我儘な契約客への対処法「ど真ん中のストレート」、「どうぞ、打ってください」。営業を「粗利益」ではなく何棟契約かで評価する問題点。客の側で中古の軽自動車の値段しか払わないのに新車ベンツを要求しだす可能性がある。特定の地域に広告費などかけ、特定の地域の坪単価を安く設定した場合、「粗利益」でなく「棟数」で評価した方が、安い坪単価でドカンと広告費をかけた地域の営業は有利になる。
[第902回]
2003年に阪神にゃんこズ が18年ぶりに優勝しました。 私が小学生の頃、1960年代後半から1970年代前半にかけて、阪神にゃんこズは決して弱くなくて、2位とかが多かったのですが、何しろ、阪神にゃんこ は首位の巨人に弱い。3位とかが多かった大洋ホエールズではエース 平松は巨人キラーであるだけでなく、坂井・山下といった他の先発投手も巨人に強い。ところが、「巨人に強い大洋」が首位の巨人をボコボコにやっつけたと思ったら2位のにゃんこ が巨人に負けて、巨人を生き返らせる・・という場面を何度見たことか。2003年に星野が監督の時に優勝して、2005年に岡田が監督の時に優勝し、2022年はそれからすでに17年目だが「まあ、そんなもんか」て感じがしないでもない。昔から阪神というと2位か3位というイメージがあって「弱いというわけではないが優勝はしない」というイメージがあった。2021年半ば頃には解説者がそろって「今年は阪神が有力」と言い、9月になって「三つ巴」の状態になっても「阪神か巨人か」なんて言っていたが、野球解説者でも元野球選手でも何でもない「野球未経験」の私はその時点で思ったよ、「今年はヤクルトが最有力」と。なぜなら、どうも巨人は本調子ではないように思えたし、「本調子でない巨人」というのは優勝しない、「優勝しなければ2位も最下位も一緒」みたいな感覚が巨人にはあるから落ちだしたら早い。そして、阪神にゃんこ は優勝争いに弱いんだよ、無茶苦茶。〔2位争いには強いけど。〕ヤクルトは最下位になることもあるが優勝することもある。それに対して阪神にゃんこ は何よりも親会社が電鉄会社という公共企業なもので、「最下位は困るが優勝みたいなもん、せんでもええ」「優勝みたいなもん、しよったらうるそうてかなわん」とか経営者が思ってるのと違うか・・なんて昔から言われてきたように、「最下位は困るが優勝なんてせんでもええ」みたいな””伝統””があるから、「阪神が最有力」なんて言われても「ええ~え?」て思ったもんだ。
〔なお、毎年、阪神タイガースは「商売繁盛の神さま」西宮戎神社に参拝しておって、「えべっさん」は律儀に願いをかなえて甲子園球場にはお客さんがいっぱい来るようにしてくれているけれども、なにしろ、「えべっさん」は商売繁盛の神さんだからお客さんは呼び込んでくれるけれども勝負事に勝つ神さんではないので優勝させようなんて能力はなく、だから阪神は優勝しないんだという説があるが、阪神タイガースは「商売繁盛の神さん」の西宮戎神社に参拝するとともに「戦う神さん」の広田神社にも参拝していたはずなので、めったに優勝しないのは「えべっさん」のせいではない・・と思う。〕
その阪神にゃんこ が長くCクラスを続けた後、野村じいさんの3年間の後、星野が監督になって2年目に18年ぶりに優勝した。それも、セリーグではダントツ1位だった。但し、阪神にゃんこ は昔から伝統的に「首位争いに弱い」ので、阪神にゃんこ が優勝するには「ぶっちぎりの優勝」しか優勝する方法はない・・て感じ。 そして、ダントツ1位での優勝の勢いに乗って日本シリーズに臨んだものの、日本シリーズ前、テレビで「解説者による勝利チーム予想」で野村じいさんが「私は両方のOBなので、どっちと言えないんです」とまわりくどい言い方をして「4勝3敗」と予想したら、予想通り、ダイエーホークスの4勝3敗になった。野村じいさんが「阪神は井川の使い方」と言い、「阪神はセリーグではダントツの1位だったが日本シリーズになるとまた違う。そこをわかっているか」と、なんかまわりくどい言い方をしていたが、その言葉の通りになった。その年、セリーグの阪神の井川が20勝5敗の成績をあげたとともに、パリーグにて20勝3敗というものすごい成績をあげたのがダイエーホークスの斎藤和巳投手だったのだが、私が(株)一条工務店を辞めた後、ある週刊誌にその斉藤和巳投手がコラムを書いていて、「ど真ん中のストレート」なんてねらって投げる投手はないと思われているけれども自分はけっこう狙って投げた、ということを書いていたのだ。・・それを読んで、(株)一条工務店https://www.ichijo.co.jp/ で つきあいずらい契約客、具体的には1993年前半に松戸展示場に在籍した時に契約いただいたKさんに対して、そうすれば良かったか・・と思ったのだ。
※ 《YouTube-斎藤和巳》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%89%E8%97%A4%E5%92%8C%E5%B7%B3
Kさんがどういう契約客だったかは、[第901回]《ひとのせいにする営業、せいにされた時、どうしたものか。勝手に転んで嘘泣きする子供に「申し訳なかったねえ」と言う店長。施主に原因があるものを担当営業を悪者にする男。契約客を放置して解約したいと言われた営業ではなく引き継いだ者が悪いと言う所長。》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/202201article_9.html の【2】 で述べた。
(株)一条工務店より前に小堀住研(株)に在籍したのだが、小堀住研(株)でも(株)一条工務店でも営業の給与は「基本給+歩合給」になっていたが、歩合給の部分について小堀住研(株)では「粗利益(あらりえき)(あらり)」の何パーセントとして支払われたのに対して、(株)一条工務店では1棟あたりいくらとして支払われた。 なぜ、そうなっていたかというと、4つ理由があったと思われる。
※ 「粗利益」は「そりえき」と読む人が多いのだが「あらりえき」と読むのが正しいようで、略して「あらり」とも言い、《 たとえば500円で仕入れた商品を1000円で販売すると粗利益は500円となる。》(《Weboio 辞書》https://www.weblio.jp/content/%E7%B2%97%E5%88%A9%E7%9B%8A 「流通用語辞典 粗利益」)というもので、人件費を引く前のものという特徴がある。
[1] 小堀住研(株)では「会社員の報酬は会社にどれだけ利益をもたらせたかに対して支払うのが当然」と同社では言われていたのだが、小堀住研(株)は比較的広い価格帯で建てていた会社で、クルマに例えるならばカローラもあればクラウンもありセンチュリーもあるという会社であり、建築費3億円の家と1500万円の家との契約を同じ扱いにするわけにはいかないのに対して、(株)一条工務店はクルマに例えるなら「クラウンくらい」の商品しかない会社でカローラは苦手でセンチュリーも苦手という会社で〔浜松・掛川では東京都では坪55万円のものを48万円、名古屋では坪49万5千円でダンピング販売することで「クラウンとカローラの中間」くらいの価格で販売していて、東京営業所の営業は「浜松クラウン」を東京向けクラウンとの競合で営業させられていたのに対して、浜松・掛川・名古屋の営業は「クラウン」を「カローラに近い値段」で売って「カローラ」との競合で営業させてもらっていた、東京の営業が競合になる商品よりも他社の二回りほど安い価格帯の商品との競合で営業していたが。〕(株)一条工務店は自社商品の価格帯の幅が狭いので、1棟あたりいくらとしても問題は出にくかったということと、
[2] (株)一条工務店https://www.ichijo.co.jp/ は静岡県・愛知県中心の会社、「遠州人が他の地域の人間よりも得することなら、どんなことでもやらまいか」という「やらまいか精神」の会社であり〔「やらまいか」というのは遠州弁で「やってみよう」という意味だそうです〕、私が入社した1992年の時点で、「セゾン275S1」というタイプを「施工面積」という延べ床面積より広めになるように設定され、「坪当たり」にすると延べ床面積の「坪当たり」よりも安く見えるように(株)一条工務店が設定した見積もり上の独自の単位で東京都・神奈川県では55万円で売らされていたものを浜松・掛川など静岡県西部ではなんと48万円のウルトラのダンピング販売、名古屋などでは坪49万5千円とこれもまたウルトラのダンピング販売をしていたので、「粗利益」に対していくらとすると静岡県中西部・愛知県の営業は「粗利益」が小さいはずなので静岡県・愛知県の人間が損しないように「粗利益」の何パーセントではなく1棟あたりいくらとした。
又、それでも大きな家と小さな家とでは差があるということで、(株)一条工務店では最初は「施工面積」で60坪以上は2棟扱いにしていて、後に70坪以上と変更したが、「地方」にいくと60坪以上の家を建てる人は時々あり、私も福島県いわき市の営業所にいた時には何軒か契約いただいたが、東京都など都市圏では60坪以上の広さの家を建てる人は多くなく、逆に「広くはないけれども費用をかけた家」を建てる人はある・・ということを考えると、東京圏などの営業に不利になるように、静岡県中西部・愛知県の営業が得するように、広い家を建てる人がある静岡県・愛知県の営業には「2棟扱い」の契約が出るようにした。東京の営業が「広くないがカネかけた家」の契約を取得しても「2棟扱い」にはならないようにした。かつ、浜松などでは3階建ても建築可能としていて、浜松駅前付近で3階建ての家を建てたお客様もあったのに対して、1992年、東京営業所では「工事が大変だから3階建ての契約は不可」とされた。又、浜松・名古屋では30坪未満の家も契約可だったのに対して東京都では江東区・江戸川区などの下町では20坪くらいの土地に建てる人があり、かつ、ハウスメーカーの企画住宅ではプラン集にあるものから選んで建てるという方式のものが多くて、それらのプランは延べ床面積30坪くらいからのものが多く、20坪くらいで建てたいという人にはハウスメーカーの企画住宅では対処できないから、最近ではアイダ設計などそういう住宅をけっこう得意とするハウスメーカーも出現してきたがその頃はなく、プラン集から選んで建てるという方式ではない(株)一条工務店の東京営業所ではそういう人は契約いただける可能性が考えられる見込客の1タイプだったのだが、それを契約させないようにするために「浜松・名古屋では30坪未満の契約も可能だが、東京営業所では30坪未満の契約は不可」とされた。
「60坪以上の広い家」は「2棟扱い」にするが、「広くはないがカネかけた家」は通常の1棟扱いというのは、それは「広い家」を建てる人は時々ある「地方」に有利、静岡県・愛知県の営業が有利になり、「広くはないがカネかけた家」を建てる人がある東京都の営業は有利にならないようにするという細工のひとつだった。まさに「遠州人が他の地域の人間よりも得することならどんな卑劣なことでもやらまいか」という「やらまいか精神」の発揮だったのだ。
[3] かつ、「粗利益」の何パーセント という計算法を取るならば、静岡県・愛知県の営業は東京都・神奈川県よりもウントコサ安い金額で売っているので、「粗利益」は小さいはずで、さらには静岡県・愛知県だけテレビ広告をドカンと一発やりまくっているのでテレビ広告の費用も静岡県・愛知県の契約から引いて「粗利益」を計算したならば、静岡県・愛知県の営業のもらえる1棟当たりの歩合給は東京都・神奈川県の営業の歩合給よりも少ないとともに、他の「地方」の営業と比べても少なくなる。それは嫌だということから、静岡県・愛知県では安い坪単価で売るとともに、静岡県・愛知県にだけテレビ広告やら何やらかやらに費用をかけるが営業の評価はあくまでも1棟あたりいくらの評価にすることで、静岡県・愛知県の坪単価が安すぎることや静岡県・愛知県だけ広告などに費用をかけまくっていることを隠蔽しようという策略だったのだ。
[4] そして、3つ目は「粗利益」に対していくらとすると、「粗利益」がいくらなのか、営業社員に教えないといけないことになってしまう。(株)一条工務店の「一族」経営者としては従業員にそういうものを教えたくない、ということがあった。
「粗利益」て何なんだというと、収入から原料費などの経費を引いたものから人件費を引く前の金額らしい。小堀住研(株)はその「粗利益」の何パーセントという計算をしていたのだが、私は最初に聞いた時、そんなこと言っても、原料費というのは「先入れ先出し法」によるのか「後入れ先出し法」によるのか、それによっても変わってくるのに、どうやって「粗利益」というのを決めるのだろうか・・と思ったのだ・・が、慶應大学の商学部を卒業した者ならば誰でもそれを考えると思うのだ。「会計学総論」「会計学」「会計制度論」「財務諸表論」といった講義を履修してきた者としては、それらについて特別に優秀な成績を残したのでなくても、そのくらいのことは考えるはずだ・・が、小堀住研(株)に私より前から在籍していた営業の人でそういったことを考える人はいなかった。経済学部・商学部卒の人はいたはずだが、実際問題として、たとえば、1990年、東京支店自由が丘営業課にいた「近藤すしいち」(仮名)の「近畿大学経済学部卒」なんてのは経済学部卒のうちに入らなかったということか。小堀住研(株)の高卒の社長とか人事部長とかはそういうのを経済学部卒だと思っていたかもしれないが、慶應大学の経済学部・商学部卒の人間ならば、先入れ先出し法か後入れ先出し法かによっても変わってくる・・というくらいのことは認識していて当然であり、「近藤すしいち」(仮名)みたいな「経済学部卒」と一緒にされたら迷惑だ。
※ 先入れ先出し法・・実際に先に購入した物から順番に使うか売るかしたかどうかにかかわらず、会計処理上、先に購入した物から使用するなり売却するなりしたとして処理する方法。
※ 後入れ先出し法・・後から購入した物から使用するなり売却するなりしたとして処理する方法。
だから、小堀住研(株)の工務課なり経理課なりが「粗利益」はいくらですと言ったとしても、本当にその金額だと信じていいのかどうかはわからない。だいたい、会社というのは従業員に嘘つくことが多いし、「粗利益」はいくらですよと言われて「はい、そうですかあ」と信じていいのかどうかは疑わしい・・だろうけれども。
もうひとつ、小堀住研(株)〔⇒エスバイエル(株)〕にはグループ会社として小堀住工(株)〔⇒エスバイエル住工(株)〕という小堀住研(株)が建てる木質パネル構法の木質パネルなど木質材料を製造・用意する会社・小堀住宅流通(株)〔⇒エスバイエル住宅流通(株)〕という不動産会社・インテリアワークス(株)という照明器具・カーテン・エアコンなどの会社があったのだが、それらの社長・代表取締役は小堀住研(株)の社長・代表取締役と同じ2代目で「メカケの子」説と「メカケの娘の婿」説があった中島昭午がなっていたはずだが、小堀住研(株)が小堀住工(株)から木質パネルその他の木質構造材を購入したということにして建てていたわけだが、当然、小堀住工(株)は利益をあげていたわけだが小堀住工(株)があげた利益は小堀住研(株)の「粗利益」の中には入っていたのかいないのか? 小堀住工(株)に小堀住研(株)が払った金額というのは全額が「経費」という扱いになっていて小堀住工(株)の利益は小堀住研(株)グループの利益であっても小堀住研(株)の「粗利益」には含まれていなかったのか。それなら、そのやり方でいくらでも「粗利益」は小さく見せることはできたということだ。照明・カーテン・エアコンはグループ会社のインテリアワークス(株)に所属のコーディネーターが扱っていたが、照明・カーテン・エアコンについては建物の契約より後で決められていたから、建物の契約時に算定される「粗利益」には当然入っていなかったということだろう。小堀住研(株)の先輩社員には、このあたりについて気づいている人というのが見当たらなかったのだが、本当にまったく気づいていなかったのだろうか?
