燥の度合や心材か辺材かによっても違うし、同じ樹種でも個体によって強度は違うので、許容応力度の数値は出しにくい。そこで、ムク材の場合は、「この数値よりも弱いものは全体の5%以下」という数値をその樹種の強度にすることにしたのです。ですから、桧にしても杉にしても、実際に使用されているムク材は大部分のものはその許容応力度よりもずっと強度はあるはずなのです。それに対して、集成材は工業製品ですから、切って貼ってする時に特に問題が多い部分は使わないようにして貼ることもでき、その結果、実際の強度に比較的近い数値を許容応力度に設定することにできているようです。だから、実際の強度に近い数値を許容応力度にしている集成材の許容応力度は、実際の強度よりはるかに弱い強度を許容応力度としているムク材の許容応力度と比較すると「1.5倍ほど強い」ということはになるようです。決して、5枚にスライスしたものにご飯粒をくっつけて貼り付けると1.5倍の強度になるわけではないのです。木構造の建築業界に相当広まっている「集成材はムク材の1.5倍強い」という話はいったい誰が言い出したのか、いったい誰が広めたのか・・というと、たぶん、住友林業の営業だと思いますよ、たぶん( 一一) そういうのを「住友は絶対に嘘つかないから」とおっさんは言うのです。バッカじゃなかろかルンバ♪ て思いますね。
集成材とムク材はどちらが「自然に優しい」か? これもけっこう難しい問題ですが、いちがいに言えない、と言うしかないでしょう。同じ量の丸太からどれだけ建築用木材として使用できるかというと、集成材として使用した方が多く使えるのですから、無駄遣いではなく、その結果、「自然に優しい」ような感じがしないでもありませんが、しかし、後に廃材となった場合ですが、ムク材であれば焼却してよい場合でも、集成材は接着剤で接合されているので、小さな焼却釜では焼却禁止になっている場合があり、そういったことを考えると、必ずしも集成材の方が「自然に優しい」とは言えません。
国産材を使うのと輸入材を使うのとでは、国産材でも造林木というのは、これは基本的には畑の野菜と同様の性質のもので、使えば自然破壊になるというものではなく、むしろ、ある程度使わないと人工林が成り立たなくなり、そこがゴルフ場になったり産業廃棄物最終処分場になったりします。畑の野菜を食べる人がいてこそ農業が成り立つのと同様、人工林の木材は使う人があってこそ人工林は維持できるという面がありますが、床柱に使われるような銘木とかには天然林でしか採れないものもあり、そういうものになると、鉱物と性格は似てくるかもしれません。輸入材で問題にされるのは、国産材の造林木の場合は、植えて・育てて・伐採して・・という手間をかけて使われるのに対して、輸入材の中には天然林を伐採するだけで、植えて・育ててという手間がかからないので、その分、安いけれども、そうやって伐採された跡地ははげ山になり、台風などの際に大きな被害を受けることになる場合があると言われます。すべての輸入材がそうだというわけではありませんが、安いからということで輸入材を使用した時、片方で輸入している国の国土を破壊し、他方において、植えて・育てて・伐採してと3つの手間がかかる国産材に対して、伐採する手間だけしかかからないことから安価で手に入る輸入材を使用することで日本の林業を破壊することにつながる危険もあります。 それなら、国産材は使いまくればいいのかというと、基本的には畑の野菜と同じ性質のものとはいえ、畑の野菜よりも植えてから使える状態になるまでのスパンが長いので、計画的に使う必要があります。
建築・インテリアで使われる木材ですが、銘木と言われる木には見た目が美しく材質感もいいけれども、「あばれ」が大きいという木があり、そういう木をテーブルなどに使用する場合には、費用の節約のためではなく、「あばれ」の少ない木の表面にその銘木を接着剤で貼り付けて使用するという方法がとられることがあり、そのやり方の方が美しいとともに使い勝手もいいようです。
構造材の場合、柱材と梁桁材でも違いがあります。柱の場合は、「芯引き」「背割れ」と言って、芯材の中央にとどくように上下に意図的に切れ目を入れることで、そこから乾燥させるという方法がとられます。そうすると、背割れの部分は広がりますが、それ以外では割れは出にくくなり、乾燥もできます。しかし、梁桁材の場合には、柱材よりも厚みがあるものが必要とされ、かつ、背割れ・芯引きというものは梁桁材には普通は入れませんので、乾燥させるのが難しい。又、ムク材の梁桁材は芯材側と辺材側では辺材側の方が収縮が大きいので、どうしてもいくらか曲がります。