さらには最初から小堀住研(株)に入社した従業員には毎日、労基法違反の長時間労働をさせてきて、「銀行から出向で来た者ども」は最初から小堀住研(株)に入った従業員より高い役職をもらって楽な生活していたのだが、なんで「銀行から来た人間」に特権階級になられなければならないんだ?!? ・・とかそういうこともあったが。
そういうことはあったが、しかし、それでも、「粗利益」の何パーセントという歩合給にするとともかく会社として「粗利益」はこの家1軒に対していくらですよお~お・・というものを営業社員に示すことになる。それに対して、(株)一条工務店ではそれを営業社員に示さないので自分が契約した家について(株)一条工務店はどのくらいの利益を得ているのかわからない。(株)一条工務店の「一族」経営者は非「一族」従業員に1棟あたりどのくらいの利益が出ているのか教えたくなかったのだ。(株)一条工務店の企画室課長⇒総務部長の天野雅弘が「不動産の仲介でも仲介手数料は『3%プラス6万円』までと決められているのだから、住宅建築でも1件あたり、2000万円の契約でも66万円しか利益を得てないのだから、年間4棟、契約したという場合で、66万円/軒×4軒=264万円 しか利益はもらえないのだから、従業員に払う給料だって、それ以上は契約してもらわないと払えないのは当然だろう」などと、そういうことを言いやがったのだ。
この男、「おれらは高卒じゃい」とか言ってるくせして、その「高卒じゃい」がよくもまあ、そういうことを言うワル知恵が働くもんだ・・とあきれたことがあったのだが、まず、不動産の仲介手数料の「3%+6万円」までというのは「片手」であり、売り手と買い手の両方の不動産屋の合計は「3%+6万円」×2 であるし、何よりも不動産の仲介手数料の戸建住宅建築業の利益とは全然性質の違うものであり、(株)一条工務店が戸建住宅を建てた場合に1軒あたり「3%+6万円」しか利益をもらってないわけないだろうが! まったく、つくづく、よく言うわ!♪! バカ言ってんじゃないわ♪〔⇒《YouTube-3年目の浮気 ヒロシ&キーボー》https://www.youtube.com/watch?v=H8vISMbjK7g 〕
「よく言うわ~あ、いつも騙してばかりね~え」「私が何にも知らないとでも思っているのね~え」
何が「3%プラス6万円」じゃ、よく言うわ! (株)一条工務店が1棟あたりにもらってる利益額はそんなものとは「ち~が~うだろ、このハゲ~え!!!」〔⇒《 このハゲ〜!違うだろ!違うだろ!違うだろ!》https://www.youtube.com/watch?v=vOWQvoBC9D4 〕
また、言う相手を見て言ったらどうなんだ・・とも思った。俺がそんな嘘っぱちに騙されるとでも思ってるのか?!? 相手見て物を言えよ! このボケ~え!
1995年だったと思うが、(株)一条工務店は脱税で国税局から取り締まりを受けて100億円の追徴金を取られたということがあったのだが、その時、社長だった大澄賢次郎は「一条工務店にとっては100億円なんて何ともない。一条工務店にはカネなんかいくらでもある。一条工務店にはカネみたいなもん、あり余ってる」と言ったというのだ・・が、すごいこと言いますねえ~え! 「カネみたいなもん、あり余ってる」のならば、もうちょっとまともな給料払ったらどうなんだい。従業員に給料払う時には「そんなこと言ってもカネないのに払えるわけないだろうが」と言いながら、おのれが脱税して追徴金100億円を取られるとなると「カネみたいなもん、あり余ってる」て・・( 一一) 「よく言うわ♪」
(株)一条工務店は少しでも営業成績があがらない営業社員がいると「赤字社員だ」とか言い「レッドカード」とか言っていたのだが、それならば、100億円の追徴金を払わされるような脱税やった人間というのは、これは間違いなく「赤字社員」であり「レッドカード」のはずだが、誰なんだ、それは? 「レッドカード」ではないのか?
小堀住研(株)⇒エスバイエル(株)は、1990年前後頃までは高級住宅志向の自由設計の「新 桂(しん かつら)」と「高品質低価格」タイプの「ハウス55」との2本立てのようになっていた(なってしまっていた)のだが、安い方の「ハウス55」で1500万円前後くらいの契約を1棟あげた場合で、「粗利益」は300万円くらいだった・・と記憶している。それは工務課・経理課が示した数値なので、そのまま正しいのかどうかわからないが、そういう数値が示されていた。(株)一条工務店の「セゾン」「百年」というのは小堀住研(株)の「新 桂」の多くのものよりは安いけれども「ハウス55」よりは高いというものであり、1棟あたりの利益もまた「ハウス55」よりも大きいはずなのだ。「3%プラス6万円」なわけないだろうが! アホか! 嘘つくにしても相手見て言え! 人を馬鹿にしてんのか!
そういうことで、(株)一条工務店では「1棟あたりいくら」という歩合給になっていた。
世の中、ズルイ会社、ズルイ経営者は多く、(株)一条工務店では私が入社した1992年においては、午前10時00分~午後7時00分が就業時間であったが、「退社時は午後9時を過ぎてからタイムカードを押すこと」と「通達」に書かれていた。それでは労働基準法違反であろうが!〔1日8時間・1週40時間までという労働時間オーバー〕・・と思ったし、労働基準法違反の証拠を残してくださいと会社が従業員に指示しているようなものだったのだが、それからしばらくして、「始業時刻前のみタイムカードを打刻して、退社時にはタイムカードは押さないでください」という指示がきた。なぜ、そうなったかというと、どこの営業所だったかで、自分のタイムカードを労働基準監督署に持っていった従業員がいたそうで、それで労働基準監督署から苦情を言われたらしく、そんなもの、「苦情を言う」のではなく日本国の法律に明らかに違反している不良経営者はきっちりと刑事罰を課してやるべきではないのか・・と思うのだが、ところが労働基準監督署というのは労働基準法違反を取り締まっているふりをして取り締まらないことで不良企業の不良経営者を守ることに必死になっている機関であるので、(株)一条工務店の不良経営者も何ら刑事罰をくらうことはなかったようだ。
小堀住研(株)には1980年後半、タイムカードというものがなかった。新卒社員研修の際に渡された会社紹介の資料には何年からタイムカードを撤廃したということが自慢気に書かれていたのだが、それを最初に見た時には、これはマグレガーのY理論による経営か・・と思ったのだ。
企業の人間的側面―統合と自己統制による経営 - ダグラス・マグレガー, 高橋 達男
ダグラス=マグレガー『企業の人間的側面』(産業能率大学出版社)では、X理論・Y理論といったことが言われ、Y理論というのは人間を信頼して、自主性に基づいた管理・経営をおこなうことを勧めるものだが、それかと思ったのだ・・が違った。ダグラス=マグレガーのY理論とかそういうものではなく、労働基準法違反の時間外労働・深夜労働・無賃労働をさせていることの証拠を残さないためにタイムカードを「全廃」したのだった。
なんか、そういうズルイやつの会社にばっかり勤めて、報われない努力をして、滅私奉公・破私奉公を繰り返してバカばっかり見さされてきた。
昔、うちの父親が「野村証券とか住友銀行とかなんて給料ええけれども、よう働かせよるでえ~え」とか言っていたのだが、小堀住研(株)にしても(株)一条工務店にしても「よう働かせよる」けれども、特に(株)一条工務店なんてちっとも給料ええことないじゃねえかよお!
特に、小堀住研(株)は1990年前後頃までは営業の報酬は同業他社との比較では悪い方ではなかったとも言われたが〔その後、同社の営業社員の給与は引き下げられたとこもどこかで見たか聞いたかしたような気がするが〕、(株)一条工務店は「浜松の会社」だけあって比較の対象が浜松の会社との比較であり、「地方の会社」が基準になっているので東京や大阪発祥の会社と比べて低めであり、「地方」の兼業農家の人などでは安めでも田んぼやりながら勤められるからいいわ・・てことで勤めている人もいたようだが、都市圏出身者にとっては割のいいものではなかった。 (株)一条工務店を辞めた後、ある人材紹介会社の人から日本住宅(株)という岩手県に本社がある会社について誘いをもらったことがあったが、「地方に本社がある会社はもうけっこうです」とお話しした。「後進国の外資系企業」と一緒なのだ。外資系企業は給料が高いと思っている人がいるが、それは西ヨーロッパかアメリカ合衆国の外資系企業の話だ。「後進国の外資系企業」では、日本の支店で働く人には日本の給与水準に合わせたものを払わないといけないということを理屈ではわかっていても、どうしても本国の給与水準に引っ張られて安めの額になりがちだ。「浜松の会社」もまた、そんなところがあったようだ。「浜松という後進国の外資系企業」というのは浜松の給与水準に引っ張られて決められる。だから、東京で勤めるのに「浜松の会社」に勤めるよりも、東京発祥・東京本社の会社か、そうでなくても大阪発祥・大阪本社の会社に勤めた方がその理由でいい・・という面がある。
(株)一条工務店の工場部門の(株)日本産業の工場にフィリピン・インドネシア・ブラジルといった国から働きに来ていた人がいたが、日本よりも物価水準が低くて給与水準も低い国の人が日本に働きにきて、短期間で稼いで自国に帰ると、日本で稼いだカネは本国ではけっこういい金額になるらしいのだが、ところが、日本の都市圏、東京や大阪の人間が「地方発祥で地方に本社がある会社」に勤めるとその逆の現象になる。「地方」の水準で決められた給与で都市圏の人間が働かされることになる。(株)一条工務店に応募を考えた頃、求人雑誌には「浜松の(株)一条工務店」と「岩手県の東日本ハウス」〔現 日本ハウスホールディングス〕とが掲載されていて、盛岡本社の会社と浜松本社の会社なら浜松本社の会社の方がいいか? ・・くらいに考えて、東京か大阪に本社がある会社でなくても特に問題はないだろうと思ったが問題はあった。「地方の会社」に東京や大阪の人間がわざわざ勤めたら、わざわざ給料が安い会社に勤めているようなもの・・という面があるのだ。(株)一条工務店の福島県いわき市の営業所にいた時、いわき市の生まれの人で福島県から東京や横浜に働きに行っている人がいたが、なぜ、地元の会社ではなくわざわざ東京や横浜の会社に勤めるのかというと給与水準が違うからだ。それを考えると、東京や大阪の人間がわざわざ「浜松の会社」に勤めるというのはアホやった。
又、小堀住研(株)は昔から「大卒しか採らない会社」と言いまくっていてそれを「売り」にしていたのだが、そのわりに入社してみると高卒の人が多くて、しかもその高卒の人間がえらそうにしているということで大学新卒で入社した人間は怒っていた・・のだが、一応、「大卒しか採らない会社」と言っていただけに「大卒の給与」を基準にしていたのに対して、(株)一条工務店は営業本部長の天野隆夫が「営業は頭のない人間がええんや。ぼくだって学校でてない(最終学歴:中卒)だから、だから、気さくで性格が良くて人間性が優れていて誰からも好かれるんだ。おい、そう思うだろ」と言っていて、「思います」と無理矢理言われたのだが〔かつ、この話を11年余在籍した私の倍以上も在籍していた人に話すと、「はあ? はあ~あ? あの人のいったいど~こが『気さく』で、ど~こが『人間性が優れてる』んだあ? いったい誰がそんなわけのわからんこと言ってるんだあ?」と言われたのだが、誰が言っているかというと御本人であって、御本人以外で「そんなわけのわからんこと」言っていた人間はひとりもいなかったのだが〕、そう言うだけあって営業は「高卒の給料」を基準としていた・・ので営業を「大卒の仕事」と定義づけしている会社に比べて安いようだった。大卒で入社するのはアホやった・・ようなところがあった。
もうひとつ、(株)一条工務店の場合、「家族手当」が大きく、これは「家族手当」の分だけ給料が高いか? ・・と勘違いしそうだがそうではなく、独身の人間の給料が安かったのだ。全体で支払う分を先に設定して、そのうちの「家族手当」の割合を大きくして、なんだか、「家族手当」をいっぱいもらえる会社・・みたいに見せようとしていたのであり、結婚して子供いっぱい作った者の給料が高いのではなく独身の人間の給料が安かったのだ。給料収入を増やそうとすると営業社員は契約を多く取ることよりも子供作った方が得・・みたいな会社だった。後先考えずに性交やって「できちゃった」婚やった人間を優遇しようというのは、それは「少子高齢化対策」ではないと思うのだが、(株)一条工務店はそういう会社だった。「子供がある者の方が売れるのだから」などと世迷い事を言っていたが、それなら独身の人間でも多く売れば「家族手当」を支給してもらえるのか、妻帯者で子供が多い者でも契約棟数が少なければ「家族手当」は剥奪されるのかというとそうではなかった。「営業はどれだけ売ったかが大事なんだ」と言いながら、売らなくても、子供いっぱい作った者には「家族手当」をドカンと支給するというのは言っていることが矛盾していた。「子供」を大義名分にして営業所全体の仕事を独身の人間に押しつけて先に帰り、まだ結婚できずにいる人間の生活時間を奪うのは「少子高齢化対策」に逆行するものだが、そういう逆行をする会社だった。
これは(株)一条工務店の「一族」経営者の学歴が低いことと関係している。一般に低学歴者は結婚が早い傾向があり、(株)一条工務店の「一族」経営者はそれだった。高学歴者なら既婚の人間もおれば未婚の人間もいるという年代で、低学歴の人では既婚の人の方が多いという場合があるが(株)一条工務店の営業本部長の最終学歴:中卒の天野隆夫は20歳で結婚したらしく、そうなると30歳越えたくらいの人間は世間一般では「早めに結婚した方がいい」と言われる年代だが、低学歴ゆえに若い年齢で結婚した天野隆夫はそういう者は「おかしい」という目で見る世界観を持っていた。大学に進学した者なら20歳で結婚する人間の方が「おかしい」のだが、低学歴者にとっては逆だった。30歳を過ぎたくらいの年代で未婚の人間に対して「独身でいる人は」と一生独身でいろというような発言を平気でするのだった。無神経この上ない人間だが、そういった発言は営業本部長と言った人間がおこなう場合には会社として問題があるはずだが、「ぼくなんかは学校出てないから、だから気さくで人間味があって性格が良くて誰からも好かれるんだ」などと大きな顔して言うのだった。〔そして、「(天野隆夫のことを)『学校出てないから、だから気さくで人間味があって性格が良くて誰からも好かれるんだ』などと、いったい誰がそんなおかしなわけのわからんこと言ってるんだ」と社歴の長い従業員から言われていたのだった。「そんなおかしなわけのわからんこと」言っていたのは御本人だけであり、御本人以外に言っている人間は誰もなかった。〕30代前半というのは一般世間では「早く結婚した方がいい」と言われる世代、内田康夫の浅見光彦シリーズの浅見光彦は最初に登場した時は32歳で翌年から何十年間と33歳を続けたが、その浅見光彦くらいの年齢の人間というのは世間では「そろそろ結婚するようにした方が」と言われる世代だが、低学歴ゆえに20歳で結婚した人にはそう見えないらしく、又、自分中心の思考・自分中心の世界観からしか考えられないらしかった。営業本部長という役職を初代社長の義理の弟だからということで取得すると、そういった口をきく権利が得られると思っていたようだったが、違うと思うのだが、違うと認識できる頭のない人間だったようだ。会社経営者ならば自分の会社の従業員で30歳過ぎたくらいの年代の者がおれば、早めに結婚できるように協力していいはずだが、ところが逆にその年代でまだ結婚できずにいる人間を犠牲にしてすでに結婚できて子供もいる者の為に営業所全体の仕事を押しつけようとこの会社はしてきた。(株)一条工務店はそういう会社だった。他にもそういう会社はあるようで、「後先考えずに性交やって早めに女を孕ませた者が勝ち」みたいな国に最近の日本はなってきつつある。それをおかしいと気づくことができない人間が増えてきている。