その点、集成材の梁桁材は、薄く切った状態で乾燥して、十分に乾燥させてから接着剤で貼り付けるということができますから、十分に乾燥させるという点では、梁桁材についてはムク材よりも集成材の梁桁材の方が有利、割れも出にくい。又、木の目が交互になるように貼り付けますので、それぞれが反ろうとしても互いに抑制して全体としては反りにくいことになります。この反りにくいという点はムク材の梁桁材より集成材の方が有利といえば有利です。しかし、それならムク材の梁桁材はだめなのかというと、そうでもありません。もし、辺材側を下、芯材側を上にして梁桁材を施工したとしますと、辺材側の方が収縮が大きく芯材側の方が収縮が小さいので、その梁桁材は上に凸に反ろうとします。梁桁材でスパンが長い場合、中央部では引力に従い下に下がろうとする力が加わります。特に、1階の柱と柱の間に渡した梁桁材でその間で2階の柱が上に載っているというような場合、2階の柱はその梁桁材を下に押さえつけることになりますが、そういう場合に、梁桁材は辺材側を下に施工しておけば、上に凸になろうとする力が下に押さえつけようとする柱の力と打ち消し合うことになり、どちら側にも反ろうとしない集成材の梁を使うよりも上に凸にそろうとする性質のムクの梁を使う方が合理的であったりします。但し、ここで問題は、かつては柱や梁の加工は大工が下小屋でやっていたのですが、今はプレカット工場でやっており、プレカット工場に勤めている人というのは大工でもなければ建築技術者でもなく工場労働者です。そのプレカット工場によっても多少は違いがあるかもしれませんが、梁桁材を加工する場合に、どっちを上に加工するべきか、なんて知らない人の方が多いのです。新華ハウジング(有)〔千葉市。2013年倒産〕の自称「工事責任者」の植草とフリーダムアーキテクツデザイン(株)〔本社:東京都中央区〕のアフター課の山本は、「プレカット工場が構造を見ていますから」などとアホなこと言っていましたが、見るもなにも、プレカット工場に建築の構造についてわかる人なんて、普通はいません。もし、いたら、プレカット工場になんて勤めてないで他の仕事やってるでしょう。(株)一条工務店の工場部門の日本産業(株)から(株)一条工務店の建築現場に送り届けられた梁桁材には、しばしば、上下を逆に加工されたムク材の梁桁材がありましたが、「なんで、こんなの、逆向きに加工するんだ」と大工が不思議がることがありましたが、「なんで?」と言われても、そういうことを知らない人が加工しているのです。機械プレカットですと、実際に加工するのは機械ですから、「熟練の匠の技」とかは要りませんが、機械にどう加工するべきか指示するのは人間であり、どっちを上に加工するかは機械は判断してくれません。そういうプレカット工場の実状を考えると、集成材の梁にしておいた方が無難かもしれない、と思えるところもないではありませんし、(株)一条工務店の工場部門の日本産業(株)では外国人の労働者をけっこう使っていて、普通、日本人の労働者なら、何も言われなくても、真っ二つに割れている梁をそのまま出荷はしないと思いますが、ところが、外国人の労働者には、何も言われなければ、そのまま出荷する、言われない以上はそのまま出荷していいと考える人がいるようです。そういうケースを考えると、割れにくい集成材の梁の方がいいという見方も出てきます。
さて、近藤路夫は「ムクはいいに決まってるんだ」と言うのですが、すべての見込客がそう思ってくれるのなら、「構造材にはムク材を使っている(株)一条工務店」は「構造材には通し柱に集成材を使っているというのを売りにしている住友林業(株)」より有利だということになりますが、すべての見込客が「ムクはいいに決まってるんだあ」とは思っていないのです。こう言うと、またもや、近藤路夫は「そういうことを言うからいかんのだあ~あ!」と怒り出すでしょうけれども、怒るのなら私に怒らないで、「集成材の方が高くていいんでしょ。住友林業の人から教えてもらったよ」と言う来場客・見込客に怒ってもらいたいものです。こちらは、(株)一条工務店の営業という立場であれば、「集成材の方がいいんでしょ。住友の人が言ってたよ」と言う人間も、なんとか(株)一条工務店で契約してもらう方向に持っていかないといけないのです。「そういうことを言うからいかんのだあ~あ!」とそのおっさんに怒鳴りつけたら契約してもらえるのならそうしますが、それでは契約してくれないと思います。