( ↑ 「コミック乱ツインズ」2022.3月号 2.14.発売 リイド社 所収
山口 正人『小平田の刃(やいば)』「人生、意気に感ず」の巻 )
コミック乱ツインズ 2022年3月号 [雑誌] - 橋本孤蔵, ラズウェル細木, 叶精作, 有賀照人, 重野なおき, 森秀樹, 鈴木あつむ, 落合裕介, 山口正人, 久正人, こだま学
それで、松戸市のKさんのおかげで学んだものがある。
〔1〕 「『お客様は神様』ではない。お客様は人間。人間として尊重する」と小堀住研(株)の営業系新卒社員研修の際に言われたのだが、そう聞いて理屈では理解した。 しかし、あくまで「理屈で理解した」ものだった。 「お客様は神様ではなく人間であり、あくまで人間として尊重する」と理屈で理解していても、それでもやっぱり、契約してくれたありがたい人だと思うと、どうしても下手に出てしまい、きかなくてもいいことまできいてしまい、実際にはそのお客様の方が悪いものでも「すいません」なんて言ってしまったりもした。
それを、Kさんのおかげで、それではだめなんだと理屈でではなく実感として認識することができた。 こちらが悪いわけでもなく、契約客のKさんの方に原因があるものについては、きっちりとそれを指摘しないとだめだと、Kさんのおかげできっちりと認識させてもらうことができた。その契約客の方に原因があるのに文句言われて「すいません」と言うのは間違いで、その契約客の方に原因があるものについては、きっちりと指摘するようにしないと、そんなものに「すいません」なんて言ったらそのお客様のためにならない。 それをKさんに実地で教えてもらった。
もうひとつ、道の下の位置に敷地がある家で、「道路から空き缶を投げ込まれる」という家というのは、そこの住人はそういう立地だからだと思っていても、実際にはそういう立地だからというのが主たる原因とは限らない。そうではなく、「空き缶でも投げ込んだろか」という気持になられるようなことを人にしているから投げ込まれている・・という場合がある、ということを学んだ。
〔2〕 そして、もうひとつ。 小堀住研(株)では広くて坪単価も高い家は粗利益が大きく、小さくて坪単価が安い家は粗利益が小さいので、広くて坪単価も高い家の契約の方が営業の評価は高く、小さくて坪単価も安い家は営業の評価が低かったので、1棟契約を獲得するのならば広くて高い家の契約をあげた方が良かったのだが、(株)一条工務店では(60坪未満なら)広くて高い家でも小さくて安い家でも評価は一緒だったが、それならば(株)一条工務店では広くて高い家の契約を取るよりも小さくて安い家の契約を取った方が営業は得みたいだなあ・・と一瞬、思ったのだったが、Kさんのおかげで、そうではないということを実感した。
小堀住研(株)では、たとえば、1990年4月、私が東京支店に赴任してすぐの頃に引き渡した三鷹だったかの某様宅は建物だけで3億円ということだった。片方で「高品質低価格」タイプの「ハウス55」なら「ハウス55」という言葉は「昭和50年の物価で500万円台で高品質な家を供給する」というところからつけられた名称だが、実際には1000万円未満の家はなかったが1500万円未満はあった。1500万円のハウス55を月に4棟契約いただいたとして年間48棟、きりのいい数字で年間50棟の契約をいただいたとして〔千葉支店で最も多く売っていた犀川というおっさんがそんな感じだったのだが〕、
1500万円/棟×50棟=7億5000万円
それに対して、3億円の家を年に3棟、契約いただいたならば、
3億円/棟×3棟=9億円
で、3億円の家を3棟の方が契約金額は多い。
3億円を3棟ではなく2億5千万円を3棟ならば、
2億5千万円/棟×3棟=7億5千万円
2億5千万円を3棟ならば契約金額の合計は7億5千万円になるので、1500万円を50棟と合計金額なら同じになるが、高い建物の方が利益率は大きいので契約金額は同じでも粗利益では2億5千万円を3棟の方が多いことになる。 ところが、(株)一条工務店では1棟あたりいくらという歩合給の払い方であるとともに、「グラフ」の評価でも1500万円を50棟なら「トップセールス」と称賛されるのに対して、2億5千万円を3棟ならば「赤字社員だ」と言って苛められることになる。
・・これって、おかしくないか? ・・と思ったのだ。 但し、(株)一条工務店の場合は小堀住研(株)とは違って「クラウンしかない会社」なので、1棟あたりについての契約金額も粗利益もそこまで大きく違うというものはない・・けれども、たとえば、私が入社する直前に東京営業所(展示場)(江東区潮見)から神奈川県茅ケ崎市の展示場に移り、1993年に福島県いわき市の展示場に転勤した「木南さん」(仮名)は「20坪キラー」と言われて、「施工面積」あるいは延べ床面積で20坪前後くらいの家の契約を獲得するのが得意で、それも相当多くの契約を取得している人が中に20坪の家もあるというのではなく、毎年、ノルマぎりぎりの契約棟数しか取らない人なのに20坪前後の契約が多い・・という人で、いわき市の人間からは、営業からも設計からも工事課の人間からも大工その他の職人からも「あの人、変わってるよねえ。あの人、いったい、どうやって20坪の家なんて捜してくるのお? 東京の街中あたりなら20坪くらいの家を建てる人だってあるだろうけれども、福島県の300坪くらいある敷地に建てるような人がいっぱいあるような場所で、どこから20坪の家の人なんて捜してくるんだろうねえ」と不思議がられていたのだが〔実際には、同じ敷地内に「隠居屋」を建てる人とか、逆に「若い者の家」を建てる人とか「離れ」を建てる人とかあるのだけれども 〕、「木南さん」(仮名)は「何も、捜してないですよ」と言うのだったが、「木南さん」(仮名)は「捜している」つもりはなかったのだろうけれども、実質的に「捜していた」のだと思う。「木南さん」(仮名)が取得できる契約というとそういう契約だったのだ。1990年、小堀住研(株)の目黒区の自由が丘展示場は比較的高額物件の見込客が多い展示場だったが、ところが営業課長の高橋賢一郎は「ろくな客が来ない」と言うのだった。なんでえ?・・と思ったのだが、それは高橋賢一郎は「ハウス55」の安い家しか契約取れない営業だったから、だから、たとえば最初に配属された松戸営業課の課長だったUさんなどは高額物件の見込客が来ると「絶対に離すな」と言ってなんとか契約に結びつけたいと考える人だったが、高橋賢一郎はその逆で高額物件の見込客が来ると「ろくな客じゃない」と言う、《「高品質低価格」タイプの「ハウス55」の契約しか取れない高橋》には高額物件のお客さんというのは「ろくな客じゃない」と思えたということだった。そんな人を高額物件の来場役が多い展示場の課長に配属した東京支店長の高倉は「やっぱり、高卒の支店長だなあ」て感じがした。・・やっぱり、「高卒のおっさん」を支店長にするとそうなるということか・・という感じがした。
で、(株)一条工務店は「クルマにたとえるならクラウンしかない会社」だったので小堀住研(株)ほどは1軒あたりの粗利益の差はなかったけれども、それでも、「木南さん」(仮名)が得意とする「20坪の家」と、「2棟扱い」になる60坪に少し足らないというくらいの面積の家とでは粗利益は倍以上違ったのだ。きりのいい数字で、40坪の家と20坪の家とでは、20坪の家を2棟契約いただいたとして、40坪の家1棟分の粗利益はないはずなのだ。ところが、「木南さん」(仮名)が得意とする「20坪の家」2棟の方が、40坪の家1棟の契約よりも会社の営業社員に対する評価は高くなってしまうのだ。これはおかしくないか・・と思ったし、それならば、小さい安めの家の契約ばっかり取ってやった方が(株)一条工務店では得みたいだなあ・・なんて思ったりもしたのだ。
・・しかし、そうでもないみたいだな・・とKさんの契約を通じて認識したのだ。
まず、広い建てやすい土地を所有していて、建築費も十分に出せるという人は、建てる建物もそれだけのものを建てるし、こういうことをしてほしいというものもあるから、それに対応しないといけないし対応できないといけないが、なんだかんだ言っても1軒、家が建つのだ。それに対して、予算が厳しい人は家1軒建つかどうかわからないし、土地が狭かったり厳しい制約があったりする人は家1軒建たない可能性がある。苦労して努力して労力を払っても、結局、建てられないということになり、労力と時間をかけただけでその労力・時間は無駄になる場合がある。 それを考えれば、広い土地を持っていて、出せる建築費も余裕があるという人は、なんだかんだ言っても家1軒建つのだ。だから、予算の厳しい人・土地の条件が良くない人でも担当しないということはないが、広い土地があって予算もある人の方が、なんだかんだ家1軒建つので営業としては実際問題としてその方がいい・・というのはたしかだ。
そして、狭い場所に一通りのものを建てるというのは、広い土地に大きな家を建てるよりも大変なのだ。さらに、きっちりと予算を出してもらって、その上でいろいろと施主がやりたいことを実現するのと、けちりまくって費用を出せないにもかかわらず、なんだかんだ文句ばっかり言って、カネださないのに要求だけする人の仕事よりも、きっちりと費用は出すから要望を満たしてほしいという人の仕事の方がずっと楽なのだ。Kさんの契約を経験して実感としてそう思ったのだ。こんな小さな家で費用も出さない人の相手をするよりも、広い土地に費用をかけて大きな家を建てる人の仕事の方がよっぽど楽だし、やっていてよっぽど仕事が楽しい、と。
・・・だから、私は「20坪キラー」の人の気持ちがよくわからんのだが、「20坪キラー」の人というのはそういう家の契約をいただき、そういう家を建てる””ノウハウ””を知っている人なのだろう。 小堀住研(株)にいた時、7年目の営業の人が「大きな家の契約を取ろうと思えば、小さいのを捨てれば取れる・・と思いながらも小さい家を追いかけてしまうんだよなあ」と口にしていたことがあったのだが、小堀住研(株)は粗利益の何パーセントという歩合給であり、営業社員の評価も「何棟か」ではなく「粗利益いくらか」で評価されたので、そういった言葉が出てきたのに対して、(株)一条工務店では粗利益の額ではなく「何棟か」で評価されたので、「20坪キラー」の人はそれを自慢していた。自慢することではないだろうが・・と思ったのだが、「20坪キラー」の「木南さん」(仮名)は「私の担当の家はオプションなんて何ひとつないですよ。ほとんど標準仕様だけですよ♪」と言って自慢していた・・が、そんなことだから小さい家の契約しか取れないんだよお! ・・てものだったが、「20坪キラー」の「木南さん」(仮名)はそれを自慢していた。「木南さん」(仮名)の場合は「20坪の家」を得意とするだけに、50坪台の家の契約をしてもらえても、50坪台の家でも「20坪の家みたいな50坪台の家」を作ってしまうところがあった。(株)一条工務店の最初の中途入社社員の新入社員研修で講師役で来た人、誰だったか忘れてしまったが、「先輩社員に契約客の所に連れて行ってもらってください。なんだか、その営業によって似たような契約客ばっかりがその人のお客さんになっていますよ」という話がされた。その営業に合う人がその営業のお客さんになりやすいということをその人は言ったようだったが、その営業に合う人がその営業の担当のお客さんになる・・ということもあるが、「営業がお客さんを・・・にしている」という場合もあり、「朱に交われば赤くなる」と家造りに関しての部分でその営業にお客さんが似てくるという場合もある。 そして、お客さんのタイプが営業ごとに似ているということもあるが、その営業によってできる家が似ている・・ということもある。「木南さん」(仮名)の担当した家というのは、なんだか、みんな、「20坪の家」みたいな家だったのだ。50坪の家でも「20坪の家みたいな50坪の家」だったのだ。だから、私にとっては「20坪の家」よりも50坪・60坪・70坪の家の方がよくても「木南さん」(仮名)にとっては「20坪の家」の方がやりいい・・ということだったのではないかと思う。
〔3〕 この「1棟あたりいくら」という報酬の払い方、「グラフ」上での営業の評価も何棟という評価のしかたというのは、やっぱり不適切であろう・・ということだ。
どこがかというと、小さい家で「標準仕様」以外にはたいしてカネかけずに安い金額しか払わないで建てるKさんのような人にはそれを自覚してもらわないといけないのに、営業社員の評価が契約金額が違っても一緒だと営業社員がきっちりと意識できなくなってしまい、その結果として、契約客もまた、自分は戸建住宅としてはごく小さい家を安い金額で建てるという立場であって高額物件のお客さんと同じだけの金額を払うわけではなく高額物件のお客さんと同じだけの要求をできるわけではないという事実をきっちりと認識してもらわないといけないのに、それを認識してもらえないようになってしまう、という問題だ。
私は住宅建築業の会社に最初に入社した時、世の中には高い家を建てる人もあれば安い家しか建てられない人もあるけれども、どちらの人であっても大事なお客様であることに違いはないのであり、安い家を建てる人だからといって決して粗末な扱いにしてはならないと思ったし、高い家を建てる人と比べて安い家を建てる人を低く見るようなことはしてはならないと思った。
それは正しいと思う。しかし、片方で、クルマを購入する場合でも、カローラの値段で購入する人が購入したクルマにベンツやロールスロイスと同じだけの機能がなかったとしても、それはいたしかたないことであり、購入する人にもそれは理解してもらわないといけない。1泊朝食付で5000円というビジネスホテルに宿泊したならば、1泊5万円の高級ホテルに泊まる人と同じというわけにはいかないということは宿泊者は理解しないといけない。
1990年、小堀住研(株)で東京支店自由が丘展示場に在籍した時、田園調布駅の西側、「この漫才で田園調布に家が建つ」と言われた地域に「アンケートはがき」をポスティングしてまわったところ、田園調布駅の西側で何百坪かの敷地の家に住んでる社長の奥さんから問い合わせをもらって商談を進めかけたことがあったのだが、社長の嫁だけあってえらそうな口のきき方だったが、契約もらえたあかつきにはその1棟で半年はふんぞり返ってくらせるくらいの契約をもらえるだろうと思えば、ちょっとくらいえらそうにされてもいいよ・・と思ったものだった。結局、その商談が進まないうちに同社を離れることになってしまったが、契約してもらえたならそれだけのものを契約してくれる人ならちょっとぐらいは・・ということは現実にある。
2007年、(株)エイブルhttps://www.able.co.jp/ の勝田台店にいた時のことだが、「なんで、来場者用駐車場がないんだ」と文句を言った見込客があり、さらには「駅までクルマで迎えに来てくれ」などと言った見込客があった。「駅まで」といっても、京成本線「勝田台」・東葉高速鉄道「東葉勝田台」駅から(株)エイブルの勝田台店まではすぐであり、クルマで迎えにきてもらいたいというほど離れているわけでもなかったし〔(株)エイブルの勝田台店から(株)エイブルが営業社員用のクルマを駐車させるために借りていた月極駐車場までの距離と駅までの距離はたいして変わらなかった〕、何よりも、売買で何億もする土地建物を購入する客ならともかく、月3万円程度のアパートを借りるかどうかという見込客が駅までクルマで迎えにきてくれなどと言う方がおかしい。その時、営業担当の男性は「なんだ、この客は」とか言って怒りながら迎えにいったが、私は行く必要はないと思った。むしろ、行かない方がいいのではないかと思った。自分は契約したとして、仲介手数料にいくら払うと思っているのか。たいした金額払わないのに、「駅までクルマで迎えに来い」とか言う人というのは、断っていいと思う。
石ノ森章太郎の『ホテル』という漫画に登場する高級ホテル「プラトン」では、台風などで予約客が来れないで困っているとなると、台風の中でもクルマを走らせて客を迎えに行くという話がでていて、「高級ホテルというだけのことはある」とその客が感心するという場面があったが、台風の日に駅からホテルまで来る手段を失った予約客をクルマで迎えにいくというのは「高級ホテル」だからできることであって1泊5000円程度のビジネスホテルにそれをやってくれと言われても難しいだろう。
〔 私は「難しい」と言えば、それは「無理です」「できません」の婉曲表現と思っていたし、そのくらいはわかって当然と思っていたのだが、1994年、(株)一条工務店で福島県いわき市の営業所にいた時に、会津地方の喜多方市出身の人に「それは難しいですね」と言ったら、「難しいと言わないで何とかしてくださいよ」と言われ、さらに「難しいですね」と言ったが理解してもらえず、こちらとしては、これだけ無理ですと断っているのに、なんでこの人はわかってくれないんだと思ったのだったが、1970年代、大阪生まれのうちの上の姉が東京の人間と結婚して千葉県に住んでしばらくした時に、「このへんの人に『難しいですね』と言っても断られたと理解しないよ。関西の人間なら『難しいですね』と言われたら断られたと誰でも理解するけれども、このへんの人には『難しいですね』なんて言ってもだめよ。『だめ、だめ、だめ! 絶対にだめだめ!』とそこまで行っても理解するかどうかよ」と言っていたのを思い出した。そうか、この人は「難しいですね」と言われても断られたと理解しない人なんだ・・とわかった。東京から東・北の人間に「難しいですね」と言っても断られたとわからない人がいるらしいが、関西人の認識では「難しいですね」は「無理です」の婉曲表現だ。〕
戸建て住宅建築業においても、片方で「安い家しか建てない人でもお客様はお客様であって粗末にしていいものではない」という面があるものの、他方において「安い家しか建てない人が、高額物件のお客様と同じだけのものを要求されても応じかねる」という面もあるという点について、営業社員も認識し理解するべきであるし、安い家しか建てないのに高額物件の客以上のものを要求してくるような人には、それに応じるべきではない。又、相当の高額物件のお客様ならば、「えらそうにしやがってからに」と思っても営業担当が「高い金額払ってくれるなら我慢もしようか」と思うようなそういう我慢を安い金額の家しか建てないくせに要求するような人には、それは違いますよということをわからせてあげるようにした方がいい。 ユースホステルに泊まる客、あるいは萩之茶屋あたりのバックパッカーが最近では泊まるようになったらしい宿泊所に対して、高級ホテル「プラトン」のホテルマンみたいな対応を要求する客には、それは違いますよとわからせてあげるようにした方がいい、ということをKさんを通じて認識したし、その為には、会社もまた「どんな契約も1棟は1棟」という評価というのは、あんまりいいことではない・・と認識した。
〔4〕 《「ど真ん中のストレート」を意識して投げる》
ダイエーホークスの投手だった斉藤和巳選手が週刊誌に野球に関するコラムを書いていて、なかなかの頭脳派だったようで、そういうことがあるのかと思えて面白かった。
野村克也のじいさんが江本に「おまえだけのサインやぞ」と言って「ど真ん中のストレート」というサインを出したと野村だったか江本だったかが書いていたが、それは、江本は球威があるがコントロールが悪い投手で、特にピンチになって緊張するとストライクゾーンにすら球が入らなくなることがあったが、そういう時に捕手 野村は「おまえにだけのサインやぞ」と言って「ど真ん中のストレート」というサインを出したらしく、球威はあるがコントロールが悪い投手が「ど真ん中のストレート」を投げると、たいてい、ど真ん中ではなくどちらかにそれた球がいくようで、どっちに行っても球威はけっこうあるから、それで打ち取れることが少なくない・・ということだったらしい。
斎藤和巳投手の場合はそれとは事情が違う。打者にもいろいろな打者がり、斉藤和巳投手が意図的に「ど真ん中のストレート」を投げた相手というのは、誰だったか名前は忘れてしまったが、体格も小さく力が強くない野手だが、ストライクとボールの境目付近の球をうまくカットしてファウルにしてねばるのがものすごくうまい・・という選手がいて、こういう選手にコーナーに投げて見送ってもらおうとか打ち取ろうとしても大変だが、長打力はないのでヒットを打たれてもシングルヒットだ。齋藤和巳投手は肩に「故障」をかかえていて、1試合あたりであまり多くの球数を投げることができなかったらしく、「ファウルで粘るのがものすごくうまい」という打者にコーナーをめがけて投げて粘られて、1打席で十数球も投げさせられたのではたまったものではないというのだ。もしも、1打席で15球も投げさせられたとすると、その打者に4打席まわったならば、
15球/打席×4打席=60球
ということになり、1人だけで60球も投げさせられるという計算になる。
何球も投げることができる投手ならいいが、肩に「故障」があってあまり多くの球数を投げることができない斉藤和巳投手としては、それは避けたい。そういう時に、意図的に「ど真ん中のストレート」を投げたというのだ。「どうぞ、打ってください」と。
「ど真ん中のストレート」を「どうぞ、打ってください」と投げたとしても、打者の側では「ど真ん中のストレート」を打つ練習なんてやっていないから、「ど真ん中のストレート」だからといって必ずヒットを打てるというものではないという。 そして、打たれたとしても、その打者はコーナーの球をうまくファウルにする技術はものすごいものを持っているけれども長打力はない打者で、打たれてもシングルヒットだと。それならば、1打席で十数級も投げさせられるくらいならば、シングルヒットをさっさと打ってもらった方がよっぽどいい・・・と。
そういうことらしい。
(株)一条工務店を辞めた後で、この斉藤和巳投手〔週刊誌にコラムを掲載していた時点ではすでに引退していた〕のコラムを読んで、あの時のKさんには斎藤和巳投手が投げる「ど真ん中のストレート」と同じことをやれば良かったんだな・・と気づいたのだ。
「(こちらはやることやってるのだから、それで気に入らないということならば、、かまいませんから、)どうぞ、解約してください」と。 むしろ、そうしたならば、自分の方が悪かったと気づいて解約せずに前に進んだ可能性も考えられる。
実際のところ、小さい安い家を建てるのに、営業担当者が相当に労力も払えば気も使ってやっているのに、それをごねまくって我儘放題やる人というのは、「ど真ん中のストレート」を投げて「どうぞ、打ってください」とした方がいい・・という面がある。そんな客1件のために無茶苦茶労力かけられて、無茶苦茶時間を費やされてしまうくらいならば、「かまいませんから、どうぞ、解約してください」と「ど真ん中のストレート」を投げるようにして、そうやって空けた時間で他の人の相手をした方がずっといい・・と。肩に「故障」をかかえていて、あまり多い球数を投げることはできなかった齋藤和巳投手にとって、1打席で十数級もねばられる打者を打ち取ろうとするよりも、「ど真ん中のストレート」を投げて「どうぞ、打ってください」としてシングルヒット打たれた方がよっぽどいい・・というのと同じく、Kさんみたいに小さい家を安い金額でごねまくって建てる人に労力と時間を費やされるくらいなら「どうぞ、解約してください」と「ど真ん中のストレート」を投げるようにした方が良かった。
「ど真ん中のストレート」というのは住宅建築業の営業にとっては、ひとつの方法だ。
「業者」でやりたくない仕事の見積もりを出してくれと無理に言われると、そんな金額で依頼する人なんてないだろうと思われるような高い金額の見積もりを出す人がいる。「どうぞ、断ってください」という意味だ。 それと似たところがあるかもしれない。
住宅建築の契約というものは、建築会社と施主と両方で気を配り合いながら進めるもので、十分過ぎることをやってきているのに、どんなに話してもわかってくれない人には「どうぞ、解約してください」と「ど真ん中のストレート」を意図的に投げるというのも、ひとつの方法だ。
これは実際に経験しておのれの体で骨身にしみて感じてこそ身につく感覚だ。
これは「なんで、あんな人、契約してしまったんだろう」という契約客に対してだけではなく、見込客に対してもありうることだ。小堀住研(株)に入社1年目、7年目の営業の人が前に所属していた営業課の課長から言われた話として聞かせてくれたのだが、「『客(契約客)』というのは契約書に署名捺印してくれて着手金(契約時に払ってもらうカネのことを(株)一条工務店では「契約金」と呼んでいたが小堀住研(株)では「着手金」と呼んでいた)を払ってくれた人のことで、契約前の人というのは『見込客』であって、『客』(『契約客』)になる見込みがある人ではあっても『客』(『契約客』)ではないのだから、契約前の人に、あれやってくれ、これやってくれと言われてもやらなきゃならないことはないからな」と。片方で「契約に結びつけるために」どうすればいいかとして「お役立ち精神」なんて研修で教えているものの、他方で「『客(契約客)』というのは契約書に署名捺印してくれて着手金(契約時に払ってもらうカネのことを(株)一条工務店では「契約金」と呼んでいたが小堀住研(株)では「着手金」と呼んでいた)を払ってくれた人のことで、契約前の人というのは『見込客』であって、『客』(『契約客』)になる見込みがある人ではあっても『客』(『契約客』)ではないのだから、契約前の人に、あれやってくれ、これやってくれと言われてもやらなきゃならないことはないからな」と言われると、なんか矛盾しているかのように思えないこともないが、矛盾しているのではなく、両方の面があるということだろう。
それで、「『客(契約客)』というのは契約書に署名捺印してくれて着手金(契約時に払ってもらうカネのことを(株)一条工務店では「契約金」と呼んでいたが小堀住研(株)では「着手金」と呼んでいた)を払ってくれた人のことで、契約前の人というのは『見込客』であって、『客』(『契約客』)になる見込みがある人ではあっても『客』(『契約客』)ではないのだから、契約前の人に、あれやってくれ、これやってくれと言われてもやらなきゃならないことはないからな」というのも、これも理屈では理解するのだが、実際に営業の仕事をやると、なかなかその理屈通りいかない時が少なくない。
そういう場合もまた、齋藤和巳投手が投げたという「ど真ん中のストレート」を投げるという選択、「断るなら断っていただいてけっこうです」、「他社で契約して建てられるのなら、かまいませんよ」という態度というものも、これも時として必要ではないのか・・と思うようになった。・・で、齋藤和巳が書いていたのだが、その気持ちで「ど真ん中のストレート」を投げたとして、必ずヒットを打たれるというものでもないらしい。プロ野球の打者は「ど真ん中のストレート」を打つ練習なんてやっていないし、「ど真ん中のストレート」が来ると思っていないので、「ど真ん中のストレート」を投げたとしても、それでもアウトになる場合はあるという。
1980年代後半、小堀住研(株)に入社してすぐの新卒社員研修の際に、困った客に対してどう対処すればいいか、営業所ごとに話し合って意見を提出してもらいたいとTQC推進本部営業部会で求めたものに対する回答のなかに「お客さんの問題」という返答があって、TQC推進本部営業部会部長のSさんは「『お客さんの問題』とは何だ。客のせいにしてしまってはいかんだろう」とそれについて発言し、その話を聞いていた新卒入社社員は多くの人間が「そうだなあ」と思ったのだった。しかし、たしかに「困ったお客さん」でも、それに対して営業はどう対処するかということを問うているのに、「お客さんの問題」ではだめだろうという面もあるかもしれないが、そうでもないかもしれない・・と私は(株)一条工務店で十年以上勤めて思うようになったのだ。
片方で、その問いは「営業はどう対処すればいいか」という問いだから、どう対処すべきかを考えないといけないのだけれども、片方で、どんなお客さんでも、その時までに何十年かの人生を生きてきている人であり、営業の対応でどうこうなるものではない場合もあるのだ。
(株)一条工務店では、「営業がお客さんを・・・にしている」と言ったことが言われていた。左の「・・・に」の部分には「扱いにくい人に」とか「我儘な人に」とか「細かい人に」とか「厚かましい人に」とか、そういった文句がはいる。 福島県いわき市の営業所にいた時、「なんだか、S藤さんの担当のお客さんて、「類は友を呼ぶ」なのかS藤さんみたいな感じの人が多いなあ」と言う人があり、そうかもしれん・・と思ったことがあった。栃木県佐野市の営業所にいた上岡くん(男。40代前半)とその担当客を見て、もうひとつ、「朱に交われば赤くなる」というのもあると思った。上岡くんの担当客というのは私や他の営業の担当客に比べて我儘な人が多い傾向があったが、上岡くんの場合は、この
(1)「営業がお客さんを・・・にしている」
(2)「類は友を呼ぶ」
(3)「朱に交われば赤くなる」
の3つの融合形だと思われた。〔かつ、本人にその自覚がなかった。「精神医学」用語で表現するなら「病識がない」状態だった。〕
戸建住宅建築業の営業をやっている人で、もしも、自分が担当のお客さんが他の営業のお客さんよりも我儘な人が多いとか、困った人が多いとか何かそういうことを感じることがあったなら、この(1)~(3)に該当するようなことはないか、検討してみた方がいいと思う。
特にこの(1)については営業の対応を変えればお客さんの対応も変わるわけだから、考えた方がいいのだろう・・・けれども、他方において、人間の性格とか生き様・物の考え方とかいったものは何十年かかけて作られてきたものであるから、戸建住宅建築業の営業がそのお客さんの性格なり物事の考え方なりを変えようと思っても、むしろ、簡単に変えることができると思うのは傲慢ではないか・・という面もあるのではないか。だから、小堀住研(株)でTQC推進本部営業部会が各営業所に回答を求めたものの中に「お客さんの問題」という返答があったというのは、それは《「お客さんの問題」であって営業の対応でどうこうなるものではない》というケースがあり、そういう人なんだと割り切るしかない、そういう人なんだと割り切るしかなく、営業の対応で変えようとか変わってもらおうとか考えてもしかたがない・・という場合がある、という意味としては間違っていないのではないかと思うようになった。
そういうケースにおいて、もう、やるだけのことは十分過ぎるほどやった、この人にはできる限りのことをやってあげた、感謝されこそすれ文句言われる筋合いはない、これだけやっても気に入らないというのならば、「ど真ん中のストレート」・・「どうぞ、打ってください」「どうぞ、解約するなら解約してください」というのもひとつの対応だと思うようになった。
(株)一条工務店の松戸展示場に、「名古屋市の八事(やごと)展示場にいて条件がいい営業所に配属してもらっていたにもかかわらず営業成績があがっていなかった松下」が来て、私にKさん宅に一緒に行くというので、私より年下の人間だったが(株)一条工務店では「十年選手だぞお」と営業本部長で松戸営業所長の天野隆夫が言うことなので連れていったところ、「すべて、〇〇が悪いんです。申し訳ございませんでした」などと言って、ちっとも悪くない私のせいにして自分だけが「ええもん」の役やりやがった。私は今となっては20年ほど住宅の営業等の経験をしたが、いくらなんでも松下みたいなことする人間というのは、あの男以外に見たことがない。
(株)一条工務店の「一族」経営者、特に営業本部長の天野隆夫という男はそういう人間が大好きだ。なんで、そんな人間がいいのか、どうもよくわからんのだが、なんでそんな人間がいいのかという人間を好む男、そういう人間だった。
「(株)一条工務店の遠州人」というのは卑怯者集団である。但し、あくまでも「(株)一条工務店の遠州人」がであって「遠州人一般」のことを言っているのではない。 しかし、「(株)一条工務店の遠州人」というのは卑怯者集団であるのは間違いないが、それでも、いくらなんでも松下みたいなことやった人間というのは、さすがに他にはいなかった。
(2022.2.13.)