ところで、ムク材の構造材を志向する人と集成材の構造材を志向する人というのは、なぜ、ムク材を志向するのか、なぜ、集成材を志向するのか、考えたことありますか? 近藤路夫とか「一条オリジナル営業」は、なぜ、ムク材がいいのか? というと、「ムクはいいに決まってるんだ。こんな常識もわからんのかあ」と、まるで、「私学だってことは、いいってことじゃないか。こんな常識もわからんのかあ~あ!」と叫ぶ慶應の教授みたいなことを言います。橋下徹が大阪府知事だった時、「中学生と知事との対話」だかいう企画で、「ぼくの家は貧乏で、私立の高校に行かせてもらえないのですがどうしたらいいでしょうか」と言う中学生に対して、橋下は「公立の高校に行けばいいじゃないの。どうして公立の高校に行かないの」と言ったという記事がインターネットに出ていましたが、私もそう思います。なんで私立に行きたいんだよ! と思うのですが、そのあたりは慶應の教授、特に内部進学の慶應の教授の意識とは相容れないようです。内部進学の慶應の教授からすれば、「私学だってことは、いいってことじゃないか」というのは「常識」であり、なんで、そんなおかしな認識が「常識」なんだ? なんてこと言うと、それこそ、考えられない無礼者みたいに思うようです。(株)一条工務店の遠州人のオリジナル営業が「ムクだってことは、いいってことじゃないか。こんなこともわからんのか」という発言は、まさしく、慶應の教授みたいです。慶應に行けば似合ってたのじゃないかと思います。なんで、行かないのでしょうね。
私は、1992年に(株)一条工務店に入社するまで、在来木造という構法について、そんなに悪いようには思っていなかったのですが、ところが、(株)一条工務店に入社して以来、「木造ってことはいいってことじゃないか。こんなこともわからんのか」「ムクだってことはいいってことじゃないか。こんなこともわからんのか」といった非科学的・独善的な文句を大量に聞かされて、それで、木造って、なんだか、教養水準の低いイナカモンの建てる前時代的な構法、時代遅れの建物なのじゃないか・・という印象を受けることになってしまいました。まず、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)の会社・木質パネル構法の会社・鉄骨造の会社・コンクリート造の会社がそんな言い方をするかというとしないと思うのです。それぞれの会社にそれぞれの構造アプローチがあって、これはこうこうこういう理由でこういう強度を発揮するのです・・といった理論があるはずなのです。「木造はいいんだ。当たり前のことじゃないか」とか「ムクだということはいいってことじゃないか。こんな常識もわからんのか」といった、まるで慶應の教授みたいな非科学的な発言にはうんざりさせられました。小堀住研(株)は、もともとは在来木造の会社でしたが、1970年代の途中から木質パネル構法で建てるようになり、1990年前後においては木質パネル構法の方が主になっていましたが、木質パネル構法というのは在来木造と枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の両方を参考にして作られた構法ですが、新しい構法であり、「クローズドシステム」の独自の構法であるだけに、その新しい構法で独自の構法を理解してもらうために、なぜ、この構法にしたのか、この構法はどういう原理によって力を発揮するのか、この構法が他の構法と比べて優れているのはどういう点かといった理論が、科学的・論理的に述べられ、研修でもそれを教えられたのです。ところが、(株)一条工務店は、「構造アプローチをやっているのは一条工務店だけで、他の会社は、みんな、間取りの話やデザインや値引きの話ばっかりで契約を取っている」などと嘘を新入社員に吹き込み、それでいて、自社は「木造はいいに決まってるんだ」とか「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか」とか言いまくるばかりで、在来木造同士での比較の話はあっても、他の構法と比較してどうという話はなく、集成材とムク材とは実際のところ、どっちがどうなんだ、という問題も、「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか!」と怒鳴りつけられるばっかりで、まともな説明はしてもらえない。そういう「木造の会社」の(株)一条工務店を見ていて、なんだか、木造というのは「木造はいいに決まってるんだ」とか叫ぶしか能のない劣った構法なのか? という印象を受けてきて、(株)一条工務店のおかげで、木造とムク材についての印象がずいぶんと悪くなったのでした。