人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ - A.H. マズロー, 小口 忠彦
2003年に阪神にゃんこズ が18年ぶりに優勝しました。 私が小学生の頃、1960年代後半から1970年代前半にかけて、阪神にゃんこズは決して弱くなくて、2位とかが多かったのですが、何しろ、阪神にゃんこ は首位の巨人に弱い。3位とかが多かった大洋ホエールズではエース 平松は巨人キラーであるだけでなく、坂井・山下といった他の先発投手も巨人に強い。ところが、「巨人に強い大洋」が首位の巨人をボコボコにやっつけたと思ったら2位のにゃんこ が巨人に負けて、巨人を生き返らせる・・という場面を何度見たことか。2003年に星野が監督の時に優勝して、2005年に岡田が監督の時に優勝し、2022年はそれからすでに17年目だが「まあ、そんなもんか」て感じがしないでもない。昔から阪神というと2位か3位というイメージがあって「弱いというわけではないが優勝はしない」というイメージがあった。2021年半ば頃には解説者がそろって「今年は阪神が有力」と言い、9月になって「三つ巴」の状態になっても「阪神か巨人か」なんて言っていたが、野球解説者でも元野球選手でも何でもない「野球未経験」の私はその時点で思ったよ、「今年はヤクルトが最有力」と。なぜなら、どうも巨人は本調子ではないように思えたし、「本調子でない巨人」というのは優勝しない、「優勝しなければ2位も最下位も一緒」みたいな感覚が巨人にはあるから落ちだしたら早い。そして、阪神にゃんこ は優勝争いに弱いんだよ、無茶苦茶。〔2位争いには強いけど。〕ヤクルトは最下位になることもあるが優勝することもある。それに対して阪神にゃんこ は何よりも親会社が電鉄会社という公共企業なもので、「最下位は困るが優勝みたいなもん、せんでもええ」「優勝みたいなもん、しよったらうるそうてかなわん」とか経営者が思ってるのと違うか・・なんて昔から言われてきたように、「最下位は困るが優勝なんてせんでもええ」みたいな””伝統””があるから、「阪神が最有力」なんて言われても「ええ~え?」て思ったもんだ。
〔なお、毎年、阪神タイガースは「商売繁盛の神さま」西宮戎神社に参拝しておって、「えべっさん」は律儀に願いをかなえて甲子園球場にはお客さんがいっぱい来るようにしてくれているけれども、なにしろ、「えべっさん」は商売繁盛の神さんだからお客さんは呼び込んでくれるけれども勝負事に勝つ神さんではないので優勝させようなんて能力はなく、だから阪神は優勝しないんだという説があるが、阪神タイガースは「商売繁盛の神さん」の西宮戎神社に参拝するとともに「戦う神さん」の広田神社にも参拝していたはずなので、めったに優勝しないのは「えべっさん」のせいではない・・と思う。〕
その阪神にゃんこ が長くCクラスを続けた後、野村じいさんの3年間の後、星野が監督になって2年目に18年ぶりに優勝した。それも、セリーグではダントツ1位だった。但し、阪神にゃんこ は昔から伝統的に「首位争いに弱い」ので、阪神にゃんこ が優勝するには「ぶっちぎりの優勝」しか優勝する方法はない・・て感じ。 そして、ダントツ1位での優勝の勢いに乗って日本シリーズに臨んだものの、日本シリーズ前、テレビで「解説者による勝利チーム予想」で野村じいさんが「私は両方のOBなので、どっちと言えないんです」とまわりくどい言い方をして「4勝3敗」と予想したら、予想通り、ダイエーホークスの4勝3敗になった。野村じいさんが「阪神は井川の使い方」と言い、「阪神はセリーグではダントツの1位だったが日本シリーズになるとまた違う。そこをわかっているか」と、なんかまわりくどい言い方をしていたが、その言葉の通りになった。その年、セリーグの阪神の井川が20勝5敗の成績をあげたとともに、パリーグにて20勝3敗というものすごい成績をあげたのがダイエーホークスの斎藤和巳投手だったのだが、私が(株)一条工務店を辞めた後、ある週刊誌にその斉藤和巳投手がコラムを書いていて、「ど真ん中のストレート」なんてねらって投げる投手はないと思われているけれども自分はけっこう狙って投げた、ということを書いていたのだ。・・それを読んで、(株)一条工務店https://www.ichijo.co.jp/ で つきあいずらい契約客、具体的には1993年前半に松戸展示場に在籍した時に契約いただいたKさんに対して、そうすれば良かったか・・と思ったのだ。
※ 《YouTube-斎藤和巳》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%89%E8%97%A4%E5%92%8C%E5%B7%B3
Kさんがどういう契約客だったかは、[第901回]《ひとのせいにする営業、せいにされた時、どうしたものか。勝手に転んで嘘泣きする子供に「申し訳なかったねえ」と言う店長。施主に原因があるものを担当営業を悪者にする男。契約客を放置して解約したいと言われた営業ではなく引き継いだ者が悪いと言う所長。》https://sinharagutoku2212.seesaa.net/article/202201article_9.html の【2】 で述べた。
(株)一条工務店より前に小堀住研(株)に在籍したのだが、小堀住研(株)でも(株)一条工務店でも営業の給与は「基本給+歩合給」になっていたが、歩合給の部分について小堀住研(株)では「粗利益(あらりえき)(あらり)」の何パーセントとして支払われたのに対して、(株)一条工務店では1棟あたりいくらとして支払われた。 なぜ、そうなっていたかというと、4つ理由があったと思われる。
※ 「粗利益」は「そりえき」と読む人が多いのだが「あらりえき」と読むのが正しいようで、略して「あらり」とも言い、《 たとえば500円で仕入れた商品を1000円で販売すると粗利益は500円となる。》(《Weboio 辞書》https://www.weblio.jp/content/%E7%B2%97%E5%88%A9%E7%9B%8A 「流通用語辞典 粗利益」)というもので、人件費を引く前のものという特徴がある。
[1] 小堀住研(株)では「会社員の報酬は会社にどれだけ利益をもたらせたかに対して支払うのが当然」と同社では言われていたのだが、小堀住研(株)は比較的広い価格帯で建てていた会社で、クルマに例えるならばカローラもあればクラウンもありセンチュリーもあるという会社であり、建築費3億円の家と1500万円の家との契約を同じ扱いにするわけにはいかないのに対して、(株)一条工務店はクルマに例えるなら「クラウンくらい」の商品しかない会社でカローラは苦手でセンチュリーも苦手という会社で〔浜松・掛川では東京都では坪55万円のものを48万円、名古屋では坪49万5千円でダンピング販売することで「クラウンとカローラの中間」くらいの価格で販売していて、東京営業所の営業は「浜松クラウン」を東京向けクラウンとの競合で営業させられていたのに対して、浜松・掛川・名古屋の営業は「クラウン」を「カローラに近い値段」で売って「カローラ」との競合で営業させてもらっていた、東京の営業が競合になる商品よりも他社の二回りほど安い価格帯の商品との競合で営業していたが。〕(株)一条工務店は自社商品の価格帯の幅が狭いので、1棟あたりいくらとしても問題は出にくかったということと、
[2] (株)一条工務店https://www.ichijo.co.jp/ は静岡県・愛知県中心の会社、「遠州人が他の地域の人間よりも得することなら、どんなことでもやらまいか」という「やらまいか精神」の会社であり〔「やらまいか」というのは遠州弁で「やってみよう」という意味だそうです〕、私が入社した1992年の時点で、「セゾン275S1」というタイプを「施工面積」という延べ床面積より広めになるように設定され、「坪当たり」にすると延べ床面積の「坪当たり」よりも安く見えるように(株)一条工務店が設定した見積もり上の独自の単位で東京都・神奈川県では55万円で売らされていたものを浜松・掛川など静岡県西部ではなんと48万円のウルトラのダンピング販売、名古屋などでは坪49万5千円とこれもまたウルトラのダンピング販売をしていたので、「粗利益」に対していくらとすると静岡県中西部・愛知県の営業は「粗利益」が小さいはずなので静岡県・愛知県の人間が損しないように「粗利益」の何パーセントではなく1棟あたりいくらとした。
又、それでも大きな家と小さな家とでは差があるということで、(株)一条工務店では最初は「施工面積」で60坪以上は2棟扱いにしていて、後に70坪以上と変更したが、「地方」にいくと60坪以上の家を建てる人は時々あり、私も福島県いわき市の営業所にいた時には何軒か契約いただいたが、東京都など都市圏では60坪以上の広さの家を建てる人は多くなく、逆に「広くはないけれども費用をかけた家」を建てる人はある・・ということを考えると、東京圏などの営業に不利になるように、静岡県中西部・愛知県の営業が得するように、広い家を建てる人がある静岡県・愛知県の営業には「2棟扱い」の契約が出るようにした。東京の営業が「広くないがカネかけた家」の契約を取得しても「2棟扱い」にはならないようにした。かつ、浜松などでは3階建ても建築可能としていて、浜松駅前付近で3階建ての家を建てたお客様もあったのに対して、1992年、東京営業所では「工事が大変だから3階建ての契約は不可」とされた。又、浜松・名古屋では30坪未満の家も契約可だったのに対して東京都では江東区・江戸川区などの下町では20坪くらいの土地に建てる人があり、かつ、ハウスメーカーの企画住宅ではプラン集にあるものから選んで建てるという方式のものが多くて、それらのプランは延べ床面積30坪くらいからのものが多く、20坪くらいで建てたいという人にはハウスメーカーの企画住宅では対処できないから、最近ではアイダ設計などそういう住宅をけっこう得意とするハウスメーカーも出現してきたがその頃はなく、プラン集から選んで建てるという方式ではない(株)一条工務店の東京営業所ではそういう人は契約いただける可能性が考えられる見込客の1タイプだったのだが、それを契約させないようにするために「浜松・名古屋では30坪未満の契約も可能だが、東京営業所では30坪未満の契約は不可」とされた。
「60坪以上の広い家」は「2棟扱い」にするが、「広くはないがカネかけた家」は通常の1棟扱いというのは、それは「広い家」を建てる人は時々ある「地方」に有利、静岡県・愛知県の営業が有利になり、「広くはないがカネかけた家」を建てる人がある東京都の営業は有利にならないようにするという細工のひとつだった。まさに「遠州人が他の地域の人間よりも得することならどんな卑劣なことでもやらまいか」という「やらまいか精神」の発揮だったのだ。
[3] かつ、「粗利益」の何パーセント という計算法を取るならば、静岡県・愛知県の営業は東京都・神奈川県よりもウントコサ安い金額で売っているので、「粗利益」は小さいはずで、さらには静岡県・愛知県だけテレビ広告をドカンと一発やりまくっているのでテレビ広告の費用も静岡県・愛知県の契約から引いて「粗利益」を計算したならば、静岡県・愛知県の営業のもらえる1棟当たりの歩合給は東京都・神奈川県の営業の歩合給よりも少ないとともに、他の「地方」の営業と比べても少なくなる。それは嫌だということから、静岡県・愛知県では安い坪単価で売るとともに、静岡県・愛知県にだけテレビ広告やら何やらかやらに費用をかけるが営業の評価はあくまでも1棟あたりいくらの評価にすることで、静岡県・愛知県の坪単価が安すぎることや静岡県・愛知県だけ広告などに費用をかけまくっていることを隠蔽しようという策略だったのだ。
[4] そして、3つ目は「粗利益」に対していくらとすると、「粗利益」がいくらなのか、営業社員に教えないといけないことになってしまう。(株)一条工務店の「一族」経営者としては従業員にそういうものを教えたくない、ということがあった。
「粗利益」て何なんだというと、収入から原料費などの経費を引いたものから人件費を引く前の金額らしい。小堀住研(株)はその「粗利益」の何パーセントという計算をしていたのだが、私は最初に聞いた時、そんなこと言っても、原料費というのは「先入れ先出し法」によるのか「後入れ先出し法」によるのか、それによっても変わってくるのに、どうやって「粗利益」というのを決めるのだろうか・・と思ったのだ・・が、慶應大学の商学部を卒業した者ならば誰でもそれを考えると思うのだ。「会計学総論」「会計学」「会計制度論」「財務諸表論」といった講義を履修してきた者としては、それらについて特別に優秀な成績を残したのでなくても、そのくらいのことは考えるはずだ・・が、小堀住研(株)に私より前から在籍していた営業の人でそういったことを考える人はいなかった。経済学部・商学部卒の人はいたはずだが、実際問題として、たとえば、1990年、東京支店自由が丘営業課にいた「近藤すしいち」(仮名)の「近畿大学経済学部卒」なんてのは経済学部卒のうちに入らなかったということか。小堀住研(株)の高卒の社長とか人事部長とかはそういうのを経済学部卒だと思っていたかもしれないが、慶應大学の経済学部・商学部卒の人間ならば、先入れ先出し法か後入れ先出し法かによっても変わってくる・・というくらいのことは認識していて当然であり、「近藤すしいち」(仮名)みたいな「経済学部卒」と一緒にされたら迷惑だ。
※ 先入れ先出し法・・実際に先に購入した物から順番に使うか売るかしたかどうかにかかわらず、会計処理上、先に購入した物から使用するなり売却するなりしたとして処理する方法。
※ 後入れ先出し法・・後から購入した物から使用するなり売却するなりしたとして処理する方法。
だから、小堀住研(株)の工務課なり経理課なりが「粗利益」はいくらですと言ったとしても、本当にその金額だと信じていいのかどうかはわからない。だいたい、会社というのは従業員に嘘つくことが多いし、「粗利益」はいくらですよと言われて「はい、そうですかあ」と信じていいのかどうかは疑わしい・・だろうけれども。
もうひとつ、小堀住研(株)〔⇒エスバイエル(株)〕にはグループ会社として小堀住工(株)〔⇒エスバイエル住工(株)〕という小堀住研(株)が建てる木質パネル構法の木質パネルなど木質材料を製造・用意する会社・小堀住宅流通(株)〔⇒エスバイエル住宅流通(株)〕という不動産会社・インテリアワークス(株)という照明器具・カーテン・エアコンなどの会社があったのだが、それらの社長・代表取締役は小堀住研(株)の社長・代表取締役と同じ2代目で「メカケの子」説と「メカケの娘の婿」説があった中島昭午がなっていたはずだが、小堀住研(株)が小堀住工(株)から木質パネルその他の木質構造材を購入したということにして建てていたわけだが、当然、小堀住工(株)は利益をあげていたわけだが小堀住工(株)があげた利益は小堀住研(株)の「粗利益」の中には入っていたのかいないのか? 小堀住工(株)に小堀住研(株)が払った金額というのは全額が「経費」という扱いになっていて小堀住工(株)の利益は小堀住研(株)グループの利益であっても小堀住研(株)の「粗利益」には含まれていなかったのか。それなら、そのやり方でいくらでも「粗利益」は小さく見せることはできたということだ。照明・カーテン・エアコンはグループ会社のインテリアワークス(株)に所属のコーディネーターが扱っていたが、照明・カーテン・エアコンについては建物の契約より後で決められていたから、建物の契約時に算定される「粗利益」には当然入っていなかったということだろう。小堀住研(株)の先輩社員には、このあたりについて気づいている人というのが見当たらなかったのだが、本当にまったく気づいていなかったのだろうか?
さらには最初から小堀住研(株)に入社した従業員には毎日、労基法違反の長時間労働をさせてきて、「銀行から出向で来た者ども」は最初から小堀住研(株)に入った従業員より高い役職をもらって楽な生活していたのだが、なんで「銀行から来た人間」に特権階級になられなければならないんだ?!? ・・とかそういうこともあったが。
そういうことはあったが、しかし、それでも、「粗利益」の何パーセントという歩合給にするとともかく会社として「粗利益」はこの家1軒に対していくらですよお~お・・というものを営業社員に示すことになる。それに対して、(株)一条工務店ではそれを営業社員に示さないので自分が契約した家について(株)一条工務店はどのくらいの利益を得ているのかわからない。(株)一条工務店の「一族」経営者は非「一族」従業員に1棟あたりどのくらいの利益が出ているのか教えたくなかったのだ。(株)一条工務店の企画室課長⇒総務部長の天野雅弘が「不動産の仲介でも仲介手数料は『3%プラス6万円』までと決められているのだから、住宅建築でも1件あたり、2000万円の契約でも66万円しか利益を得てないのだから、年間4棟、契約したという場合で、66万円/軒×4軒=264万円 しか利益はもらえないのだから、従業員に払う給料だって、それ以上は契約してもらわないと払えないのは当然だろう」などと、そういうことを言いやがったのだ。
この男、「おれらは高卒じゃい」とか言ってるくせして、その「高卒じゃい」がよくもまあ、そういうことを言うワル知恵が働くもんだ・・とあきれたことがあったのだが、まず、不動産の仲介手数料の「3%+6万円」までというのは「片手」であり、売り手と買い手の両方の不動産屋の合計は「3%+6万円」×2 であるし、何よりも不動産の仲介手数料の戸建住宅建築業の利益とは全然性質の違うものであり、(株)一条工務店が戸建住宅を建てた場合に1軒あたり「3%+6万円」しか利益をもらってないわけないだろうが! まったく、つくづく、よく言うわ!♪! バカ言ってんじゃないわ♪〔⇒《YouTube-3年目の浮気 ヒロシ&キーボー》https://www.youtube.com/watch?v=H8vISMbjK7g 〕
「よく言うわ~あ、いつも騙してばかりね~え」「私が何にも知らないとでも思っているのね~え」
何が「3%プラス6万円」じゃ、よく言うわ! (株)一条工務店が1棟あたりにもらってる利益額はそんなものとは「ち~が~うだろ、このハゲ~え!!!」〔⇒《 このハゲ〜!違うだろ!違うだろ!違うだろ!》https://www.youtube.com/watch?v=vOWQvoBC9D4 〕
また、言う相手を見て言ったらどうなんだ・・とも思った。俺がそんな嘘っぱちに騙されるとでも思ってるのか?!? 相手見て物を言えよ! このボケ~え!
1995年だったと思うが、(株)一条工務店は脱税で国税局から取り締まりを受けて100億円の追徴金を取られたということがあったのだが、その時、社長だった大澄賢次郎は「一条工務店にとっては100億円なんて何ともない。一条工務店にはカネなんかいくらでもある。一条工務店にはカネみたいなもん、あり余ってる」と言ったというのだ・・が、すごいこと言いますねえ~え! 「カネみたいなもん、あり余ってる」のならば、もうちょっとまともな給料払ったらどうなんだい。従業員に給料払う時には「そんなこと言ってもカネないのに払えるわけないだろうが」と言いながら、おのれが脱税して追徴金100億円を取られるとなると「カネみたいなもん、あり余ってる」て・・( 一一) 「よく言うわ♪」
(株)一条工務店は少しでも営業成績があがらない営業社員がいると「赤字社員だ」とか言い「レッドカード」とか言っていたのだが、それならば、100億円の追徴金を払わされるような脱税やった人間というのは、これは間違いなく「赤字社員」であり「レッドカード」のはずだが、誰なんだ、それは? 「レッドカード」ではないのか?
小堀住研(株)⇒エスバイエル(株)は、1990年前後頃までは高級住宅志向の自由設計の「新 桂(しん かつら)」と「高品質低価格」タイプの「ハウス55」との2本立てのようになっていた(なってしまっていた)のだが、安い方の「ハウス55」で1500万円前後くらいの契約を1棟あげた場合で、「粗利益」は300万円くらいだった・・と記憶している。それは工務課・経理課が示した数値なので、そのまま正しいのかどうかわからないが、そういう数値が示されていた。(株)一条工務店の「セゾン」「百年」というのは小堀住研(株)の「新 桂」の多くのものよりは安いけれども「ハウス55」よりは高いというものであり、1棟あたりの利益もまた「ハウス55」よりも大きいはずなのだ。「3%プラス6万円」なわけないだろうが! アホか! 嘘つくにしても相手見て言え! 人を馬鹿にしてんのか!
そういうことで、(株)一条工務店では「1棟あたりいくら」という歩合給になっていた。
世の中、ズルイ会社、ズルイ経営者は多く、(株)一条工務店では私が入社した1992年においては、午前10時00分~午後7時00分が就業時間であったが、「退社時は午後9時を過ぎてからタイムカードを押すこと」と「通達」に書かれていた。それでは労働基準法違反であろうが!〔1日8時間・1週40時間までという労働時間オーバー〕・・と思ったし、労働基準法違反の証拠を残してくださいと会社が従業員に指示しているようなものだったのだが、それからしばらくして、「始業時刻前のみタイムカードを打刻して、退社時にはタイムカードは押さないでください」という指示がきた。なぜ、そうなったかというと、どこの営業所だったかで、自分のタイムカードを労働基準監督署に持っていった従業員がいたそうで、それで労働基準監督署から苦情を言われたらしく、そんなもの、「苦情を言う」のではなく日本国の法律に明らかに違反している不良経営者はきっちりと刑事罰を課してやるべきではないのか・・と思うのだが、ところが労働基準監督署というのは労働基準法違反を取り締まっているふりをして取り締まらないことで不良企業の不良経営者を守ることに必死になっている機関であるので、(株)一条工務店の不良経営者も何ら刑事罰をくらうことはなかったようだ。
小堀住研(株)には1980年後半、タイムカードというものがなかった。新卒社員研修の際に渡された会社紹介の資料には何年からタイムカードを撤廃したということが自慢気に書かれていたのだが、それを最初に見た時には、これはマグレガーのY理論による経営か・・と思ったのだ。
企業の人間的側面―統合と自己統制による経営 - ダグラス・マグレガー, 高橋 達男
ダグラス=マグレガー『企業の人間的側面』(産業能率大学出版社)では、X理論・Y理論といったことが言われ、Y理論というのは人間を信頼して、自主性に基づいた管理・経営をおこなうことを勧めるものだが、それかと思ったのだ・・が違った。ダグラス=マグレガーのY理論とかそういうものではなく、労働基準法違反の時間外労働・深夜労働・無賃労働をさせていることの証拠を残さないためにタイムカードを「全廃」したのだった。
なんか、そういうズルイやつの会社にばっかり勤めて、報われない努力をして、滅私奉公・破私奉公を繰り返してバカばっかり見さされてきた。
昔、うちの父親が「野村証券とか住友銀行とかなんて給料ええけれども、よう働かせよるでえ~え」とか言っていたのだが、小堀住研(株)にしても(株)一条工務店にしても「よう働かせよる」けれども、特に(株)一条工務店なんてちっとも給料ええことないじゃねえかよお!
特に、小堀住研(株)は1990年前後頃までは営業の報酬は同業他社との比較では悪い方ではなかったとも言われたが〔その後、同社の営業社員の給与は引き下げられたとこもどこかで見たか聞いたかしたような気がするが〕、(株)一条工務店は「浜松の会社」だけあって比較の対象が浜松の会社との比較であり、「地方の会社」が基準になっているので東京や大阪発祥の会社と比べて低めであり、「地方」の兼業農家の人などでは安めでも田んぼやりながら勤められるからいいわ・・てことで勤めている人もいたようだが、都市圏出身者にとっては割のいいものではなかった。 (株)一条工務店を辞めた後、ある人材紹介会社の人から日本住宅(株)という岩手県に本社がある会社について誘いをもらったことがあったが、「地方に本社がある会社はもうけっこうです」とお話しした。「後進国の外資系企業」と一緒なのだ。外資系企業は給料が高いと思っている人がいるが、それは西ヨーロッパかアメリカ合衆国の外資系企業の話だ。「後進国の外資系企業」では、日本の支店で働く人には日本の給与水準に合わせたものを払わないといけないということを理屈ではわかっていても、どうしても本国の給与水準に引っ張られて安めの額になりがちだ。「浜松の会社」もまた、そんなところがあったようだ。「浜松という後進国の外資系企業」というのは浜松の給与水準に引っ張られて決められる。だから、東京で勤めるのに「浜松の会社」に勤めるよりも、東京発祥・東京本社の会社か、そうでなくても大阪発祥・大阪本社の会社に勤めた方がその理由でいい・・という面がある。
(株)一条工務店の工場部門の(株)日本産業の工場にフィリピン・インドネシア・ブラジルといった国から働きに来ていた人がいたが、日本よりも物価水準が低くて給与水準も低い国の人が日本に働きにきて、短期間で稼いで自国に帰ると、日本で稼いだカネは本国ではけっこういい金額になるらしいのだが、ところが、日本の都市圏、東京や大阪の人間が「地方発祥で地方に本社がある会社」に勤めるとその逆の現象になる。「地方」の水準で決められた給与で都市圏の人間が働かされることになる。(株)一条工務店に応募を考えた頃、求人雑誌には「浜松の(株)一条工務店」と「岩手県の東日本ハウス」〔現 日本ハウスホールディングス〕とが掲載されていて、盛岡本社の会社と浜松本社の会社なら浜松本社の会社の方がいいか? ・・くらいに考えて、東京か大阪に本社がある会社でなくても特に問題はないだろうと思ったが問題はあった。「地方の会社」に東京や大阪の人間がわざわざ勤めたら、わざわざ給料が安い会社に勤めているようなもの・・という面があるのだ。(株)一条工務店の福島県いわき市の営業所にいた時、いわき市の生まれの人で福島県から東京や横浜に働きに行っている人がいたが、なぜ、地元の会社ではなくわざわざ東京や横浜の会社に勤めるのかというと給与水準が違うからだ。それを考えると、東京や大阪の人間がわざわざ「浜松の会社」に勤めるというのはアホやった。
又、小堀住研(株)は昔から「大卒しか採らない会社」と言いまくっていてそれを「売り」にしていたのだが、そのわりに入社してみると高卒の人が多くて、しかもその高卒の人間がえらそうにしているということで大学新卒で入社した人間は怒っていた・・のだが、一応、「大卒しか採らない会社」と言っていただけに「大卒の給与」を基準にしていたのに対して、(株)一条工務店は営業本部長の天野隆夫が「営業は頭のない人間がええんや。ぼくだって学校でてない(最終学歴:中卒)だから、だから、気さくで性格が良くて人間性が優れていて誰からも好かれるんだ。おい、そう思うだろ」と言っていて、「思います」と無理矢理言われたのだが〔かつ、この話を11年余在籍した私の倍以上も在籍していた人に話すと、「はあ? はあ~あ? あの人のいったいど~こが『気さく』で、ど~こが『人間性が優れてる』んだあ? いったい誰がそんなわけのわからんこと言ってるんだあ?」と言われたのだが、誰が言っているかというと御本人であって、御本人以外で「そんなわけのわからんこと」言っていた人間はひとりもいなかったのだが〕、そう言うだけあって営業は「高卒の給料」を基準としていた・・ので営業を「大卒の仕事」と定義づけしている会社に比べて安いようだった。大卒で入社するのはアホやった・・ようなところがあった。
もうひとつ、(株)一条工務店の場合、「家族手当」が大きく、これは「家族手当」の分だけ給料が高いか? ・・と勘違いしそうだがそうではなく、独身の人間の給料が安かったのだ。全体で支払う分を先に設定して、そのうちの「家族手当」の割合を大きくして、なんだか、「家族手当」をいっぱいもらえる会社・・みたいに見せようとしていたのであり、結婚して子供いっぱい作った者の給料が高いのではなく独身の人間の給料が安かったのだ。給料収入を増やそうとすると営業社員は契約を多く取ることよりも子供作った方が得・・みたいな会社だった。後先考えずに性交やって「できちゃった」婚やった人間を優遇しようというのは、それは「少子高齢化対策」ではないと思うのだが、(株)一条工務店はそういう会社だった。「子供がある者の方が売れるのだから」などと世迷い事を言っていたが、それなら独身の人間でも多く売れば「家族手当」を支給してもらえるのか、妻帯者で子供が多い者でも契約棟数が少なければ「家族手当」は剥奪されるのかというとそうではなかった。「営業はどれだけ売ったかが大事なんだ」と言いながら、売らなくても、子供いっぱい作った者には「家族手当」をドカンと支給するというのは言っていることが矛盾していた。「子供」を大義名分にして営業所全体の仕事を独身の人間に押しつけて先に帰り、まだ結婚できずにいる人間の生活時間を奪うのは「少子高齢化対策」に逆行するものだが、そういう逆行をする会社だった。
これは(株)一条工務店の「一族」経営者の学歴が低いことと関係している。一般に低学歴者は結婚が早い傾向があり、(株)一条工務店の「一族」経営者はそれだった。高学歴者なら既婚の人間もおれば未婚の人間もいるという年代で、低学歴の人では既婚の人の方が多いという場合があるが(株)一条工務店の営業本部長の最終学歴:中卒の天野隆夫は20歳で結婚したらしく、そうなると30歳越えたくらいの人間は世間一般では「早めに結婚した方がいい」と言われる年代だが、低学歴ゆえに若い年齢で結婚した天野隆夫はそういう者は「おかしい」という目で見る世界観を持っていた。大学に進学した者なら20歳で結婚する人間の方が「おかしい」のだが、低学歴者にとっては逆だった。30歳を過ぎたくらいの年代で未婚の人間に対して「独身でいる人は」と一生独身でいろというような発言を平気でするのだった。無神経この上ない人間だが、そういった発言は営業本部長と言った人間がおこなう場合には会社として問題があるはずだが、「ぼくなんかは学校出てないから、だから気さくで人間味があって性格が良くて誰からも好かれるんだ」などと大きな顔して言うのだった。〔そして、「(天野隆夫のことを)『学校出てないから、だから気さくで人間味があって性格が良くて誰からも好かれるんだ』などと、いったい誰がそんなおかしなわけのわからんこと言ってるんだ」と社歴の長い従業員から言われていたのだった。「そんなおかしなわけのわからんこと」言っていたのは御本人だけであり、御本人以外に言っている人間は誰もなかった。〕30代前半というのは一般世間では「早く結婚した方がいい」と言われる世代、内田康夫の浅見光彦シリーズの浅見光彦は最初に登場した時は32歳で翌年から何十年間と33歳を続けたが、その浅見光彦くらいの年齢の人間というのは世間では「そろそろ結婚するようにした方が」と言われる世代だが、低学歴ゆえに20歳で結婚した人にはそう見えないらしく、又、自分中心の思考・自分中心の世界観からしか考えられないらしかった。営業本部長という役職を初代社長の義理の弟だからということで取得すると、そういった口をきく権利が得られると思っていたようだったが、違うと思うのだが、違うと認識できる頭のない人間だったようだ。会社経営者ならば自分の会社の従業員で30歳過ぎたくらいの年代の者がおれば、早めに結婚できるように協力していいはずだが、ところが逆にその年代でまだ結婚できずにいる人間を犠牲にしてすでに結婚できて子供もいる者の為に営業所全体の仕事を押しつけようとこの会社はしてきた。(株)一条工務店はそういう会社だった。他にもそういう会社はあるようで、「後先考えずに性交やって早めに女を孕ませた者が勝ち」みたいな国に最近の日本はなってきつつある。それをおかしいと気づくことができない人間が増えてきている。
( ↑ 「コミック乱ツインズ」2022.3月号 2.14.発売 リイド社 所収