さらに言いますと、1993年、福島県いわき市の営業所に赴任しますと、私が革靴を履くのに靴ベラを使って履いているのを見て、いわき市の営業が「靴ベラを使って革靴を履くなんてそんなおかしな革靴の掃き方を俺は生まれてはじめて見た。革靴というものは、イブサンローランとかそういうブランドものの革靴を買って、それで、あらかじめ、カカトを踏んでスリッパみたいに履くようにするもんだ。あらかじめ、カカトを踏んでスリッパみたいに履いておけば靴ベラなんてそんなもの要らないんだ。靴ベラを使って革靴を履くなんて、それは程度の低いプレハブの営業がやることだ。木造の会社に入ったら、カカトを踏んでスリッパのように履くという木造の革靴の履き方をしないといけない。今後はよく気をつけろ!」と言われ、さらに、「框を上がる時に、向き直って自分で自分の靴をそろえるなんて、おまえみたいなおかしなことする人間、俺は生まれて初めて見た。それは程度の低いプレハブの営業がやることだ。程度の高い木造の営業はそんなことはするもんじゃない。木造の会社では木造の框の上がり方をしないといけない。木造の会社では靴はその家の奥さんに揃えさせるのが常識だ。今後はよく気をつけろ!」と言われて、それで、もし、その話が妥当であるのなら、木造というのはなんだか程度の低い建物なんだなあ・・と思い、イブサンローランなんてブランドものの靴は履いていなかったけれども、いわき市の営業でイブサンローランの革靴をカカトを踏んではいている人がいるのを見て、小堀住研(株)ではそういうことは絶対にやってはいけないと言われ、「革靴というものは必ず靴ベラを使って履くもので、そのあたりをぴちい~っとやることでミサワあたりの程度の低い営業と差をつける」と言われたものでしたが、木造というのは、ブランドものの高い革靴を買った上でカカトを踏んでスリッパのようにスッポンすっぽんスッポンすっぽんと履く構法・・だとすると、なんか、レベルの低い、感じの悪い構法で、私が家を建てるなら、そんな変な構法ではなく、もうちょっとなんと言うのか、せめて、革靴は靴ベラを使って履く構法、框を上がる時には向きを変えて自分の脱いだ靴は自分で揃えて中に入る構法で建てたいものだ、と思うようになりました・・が、ところで、「木造」というのははそういう構法なのか? 在来木造というのは、本当にそういう構法なのか??? そこが問題なのです。
杉山英男がどこでだか書いていたのですが、北アメリカから伝わった枠組壁構法(ツーバイフォー工法)というのは、なかなか優れた構法であり、木質プレハブもまた長所のある構法ではあるのだけれども、それなら、在来木造というのは劣った構法なのか、というとそうではないはずだ、というのです。又、木質プレハブは木造を合理的にしたものだと言われるけれども、合理的にするのはいいけれども、それなら在来木造というのは非合理的なものなのか? というとそうではないのではないか。在来木造というのは大変良く考えられた構法であり、大部分の部材を大人2人で運べるようにできているし、相当合理的にできた構法のはずで、それは木質プレハブに劣らない合理的なものだ、と言うのです。そして、革靴をカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽんとスリッパみたいに履く・・などというのは杉山英男の著書にはどこにも書かれていない。框を上がる時に、自分で向き直って靴をそろえるのが木質プレハブで、靴はその家の奥さんに揃えさせるのが在来木造だなどとも、少なくとも杉山英男の著書にはどこにも書かれていない。法隆寺宮大工棟梁であった西岡常一さんの本にも、革靴はカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽん・・なんてどこにも書かれていない。そういうのは、やっぱり、「一条オリジナル」のものであって、在来木造の特徴ではないのではないか???