山口 正人『小平田の刃(やいば)』「人生、意気に感ず」の巻 )
コミック乱ツインズ 2022年3月号 [雑誌] - 橋本孤蔵, ラズウェル細木, 叶精作, 有賀照人, 重野なおき, 森秀樹, 鈴木あつむ, 落合裕介, 山口正人, 久正人, こだま学
それで、松戸市のKさんのおかげで学んだものがある。
〔1〕 「『お客様は神様』ではない。お客様は人間。人間として尊重する」と小堀住研(株)の営業系新卒社員研修の際に言われたのだが、そう聞いて理屈では理解した。 しかし、あくまで「理屈で理解した」ものだった。 「お客様は神様ではなく人間であり、あくまで人間として尊重する」と理屈で理解していても、それでもやっぱり、契約してくれたありがたい人だと思うと、どうしても下手に出てしまい、きかなくてもいいことまできいてしまい、実際にはそのお客様の方が悪いものでも「すいません」なんて言ってしまったりもした。
それを、Kさんのおかげで、それではだめなんだと理屈でではなく実感として認識することができた。 こちらが悪いわけでもなく、契約客のKさんの方に原因があるものについては、きっちりとそれを指摘しないとだめだと、Kさんのおかげできっちりと認識させてもらうことができた。その契約客の方に原因があるのに文句言われて「すいません」と言うのは間違いで、その契約客の方に原因があるものについては、きっちりと指摘するようにしないと、そんなものに「すいません」なんて言ったらそのお客様のためにならない。 それをKさんに実地で教えてもらった。
もうひとつ、道の下の位置に敷地がある家で、「道路から空き缶を投げ込まれる」という家というのは、そこの住人はそういう立地だからだと思っていても、実際にはそういう立地だからというのが主たる原因とは限らない。そうではなく、「空き缶でも投げ込んだろか」という気持になられるようなことを人にしているから投げ込まれている・・という場合がある、ということを学んだ。
〔2〕 そして、もうひとつ。 小堀住研(株)では広くて坪単価も高い家は粗利益が大きく、小さくて坪単価が安い家は粗利益が小さいので、広くて坪単価も高い家の契約の方が営業の評価は高く、小さくて坪単価も安い家は営業の評価が低かったので、1棟契約を獲得するのならば広くて高い家の契約をあげた方が良かったのだが、(株)一条工務店では(60坪未満なら)広くて高い家でも小さくて安い家でも評価は一緒だったが、それならば(株)一条工務店では広くて高い家の契約を取るよりも小さくて安い家の契約を取った方が営業は得みたいだなあ・・と一瞬、思ったのだったが、Kさんのおかげで、そうではないということを実感した。
小堀住研(株)では、たとえば、1990年4月、私が東京支店に赴任してすぐの頃に引き渡した三鷹だったかの某様宅は建物だけで3億円ということだった。片方で「高品質低価格」タイプの「ハウス55」なら「ハウス55」という言葉は「昭和50年の物価で500万円台で高品質な家を供給する」というところからつけられた名称だが、実際には1000万円未満の家はなかったが1500万円未満はあった。1500万円のハウス55を月に4棟契約いただいたとして年間48棟、きりのいい数字で年間50棟の契約をいただいたとして〔千葉支店で最も多く売っていた犀川というおっさんがそんな感じだったのだが〕、
1500万円/棟×50棟=7億5000万円
それに対して、3億円の家を年に3棟、契約いただいたならば、
3億円/棟×3棟=9億円
で、3億円の家を3棟の方が契約金額は多い。
3億円を3棟ではなく2億5千万円を3棟ならば、
2億5千万円/棟×3棟=7億5千万円
2億5千万円を3棟ならば契約金額の合計は7億5千万円になるので、1500万円を50棟と合計金額なら同じになるが、高い建物の方が利益率は大きいので契約金額は同じでも粗利益では2億5千万円を3棟の方が多いことになる。 ところが、(株)一条工務店では1棟あたりいくらという歩合給の払い方であるとともに、「グラフ」の評価でも1500万円を50棟なら「トップセールス」と称賛されるのに対して、2億5千万円を3棟ならば「赤字社員だ」と言って苛められることになる。
・・これって、おかしくないか? ・・と思ったのだ。 但し、(株)一条工務店の場合は小堀住研(株)とは違って「クラウンしかない会社」なので、1棟あたりについての契約金額も粗利益もそこまで大きく違うというものはない・・けれども、たとえば、私が入社する直前に東京営業所(展示場)(江東区潮見)から神奈川県茅ケ崎市の展示場に移り、1993年に福島県いわき市の展示場に転勤した「木南さん」(仮名)は「20坪キラー」と言われて、「施工面積」あるいは延べ床面積で20坪前後くらいの家の契約を獲得するのが得意で、それも相当多くの契約を取得している人が中に20坪の家もあるというのではなく、毎年、ノルマぎりぎりの契約棟数しか取らない人なのに20坪前後の契約が多い・・という人で、いわき市の人間からは、営業からも設計からも工事課の人間からも大工その他の職人からも「あの人、変わってるよねえ。あの人、いったい、どうやって20坪の家なんて捜してくるのお? 東京の街中あたりなら20坪くらいの家を建てる人だってあるだろうけれども、福島県の300坪くらいある敷地に建てるような人がいっぱいあるような場所で、どこから20坪の家の人なんて捜してくるんだろうねえ」と不思議がられていたのだが〔実際には、同じ敷地内に「隠居屋」を建てる人とか、逆に「若い者の家」を建てる人とか「離れ」を建てる人とかあるのだけれども 〕、「木南さん」(仮名)は「何も、捜してないですよ」と言うのだったが、「木南さん」(仮名)は「捜している」つもりはなかったのだろうけれども、実質的に「捜していた」のだと思う。「木南さん」(仮名)が取得できる契約というとそういう契約だったのだ。1990年、小堀住研(株)の目黒区の自由が丘展示場は比較的高額物件の見込客が多い展示場だったが、ところが営業課長の高橋賢一郎は「ろくな客が来ない」と言うのだった。なんでえ?・・と思ったのだが、それは高橋賢一郎は「ハウス55」の安い家しか契約取れない営業だったから、だから、たとえば最初に配属された松戸営業課の課長だったUさんなどは高額物件の見込客が来ると「絶対に離すな」と言ってなんとか契約に結びつけたいと考える人だったが、高橋賢一郎はその逆で高額物件の見込客が来ると「ろくな客じゃない」と言う、《「高品質低価格」タイプの「ハウス55」の契約しか取れない高橋》には高額物件のお客さんというのは「ろくな客じゃない」と思えたということだった。そんな人を高額物件の来場役が多い展示場の課長に配属した東京支店長の高倉は「やっぱり、高卒の支店長だなあ」て感じがした。・・やっぱり、「高卒のおっさん」を支店長にするとそうなるということか・・という感じがした。
で、(株)一条工務店は「クルマにたとえるならクラウンしかない会社」だったので小堀住研(株)ほどは1軒あたりの粗利益の差はなかったけれども、それでも、「木南さん」(仮名)が得意とする「20坪の家」と、「2棟扱い」になる60坪に少し足らないというくらいの面積の家とでは粗利益は倍以上違ったのだ。きりのいい数字で、40坪の家と20坪の家とでは、20坪の家を2棟契約いただいたとして、40坪の家1棟分の粗利益はないはずなのだ。ところが、「木南さん」(仮名)が得意とする「20坪の家」2棟の方が、40坪の家1棟の契約よりも会社の営業社員に対する評価は高くなってしまうのだ。これはおかしくないか・・と思ったし、それならば、小さい安めの家の契約ばっかり取ってやった方が(株)一条工務店では得みたいだなあ・・なんて思ったりもしたのだ。
・・しかし、そうでもないみたいだな・・とKさんの契約を通じて認識したのだ。
まず、広い建てやすい土地を所有していて、建築費も十分に出せるという人は、建てる建物もそれだけのものを建てるし、こういうことをしてほしいというものもあるから、それに対応しないといけないし対応できないといけないが、なんだかんだ言っても1軒、家が建つのだ。それに対して、予算が厳しい人は家1軒建つかどうかわからないし、土地が狭かったり厳しい制約があったりする人は家1軒建たない可能性がある。苦労して努力して労力を払っても、結局、建てられないということになり、労力と時間をかけただけでその労力・時間は無駄になる場合がある。 それを考えれば、広い土地を持っていて、出せる建築費も余裕があるという人は、なんだかんだ言っても家1軒建つのだ。だから、予算の厳しい人・土地の条件が良くない人でも担当しないということはないが、広い土地があって予算もある人の方が、なんだかんだ家1軒建つので営業としては実際問題としてその方がいい・・というのはたしかだ。
そして、狭い場所に一通りのものを建てるというのは、広い土地に大きな家を建てるよりも大変なのだ。さらに、きっちりと予算を出してもらって、その上でいろいろと施主がやりたいことを実現するのと、けちりまくって費用を出せないにもかかわらず、なんだかんだ文句ばっかり言って、カネださないのに要求だけする人の仕事よりも、きっちりと費用は出すから要望を満たしてほしいという人の仕事の方がずっと楽なのだ。Kさんの契約を経験して実感としてそう思ったのだ。こんな小さな家で費用も出さない人の相手をするよりも、広い土地に費用をかけて大きな家を建てる人の仕事の方がよっぽど楽だし、やっていてよっぽど仕事が楽しい、と。
・・・だから、私は「20坪キラー」の人の気持ちがよくわからんのだが、「20坪キラー」の人というのはそういう家の契約をいただき、そういう家を建てる””ノウハウ””を知っている人なのだろう。 小堀住研(株)にいた時、7年目の営業の人が「大きな家の契約を取ろうと思えば、小さいのを捨てれば取れる・・と思いながらも小さい家を追いかけてしまうんだよなあ」と口にしていたことがあったのだが、小堀住研(株)は粗利益の何パーセントという歩合給であり、営業社員の評価も「何棟か」ではなく「粗利益いくらか」で評価されたので、そういった言葉が出てきたのに対して、(株)一条工務店では粗利益の額ではなく「何棟か」で評価されたので、「20坪キラー」の人はそれを自慢していた。自慢することではないだろうが・・と思ったのだが、「20坪キラー」の「木南さん」(仮名)は「私の担当の家はオプションなんて何ひとつないですよ。ほとんど標準仕様だけですよ♪」と言って自慢していた・・が、そんなことだから小さい家の契約しか取れないんだよお! ・・てものだったが、「20坪キラー」の「木南さん」(仮名)はそれを自慢していた。「木南さん」(仮名)の場合は「20坪の家」を得意とするだけに、50坪台の家の契約をしてもらえても、50坪台の家でも「20坪の家みたいな50坪台の家」を作ってしまうところがあった。(株)一条工務店の最初の中途入社社員の新入社員研修で講師役で来た人、誰だったか忘れてしまったが、「先輩社員に契約客の所に連れて行ってもらってください。なんだか、その営業によって似たような契約客ばっかりがその人のお客さんになっていますよ」という話がされた。その営業に合う人がその営業のお客さんになりやすいということをその人は言ったようだったが、その営業に合う人がその営業の担当のお客さんになる・・ということもあるが、「営業がお客さんを・・・にしている」という場合もあり、「朱に交われば赤くなる」と家造りに関しての部分でその営業にお客さんが似てくるという場合もある。 そして、お客さんのタイプが営業ごとに似ているということもあるが、その営業によってできる家が似ている・・ということもある。「木南さん」(仮名)の担当した家というのは、なんだか、みんな、「20坪の家」みたいな家だったのだ。50坪の家でも「20坪の家みたいな50坪の家」だったのだ。だから、私にとっては「20坪の家」よりも50坪・60坪・70坪の家の方がよくても「木南さん」(仮名)にとっては「20坪の家」の方がやりいい・・ということだったのではないかと思う。
〔3〕 この「1棟あたりいくら」という報酬の払い方、「グラフ」上での営業の評価も何棟という評価のしかたというのは、やっぱり不適切であろう・・ということだ。
どこがかというと、小さい家で「標準仕様」以外にはたいしてカネかけずに安い金額しか払わないで建てるKさんのような人にはそれを自覚してもらわないといけないのに、営業社員の評価が契約金額が違っても一緒だと営業社員がきっちりと意識できなくなってしまい、その結果として、契約客もまた、自分は戸建住宅としてはごく小さい家を安い金額で建てるという立場であって高額物件のお客さんと同じだけの金額を払うわけではなく高額物件のお客さんと同じだけの要求をできるわけではないという事実をきっちりと認識してもらわないといけないのに、それを認識してもらえないようになってしまう、という問題だ。
私は住宅建築業の会社に最初に入社した時、世の中には高い家を建てる人もあれば安い家しか建てられない人もあるけれども、どちらの人であっても大事なお客様であることに違いはないのであり、安い家を建てる人だからといって決して粗末な扱いにしてはならないと思ったし、高い家を建てる人と比べて安い家を建てる人を低く見るようなことはしてはならないと思った。
それは正しいと思う。しかし、片方で、クルマを購入する場合でも、カローラの値段で購入する人が購入したクルマにベンツやロールスロイスと同じだけの機能がなかったとしても、それはいたしかたないことであり、購入する人にもそれは理解してもらわないといけない。1泊朝食付で5000円というビジネスホテルに宿泊したならば、1泊5万円の高級ホテルに泊まる人と同じというわけにはいかないということは宿泊者は理解しないといけない。
1990年、小堀住研(株)で東京支店自由が丘展示場に在籍した時、田園調布駅の西側、「この漫才で田園調布に家が建つ」と言われた地域に「アンケートはがき」をポスティングしてまわったところ、田園調布駅の西側で何百坪かの敷地の家に住んでる社長の奥さんから問い合わせをもらって商談を進めかけたことがあったのだが、社長の嫁だけあってえらそうな口のきき方だったが、契約もらえたあかつきにはその1棟で半年はふんぞり返ってくらせるくらいの契約をもらえるだろうと思えば、ちょっとくらいえらそうにされてもいいよ・・と思ったものだった。結局、その商談が進まないうちに同社を離れることになってしまったが、契約してもらえたならそれだけのものを契約してくれる人ならちょっとぐらいは・・ということは現実にある。
2007年、(株)エイブルhttps://www.able.co.jp/ の勝田台店にいた時のことだが、「なんで、来場者用駐車場がないんだ」と文句を言った見込客があり、さらには「駅までクルマで迎えに来てくれ」などと言った見込客があった。「駅まで」といっても、京成本線「勝田台」・東葉高速鉄道「東葉勝田台」駅から(株)エイブルの勝田台店まではすぐであり、クルマで迎えにきてもらいたいというほど離れているわけでもなかったし〔(株)エイブルの勝田台店から(株)エイブルが営業社員用のクルマを駐車させるために借りていた月極駐車場までの距離と駅までの距離はたいして変わらなかった〕、何よりも、売買で何億もする土地建物を購入する客ならともかく、月3万円程度のアパートを借りるかどうかという見込客が駅までクルマで迎えにきてくれなどと言う方がおかしい。その時、営業担当の男性は「なんだ、この客は」とか言って怒りながら迎えにいったが、私は行く必要はないと思った。むしろ、行かない方がいいのではないかと思った。自分は契約したとして、仲介手数料にいくら払うと思っているのか。たいした金額払わないのに、「駅までクルマで迎えに来い」とか言う人というのは、断っていいと思う。
石ノ森章太郎の『ホテル』という漫画に登場する高級ホテル「プラトン」では、台風などで予約客が来れないで困っているとなると、台風の中でもクルマを走らせて客を迎えに行くという話がでていて、「高級ホテルというだけのことはある」とその客が感心するという場面があったが、台風の日に駅からホテルまで来る手段を失った予約客をクルマで迎えにいくというのは「高級ホテル」だからできることであって1泊5000円程度のビジネスホテルにそれをやってくれと言われても難しいだろう。