在来木造ではなく枠組壁構法(ツーバイフォー工法)で建てたいという人には、そういう在来木造の非科学的・前時代的体質を嫌い、在来木造の構法そのものが嫌だというのではなく、そういう非科学的な体質・前時代的な体質を嫌って、それで、和風か洋風かといえば洋風で建てたいこともあり、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)の会社に頼むという人もいたと思います。木造の体質が嫌だが和風住宅は好きで、和風で建てたいが、木造の非科学的・前時代的体質は嫌だという人はおり、一時期、木質パネル構法の小堀住研(株)はそういう見込客に契約してもらうことがありましたが、同社はその後、2代目のバカ社長の中島が安物路線に突き進み、会社をつぶしましたので、それにより木質パネル構法でという選択肢はなくなりました。木造の非科学的・前時代的体質は嫌だが和風で建てるにはツーバイフォー工法は似合わないし、在来木造の前時代的体質は嫌だが・・・という人は、在来木造で建てていた会社でも、住友林業・三井ハウスなどや、その後、在来木造のトーヨド建設を買収して積水ハウス木造(株)にして、さらにそれを積水ハウス(株)にとりこんだ積水ハウス(株)で建てるとか、そういった大手メーカーの在来木造を選ぶ人が出ました。それらの人からすれば、「ムクの木造」と「集成材の木造」であれば、「ムクの木造」というのは、革靴をカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽん・・・という木造というイメージがあります。「木造はどういう点が他の構法と比較していいのですか」と質問すると、「木造はいいに決まってるんだ」と言われてしまう構法、「ムク材は集成材と比べて、どういう点がいいのですか」と質問すると、「ムクはいいに決まってるんだ。そんな常識がわからんのかあ!」と怒られる構法、というそういう印象があるのです。だから、そういう印象を受けた人は、在来木造と枠組壁構法(ツーバイフォー工法)・木質パネル構法であれば、枠組壁構法・木質パネル構法の方がいいし、在来木造でも「ムク材で建ててます」という「大工みたいな会社」「工務店なんて名前の会社」よりも、集成材を使っている科学的で近代的な「大手メーカー」の木造の方がいい、「ムクはいいに決まってるんだ」と言う革靴をカカト踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽんと履き、ひとの家に来ると、そこの家の嫁に靴をそろえさせる営業の木造よりもいい、という思考をするようになるのです。
そういう相手に、近藤路夫などは「木造はいいに決まってるんだ」「ムクはいいに決まってるんだ。こんな常識がわからんのか」と叫びまくれば契約してもらえるみたいに思っていたようですが、それは間違いです。木質系の住宅を志向しながらも、在来木造よりも枠組壁構法か木質パネル構法の方がいい、在来木造でも「ムク材の木造」(革靴をカカト踏んで履く木造。ひとの家に行ってそこの嫁に靴を揃えさせる木造)よりも「集成材の木造」(革靴は靴ベラを使って履く木造。框を上がると自分で自分の靴を揃える木造)の方がいい、という判断です。
その頃、(株)一条工務店が競合になった「集成材を使用している木造の会社」には2通りあった。即ち、住友林業と「住友林業でない集成材を使用する木造の会社」である。住友林業がいいという人には、住友林業教の信者みたいな人もいましたので、そういう人になると、これはもう宗教ですから、「仏敵」を「折伏」しようなんて考えても簡単ではありません。2001年に佐野展示場に入社したK保さんは政治家の秘書をしていたことがあるそうでしたが、なんでも、ある選挙区から自民党の候補者が2名以上出ていた場合、選挙終盤になって当落線上とかになると、やることはというと、同じ自民党の候補者か保守系無所属の候補者の票を奪いにいく、ということだそうで、ガチガチの共産党の支持者の票を自民党の候補者が取ろうと思っても取れるわけないので、取りに行くとすると、取れるとすると同じ自民党の候補者か保守系無所属の候補者の票であり、「仁義なき戦い」がそこでおこなわることになる・・らしい。それに対して、ある共産党の区会議員から聞いた話によると、創価学会の人というのは、選挙終盤になると、共産党の候補者の選挙事務所に聖教新聞を購読しろと押しかけるという。「仏敵(ぶってき)」を「折伏(しゃくぶく)」するつもりなのか何なのか、自民党の候補者のやることと公明党・創価学会のやることはその点で違いがあるらしい。住友林業教の信者みたいな人というのを「折伏(しゃくぶく)」しようと思っても、これは簡単ではないのです。