〔 私は「難しい」と言えば、それは「無理です」「できません」の婉曲表現と思っていたし、そのくらいはわかって当然と思っていたのだが、1994年、(株)一条工務店で福島県いわき市の営業所にいた時に、会津地方の喜多方市出身の人に「それは難しいですね」と言ったら、「難しいと言わないで何とかしてくださいよ」と言われ、さらに「難しいですね」と言ったが理解してもらえず、こちらとしては、これだけ無理ですと断っているのに、なんでこの人はわかってくれないんだと思ったのだったが、1970年代、大阪生まれのうちの上の姉が東京の人間と結婚して千葉県に住んでしばらくした時に、「このへんの人に『難しいですね』と言っても断られたと理解しないよ。関西の人間なら『難しいですね』と言われたら断られたと誰でも理解するけれども、このへんの人には『難しいですね』なんて言ってもだめよ。『だめ、だめ、だめ! 絶対にだめだめ!』とそこまで行っても理解するかどうかよ」と言っていたのを思い出した。そうか、この人は「難しいですね」と言われても断られたと理解しない人なんだ・・とわかった。東京から東・北の人間に「難しいですね」と言っても断られたとわからない人がいるらしいが、関西人の認識では「難しいですね」は「無理です」の婉曲表現だ。〕
戸建て住宅建築業においても、片方で「安い家しか建てない人でもお客様はお客様であって粗末にしていいものではない」という面があるものの、他方において「安い家しか建てない人が、高額物件のお客様と同じだけのものを要求されても応じかねる」という面もあるという点について、営業社員も認識し理解するべきであるし、安い家しか建てないのに高額物件の客以上のものを要求してくるような人には、それに応じるべきではない。又、相当の高額物件のお客様ならば、「えらそうにしやがってからに」と思っても営業担当が「高い金額払ってくれるなら我慢もしようか」と思うようなそういう我慢を安い金額の家しか建てないくせに要求するような人には、それは違いますよということをわからせてあげるようにした方がいい。 ユースホステルに泊まる客、あるいは萩之茶屋あたりのバックパッカーが最近では泊まるようになったらしい宿泊所に対して、高級ホテル「プラトン」のホテルマンみたいな対応を要求する客には、それは違いますよとわからせてあげるようにした方がいい、ということをKさんを通じて認識したし、その為には、会社もまた「どんな契約も1棟は1棟」という評価というのは、あんまりいいことではない・・と認識した。
〔4〕 《「ど真ん中のストレート」を意識して投げる》
ダイエーホークスの投手だった斉藤和巳選手が週刊誌に野球に関するコラムを書いていて、なかなかの頭脳派だったようで、そういうことがあるのかと思えて面白かった。
野村克也のじいさんが江本に「おまえだけのサインやぞ」と言って「ど真ん中のストレート」というサインを出したと野村だったか江本だったかが書いていたが、それは、江本は球威があるがコントロールが悪い投手で、特にピンチになって緊張するとストライクゾーンにすら球が入らなくなることがあったが、そういう時に捕手 野村は「おまえにだけのサインやぞ」と言って「ど真ん中のストレート」というサインを出したらしく、球威はあるがコントロールが悪い投手が「ど真ん中のストレート」を投げると、たいてい、ど真ん中ではなくどちらかにそれた球がいくようで、どっちに行っても球威はけっこうあるから、それで打ち取れることが少なくない・・ということだったらしい。
斎藤和巳投手の場合はそれとは事情が違う。打者にもいろいろな打者がり、斉藤和巳投手が意図的に「ど真ん中のストレート」を投げた相手というのは、誰だったか名前は忘れてしまったが、体格も小さく力が強くない野手だが、ストライクとボールの境目付近の球をうまくカットしてファウルにしてねばるのがものすごくうまい・・という選手がいて、こういう選手にコーナーに投げて見送ってもらおうとか打ち取ろうとしても大変だが、長打力はないのでヒットを打たれてもシングルヒットだ。齋藤和巳投手は肩に「故障」をかかえていて、1試合あたりであまり多くの球数を投げることができなかったらしく、「ファウルで粘るのがものすごくうまい」という打者にコーナーをめがけて投げて粘られて、1打席で十数球も投げさせられたのではたまったものではないというのだ。もしも、1打席で15球も投げさせられたとすると、その打者に4打席まわったならば、
15球/打席×4打席=60球
ということになり、1人だけで60球も投げさせられるという計算になる。
何球も投げることができる投手ならいいが、肩に「故障」があってあまり多くの球数を投げることができない斉藤和巳投手としては、それは避けたい。そういう時に、意図的に「ど真ん中のストレート」を投げたというのだ。「どうぞ、打ってください」と。
「ど真ん中のストレート」を「どうぞ、打ってください」と投げたとしても、打者の側では「ど真ん中のストレート」を打つ練習なんてやっていないから、「ど真ん中のストレート」だからといって必ずヒットを打てるというものではないという。 そして、打たれたとしても、その打者はコーナーの球をうまくファウルにする技術はものすごいものを持っているけれども長打力はない打者で、打たれてもシングルヒットだと。それならば、1打席で十数級も投げさせられるくらいならば、シングルヒットをさっさと打ってもらった方がよっぽどいい・・・と。
そういうことらしい。
(株)一条工務店を辞めた後で、この斉藤和巳投手〔週刊誌にコラムを掲載していた時点ではすでに引退していた〕のコラムを読んで、あの時のKさんには斎藤和巳投手が投げる「ど真ん中のストレート」と同じことをやれば良かったんだな・・と気づいたのだ。
「(こちらはやることやってるのだから、それで気に入らないということならば、、かまいませんから、)どうぞ、解約してください」と。 むしろ、そうしたならば、自分の方が悪かったと気づいて解約せずに前に進んだ可能性も考えられる。
実際のところ、小さい安い家を建てるのに、営業担当者が相当に労力も払えば気も使ってやっているのに、それをごねまくって我儘放題やる人というのは、「ど真ん中のストレート」を投げて「どうぞ、打ってください」とした方がいい・・という面がある。そんな客1件のために無茶苦茶労力かけられて、無茶苦茶時間を費やされてしまうくらいならば、「かまいませんから、どうぞ、解約してください」と「ど真ん中のストレート」を投げるようにして、そうやって空けた時間で他の人の相手をした方がずっといい・・と。肩に「故障」をかかえていて、あまり多い球数を投げることはできなかった齋藤和巳投手にとって、1打席で十数級もねばられる打者を打ち取ろうとするよりも、「ど真ん中のストレート」を投げて「どうぞ、打ってください」としてシングルヒット打たれた方がよっぽどいい・・というのと同じく、Kさんみたいに小さい家を安い金額でごねまくって建てる人に労力と時間を費やされるくらいなら「どうぞ、解約してください」と「ど真ん中のストレート」を投げるようにした方が良かった。
「ど真ん中のストレート」というのは住宅建築業の営業にとっては、ひとつの方法だ。
「業者」でやりたくない仕事の見積もりを出してくれと無理に言われると、そんな金額で依頼する人なんてないだろうと思われるような高い金額の見積もりを出す人がいる。「どうぞ、断ってください」という意味だ。 それと似たところがあるかもしれない。
住宅建築の契約というものは、建築会社と施主と両方で気を配り合いながら進めるもので、十分過ぎることをやってきているのに、どんなに話してもわかってくれない人には「どうぞ、解約してください」と「ど真ん中のストレート」を意図的に投げるというのも、ひとつの方法だ。
これは実際に経験しておのれの体で骨身にしみて感じてこそ身につく感覚だ。
これは「なんで、あんな人、契約してしまったんだろう」という契約客に対してだけではなく、見込客に対してもありうることだ。小堀住研(株)に入社1年目、7年目の営業の人が前に所属していた営業課の課長から言われた話として聞かせてくれたのだが、「『客(契約客)』というのは契約書に署名捺印してくれて着手金(契約時に払ってもらうカネのことを(株)一条工務店では「契約金」と呼んでいたが小堀住研(株)では「着手金」と呼んでいた)を払ってくれた人のことで、契約前の人というのは『見込客』であって、『客』(『契約客』)になる見込みがある人ではあっても『客』(『契約客』)ではないのだから、契約前の人に、あれやってくれ、これやってくれと言われてもやらなきゃならないことはないからな」と。片方で「契約に結びつけるために」どうすればいいかとして「お役立ち精神」なんて研修で教えているものの、他方で「『客(契約客)』というのは契約書に署名捺印してくれて着手金(契約時に払ってもらうカネのことを(株)一条工務店では「契約金」と呼んでいたが小堀住研(株)では「着手金」と呼んでいた)を払ってくれた人のことで、契約前の人というのは『見込客』であって、『客』(『契約客』)になる見込みがある人ではあっても『客』(『契約客』)ではないのだから、契約前の人に、あれやってくれ、これやってくれと言われてもやらなきゃならないことはないからな」と言われると、なんか矛盾しているかのように思えないこともないが、矛盾しているのではなく、両方の面があるということだろう。
それで、「『客(契約客)』というのは契約書に署名捺印してくれて着手金(契約時に払ってもらうカネのことを(株)一条工務店では「契約金」と呼んでいたが小堀住研(株)では「着手金」と呼んでいた)を払ってくれた人のことで、契約前の人というのは『見込客』であって、『客』(『契約客』)になる見込みがある人ではあっても『客』(『契約客』)ではないのだから、契約前の人に、あれやってくれ、これやってくれと言われてもやらなきゃならないことはないからな」というのも、これも理屈では理解するのだが、実際に営業の仕事をやると、なかなかその理屈通りいかない時が少なくない。
そういう場合もまた、齋藤和巳投手が投げたという「ど真ん中のストレート」を投げるという選択、「断るなら断っていただいてけっこうです」、「他社で契約して建てられるのなら、かまいませんよ」という態度というものも、これも時として必要ではないのか・・と思うようになった。・・で、齋藤和巳が書いていたのだが、その気持ちで「ど真ん中のストレート」を投げたとして、必ずヒットを打たれるというものでもないらしい。プロ野球の打者は「ど真ん中のストレート」を打つ練習なんてやっていないし、「ど真ん中のストレート」が来ると思っていないので、「ど真ん中のストレート」を投げたとしても、それでもアウトになる場合はあるという。
1980年代後半、小堀住研(株)に入社してすぐの新卒社員研修の際に、困った客に対してどう対処すればいいか、営業所ごとに話し合って意見を提出してもらいたいとTQC推進本部営業部会で求めたものに対する回答のなかに「お客さんの問題」という返答があって、TQC推進本部営業部会部長のSさんは「『お客さんの問題』とは何だ。客のせいにしてしまってはいかんだろう」とそれについて発言し、その話を聞いていた新卒入社社員は多くの人間が「そうだなあ」と思ったのだった。しかし、たしかに「困ったお客さん」でも、それに対して営業はどう対処するかということを問うているのに、「お客さんの問題」ではだめだろうという面もあるかもしれないが、そうでもないかもしれない・・と私は(株)一条工務店で十年以上勤めて思うようになったのだ。
片方で、その問いは「営業はどう対処すればいいか」という問いだから、どう対処すべきかを考えないといけないのだけれども、片方で、どんなお客さんでも、その時までに何十年かの人生を生きてきている人であり、営業の対応でどうこうなるものではない場合もあるのだ。
(株)一条工務店では、「営業がお客さんを・・・にしている」と言ったことが言われていた。左の「・・・に」の部分には「扱いにくい人に」とか「我儘な人に」とか「細かい人に」とか「厚かましい人に」とか、そういった文句がはいる。 福島県いわき市の営業所にいた時、「なんだか、S藤さんの担当のお客さんて、「類は友を呼ぶ」なのかS藤さんみたいな感じの人が多いなあ」と言う人があり、そうかもしれん・・と思ったことがあった。栃木県佐野市の営業所にいた上岡くん(男。40代前半)とその担当客を見て、もうひとつ、「朱に交われば赤くなる」というのもあると思った。上岡くんの担当客というのは私や他の営業の担当客に比べて我儘な人が多い傾向があったが、上岡くんの場合は、この
(1)「営業がお客さんを・・・にしている」
(2)「類は友を呼ぶ」
(3)「朱に交われば赤くなる」
の3つの融合形だと思われた。〔かつ、本人にその自覚がなかった。「精神医学」用語で表現するなら「病識がない」状態だった。〕
戸建住宅建築業の営業をやっている人で、もしも、自分が担当のお客さんが他の営業のお客さんよりも我儘な人が多いとか、困った人が多いとか何かそういうことを感じることがあったなら、この(1)~(3)に該当するようなことはないか、検討してみた方がいいと思う。
特にこの(1)については営業の対応を変えればお客さんの対応も変わるわけだから、考えた方がいいのだろう・・・けれども、他方において、人間の性格とか生き様・物の考え方とかいったものは何十年かかけて作られてきたものであるから、戸建住宅建築業の営業がそのお客さんの性格なり物事の考え方なりを変えようと思っても、むしろ、簡単に変えることができると思うのは傲慢ではないか・・という面もあるのではないか。だから、小堀住研(株)でTQC推進本部営業部会が各営業所に回答を求めたものの中に「お客さんの問題」という返答があったというのは、それは《「お客さんの問題」であって営業の対応でどうこうなるものではない》というケースがあり、そういう人なんだと割り切るしかない、そういう人なんだと割り切るしかなく、営業の対応で変えようとか変わってもらおうとか考えてもしかたがない・・という場合がある、という意味としては間違っていないのではないかと思うようになった。
そういうケースにおいて、もう、やるだけのことは十分過ぎるほどやった、この人にはできる限りのことをやってあげた、感謝されこそすれ文句言われる筋合いはない、これだけやっても気に入らないというのならば、「ど真ん中のストレート」・・「どうぞ、打ってください」「どうぞ、解約するなら解約してください」というのもひとつの対応だと思うようになった。
(株)一条工務店の松戸展示場に、「名古屋市の八事(やごと)展示場にいて条件がいい営業所に配属してもらっていたにもかかわらず営業成績があがっていなかった松下」が来て、私にKさん宅に一緒に行くというので、私より年下の人間だったが(株)一条工務店では「十年選手だぞお」と営業本部長で松戸営業所長の天野隆夫が言うことなので連れていったところ、「すべて、〇〇が悪いんです。申し訳ございませんでした」などと言って、ちっとも悪くない私のせいにして自分だけが「ええもん」の役やりやがった。私は今となっては20年ほど住宅の営業等の経験をしたが、いくらなんでも松下みたいなことする人間というのは、あの男以外に見たことがない。
(株)一条工務店の「一族」経営者、特に営業本部長の天野隆夫という男はそういう人間が大好きだ。なんで、そんな人間がいいのか、どうもよくわからんのだが、なんでそんな人間がいいのかという人間を好む男、そういう人間だった。
「(株)一条工務店の遠州人」というのは卑怯者集団である。但し、あくまでも「(株)一条工務店の遠州人」がであって「遠州人一般」のことを言っているのではない。 しかし、「(株)一条工務店の遠州人」というのは卑怯者集団であるのは間違いないが、それでも、いくらなんでも松下みたいなことやった人間というのは、さすがに他にはいなかった。
(2022.2.13.)
人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ - A.H. マズロー, 小口 忠彦
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