しかし、そういう宗教の信者ではない、「ムクの木造」か「集成材の木造」かだと「集成材の木造」の方がいいと思っている人でも、宗教の信者ではない人の場合で、なぜ、「集成材の木造」の方がいいと思うかというと、「ムクの木造」は非科学的・非論理的・前時代的であり、「革靴はカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽん・・」とか「ひとの家に行くと、おのれの靴を揃えず、ひとの嫁に揃えさせる木造」というのが嫌だという人には、そうでない態度を取ればいいのです。ムク材を使用した場合・集成材を使用した場合、それぞれの特徴について、↑で述べた程度のことでも科学的・論理的にきっちりと説明すれば、とりあえず、非科学的な木造・非論理的な木造ではなくなります。革靴は靴ベラを使って履くようにすれば「革靴はカカトを踏んでスッポンすっぽんスッポンすっぽんの木造」ではなくなります。
だから、近藤路夫が言った「ムクはいいに決まってるんだ」とかそういう非論理的・非科学的な態度というのは、「『住友林業教の信者』というわけではない集成材がいいと思っている人」に「ムク材の(株)一条工務店」で契約してもらう方法としては、一番だめな態度です。
もうひとつ、「一条オリジナル浜松流営業」は、「構造がすべてだ」とか言って構造アプローチばかりやりたがる人がいますが、いわき市地区の所長だったK野さんなどは、「おまえ、客宅に行って何を話してきたんだ。『ムクですよお。地震に強いですよお。白蟻に強いですよお』とそんなことばっかり話してきたのか。アホか。そんなことで、契約してもらえるわけないだろうが」とはっきりと言う人でしたが、私もそう思います。そして、(株)一条工務店の建物は、構造は万全かというと問題点はあったし、構造以外はいいところのない建物かというと、そうではなかったのです。
そして、「好みの問題」として言うと、福島県では「ムク材を構造材とする木造」と「集成材を構造材として使用する木造」では、「ムク材を構造材とする木造」を志向する人が圧倒的に多かったのですが、栃木県の佐野近辺ではそうではなく、「ムク材を構造材とする木造」か「集成材を使用する木造」かはその点ではどっちでもいい人がけっこう多かったのです。デザインの好みという点では、福島県では「重厚」なデザインと「軽快」なデザインでは「重厚」なデザインを好む方の人が多かったのに対し、栃木県の佐野近辺ではどうかというと、福島県ほど強くはないとしても、「重厚」なデザインの方をどちらかというと好む人が多かったと思うのです。だから、「ムク材を構造材とする木造」か「集成材を使用する木造」かという所で勝負しても勝負はつかないのに対し、「重厚」なデザインという方で勝負すると、そちらは一条工務店のものの方を志向する人はいたわけで、そちらで勝負した方が勝ち目があることになったのではないか。 「構造アプローチがすべてだ」なんて誰が言ったのですか? そのワンパターン・単細胞思考はやめた方がいいと思います。
そして、もうひとつ、「『直接対決で分が悪い相手』をはずす方法」というのがあります。 2000年のことだったと思います。栃木県の営業全員を集めての集まりで、(株)一条工務店が、住宅建築業の会社のトップセールスや営業部長の話をビデオに録画したものを販売している会社があり、東日本ハウスのトップセールスだったという人の話と積水ハウス(株)の営業部長の人の話を見せてもらい、その後、所長の五十嵐さんが議長役をして何人かが発言したということがありました。
その際ですが、積水ハウス(株)の営業部長という人がビデオで、「男性と女性は引き合うところがあるので、お客様が夫婦で来場された時には、名刺は御主人ではなく奥様の方に渡す」という発言をし、え? と私は思ったのですが、ビデオ視聴の後、所長の五十嵐が、栃木県の営業で一番多く契約を取っていた西那須野営業所の阿久津さんに、「阿久津さんは、どうしてますか」と尋ねたところ、「私は名刺は御主人に渡しますね。奥さんに渡すようなことはしません」と答え、「どうして?」という問いに、「男というのはやきもち焼きなもので、たいていの男は、営業が名刺を自分にではなく奥さんに渡すと気を悪くするものですから」と答えた。私もそう思った。小堀住研(株)の新卒社員研修では「夫婦で来た相手に名刺を奥さんに渡すようなことはするなよ」と言われ、但し、奥さんも働いていて相当の年収があるというようなケースでは御主人に名刺を渡すとともに奥さんにも渡すようにするのがいい場合もある、と教えられたものですが、積水ハウス(株)の営業部長だという人の説はその点は違うように思います。
五十嵐さんは西那須野営業所の阿久津さんに「阿久津さんは、契約を取るために、こういうことを作戦として考えているというのはある?」と質問し、それに対しての阿久津さんの返答は「私は、お客さんが何社かを見た後、2社か3社に絞って検討する段階で、まず、こことの競合だと取れると思える所を残すように持って行くようにしています」と答え、五十嵐さんが「阿久津さんは、どこを残すの?」という質問に、「私は住友林業を残します。住友林業との競合ならたいてい取れますから」という答えで、五十嵐さんは「え? 住友林業を残すの?」と言い、しばらく無言だった。私も五十嵐さんと同じことを考えた。「予選」の段階で、ここが直接対決の相手になったらたいてい勝てるという所を決勝戦の相手に残し、直接対決で分が悪い相手は予選で消えてもらうようにもっていく・・というのはわかります。しかし、なんで、強敵 住友林業を残すのか? だから、五十嵐さんは「え? 住友林業を残すの?」と言ったのです。私はその意味がわかりましたが、社歴が浅い営業でわかっていない人がけっこういたのではないかと思います。
私に議長をさせてくれたらなあ、と思いましたが、させてくれないだろうなあとも思いました。五十嵐さんは、自分自身が栃木県地域・非浜松地域で営業をやってきた人なので、その経験から話せるものを持っている人です。だから、そういう人には議長をやってもらうよりも、自分自身の意見を述べてもらうようにした方が、出席者にはプラスになるだろうし、五十嵐さんも議長をやるより自分が発言する方を好むのではないかと思ったのです。そして、相当契約実績を残している人でも発言せずに黙っている人とかもおり、そういう人に話を振って発言をうながせば、そういう人の発言にはその人よりも社歴は古い人間でも得る物はあるのではないかと思うし、そういったことを考えると、五十嵐さんには議長役より自分自身で思うことを発言してもらうようにして、この人に発言させるといいと思う人に話を振るといった役は私ならできる、とも思ったのでしたが、させてくれない、させたくない会社でした。
所長の五十嵐さんが「え? 住友林業を残すの?」と言い、私も、もし、佐野展示場においてであれば、できれば予選で落ちてもらい、決勝戦の相手は別の所であった方がありがたいと思っていた強敵で直接対決の分があまり良くない住友林業を、なぜ、西那須野営業所のAさんが残すことにしていたのか、というと、それはAさんがいた西那須野営業所(展示場)というのが、栃木県では最北部にある展示場で、いわば、「ほとんど福島県」の場所にある展示場だったからです。「ほとんど福島県」の場所においては、志向も「ほとんど福島県」で、(株)一条工務店の「ムクの構造材の木造」と住友林業の「集成材を構造材に使用する木造」では「ムクの構造材の木造」を志向する人が多く、デザインも「地方」型の一条工務店の方を志向する人が多く、直接対決では有利な相手であったのです。 それに対して、栃木県でも足利・佐野・栃木・小山などの南部と宇都宮などの中央部ではそうではない。南部・中央部においては住友林業は(株)一条工務店にとって相当の難敵であり、難敵・強敵はできれば予選で降りてもらい、決勝戦では(株)一条工務店にとって住友林業よりはずっと分がいい東日本ハウスとか富士ハウス(今は倒産してなくなったが)とかが来るように持っていった方が有利であったはずでした。
私は、この原理を五十嵐さんはわかっているかもしれないが、わかっていない営業がけっこういるのではないかと思い、このまま、黙っていたのでは、全国で見ても相当多い契約棟数を残しているAさんの発言を言葉のまんま受け取って、住友林業を決勝戦の相手に残そうとして失敗する中部・南部の営業が何人か出るということはないか、と心配しましたが、所長の五十嵐さんがそれ以上、何も言わなかったので、私が口出すと、親切心から言ったことでも、またもや、営業本部長の天野隆夫から呼び出されて「余計なこと言うなあ」と怒鳴りつけられるでしょうから、だから、黙ってました・・が、Aさんが、なぜ、決勝戦の相手に住友林業を残すことにしているのか、五十嵐さんがなぜ、「え? 住友林業を残すの?」と言ったのか、その意味がわかっていない人はまちがいなく何人かいたはずで、意味を誤解して住友林業を決勝戦の相手に残して失敗しかねない人もいたと思います。しかし、不便な会社ですね。2001年、栃木県南部の「副所長」(役割は所長)になった木下が私に「あんただって、もう10年もこの会社にいるんだから、遠慮しないでもっと発言すればいいよ」と言ってくれたことがありましたが、木下は知らないようですが、このくらい発言させてもらっても悪くないだろうと思って口にして、えらい目に合わされた経験が入社以来嫌ほどあったのです。
「集成材を使用する住友林業」との競合で勝つ方法ですが、
1.「ムク材の木造」は非科学的・非論理的だからということで嫌がっている人には、そうではないことを示すために、論理的・科学的にきっちりと説明する・・というのが有効だと思われる、近藤路夫のような「ムクはいいに決まってるんだ。こんなこともわからんのか」という態度は最悪である、とともに、
2.構造については、「ムク材の木造」と「集成材を使用する木造」について特にどちらを志向する度合が大きいということはない地域で、外観デザインなどにおいて自社のものの方を志向する人が多い地域においては、構造ばかりをアピールするのではなく、意匠の面のアピールで自社にひきつける・・という方法があり、
3.多くの見込客は、何社もの展示場に入って見た後、2社か3社の中から決めようとすることが多く、強敵には、決勝戦で直接対決するのではなく、何社もの中から2社か3者に絞る段階で降りていただくように、決勝戦には直接対決で分がいい相手に残ってもらうとようにして、直接対決で分が悪い相手を決勝戦に残さないようにする・・という手法がある。(佐野市で一条は住林にそれをやられていたかもしれない。)但し、こちらが思う通りに、残ってもらいたい相手が残り、消えてもらいたい相手が予選で消えてくれるかという問題はある。
・・ということだ。そして、どこが強敵・難敵かというのはその地域によって違う。直接対決で有利な相手か不利な相手かは場所によってずいぶんと違いがある。
対住友林業で契約を奪われない方法としてもうひとつあります。私が入社して1年目の1993年、その時点ですでにベテランであったKさんが、私が担当で住友林業との競合になった見込客について、「管柱は住友林業はべいつが(ヘムファー)ですが『住友さんに、《せめて、杉にしてください》と言ってみてください。杉にした場合の見積もりを出してもらってください』とお客さんに言うといいですよ」「一条は通し柱は桧で、管柱は杉ですが、住友林業は通し柱は集成材で管柱は輸入材のべいつがですが、べいつがを杉にすると金額が相当上がりますから」と教えてくれたことがありました。先輩社員が教えてくれたことなのでそう言いました。しかし、成功しませんでした。
Kさんはそのやり方で住友林業との競合に勝って契約してもらったことがあるらしいのですが、私が同じことを言ってみたところどうなったかというと、「住友林業の人に話したのですが、『住友林業では杉は使わない』と言っていました」ということでした。(株)一条工務店の営業が、住友林業が管柱に使っているべいつがを杉に変えた場合の値段を出してくださいと言い、その差額に見込客が驚いて住友林業をやめるという作戦をとるということを、住友林業の営業は知っており、それゆえ、「住友林業では杉は使わない」と言って、杉をけなすことにより、杉に変更した場合の差額を算出させられることを防ぐとともに、杉を管柱に使用している(株)一条工務店に「杉なんか使ってる」というようにマイナスのイメージをつけるという作戦をとったのです。この「杉をけなす」という方法は、住友林業は日常的にやるようでした。「住友林業は日本の森林の何十%を保有しています」とかカタログに大きく書きながら、杉をけなして、輸入材を使う会社って、杉花粉に苦しむ者としては、その態度は理解に苦しみます(泣)。使える杉材があるのですから使うべきです。
4. 営業トークは自分で考える。一条の会社が従業員に教えるトークは一条の営業に伝わるより先に住友林業に伝わっていて、使おうと思った時には住友林業はすでに反撃トークを持っている。又、浜松工務店が教えるものは静岡県中西部・愛知県では役立っても他の地域では役立たないものが多い。自分で考えた営業トークなら競合会社の営業もそれに対する反撃も自分で考えないといけない。競合会社の営業が会社から教えられた反撃トークでは対応できない。
1993年、「研修」に講師役で来た近藤路夫は、講師役で来た以上、せめてこの1~4くらい教えてくれれば良さそうなものでしたが、自分自身がわかっていなかったし教える気もなかったのでしょう。
続く・・
(2019.4.6.)
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